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Catupper
September 16, 2013
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計算量の話
競プロの第一歩
Catupper
September 16, 2013
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Transcript
計算量の話
計算量とは • ある問題の答えを出すためにどれくらい計算 を行うか • O(計算量)という表記をする – O(100,000), O(N), O(log
N) – O(2^N), O(1), O(Nα(N))
例 • 問:1 ~ Nまでの整数の総和を求めよ – 普通に計算する → N-1回足し算 →
O(N-1) – 公式を使う → 足し算と掛け算と割り算 → O(3) • 計算の仕方によって計算量が違うことがある
いくつかのルール • O記法の中身は一番大きな規模だけ残す • 係数は1にする • 例 – O(N-1) →
O(N) – O(4N^2 + 2N) → O(N^2) – O(N^2 + M^2) → NとMが独立なのでこれ以上無理 – O(2^N + N^2) → O(2^N) – O(3) → O(1)
なぜか • 中の変数が非常に大きな値になった時のことを考える • O(5N^2 + 100N + 4)の場合 –
N = 1 → 109 – N = 100→ 60004 – N = 10000 → 501000004 – N = 100000000 → 50000010000000004 • ほとんどO(5N^2)と変わらなくなる • O(N^2)との相対誤差は常にたったの5だから無視できる
演習:素数判定 ある整数Nが素数か判定するアルゴリズムを考えてそれ の計算量を答えよ – 高速じゃなくてもOKです – ちなみに論理的に最速なのはO((log N)^7.5)くらいの やつです •
AKS素数判定法って言います • おもいつくわけがない
予想される解答 • N未満の自然数全てについて割れるかどうか試す – O(N) – おそい • √N未満の自然数全てについて割れるかどうか試す –
O(√N) – これが思いつけば十分
そんなのありかよ • 素数表をあらかじめ用意しておく – O(1) – 柔軟な発想である • しかし欠点がある –
素数表は非常に大きくなる – 少なくとも予想されるNより小さい整数について知っ て居る必要がある – ようは覚えるためにメモリをめっちゃ食う
空間計算量 • さきほどのアルゴリズムの時間計算量はO(1)である • しかし空間計算量がO(N)である – 空間計算量というのは、アルゴリズムに使用する記憶 領域に大きさ – O記法のルールは時間計算量と同じ
– これが大きすぎるとメモリが足りずプログラム動かな い
まとめ • どれくらい計算に時間かかるか – 時間計算量 • どれくらい計算にメモリを食うか – 空間計算量 •
これらを考えると、そのアルゴリズムが問題を解くのに 適しているかどうか決める目安になる
AOJとか • 競プロの問題にはこのように時間制限とメモリ制限があ る • これを守るような計算量のアルゴリズムを考えれば良い
計算量の目安 • だいたい1秒がO(10^7)〜O(10^8)くらい • メモリはO(10^7)が限界くらい – 気にする必要がある問題はあまりない – 1MBでintが250000個という目安
計算量は一つの糸口 • 問題の変数の制約からアルゴリズムの計算量の見当がつ く – ↑だいたいO(NlogN)かなー
変数が複数ある場合 • 変数の値が大きいほど計算量も大きくなる – できるだけ小さい変数の値を使うアルゴリズムを作れ ばいい • ↑これはRを中心にアルゴリズムを考えたい
制限からの計算量予想 • N 10^6 → O(N) ≦ もしくは O(N log
N) • N 10^5 → O(N log N) ≦ もしくは O(N log^2 N) • N 3000 → O(N ^ 2) ≦ • N 500 → O(N ^ 3) ≦ の中でも早いもの • N 100 → O(N ^ 3) ≦ • N 50 → O(N ^ 5) ≦ くらいまでいける • N 20 → O(2 ^ N) ≦ もしくは O(N * 2 ^ N)
アルゴリズムのご紹介
アルゴリズムの紹介 • あらゆる計算量のアルゴリズムを紹介します • 基本から応用までいろいろあって全部理解するのは難し いでしょう • もし知らないアルゴリズムがあったら暇なときにググる といいでしょう
