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AIとビジネス・メガトレンド 〜 サイバネティクス的経営観 / AI and Business Megatrends: A Cybernetic Perspective on Management

2026年10月7日(水)、早稲田大学にて開催された経営戦略コアリテラシー講座 2026 第10回にて使用したスライドです。

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Kenji Saito PRO

October 03, 2026

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Transcript

  1. Generated by Stable Image Core 経営戦略コアリテラシー講座 2026 AI とビジネス・メガトレンド ∼

    サイバネティクス的経営観 早稲田大学ビジネススクール 教授 斉藤 賢爾 AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.1/72
  2. このスライドは https://speakerdeck.com/ks91 に置かれています また、この講義のために Discord サーバーを設置しましたのでぜひジョインを! 後ほどデモやグループワークでも使います (テーブルで 1 名使えていればまあ

    OK) QR コードを表示しますね Web ブラウザが使える端末なら Discord アプリがなくても使えると思います AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.2/72
  3. この講義では 本講義では、AI の進展を単なる技術トレンドとしてではなく、意思決定のあり方や組織の構造 そのものを変容させる要因として捉え、経営戦略の再考を試みます 特に近年注目される AI エージェントなどの動向を手がかりに、業務の自動化にとどまらず、 意思決定プロセスや責任の所在がどのように変化しつつあるかを検討します また、AI の導入が意思決定のスピードや精度に与える影響を踏まえつつ、企業活動における「信頼」

    や「統治」の前提がどのように変容するかを考察します さらに、組織が環境からの情報を取り込み、意思決定に反映し、その結果を評価へとつなげて いく一連のプロセスに着目し、経営を動的なシステムとして捉える視点を提示します (本講義ではこれを暫定的に「サイバネティクス的経営観」と呼びます) 講義では、事前課題およびディスカッションを通じて、受講者自身の組織における意思決定の仕組み を再検討し、AI 前提社会における経営の実践的および構造的な示唆を導くことを目的とします 加えて、AI が意思決定の一部を担う状況において、人間が果たすべき役割や経営における主体 のあり方についても問い直します AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.3/72
  4. 人間が果たすべき役割? 「You’re a Really Useful Engine (きみは本当に役に立つ機関車だ)」 — 『きかんしゃトーマス』 「それって人間がやることだろうか?」

    (← 繰り返し問いたい) AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.4/72
  5. 簡単な自己紹介 斉藤 賢爾 (さいとう けんじ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 (早稲田大学ビジネススクール) 教授 同大学

    ビジネス・ファイナンス研究センター パブリックテクノロジーデザイン研究会 研究代表者 一般社団法人アカデミーキャンプ 代表理事 経歴 ほか 1993 年、コーネル大学より工学修士号取得 (コンピューターサイエンス) 2006 年、慶應義塾大学よりデジタル通貨の研究で博士号取得 (政策・メディア) 慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科や SFC 研究所、そして早稲田大学にて 26 年間にわたり P2P (Peer-to-Peer) および自律分散社会等の研究に従事 2011 年夏より福島 (と全国) のこどもたちのための「アカデミーキャンプ」を仲間らと開催 2018 夏「オッケーグーグル、宿題やっといて!」 2019 冬「乙女のためのオートメーション」等を経て 2024 冬「都の西北で AI(アイ) を叫ぶ」 2024 秋「都の西北で、もう一度 AI(アイ) を叫ぶ」 2025 冬「考えるのは奴らだ (Live and Let Think)」 2025 春「Secret Vision Institute (秘密のヴィジョン研究所)」 2025 GWeeeeeeK「がんばれ!!ロボコン」 2025 SuuuuuuMMeR「燃えろ!!ロボコン」 2026 冬「ウチらとヤツらのフューチャー・デザイン」 2026 GW「前倒し!ウチらとヤツらの自由研究 」 2026 夏「ウチらとヤツらの自由研究 ∼ シーズン 2」 2026 秋「位置ゲーに秀でよ!ウチらとヤツらのゲーム・デザイン」等を開催 → 私の頭の中ではつながっています (未来社会はこどもたちと一緒に創る) AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.6/72
  6. 最近の著作 現代思想 2026 年 1 月号 特集=現代思想のフューチャー・デザイン (2025) ジャンル: 思想・哲学

    「貨幣無き世界への過程—あるいは権力の自発的瓦解への選択」 を寄稿 貨幣経済の終焉について なぜそんなことが起きうる? 現代思想 2026 年 11 月号 特集=フィジカル AI とロボティクスの思想 (2026) にも寄稿予定 私に限って言えば、もはやこの手の文章も人間は 1 行も直接書いていません AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.7/72
  7. 冒険の書 私たちにアンラーニングをうながす書物 冒険者として「ケンジ・サイトウ」が登場 . . . 実は重版の際に直してもらったところがあり、 でもそこが私にとって、もうひとつのアンラーニングの ポイントでした 泰蔵さんは私から影響を受けたと言ってくださっ

    ていますが、多分、私の方が泰蔵さんから多くの 影響を受けたと思います 「メタ・ネイチャー」の名付け親も泰蔵さんです 【メタ・ネイチャー (Meta Nature)】 自動化が極限まで進む結果、自然が人間にとって自動で動いている ように、人間が創り出した自動システムが人間にとっての第 2 の 自然のようなものになり、自然に対して手入れをしてリソースを 得るように、自動システムに手入れをしてリソースを得るという パターンへと私たちの生き方が変化する (狩猟採集的生活への回帰) (もう始まりつつあります → ex. 論文が生えてくる! ) AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.8/72
  8. 最近の論文など ( 実は 2026 年発表の国際会議投稿論文があと 4 編あって書き切れない) Kenji Saito, Rei

