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SESを抜け出し 自社開発で生きるために必要だったこと
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Masakazu Yahagi
May 23, 2025
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SESを抜け出し 自社開発で生きるために必要だったこと
Masakazu Yahagi
May 23, 2025
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Transcript
SESを抜け出し、自社開発で生きるために 必要だったこと 2025.05.23 @ NEXT StepUp!キャリアの悩みを一緒に解決ナイト〜現役エンジニアから学ぶ、キャリ アの選択肢〜
これまでの経歴 2015.04 日本オプロ(現 オプロ社)に社内SEとして入社 2015.11 SES企業に入社し、その後複数の案件に従事 2018.04 ハンズラボ株式会社へ入社 2019.01 CBCloud(物流系スタートアップ)へ入社
2020.05 クービック(現 STORES社)へ入社し、今に至る
SES時代に感じていたモヤモヤ感 • エンジニアなはずなのに基本的なプログラムすら書けない人が多い ◦ 社内のおじさん達はプログラミングスキルよりも業務知識が大事とか言ってくる ▪ その業務知識は現場が変わったら役に立たないはずなのに ▪ プログラムをそれなりに書けることを妬まれている感 •
自社内だと何故かプログラムをよく書ける人扱いされている ◦ 当時自分は入社1年以内 if文とfor文が操れるようになりましたね程度のスキル ▪ プログラムを書けないので設計を頑張っています という言葉も聞こえてきたり ??? ◦ お陰で比較的いい案件にありつけていた部分はある • なのに給与はみんなと一緒 • そもそも自社内の上司すら違う現場に配属されているのに正しく評価なんか出来ているのか ?? • このままここに居続ける選択肢はないだろう
在籍から約 2年と少し程経った後 Web系で求められるスキルセットに近しい経験を得られ、今ならいけるかも! と思えたので転職を決意 運よくアサインされた現場で Web開発で求められる最低限のスキルを学べたが、現場運が悪かったら今のような経歴を辿れていないだろうな とも 思っています。 会社側の立場だと不本意だろうが、当時の自社の営業さんや現場で面倒を見て頂いた方には本当に今も感謝しています。
どのように転職活動を行ったか 当時の私のスキルセット • PHPでの開発経験が約1年 • Javaでの開発経験が約1年 • Vue.jsを本当に少し書ける • GitHub上でプルリクを出したりコンフリを解消したり等の基本操作は出来る
• インフラはAWSのEC2上にマイクラサーバーを立てられるくらいの学習を実施 • Pythonを趣味で学習 • 基本情報レベルの基礎知識は持っていた どの言語も言語仕様や周辺のライブラリに詳しいとは言えず、とりあえず基本的な文法を知っている程度のレベ ル
どのように転職活動を行ったか ※ 2017年頃の話です • Wantedly、Green、paizaを活用 ◦ 自社開発系の企業はWantedlyが多かったイメージです ◦ 職務経歴はSESあるあるのスキルシートを流用して記入 •
paizaを活用してPythonの基本的な構文を学習 ◦ 当時、データサイエンスが流行り出していたのと、キラキラ自社開発でよく使われてそ うだな みたいなイメージで学習してました。
どのように転職活動を行ったか • Wantedly経由でのスカウトをメインに活動 ◦ 何通かスカウトをもらえたので、これはイケそうと思い始める ◦ その中の一社であるハンズラボ社に焦点をあてる ▪ 記憶が正しければ最終的にここしか受けてなかったと思います 当時のハンズラボ社が
connpass上で会社説明会を実施していたため、それに参加 そのまま話の流れで 手羽の会 という会社説明兼交流会に参加し、感触が良かったのでその流れで 選考フローに進んだところ、運良く採用して頂けました 🎉 手羽の会 当時のイベントURL https://connpass.com/event/72328/
運が良かった!! 再現性はまったくありません!
