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pytest プラグインを開発して DRY に自動テストを書こう

pytest プラグインを開発して DRY に自動テストを書こう

PyCon JP 2024 ミニトーク

Atsushi Inutsuka

September 28, 2024
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Transcript

  1. ⾃⼰紹介 2
 ⽝束 敦史 (Atsushi Inutsuka) SNS GitHub : inuatsu

    X : sekainoinuatsu エンジニアリングマネージャ @ シンプルフォーム株式会社 ⾦融機関などで、法⼈⼝座開設時などに実施が必要な「法⼈の審査業務」において使っていただく プロダクトを開発し、SaaS サービスとして提供しています
  2. 直⾯していた課題 開発者から以下のような声が上がるようになりました ディレクトリごとに同じような factory や conftest 記述するの無駄な気がしてきた ディレクトリによって conftest の書きっぷりが異

    なっていて認知負荷が⾼め… conftest.py に毎回 MySQL のコンテナの設定周りで 同じようなコードを書いているの、何かしら共通化 できないだろうか
  3. 直⾯していた課題 開発者から以下のような声が上がるようになりました ディレクトリごとに同じような factory や conftest 記述するの無駄な気がしてきた ディレクトリによって conftest の書きっぷりが異

    なっていて認知負荷が⾼め… conftest.py に毎回 MySQL のコンテナの設定周りで 同じようなコードを書いているの、何かしら共通化 できないだろうか ⇒ 確かに、同じようなコードを⾊々なところに書いているのは DRY じゃない気がする…🤔
  4. 発想 同じような factory や conftest.py を記述しているのであれば、テストを実装する際 共通で必要な前処理∕後処理をまとめた pytest プラグインを作ればよいのでは? pytest

    プラグインとは? pytest の機能を拡張するために、hook 関数を使って pytest の様々なイベントに 対して特定の処理を実⾏できるようにしたもの 例えば、カバレッジレポートを出すのに使う pytest-cov などもプラグインの⼀種
  5. pytest プラグインで提供したい機能 以下のような処理を全てのディレクトリの conftest.py で書いていたので、 プラグインの機能として提供することを検討しました Docker で MySQL のコンテナを起動する

    起動した MySQL コンテナが healthy になるまで待機する 起動した MySQL コンテナの DB にデータベースを作成する 起動した MySQL コンテナの DB セッションを提供する factory およびそのセッションを提供する テストメソッドごとにデータベースのトランザクションを rollback する
  6. プラグインで提供する機能 先ほど⾔及した内、太字の 3 つに絞って具体的な実装を紹介します Docker で MySQL のコンテナを起動する 起動した MySQL

    コンテナが healthy になるまで待機する 起動した MySQL コンテナの DB にデータベースを作成する 起動した MySQL コンテナの DB セッションを提供する factory およびそのセッションを提供する テストメソッドごとにデータベースのトランザクションを rollback する
  7. 単⼀プロセス∕複数プロセスでの MySQL コンテナ起動∕削除 単⼀プロセスか複数プロセスかにより条件分岐します pytest-xdist をインストールすると、単⼀プロセスで起動する場合 worker_id fixture が "master"

    の値を返すので、それにより単⼀プロセスであることを判定 複数プロセスの場合、pytest-xdist を使うと session スコープの fixture は テストプロセスごとに実⾏されるため、複数回実⾏されてしまいます pytest-xdist のドキュメントで、filelock を使って session スコープの fixture が⼀度だけ 実⾏されるように保証する⽅法が紹介されているので、それを参考に実装
  8. データベース作成 pytest-xdist では session スコープの fixture はプロセスごとに実⾏されることに ⾔及しましたが、その性質を使うことでプロセスごとに固有のデータベースを 作成して使う実装を実現できます pytest-xdist

    を使うと、各テストプロセスで PYTEST_XDIST_WORKER という環境変数に ワーカ名が定義されます この性質を使い、test_db_{ワーカ名} という命名ルールでデータベースを作成し、 テストプロセス内でそのデータベースで DB セッションを提供するようにします。
  9. テストを書くのに使えるプラグイン pytest には pytester というプラグインがあり、プラグインのコードのテストを 書くのに活⽤できます ◦ pytester はデフォルトでは無効になっており、tests ディレクトリ内の

    conftest.py に 以下の記述をすることで有効化できます。 ◦ pytester では⼀時的な conftest.py やテストファイルを作成する API が提供されており、 それを活⽤することでプラグインの動作を検証することができます。
  10. まとめ 1. ⾃分が管理するプロジェクトで導⼊できる pytest のプラグイン、意外と簡単に 作ることができます 2. ⾊々なディレクトリで conftest.py を書いていて、同じようなテストの前処理∕

    後処理を全ての conftest.py で書いてしまっているな…という⽅は、 pytest のプラグインを⾃分で書いてみてはいかがでしょうか