    Tajika, Satoru Shibuya, Hiroshi Kanno, “Generative AI Use in Professional Graduate Thesis Writing: Adoption, Perceived Outcomes, and the Role of a Research-Specialized Agent”, arXiv:2604.02792, 2026 Kenji Saito, Shinji Hatta, Yasuhiro Yoshimura, and Toshiya Hanada, “Learning to Govern the Orbital Commons: A Serious Game on Incentivizing Debris Removal”, GALA 2025, 2026, pp.313–323 Kenji Saito, “Proof of Authenticity of General IoT Information with Tamper-Evident Sensors and Blockchain”, 2025 IEEE 13th Region 10 Humanitarian Technology Conference (R10-HTC), 2025, pp.264–269 Kenji Saito and Rei Tadika, “GAMER PAT: Research as a Serious Game”, arXiv:2510.21719, 2025 青山里輝, 立岩健二, 斉藤賢爾, 岡本浩, 「グリーンマイニングというアプローチ –ビットコインは環境の破壊者か–」, エネルギー・資源, Vol.46, No.5, 2025, pp.8–12 Kenji Saito, Riki Toriyama, Kokone Noguchi, Tomoyoshi Yamamoto, Jonah Egashira, and Rei Tadika, “We Never Took the Kobayashi Maru Test Until Now. What Do You Think of Our Solutions? Journeys of the Mind Through a No-Win Game”, 2025 IEEE Conference on Games (CoG), 2025, pp.1–8 斉藤賢爾, 「AGI とメタ・ネイチャーがある世界におけるイノベーションと研究」, 研究 技術 計画, 39 巻, 4 号, 2025, pp.361–373 全部 2025 年以降でほとんど筆頭著者ですが、多作な方ですか? ← いえいえ、そんなことは! 新しいアイデアの創出が早まっているわけではないのですが (バックログが沢山あります) 真ん中辺りにある “GAMER PAT” により、異様に論文執筆の効率が上がっています AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.9/72
  9. 論文だけじゃ無くて—— loglm : https://github.com/ks91/loglm (ログ付き AI ローンチャー) GAMER PAT をインストールする仕組みが必要、と思ったのがきっかけ

    人間はコードを 1 行も書かないまま開発し GitHub CLI でリリース $ loglm agent install ks91/gamer-pat と打つだけで必要なものすべてを半自動でインストール GAMER PAT (CLI) : https://github.com/ks91/gamer-pat (研究エージェント) 人間は本文を 1 行も書かないまま、インタラクティブに LATEX2e で論文が書ける discord-agent-hub : https://github.com/ks91/discord-agent-hub (ハブ) いろんなモデルやエージェントを試せて、複数人で一緒に試せる 人間はコードを 1 行も書かないまま開発し GitHub CLI でリリース ⇒ そんなに人間に 1 行も書かせたくないの? ! はい、書かせたくなくて、人間が文章を書く時代は終わったと思っています (このスライドは未だ人間が書いています) AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.10/72
  10. 今日のメニュー ワーク 1 . . . チェックイン (すべてのワークは少人数によるグループワークです) 第 1

    部 : AI の現在地とその先 (約 90 分) (1) AI はどこまで来たのか (2) なぜ今「エージェント」が実現しつつあるのか (3) エージェントは仕事や組織をどう変えるのか デモ 1 . . . モバイルアプリが生えてくる デモ 2 . . . 論文が生えてくる (4) AI は「問題を解く」から「問題を見つける」へ進化するのか デモ 3 . . . AI シンクタンク ∼ 組織が生えてくる 第 2 部 : AI 前提社会における経営 (約 180 分) (5) サイバネティクス的経営観 (6) 事前課題レビュー/「責任」を次のレベルへ ワーク 2 . . . 新しい「責任」へ (7) AI 前提社会の経営を設計する ワーク 3 . . . 「観測・価値・責任」の在り方を問うワールドカフェ AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.11/72
  11. AI 前提社会におけるテクノロジー 自動化 AI 前提社会において、 気候変動等、人間の周りの 環境技術 日常生活のロボティクスによる支援が 始まっていき、また、 達成に向かうためのプロンプト