で済ませたいところですが • 自社開発で求められそうなスキル (PythonやAWS)を独学で学んだ • 学んだスキルを求められる会社を見つけ、コンタクトを取る行動を起こした この2つの行動が起こせて上手く噛み合ったことがターニングポイントだったかなと
どのように転職活動を行ったか まとめ • 転職のための情報収集方法 ◦ 転職媒体に登録してスカウト待ち ▪ どのくらいスカウトを寄せてもられるか は転職実現度の一種の指標になるとは考えてい る
• 学習方法 ◦ 自社開発企業で利用されていそう (個人の見解)な言語の基本仕様をキャッチアップ ▪ paizaのスキルチェック問題がいい練習になりました 学習方法は今だとRailsガイドを読んでRailsを覚えながらWeb開発に必要な知識を得ること を 個人的にはオススメしたいです https://railsguides.jp/
ここまでが SES脱出編
自社開発企業で感じた違い • SES企業勤めの頃に求められていたこと (※全部主観です) ◦ お客さん先 ▪ これを作ってください と言われたものをひたすら作り続けること ◦
自社 ▪ 月の契約時間分とにかく稼働する 残業してもらえると尚嬉しい • 会社に入る1時間辺りの単価 > 自分の残業代 なはずなのと営業視点で 売り上げの数字が上がる
自社開発企業で感じた違い • 自社開発のエンジニアに求められること ◦ こういうのが作りたい が抽象度の高い状態で降りてくる ▪ PdMやデザイナーさんと協業しながら具体どう実現するかを固めていく ▪ 具体が固まったところから適切な粒度でタスクに落とし込みつつ実装を進めて
いく ◦ 運用に関わる課題は自らタスクに起こして対応のためのリソースを確保する ▪ xx月末までに今利用しているDBのバージョンはサポートが切れてしまうので アップグレードする必要があります • それにはNヶ月かかるのでyy月には作業に着手したいです • そのまま使い続けると延長サポート費用で zzz万円/月の費用が発生して しまいます。 といったような働きを求められます (あくまで一例です)
自社開発企業のエンジニアに求められること 自社開発のエンジニアはタスクが与えられるのではなく、自ら必要なタスクを掘り起こして実行し ていく自律性が求められます。 ソフトウェアエンジアリングスキルの行使による事業成長への貢献が求められている と言っても 過言ではないかと より早く作る、改善する より早く作ったり改善出来るシステム状態に持っていったり、その状態を維持する より売上の上げやすいシステム構成にする 例えば、APサーバーをスケールアウトしてより多くの予約が受付られる場合、
スケールアウトによって得られる予約数増加による売上増 > スケールアウトにかかるコスト であ れば、よりスケールアウトがし易いシステムに変更することは売上増に貢献していると言えます。
ここまで話した内容はあくまで私の主観に基づくものですが SESのエンジニアと自社開発のエンジニアでは求められる役割が異なること自体は変わりませ ん。 経歴からも分かる通り、自分はSES脱却後から数社を通して(結果として)徐々にステップアップし ながらこの違いを理解することになりました。
私がSESを脱却した頃と今とでは自社開発企業を取り巻く状況が大きく変わっています。 私の頃(2017~2018頃) • 今の名だたるメガベンチャーも創業から数年以内 ◦ Freee: 2012年創業 ◦ マネーフォワード: 2012年創業
◦ クービック(現 STORES): 2013年創業 • クラウドの台頭やSPAによるWebフロントエンドのユーザー体験の向上、それにまつわるエ コシステムの急速な成熟 ◦ これからはWebシステムの時代だ! と各社がこぞって事業を立ち上げていた 令和最新版の SES脱却戦略を考える
つまり、私がSESを脱却した頃はこれからWebシステムを構築していくぞ という時期であり、これ から経験値を蓄積していく段階の企業が多かった なので、Webシステムの構築、運用経験のあるエンジニアも少なく、採用する側も練度がそこま で高くない企業が多かったため、当時の自分のようなぺーぺーが付け焼き刃した知識でも転職 が可能な時代であった 令和最新版の SES脱却戦略を考える
一方で令和最新版の自社開発を取り巻く状況 • Web系エンジニアを目指すためのスクールの台頭 ◦ 通いながら職種を変えてまで目指してくる人も多い • 情報系学部の人気の高まりにより毎年優秀な新卒エンジニアが供給されてくる • 各企業でWebシステムの運用知見が溜まり、採用する側も目が肥えている •
LLMの台頭により、より高度な仕事のみが残る状況に 令和時代の SES脱却戦略を考える
果たして、当時の自分はこの壁を超えて脱却を果たすことが出来るのだ ろうか? 令和時代の SES脱却戦略を考える
ここで使えるのが自社開発の中にて見聞きしたことのある事例や視点 • 有象無象のスクールの中にも評判のいいスクールというものはある ◦ メガベンチャーがそこから直接雇用という事例はごく稀だが、そうではないフェーズの ベンチャー企業等では十分採用してもらえる可能性がある ◦ その一例がフィヨルドブートキャンプ ▪ 一度カリキュラムを見たことがあるのですが、この内容で卒業まで漕ぎ着けた
ら、入社後に右も左も分からずあたふた ってことはまずなさそうだなと 令和時代の SES脱却戦略を考える ※ 回し者ではございません https://bootcamp.fjord.jp/
自社開発企業のエンジニア職に中途で転職をしようとした場合 まず間違いなく即戦力であることが要求されます。 運良く現場でWebアプリケーションの開発や運用に携われている方はその現場で得られるだけ の経験を得ることが次に繋がるはずです! 一方でpublic class ABC123 みたいなコードを書いてABC123に対する説明をExcelに記述す る みたいな現場に配属されてしまっている場合、何らかの方法で私たちの開発現場に近い形の
開発経験を積むことが必要になるかなと思います。 令和時代の SES脱却戦略を考える
ご清聴ありがとうございました コードを書くだけではなく時には書かない選択を取ることもある 自社開発のエンジニアに求められていることは、コードを書いて作ることではなく、 ソフトウェアエンジニアリングスキルを行使した事業成長への貢献