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20251002_【DCC】オンチェーン完結型STWG_報告書_本紙

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October 01, 2025
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 20251002_【DCC】オンチェーン完結型STWG_報告書_本紙

ステーブルコインと連携した“オンチェーン完結型デジタル証券“の共同検討結果について

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October 01, 2025
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  1. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #2 エグゼクティブサマリ

    オンチェーン完結型STの 取組意義 オンチェーン完結型STの スキーム オンチェーン完結型STの 論点詳細 オンチェーン完結型STの 商品性と課題/アクション ・日本の規制上、STの取扱いには基本的に第一種金融商品取引業(金商業)ライセンスを要し、「証券会社リテール顧客向け・オルタナティブ投資」文脈で発展 してきた経緯があるため、現状の国内ST市場は“オンチェーン・エコシステム”とは距離が遠く、機関投資家市場開拓も途上。 ・「オンチェーン完結型ST」(ST×SC)の代表事例である「トークン化MMF(Money Market Fund)」は、「オンチェーン領域での価値保存・高頻度付利」「(高 流動性を有するSCとの)即時交換」機能提供や、「高い透明性を持ったSCの裏付資産」としての役割により、72億ドル超を超える実需を生んでいる。 ・「日本版トークン化MMF」の市場投入により、従来の国内STとは異なる「オンチェーン領域の投資家層」からの資金を、トークン化MMFの裏付資産である国債や 預金を介して資金供給する存在となり、インベストメント・チェーンにおける「オンチェーン金融」の存在意義を高めることが期待される。 ・トークン化MMFのSPV(法的な器)は、国債(1項有価証券)を継続的に運用する必要があるため、従来の資産裏付型STのSPVとして主流である「特定受 益証券発行信託(特定JS)」は利用できず、「投資信託」(公社債投資信託)を利用せざるを得ない。(投信法7条) ・投資家のオンボーディングチャネルやウォレットの想定として、海外事例を踏まえると「専用の直販アプリ/Webチャネル」が主流であり、ノンカストディアルウォレットの利 用範囲も段階的に拡張し得る。(証券会社を介するパターンは、既存MMF比でメリットを見出しづらく、ノンカストディアルウォレット利用者とも顧客層が異なる) ・運用会社は「委託者兼当初受益者」としての「自己募集」の方式を採り、且つ「受益権取扱事務受託者」として委託先を介する形での「STカストディ」または「ノン カストディアルウォレット接続」を行う。 ・委託者の自己募集のみであれば第二種金商業ライセンスがあれば可能。セカンダリ取引を提供する場合、第一種金商業ライセンス(又は証券会社連携)等を 要するうえ、投資信託における受益権譲渡の前提となる「券面交付」の課題を解決するため、いくつかの法的構成を比較衡量し当事者間で合意する必要がある。 ・【SPVに関する論点】|投資信託の利用、及び譲渡時の券面交付は不可避として、「大券+指図による占有移転」構成や「消滅/設定」構成を中心に議論した。 ・【ノンカストディアルウォレットに関する論点】|パブリックチェーン×ノンカストディアルウォレットを前提に、業者側で備えるべき態勢を中心に議論した。 ・【オンボーディングチャネル関連機能提供に関する論点】|「直販チャネル」提供者や、「Transfer Agent」を担う事業者に必要なライセンスを中心に議論した。 ・【ST×SC機能提供に関する論点】|「DEX提供者」や、「流動性プール提供者」「流動性供給者」に必要なライセンスを中心に議論した。 ・【SC利活用に関する論点】|「SCでのP2P送金における制約有無」、「バーゼル規制の影響」、「納税でSC利用するための方法論」を中心に議論した。 ・既存のトークン化MMFで訴求しているメリットの多くは、日本法上でも実現し得る。他方、「セカンダリ取引」はライセンス(第一種金商業等)と法的構成(券面 を要する「譲渡」か、従来なかった「償還/設定」構成か)が課題になる。 ・日本でも「オンチェーン金融」(ST×SC)を活性化するうえでは、「投資信託×券面前提」問題、「パブリックチェーン×リスクウェイト」問題、「SC×納税利用可否 不明確」問題を踏まえたアクションが必要。特に券面問題は、短期的には制約を受容した形で商品化を目指しつつ、“トークン化法”(オンチェーンでの権利移転 に関する上乗せ法)的なアプローチの整理も事務局として実施する。 ・米国で成立した「GENIUS法」も踏まえ、どのような要件であれば、SCの裏付け資産に「トークン化MMF」の組み入れを可能とできるか整理を進めたい。
  2. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #4 #「Progmat」とは|プログラマブルなネットワークで社会を繋ぎ、あらゆる価値をデジタル化する