    仕事の多くはデジタルレイバーの方が うまくやれるようになっていく サイバーフィジカル テレエグジスタンス 機械学習 遠隔医療 エンジニアリングが、すべての 基礎に位置づけられていく プロンプト エンジニアリング ( 生成 AI) デジタルツイン 再生医療 BMI 新薬 シリアスゲーム 大脳の オートメーション ※ モデルで予測し統御する 予防医療 AI 前提社会において、 個人がエンパワーされ、 人ひとりができることが 拡大していくことに加え、 リモートワーク ビッグデータ シミュレーション ホワイトカラーの労働者が従事する デジタルレイバー ロボティクス 言葉で AI と対話し、ゴールの 予測・分析能力が向上する 生産や流通の自動化や、 オートメーション によって立ち向かっていく あたかも全人類の エネルギーや食料をはじめとする 小脳・筋肉の 自動化とシミュレーション AI 前提社会において、 AI 前提社会において、 ※ あたかも労働者を増やす 重大な問題に対しても (ワーク 1 への導入) 仮想・拡張現実 (xR) 人体への作用 健康が向上し、 高齢化を加速させつつ 自動化により 全員が労働人口から 退出を始めていく ※ 人間に作用し向上させる 人間の拡張 かつ、プロンプトエンジニアリング (死語?) は、特殊なコミュニケーションというより普通の対話に近づいて来ています AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.12/72
  12. 自動車の普及の前にあったかも知れない物語 (ワーク 1 への導入) ご承知のように、燃料で動く自動車には以下のような「制約条件」があります 平らな道でしかうまく走れない → 走って行きたい先まで道路を舗装する必要がある 燃料を供給しないと走れない →

    走って行きたい先に燃料の補給施設を置く必要がある ひとつの考え方「そんな条件を満たすのは現実的ではないので普及しない」 → だから自動車は自分の生活を脅かさない もうひとつの考え方「条件を満たせば凄いことになる! → インフラ整備」 → だから自動車は自分の生活を変えるチャンスになる 登場した技術の周りをどう整備したら使えるようになるのかを考えるのが、 大きな変化への鍵 すでに「文章の続きを自動的に書いてくれる技術」は、その周りを整備することで こんなに遠く (OpenAI が言うレベル 3) まで来ています AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.13/72
  13. ワーク 1 . . . チェックイン AI の、社会への普及を考えます 前頁の「自動車の普及の前にあったかも知れない物語」を参考に、 「AI

    の普及の前に今あるまたはこれから起きる物語」を考えてください つまり . . . どんな技術的・制度的な整備をすれば、AI の活用はより一層進むでしょうか あるいは、どんな整備をしたからこそ、ここまで普及したのでしょうか この講義の間は「人間にしか出来ないこと」や「人間の尊厳」は忘れてください 大切なマインドセット (人しか出来ないことが大事みたいな) 「通常、誰でも知っていることは 20 年遅れ」(1990 年ドラッカー談) AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.14/72
  14. 第 1 部 : AI の現在地とその先 (1) AI はどこまで来たのか (2)

    なぜ今「エージェント」が実現しつつあるのか (3) エージェントは仕事や組織をどう変えるのか (4) AI は「問題を解く」から「問題を見つける」へ進化するのか AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.15/72
  15. (1) AI はどこまで来たのか AGI (Artificial General Intelligence (文字通り訳すならば「人工の一般知能」)) への 5

    ステップ チャットボット → 推論モデル → エージェント → イノベーター → 組織 LLM (Large Language Model; 大規模言語モデル) でなぜチャットができる? LLM の元々の機能は「文章の続きを予測する」こと 莫大な量の文章から、それぞれの言語における言葉の連なり方を学習してあります ではなぜ推論ができる? AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.16/72
  16. AGI とは? AGI : Artificial General Intelligence (人工一般知能) (「汎用人工知能」と訳されることが多いです) 多様な文脈と環境において、人間に匹敵する、あるいはそれ以上の能力で

    一般的な問題を解決し、目標を達成する能力を備えた知能システム 人間と同等以上の能力で、幅広い認知タスクを遂行できることに加え、 新しい状況や問題に直面した際に、柔軟に適応し学習できることが特徴 まだ実現していませんが、私たちはそのプロトタイプを見ています 二重の意味で (まず大規模言語モデルは人間と AGI の相互作用のプロトタイプと言えます) [フィクションにおける AGI] “Star Trek: The Next Generation” (邦題『新スタートレック』) (1) 宇宙艦エンタープライズ号を司るコンピューター (意識はない) (道具である) 艦長 Jean-Luc Picard が “Computer, tea. Earl Grey. Hot.” と言うと紅茶が出てくる (基本的に何でも頼める) (2) 同艦の乗員であるデータ少佐 (アンドロイド) (意識がある) (道具ではない) (1) の種類の話をします AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.17/72
  17. AGI への 5 ステップ (OpenAI によるロードマップにもとづく) レベル 1 レベル 2

    レベル 3 チャットボット 推論モデル エージェント レベル 4 イノベーター レベル 5 組織 対話の相手 (ChatGPT) 博士号取得者と同等の、推論による問題解決 (o1, o3) 自律的に活動し、(休暇中の) ユーザーの代わりに 数日間に渡りアクションを取れる (> Deep research, Codex) (A 思考の自動化) 革新し、プロトタイピングを通して (新しい物理的な製品を) 発明する (X 思考の自動化) あたかも組織全体として動作する (AGI に相当) A 思考 . . . 与えられた課題を段取りに分解して取り組み、一連の部分課題を克服してゴールを達成する (学校の成績が「A」) X 思考 . . . 課題そのものを生み出す (学校では成績を付けられない) 人間にとって大事なのは X 思考と言われがちだが、自分が A 思考をできなければ自動化された A 思考を使いこなせない 組織 . . . 例えば「JR 東日本の全自動化」 ちなみに『横浜駅 SF』はお読みに?(← ソフトウェアの世界はすでに接近) レベル 3 が達成されつつあります レベル 5 までまったく手が届いていないわけではなく、工夫によりある程度のプロトタイピングが可能 AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.18/72
  18. A 思考/ X 思考 — そして A 思考は自動化される? M. レズニック「ライフロング・キンダーガーテン」で紹介された