O(N) • 貪欲法 – ただひたすらにminとかmaxとか条件に合うものを選 ぶアルゴリズム • しゃくとり法 – 左端と右端を決めてちょっとずつ右に動きながら適切
な範囲を決めるアルゴリズム • 木構造関係の前処理 – 深さ、部分木のサイズ、重心、DFS、BFS
O(N) • 累積和の前処理、いもす法の後処理 – ともに連続した区間の総和を扱うことで、連続した区 間に対するクエリを高速(だいたい定数)で処理する もの。総和をとったりする前処理や後処理がO(N) • エラトステネスのふるい –
素数表を作る – メビウス関数表も同時に作れる
O(N) • 1~Nまでの数字の逆元の取得 – inv[x] = -inv[MOD % x] *
(MOD / x); – という漸化式を使う方法 – 組み合わせ関係の式の前処理において多用 • aho corasick法による文字列探索 – 探索対象文字列から文字列群の各要素を検出するアル ゴリズム
O(N) • グラフの閉路判定 – 無向グラフの木状判定、有向グラフのDAG判定 – DFSするだけ • グラフの強連結成分分解 –
強連結成分とはその中でどの頂点対間にも両方向にパ スがある誘導グラフ – 強連結成分を圧縮するとDAGになる
O(N) • DAGのトポロジカルソート – 辺が全て小さい番号から大きい番号に伸びているよう に頂点を番号付けする – O(辺の数)です • DAGに変換した後にDP
– あらゆるDPはDAGの問題に変換可能です – 変換後の辺の数をNとするとそのDPはO(N)で溶ける 可能性が高いです
O(N^2) • 全頂点対の走査 – グラフを作る段階に行う、あらゆるアルゴリズム – 平面上の全頂点間の辺の列挙等 • ベルマンフォード法 –
単一始点最短経路を求めるアルゴリズム – 負の閉路があっても大丈夫 – 特殊な線形計画問題の双対である(牛ゲー)
O(N^3) • ワーシャルフロイド法 – 全点対間最短経路を求める方法 – 実装が非常に楽 しかも定数が軽い • 二部グラフの最大マッチング –
安定結婚問題みたいな奴 – 詳しくはマッチングでぐぐれ – O(V(V+E))だったりする
O(√N) • 素数判定 – 実はもっと高速で有用な乱択アルゴリズムがある • 約数列挙 – あまりつかわないかも
O(log N) • 二分探索 – 答えが探索範囲の中点についてどちら側にあるか調べ る方法を繰り返す探索方法 • ユークリッドの互除法 –
最大公約数をもとめたり、逆元を求めたりできる • 繰り返し2乗法 – X^NをO(log N)でもとめる – 行列に使えば、漸化式を高速に解いたりできる
O(log N) • std:set, std:map, std:priority_queueのクエリ – C++のライブラリから得られる便利なデータ構造 – 順序付き集合、辞書、順序付きキュー
• 平衡二分探索木のクエリ – 探索、質問、更新、追加、削除、併合、分割 – 右に行くほど実装が重い
O(NlogN) • ダイクストラ法 – 本当はO((辺の数 + 頂点の数) log 頂点の数) –
単一始点最短経路のアルゴリズム – 負閉路があると動かない • エンベロープによる走査 – 複数の一次式に対して、最小値や最大値をなぞる方法 – グラフの下端や上端をなぞる感じ
O(NlogN) • ソート – データを順序付きに並び替えること – 超頻出アルゴリズム • ダイクストラ法 –
本当はO((辺の数 + 頂点の数) log 頂点の数) – 単一始点最短経路のアルゴリズム – 負閉路があると動かない
O(NlogN) • N^2のアルゴリズムの分割統治 – 分割統治というのは、サイズNのデータをいくつかに 分割して、それぞれについて同様の問題として計算し た後に、分割された結果を統合するもの • バブルソートの交換回数 •
マージソートの実装 • 最近点対探索 – 等につかわれます
O(NlogN) • ダブリングの初期化 – ランダムアクセスできない順序付きのものにたいして log(N)でアクセスするためのデータ構造 – 各ノードにたいして2^x個次を持つ • エンベロープによる走査
– 複数の一次式に対して、最小値や最大値をなぞる方法 – グラフの下端や上端をなぞる感じ
O(Nα(N)) • UnionFind – ばらばらの集合を統合する処理を高速にするアルゴリ ズム • ※αはアッカーマン関数の逆関数 – 詳しくは知る必要は全くない
– とりあえずすごく小さい値とだけ覚えておいて