    SC あらゆる価値をデジタル化 権利/資金の流れをプログラマブルに ST SC UT セキュリティトークン ユーティリティトークン ステーブルコイン SC ST UT 社会をネットワークで繋ぐ ボーダーレス/24・365/P2P #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  3. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #5 #「Progmat」とは|「インフラ層」を共創/標準化し、市場参加者の圧倒的利便性向上を実現する

    インフラ層 Ⅰ サービス層 Ⅱ Progmat, Inc.…「Core Developer」兼「コンソーシアム(DCC)事務局」 ST UT Coin DCC事務局 信託銀行 A 信託銀行 B 信託銀行 C 銀行 D 銀行 E 証券 F 証券 G エクスチェンジ H コア機能提供 利用料 & 各発行体 役務 対価 Service Developers 株主企業群=アライアンスパートナー 出資 利益還元 スピンアウト (独立化) DCC会員 による 分権運営 インフラ としての 中立的 資本構成 (競争領域) (共創領域) #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  4. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #6 #「DCC」とは|多数の組織が参加する、業界横断で価値を生み出す枠組み 最新ナレッジ 共有 プロダクト

    共創 デジタルアセット共創コンソーシアム 共同検討 ・提言 (DCC) 【目的】 デジタルアセット全般を対象とした、 業界横断での新たなエコシステムの共創 【運営概要】 ②業界横断的/新規性の高いテーマを対象に、 ワーキング・グループ(WG)を組成し、任意参加 ③秘密情報の共有範囲を限定し、 会員同士で柔軟に個別プロジェクトを実施 ④プロダクトに係る分権的運営 ①複数関係者間を跨ったWGや個別プロジェクトを 柔軟に進めるため、”包括的な秘密保持契約” として機能(共有範囲を調整し、都度個別の NDA締結を不要化) 【ポイント】 ①入会金/参加費無償 ②入会申込書(Word/押印不要)の電子送付 (事務局で締結手続完了後、会員サイト案内) ③社名非開示のオプション選択可能 © Progmat, Inc. #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  5. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #7 © Progmat, Inc. 315組織

    デジタルアセット共創 コンソーシアム 43% 15% 8% 6% 17% 4% 7% 【発行体/運用者】 137組織 【金融機関/決済業者】 46組織 【取引所/証券会社】 26組織 【暗号資産交換業者】 19組織 【技術協力/コンサル】 53組織 【法律事務所/監査法人等】 13組織 【他業界団体等】 21組織 #「DCC」とは|商品化検討中の事業者、ノウハウを有する業者/専門家等で315組織で構成されている #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  6. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 保有可能なアセットの多様化 プラットフォームの拡張 市場・決済機能の拡張 国内不動産 航空機・船舶