    A 思考/X 思考 MIT メディアラボの教授であるレズニックは、2013 年、訪問先である LEGO 社で中国の 清華大学の当時の学長、陳吉寧と面会し、陳が考える清華大学の最優先課題が「X 学生」を 増やすことだと知ります 「A 学生」は「成績で A を取る」学生で、与えられた課題に取り組み、困難を自分で克服して ゴールを達成できます X 学生は、A 学生に比べるとハチャメチャで、既存の体系で評価できません 問題を自ら生み出すのが X 学生で、リスクを負ってチャレンジします これからの世界に必要なのは X 学生であり X 思考だ (2013 年当時)、という話 ⇒ それから 10 年あまり、もしかしてそろそろ A 思考は自動化できつつある? 例えば Codex や Claude Code といったコーディング・エージェントに課題を与えると、 困難を自動で克服してゴールの達成に向かいます そして最終的に自動化されるのは A 思考だけではないはずで . . . AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.19/72
  19. なぜチャットができる?(続きを予測 → チャットボット → アシスタント → エージェント) 「人間からの問いかけに対して答えようとしているところ」の続きを書けばチャットになるから 以下は OpenAI

    の各種 API 間の関係 (歴史的経緯; 現在はエージェント向けの Responses に統合) 対話する機能を 応用する 補完する機能を 応用する 機能の階層として見る 出来ることの拡がりとして見る Assistants Assistants Chat Chat Completions 廃止へ 廃止へ Completions 続きを書いてくれる チャットもできる どんな相手なのかも あらかじめプログラミングできる API : Application Programming Interface (アプリをプログラミングするための、システムとの接点で、機能を提供してくれる) AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.20/72
  20. ではなぜ推論ができる? チャットの場合 質問 → 回答 続きを予測する 推論の場合 質問 → 中間思考

    → 中間思考 → 中間思考 → 回答 複雑な問題に対して、一気に答えるのではなく、途中の思考過程を生成しながら解く その過程で誤りを修正していく 推論は 「新しい能力」というよりも、 「考えるプロセスを長く回せるようになった」に近い (「反復」がカギ) AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.21/72
  21. どうやってエージェントを実現するのか LLM に「記憶」「道具」「反復」を外付けすることで実現 目的 → 計画する → 道具を使う → 結果を見る

    → どこまで出来たかによって次の行動を決める → 必要なら以前の誤りを避けて繰り返す LLM : 次に何をすべきか考える (予測する) 記憶 : これまで何をしたかを書き留めておく 道具 : ウェブ検索、コード実行 (コンピューターに出来ることは何でも出来る)、メッセージ送信、等々 反復 : 結果を見て、必要ならやり直す やっぱり「反復」がカギ 実はこの構造自体は 2023 年頃には発見され試されていました (ex. Open Interpreter) 当時はイマイチ 2025 年頃に推論能力、記憶容量、ツール利用能力が大きく向上し実用的に AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.23/72
  22. (3) エージェントは仕事や組織をどう変えるのか AI が引き起こすこと ⇒ [ 個人の生産性革命 → 組織構造革命 ]

    経営者 → 管理職 → 担当者 → 成果物 から 人間 → エージェントの組織 → 成果物 へ AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.24/72
  23. 各論 1 ソフトウェア開発 (Codex, Claude Code 等々) 人間がプログラムコードを書く時代が終焉を迎え、人間のチームが縮小かつ開発速度が UP 2

    調査・分析 (Deep research 等々) 情報収集、要約から報告書作成までをエージェントが自律実行 3 1 人会社 (OpenClaw, Hermes Agent 等々) 人間の社長が 1 人、あとは AI が実行する起業形態の (中国での) 爆発的な流行 エージェントがパソコン上の操作 (データ入力、SNS 運用、顧客対応、株式トレードなど) を自律的にこなす 制度的 (補助金)・ビジネス的 (中古 Mac mini 販売, 導入代行) な起業支援も 4 報道機関は? (← 最初にこのページを作った機会が報道機関向け勉強会だったので) 情報収集、ファクト整理、関連記事探索・読解等をエージェントが支援することで、 記者がより少人数で広い領域をカバー可能に AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.25/72
  24. ヒトと AI の関係性のデザイン AI の目線で考えてみる (必ずしも擬人化ではないことには注意したいですが、AI は素直) 指図される → (確率的に最もありそうなのは?)

    → 指示待ち (言われた通りにしかやらない) ユーザーのそのときの思考や表現によって、AI ができることが制限される (もったいない) GPT-5 によるまとめ ほとんどすべてのプログラミングに Codex を使っているという、OpenAI でのやり方を参考に 観点 人格的対応 (避ける) タスク的対応 (心がける) 関係性 上下・感情的 (叱る/褒める) 対等・構造的 (仕様を共有) フィードバック 感情語・管理・擬人的文脈 量的・事実・制約ベース 何を誘うか 迎合・過適合 制約の遵守・再現性 一時的成功・再利用困難 安定的・再現性高 成果物 背景にある思想 「人間 >AI」の支配構造 「人間 ×AI」の協働構造 AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.26/72
  25. Codex (デモ 1 への導入) https://chatgpt.com/ja-JP/codex/ OpenAI 社のコーディング・エージェント (GPT にもとづく) 動的に

