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AI駆動開発時代のメンタルモデル

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October 16, 2025
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 AI駆動開発時代のメンタルモデル

AI駆動開発時代に必要なメンタルモデルを再整理し、AIを単発利用する「道具」視点から、目的・制約・評価軸を設計し協働サイクルを回す「プロセス設計」視点への転換を提案。
人間はゴール・制約・フィードバック・暗黙知の形式知化を担い、AIは生成・具体化・改善・発散を担う分業で、生産性を最大化する3原則(十分な最小情報 / 高速試行ループ / 知識の資産化)とコンテキストエンジニアリングを紹介。
AI可読性を前提にドキュメントを構造化資産へ変換し、属人知を解体して再利用可能な学習ループ(設計→生成→評価→資産化)を高速反復することでチームの持続的な生産性向上を目指す実例と具体的ステップを示す発表です。

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October 16, 2025
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Transcript

  1. 自己紹介 三浦 大輝 Daiki Miura 🏢 現在の職務 株式会社Sun Asterisk /

    Backend Engineer - Creative&Engineering, Engineering Pros - Strategic Planning and Development, Strategic Technology 💻 略歴 文系大学卒業後、新卒で商社営業部に就職。独学でITエンジニアに転身し、 フリーランスにてフロントエンド開発を経験。 その後、受託ベンチャー企業でフロントエンド・バックエンドに加えPMOを 兼務しつつプロジェクトを推進。 Sun*へ参画後はバックエンドエンジニアとして開発実務を担当しつつ、組織 全体でのAI活用促進のための戦略策定と実行を推進する。 @backenddevcat @miup 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  2. 今日お話しすること 1. なぜ今メンタルモデルのアップデートが必要か 2. AI駆動開発の3原則 3. コンテキストエンジニアリング 4. ドキュメント資産化 &

    事例 個人最適の限界 / “使う”思考の頭打ち 最小限で十分な情報 / 高速試行ループ / 知識の資産化 何を|いつ|どう渡す ドキュメント = AI駆動開発における価値の源泉 / 属人知→AI可読 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  3. 人とAIの役割再定義 👤 人間の役割 目的を定義 制約/評価軸を設計 フィードバックを仕組み化 暗黙知→形式知 🤖 AIの役割 生成・変換

    仮説の具体化 改稿・改善の実施 アイデアの発散 - 達成目標の明確化 - ルール/品質基準の設定 - 試行と評価を次に繋げる - 経験の資産化 - 高速な生成 - アイデアを形に - フィードバックからの改善を実施 - 複数案を高速提供 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  4. AI駆動開発の基本原則 1️⃣ 最小限で十分な情報 質の高いインプット = 質の高いアウトプット ↔️ Garbage In, Garbage

    Out 必須要素: 目的・制約・参照・評価基準(どれか1つでも欠けると品質に影響) 2️⃣ 高速試行ループ 試行回数 × フィードバック速度 = 質 プロトタイプ→レビュー→改善を高速で回す(一発で当てに行かず細かく刻む) 3️⃣ 知識の資産化 得た知識を構造化知識に変換する 時には「捨てる勇気」も必要 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  5. コンテキストエンジニアリング 📥 何を渡す? 仕様・制約 既存コード 用語集・ドメイン知識 ⏰ いつ渡す? 初期指示時 レビュー時

    Just-in-time 🚀 どう渡す? Web検索 RAG MCP 🎯 コンテキストは有限のリソース トークン数が増えるほどAIの注意力は分散し精度が低下(=Context Rot ※コンテキストの腐敗) → 有益でありながら引き締められた状態を保つことが重要 (=informative, yet tight) → 情報(特にドキュメント)の価値転換 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  6. ドキュメントの価値転換 🎯 コアメッセージ 「書く」を「資産」に変える AIが読む前提でドキュメントを作成することで、書く行為がそのまま将来の生産性向上への投資になる 🕰️ これまで(人間が読む前提) 📖 物語的・散文的 👥

    会議で共有・消費 📝 一度書いたら終わり 🚀 これから(AIも読む前提) 🏗️ 構造化(Markdown / XML) 👥 暗黙知 → 形式知 ♻️ 継続的なメンテナンス・再価値化 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  7. ドキュメント資産化の実例: Before 😰 当時の課題 🔍 属人化したナレッジ 📚 分散した情報 ⏰ 厳しいリソース制約

    📝 実施したこと 📥 ナレッジの収集・追加 • プロジェクト概要 / システム構成 • ビジネスロジック • 不具合調査レポート • 追加開発時の依頼背景・対応手順 → 人力で追加・整理 + Claude Codeでリバースエンジニアリング 🗂️ 集約・構造化 • Google Documentsで一元管理 • リポジトリのdocsフォルダに集約 開発メンバーの頭の中にしかない情報 / 情報格差 Googleスプレッドシートやドキュメント、過去チャット (ほぼ)ワンマン・月数時間という運用体制 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  8. ドキュメント資産化の実例: After ✅ 活用シーン 👨‍💻 オンボーディング 🔍 調査・開発 🗺️ システム理解

    🎯 得られた価値 🗂️ 属人知の解体 ⏱️ 運用負荷削減 🚀 将来への投資 💡 単なる運用改善ではなく、暗黙知をAI可読な資産に変えることで、チーム全体の生産性基盤を構築 新規メンバーの即戦力化 不具合調査や追加開発時の参照 データフロー・遷移図で全体俯瞰 暗黙知 → AI可読な構造化資産 対応力の強化 新メンバー参加時も即戦力化可能 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura
  9. コンテキスト・試行・資産化の反復ループ 最小限で十分な情報 アウトプット 改善指示 価値ある知見 次のコンテキストへ再利用 1. コンテキスト設計 目的・制約・評価軸を定義 2.

    AI による生成 コード、ドキュメント、テスト等 3. 評価・フィードバック セルフレビューと人間による判断 4. 知識の資産化 成功/ 失敗パターンを構造化し蓄積 1️⃣ コンテキスト設計 目的・制約・参照・評価基準を明確に定義 し、AIへ最小限で十分なインプットを準備 2️⃣ AIによる生成 設計されたコンテキストをもとに、コード やドキュメント、テスト等を高速生成 3️⃣ 評価・フィードバック 人間が価値判断を下し、改善指示でループ を回すか、知見を次のステップへ 4️⃣ 知識の資産化 成功/失敗パターンを構造化し、次のコンテ キスト設計で再利用可能な資産に 1 / ©2025 Sun* Inc. | Daiki Miura