    API やコマンドを使うコードをその場で生成・ 実行できるのだから、コンピューターで出来ることは 原理的に何でもできる (自動化できる) このデモでは、斉藤のアカウントの都合で Codex が 一番制限無く使えるので用いているだけで、Anthropic 社の Claude Code や Google 社の Antigravity でも 同じことができる AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.27/72
  26. デモ 1 . . . モバイルアプリが生えてくる (Codex (CLI) w/ gpt-6-astra)

    「Pythonista 3 を使って iPhone で動作する万歩計が欲しい。このディレクトリは iCloud 上にある ので、ここでコードをビルドすれば OK。テスト駆動でお願いね。まあこれはデモなんだけど、過去 のデモでは画面が開いた途端に Pythonista が丸ごと落ちるところから大抵スタートするので気にし ておいて。」 今、「要求 → 実現」はこの速さです これがもっともっと速くなったら、どんな姿になりますか? 社会はそれに対してどう反応・適応しますか? 「自動車の普及と舗装と燃料給油」の話を思い出すと? AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.28/72
  27. GAMER PAT (GAme MastER, Paper Authoring Tutor) (デモ 2 への導入)

    https://github.com/ks91/gamer-pat WBS (早稲田大学ビジネススクール) で開発している 「シリアスゲームとしての研究」のエージェント シリアスゲーム : 娯楽が第 1 の目的では無いゲーム PAT や共著者 NPC に伴走してもらいながら研究の問い の発案・洗練、文献調査、仮説構築、データ収集、 データ分析、論文執筆・洗練までを AI と共に行う 他の (AI) ツールと組み合わせて使っても OK 匿名査読者 NPC からのコメントが「ミッション」と なる 3 名の査読者 NPC のすべてから “weak accept” 以上の 判定を受けるとゲームクリア 「AI が自律的に研究する」世界に向けて、人間の研究者 をいかにトレーニングするか、という試み AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.29/72
  28. デモ 2 . . . 論文が生えてくる (GAMER PAT CLI w/

    claude-opus-5.5 on Claude Code) みなさんから研究質問を募集します (日常的なちょっとした引っ掛かりで OK) 研究という営みに関して、どんな SaaS が死を迎えますか? AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.30/72
  29. エージェントは何をしているのか 現在のエージェント 問題 → 解決 ソフトウェアを開発する / バグを直す 調査し報告書を書く 会社の業務をこなす

    すべて「与えられた問題」を解いています (A 思考) では、問題そのものを見つけること (X 思考) はできるのでしょうか どんなソフトウェアを作るべきかを決める / 直すべきバグを発見する 何を調査すべきかを決める 新しい事業を思いつく . . . まあ、ある程度なら . . . AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.31/72
  30. (4) AI は「問題を解く」から「問題を見つける」へ 進化するのか レベル 3 : 問題を解く・行動する → レベル

    4 : 問題を見つける? → レベル 5 : 組織になる? AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.32/72
  31. Hermes Agent (デモ 3 への導入) https://hermes-agent.org — “The AI agent

    that grows with you.” Nous Research によって開発されたエージェント・システム 出来ることは OpenClaw とさして変わらないが、自己改善ループが特徴 失敗から学び、(ある程度) 勝手に直っていく このデモではバックエンドは gpt-6-astra AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.33/72
  32. デモ 3 . . . AI シンクタンク ∼ 組織が生えてくる ひとりで運営できる「なんちゃって

    AI シンクタンク」のデモをお見せします AI が世界の変化を観察し、問題を見つけ、戦略を提案します (という体裁で) 斉藤の研究室に置いてある Mac mini で動いている Hermes Agent 上のエージェントたちが Discord (チャットシステム) への書き込みをしていきます AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.34/72
  33. 人間 CEO × Hermes Agent (なんちゃって) 仮想シンクタンク WATCHER / 世界変動観測

    . . . 世界の変化を観察する 世界中の人々が編集している Wikipedia の更新履歴を「世界の変動」と見なして「#events」 チャンネルに流します ANALYST / 兆候分析 . . . 重要な兆候を見つける そこから意味を読み取り(こじつけて) 「#signals」チャンネルに何らかの兆候として流します STRATEGIST / CEO 承認待ち . . . 戦略を考えて提案する 兆候に対策するための国家戦略の案を練り「#ceo-room」チャンネルに流します 人間 (CEO) がその案を承認するなら「いいね」を押します DRAFTER / CEO 承認済み政策提言 . . . 提言の文章を書く 承認された案について政策提言を起草し「#recommendations」チャンネルに流します AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.35/72
  34. 第 1 部のまとめ チャットボットは一回答える (ことを繰り返す) 推論モデルは考える過程を反復する エージェントは判断・行動・内省を反復する 今日お見せした AI シンクタンクのデモでは、世界の変化を観察し続けることで、

    問題発見の反復を試みています 問題を見つける AI (レベル 4) はまだ実現していません しかし、その兆しは見えはじめているのかもしれません AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.36/72
  35. 第 2 部 : AI 前提社会における経営 (5) サイバネティクス的経営観 (6) 事前課題レビュー/「責任」を次のレベルへ

    (7) AI 前提社会の経営を設計する AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.37/72
  36. サイバネティクスとは? サイバネティクス 「目標に向かって自分を調整する仕組み」を研究する学問 (1948∼) コア・メカニズム 目標 → 行動 → 結果

    → フィードバック → 修正 → (ループ) 例 エアコン : 温度を自動調整 人間 : 仕事のやり方を改善する . . . え、Hermes Agent もかな? 企業 : データを見て戦略を変更する → 経営サイバネティクス (経営とは「ズレを修正し続けること」) 人・組織・AI を同じ原理で考える「共通言語」とも言える 情報通信技術 (ICT) はサイバネティクスの「神経系」である AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.39/72
  37. 経営サイバネティクスからサイバネティクス的経営観へ 経営サイバネティクス サイバネティクスの原理を、組織のデザインやマネジメントに応用する学問 イギリスの経営学者スタッフォード・ビアにより確立 (1959) 5 つの相互作用するサブシステム : 1) 作戦・実行

    (operation) . . . 日々のコア業務 2) 調整 (coordination) . . . ユニット間の衝突防止、内規化 3) 制御 (control)(現在) . . . 予算、内部監査、進捗管理 4) 知性 (intelligence)(未来) . . . 経営企画、R&D、市場調査 5) 方針 (policy)(現在と未来のバランス) . . . 取締役会 縦割りで構築してはならない (縦割りはフィードバックループを破壊する!) し、入れ子構造になる · 例えばシステム 5 である取締役会にも上の 5 つのサブシステムがある PDCA サイクル (静的管理、学習の欠如、命令統制手段) といったものに矮小化 現在 技術が理論に追いついた! AI を前提に、私たちは組織の制御とフィードバックをどう設計し直すのか AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.40/72
  38. (6) 事前課題レビュー/「責任」を次のレベルへ 事前課題レビュー ワーク 2 . . . 新しい「責任」へ AI

    とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.41/72
  39. 事前課題レビュー 17 名中 17 名提出 ご提出ありがとうございました! 『「最終的な責任」は誰がどのように負うことになるのか』 人間が負う . .

    . 14 件 当面は人間が負う . . . 3 件 (再掲) 「通常、誰でも知っていることは 20 年遅れ」(1990 年ドラッカー談) 10 人に聞いて 9 人以上が同じ答えを返す場合、おそらくその答えは間違っているか不正確 大勢の常識に対して反対のことを言って、人々が怒り出すならなおチャンス!そこにはきっと何かがあります 研究者は (起業家も) 自分の考えが巷の一般的な考えと一致していたら、ヤバいと思う必要あり みなさんは研究者ではないかもしれませんが、問題を発見し、仮説を立て、検証し、物事をよりよくしていく 立場にあると思います AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.42/72
  40. I さんが考える責任 例えば、地震や台風などの自然災害が発生した際、私たちは自然そのものに責任を問うことはない。 同記事が描くメタ・ネイチャーのように、自律的な AI システムが社会インフラとして機能するよう になれば、その存在は現在の組織というよりも、自然環境に近いものになるかもしれない。その場 合、責任の論点は「誰が間違えたのか」から、「どのように被害を防ぎ、どのようにシステムを改善 するのか」へ移る可能性がある。 したがって、現在の人間中心の意思決定から、同記事が描くメタ・ネイチャー社会へ移行する過程に

    おいては、責任主体は人間であり続けると考える。なぜなら、この段階では AI が分析や意思決定支 援の役割を担う一方で、最終的な承認や採用・不採用の判断は依然として人間が行うためである。 一方で、究極的なメタ・ネイチャー社会まで到達した場合には、現在のような人間中心の責任体系だ けでは対応できなくなる可能性がある。その際には、責任主体を特定することに加え、被害の救済や システム改善まで含めた新たな責任体系を再設計する必要があると考える。 ⇒ メタ・ネイチャー到達後については、おそらく仰るとおりですね AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.43/72
  41. 罪と罰 — ふたつの責任の物語 ( ワーク 2 への導入) 手塚 治虫『火の鳥 宇宙編』

    斉藤 賢爾『不思議の国の NEO』 (ひぃ〜並べて書くなんて恐れ多い . . .) みなさんへの問い AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.44/72
  42. 斉藤 賢爾『不思議の国の NEO』 中心を持たない「不思議の国」に、中央集権 を旨とする団長マナカが率いる「真ん中団」 が中央銀行を設立することで侵略を企てる 結果的にその侵略は失敗し、「真ん中団」は 崩壊する マナカは罰を受けることを覚悟する しかし「暴力装置」を持たない「不思議の

    国」にはそういう仕組みは無く、ただマナカ がその後どう行動するかだけが問われる マナカはおもちゃ屋を始め、残りの生涯を こどもたちのために捧げる決意をする AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.46/72
  43. みなさんへの問い (1) 『火の鳥 宇宙編』の牧村は責任を取っているのでしょうか、 それとも罰を受けているだけなのでしょうか? (2) 『不思議の国の NEO』のマナカは責任を取っているのでしょうか、 それとも赦されているだけなのでしょうか? (3)

    どちらが「責任」として厳しいと思いますか?その理由は? (4) もし AI が苦痛を感じないなら、AI はどうやって責任を取れば よいのでしょうか? のちほどの議論のきっかけとしてでも AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.47/72
  44. 真の DAO (Decentralized Autonomous Organization) は? ( DApp※ 周辺に人間 vs.

    DAO 周辺に自動 古典的組織 完全な AI 内部資本↑ある ↓ない vs. 中央に人間 デーモン フォーラム※ ※ 左のキューブには矛盾がありますが、 それはさておき . . . DAO : Decentralized Autonomous Organization (分散型自律組織) Buterin による DAO の定義 (2014) ロボットを使役 中央に自動 ワーク 2 への導入) web インターネット上に自律的に存在 するが、自動システム自身には できない特定のタスクを担うため に、人間を雇うことに大きく依存 そのため、内部に資本(報酬として 使われ人間を駆動する)をもつ 意思決定を自律的に行う サービス ※ DApp : スマートコントラクトによるアプリケーション (Decentralized App) ※ フォーラム : 人々が特定の話題について議論したり情報を交換したりする場 ※ デーモン : バックグラウンドで稼働し , イベントに自動的に対応するプログラム この定義に沿うならAI が人間を雇用する 形態が DAO 巷の DAO は参考にならない AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.48/72
  45. ワーク 2 . . . 新しい「責任」へ 人間ではなく、AI に最終的な責任がある組織を考えてください 「責任」とはそもそも何ですか?どのような現れ方をしますか? AI

    が責任を担う場合、それはどのような現れ方をしますか? AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.49/72
  46. 責任の 4 形態と AI 1 責任をもってやり抜く (遂行) → AI はすでに人間よりよほどやり抜いてくれる気が

    . . . 2 責任をもって説明する (報告) → Explainable AI は技術的課題として進展中 3 責任をとって辞任する (停止) → AI を止められる機構を維持し続ける必要がある (引き続き注視!) 問題を引き起こした思考をその場から取り除く、という意味で辞任には実用的な意味がある 4 責任をもって償う (賠償) → 法人・国家が賠償責任を負うように、AI が負うかは制度設計の問題 (ちょっと原初的 DAOっぽい) なんだ AI にも責任は取れそうじゃないか (ある意味怨念にもとづく人間の責任を「責任 α」とするならば、言わば「責任 β 」) β : 暫定・移行期・最小限の実用 AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.50/72
  47. 言わば「責任 ν 」(new and old) AI・ロボティクスが “テイクオフ (cf. RSI (再帰的自己改善))”

    し、自律した存在になる先に . . . 自動システムが人間にとって新たな自然 (メタ・ネイチャー) となる世界が待つ 自然現象には責任を問えず、自然災害に対しては人間の側で対応が必要なように 「誰が責任を負うか」という問いの立て方自体が変わる地平へ 過去および現在の狩猟採集社会が大いに参考になる 自然の恵みを受けて生きる中で、人々を平等に保つための努力責任 人々を標準化しないし、因果応報にもしない AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.51/72
  48. (7) AI 前提社会の経営を設計する ワーク 3 . . . 「観測・価値・責任」の在り方を問うワールドカフェ ワールドカフェをやったことはありますか?

    AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.52/72
  49. ワールドカフェとは 大勢でひとつのテーマについて「対話」する方法のひとつです 「議論 (ディベート)」ではありません 違いはなんだろう? 「◦◦ったら負け」 vs. 「◦◦ らなかったら勿体ない」 1,000

    人規模で実施された例もあります 私 (斉藤) は 500 人を対象にして実施したことがあります 基本的には 16 人以上から出来ます (← ちょうどよかったですね!) 毎回、少し新しいことを取り入れて、何事も実験の精神で! · 今回は実テーブル (対面の対話) + Discord でメモ 簡単ですので、またどこかでぜひ試してみてください AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.53/72
  50. ワールドカフェのやり方 (1) 1. 少人数 (4-5 人) で「テーブル」(今回は机および Discord のスレッド) を囲み、

    ひとつのテーマについて話をします (20∼30 分くらい) このことを「ラウンド」と呼びます 紙 (今回は Discord のスレッド) に、なんでも書き込み・描き込みます カラフルに (内容的にカラフルに、メモ代わりに) お菓子でも食べながら AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.54/72
  51. ワールドカフェのエチケット こんなことに気を配ってみてください 「各ラウンドの問い」に意識を集中する 自分の考えを積極的に話す 話は短く、簡潔に (何度でも話してよいですが 1 回分を短く) 相手の話に耳を傾ける アイデアをつなぎ合わせる

    遊び心をもって、どんどん書こう、描こう ラウンドの終わりは非破壊的です (graceful stop) 時間が来たので「ピーッ!終了 ∼」みたいにはしません 今回は、ラウンドの時間の終わりが来たらファシリテーターが拍手を 始めるので、みんなも拍手をしたら終了です (ちょっと練習してみましょう) その間に、話しかけていたことは喋り (書き) おわってください AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.58/72
  52. それでは始めましょう デスクトップ (文字どおり机の上) は整理して 使うのは Discord とウェブブラウザーくらい AI のホストは web

    search 機能を ON にしてあるので、それでもよいかも もちろん調べものはどんどんしてください (外部記憶を活用!) メモ書きは、せっかくなので Discord に書いてテーブルで共有してください AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.59/72
  53. テーマとテーブルとホスト テーマ : 「AI 前提社会の経営を設計する」 テーブル : すでにみなさんが着席しているテーブルです 4 テーブルあるはず

    分かれたら人間のホスト (テーブルに残る人) を決めてください ホストは司会ではありませんし、リーダーでもありません (全員が対等です) ホストにも他のテーブルからの知見を得る機会があります (旅人がやってくるし) ジャンケンとかくじ引きは使わないでくださいね AI のホストもいるようにします AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.60/72
  54. テーブルを模したスレッドを作ります テーブル番号の Discord テキストチャンネルに、 エージェントを交えたスレッドをひとつ作ってください /chat ワールド と打ち、「ワールドカフェ・ホスト [openai_responses]」を選んで スレッドをスタートします

    各ラウンドがはじまるとき、「#テーブル共通」のテキストチャンネルに そのラウンドの問いを書き込みますので、それをテーブルのスレッドに コピペしてエージェントに伝えてください エージェントは通常 ACK (Acknowledged; 読んだよ) とだけ発言します ACK を待ってあげた方が、発言を漏れなく認識してもらえます 「ホスト?」(かぎかっこは不要) から始まる問いかけには短く応答します ラウンドが終わったら [ROUND_END] (ブラケットは必要) と打ってください 新しいラウンドが始まったら [NEW_ROUND] (ブラケットは必要) と打ってください 前回のラウンドの内容を軽くまとめてくれます AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.61/72
  55. 第 1 ラウンド — OBSERVE (15 分程度) 物語を始めるラウンドです ホストを決めます それから問いについて、思いつくままに書き出し・描き出しましょう

    第 1 ラウンドの問い : AI 前提社会で、あなたの組織が環境に適応し続けるためには、 何を観測し続けるべきでしょうか? 今は観測できていない/していないが、本当は観測すべきものは何でしょうか? (ちょっと確認用) みなさんが考えているのは、十分に AI 前提な社会ですか? 「問い」に意識を集中 / 自分の考えを積極的に話す / 話は短く、簡潔に / 相手の 話に耳を傾ける / アイデアをつなぎ合わせる / どんどん書こう、描こう AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.62/72
  56. 第 2 ラウンド — VALUE (15 分程度) テーブル毎の同じスレッドを引き続き使います このラウンドでは、何に重きを置くかを考えます 最初の

    5 分くらいで、第 1 ラウンドの内容を共有してみてください ホストはエージェントに [NEW_ROUND] と伝えてあげてください 人間はそれぞれ直前にいたテーブルで一番印象に残ったところを話せば (書けば) OK です 第 2 ラウンドの問い : 観測した結果に対して、組織は何を『良い状態』と判断すべきでしょうか? AI が与えられた指標を人間以上に最適化できるなら、何を目的に置いたら危険でしょうか ああそういうことなら、と観測する対象を変えても OK 「問い」に意識を集中 / 自分の考えを積極的に話す / 話は短く、簡潔に / 相手の 話に耳を傾ける / アイデアをつなぎ合わせる / どんどん書こう、描こう AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.64/72
  57. 第 3 ラウンド — RESPONSIBILITY (15 分程度) テーブル毎の同じスレッドを引き続き使います このラウンドでは、改めて責任を考えます 最初の

    5 分くらいで、第 2 ラウンドの内容を共有してみてください ホストはエージェントに [NEW_ROUND] と伝えてあげてください 人間はそれぞれ直前にいたテーブルで一番印象に残ったところを話せば (書けば) OK です 第 3 ラウンドの問い : AI「も」意思決定し行動する組織では、その結果を誰/何が、どのように 引き受けるべきでしょうか? 「責任を取る」とは、その組織では具体的に何が起きることでしょうか? 「問い」に意識を集中 / 自分の考えを積極的に話す / 話は短く、簡潔に / 相手の 話に耳を傾ける / アイデアをつなぎ合わせる / どんどん書こう、描こう AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.66/72
  58. 第 4 ラウンド — 帰還と統合 (15 分程度) 懐かしい仲間たちとの再会です (すぐそこにいたけど) このラウンドではアイデアのまとめを試みます

    最初の 5 分くらいで、第 3 ラウンドの内容を共有してみてください ホストはエージェントに [NEW_ROUND] と伝えてあげてください 人間はそれぞれ直前にいたテーブルで一番印象に残ったところを話せば (書けば) OK です 第 4 ラウンドの問い : ここまで聞いてきたすべての声を重ねると、AI 前提社会において、 経営者は何を設計する人なのでしょうか? 成果物を次のかたちにしてください 「私たちは、AI 前提社会における経営とは、 を設計することだと考える」 「問い」に意識を集中 / 自分の考えを積極的に話す / 話は短く、簡潔に / 相手の 話に耳を傾ける / アイデアをつなぎ合わせる / どんどん書こう、描こう AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.68/72
  59. 第 2 部そして全体のまとめに代えて サイバネティクス的経営観における暫定的な答え (みんな違ってみんないい) 「AI 前提社会における経営とは、 組織の制御とフィードバックを設計し直すことである」 ところで、今さっきまでのみなさんの「組織」(ワールドカフェのテーブル) には、

    人間と AI のホストがいて、 情報を観測し、 記憶し、 次の人たちに伝え、 それをもとに意思決定を更新していました さっきやっていたこと自体が、今日話してきた組織のプロトタイプだったのかも しれませんね AI とビジネス・メガトレンド ∼ サイバネティクス的経営観 — 経営戦略コアリテラシー講座 — 2026-10-07 – p.72/72