    インフラ・設備 モビリティ・宇宙関連 コンテンツ 嗜好品 金銭債権 債券(公社債) デジタル完結の 権利移転基盤 (特許登録) ユーティリティトークン API&DLT 証券会社を介した 随時売買・換金 デジタル証券PTS 連携 ステーブルコイン 連携 DEX/P2P(直接取引) 「利用」との融合 照合不要化 決済リスク減 流動性向上 可能性拡大 (障壁減,投資家層拡大) 構築支援,スマコン共創 未上場株式 オープン化 連携(ファンマーケ) 執行自動化 新たな取引機会 …実現済み …進行中/公表済み /ファンド持分 海外不動産 ・開発型不動産 #8 #本WGの位置づけ|「オンチェーン完結したST-SC取引」の実現に向けた論点を整理する © Progmat, Inc. オンチェーン完結型ST ワーキング・グループ(WG) #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  7. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only WG 3月 開催に係る公表 ・開催準備 全体

    2025年 5月~7月 8月~9月 検討会 まとめ 「報告書」 公表 分科会 社債 改正要望/ 個別案件化 ・民間 政府/当局 検討会 (Web/月次) 分科会 MMF 検討会 (Web/月次) 検討会 キックオフ 4月 現在の立ち位置 #9 #本WGの位置づけ|具体的な整理内容を公表すると共に、実現に向けた新たなアクションを開始する © Progmat, Inc. #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  8. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 50 15 2 1 2,333

    293 3 4 (単位)億円 (単位)案件 73.5% 88.6% 不動産ST(公開案件) 債券ST(公開案件) 金銭債権ST(公開案件) その他ST(公開案件) 案件累計数シェア(アセット別) 発行累計額シェア(アセット別) (出典)公開情報を基にProgmat作成 ※ST案件累計数/発行累計額:償還済案件含む総計 22.1% 11.1% 32億超 235億超 811億超 1,486億超 4 15 33 51 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 5,500 6,000 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 2021 2022 (単位)億円 2023 ST案件残高(公開案件) ST発行累計額(公開案件) ST案件累計数(公開案件) (出典)公開情報を基にProgmat作成 ※ST案件残高:SRS上のB/S総額(償還=0へ) ※ST発行累計額/案件累計数:償還済案件含む総計 2024 (単位)案件 2025 2,628億超 68案件 5,189億超 #11 © Progmat, Inc. 国内ST市場規模の推移 ST対象アセットの内訳 #2 オンチェーン完結型STの取組意義 国内ST市場は、公開案件だけでもAuMが5,189億円(ST自体の発行累計額は2,628億円)規模まで伸長しているが、その大宗は不動産STが占 めており、債券や金銭債権といったデット性のトークン化商品のプレゼンスは相対的に大きくない。 #国内ST市場概況|市場規模と対象アセットの内訳
  9. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only ユ ー ザ ー 主たる生活圏/プロセス(”慣性”の働く方向)

    リ テ ー ル 機 関 投 資 家 / 法 人 【国内市場】 証券会社顧客向け オルタナ投資系ST(不動産~) クリプト(プロ)ユーザー/ VASP顧客...etc. 【ライセンスの壁?】 クリプト関連企業/ VASP...etc. 【国内に市場存在?】 効率化+α系ST(グリーンボンド等) 【既存プロセス併存の壁】 暗号資産関連取引 既存の金融商品取引/送金・決済 日本の規制上、STの取扱いには基本的に第一種金商業ライセンスを要し、「証券会社リテール顧客向けオルタナ投資」文脈で発展してきた経緯あり。 現状、暗号資産とはライセンス上の壁もあり“オンチェーン・エコシステム”とは距離が遠く、むしろ既存金融領域に近接も、機関投資家市場開拓は途上。 © Progmat, Inc. #12 #12 #2 オンチェーン完結型STの取組意義 #国内ST市場概況|国内STの中心領域
  10. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #13 CONFIDENTIAL

    / Discussion Purpose Only #海外ST市場概況|グローバル・トークン化MMF 米BlackRock社が運用するMMFを米Securitize社がトークン化したBUIDL、米Circle社傘下のHashnote社が発行するUSYCなど数十のトークン化 MMFが流通しており、総流通残高は足元で72億ドル超に(前年比313%増)。 足元では従来の資産運用業界における有力AMの参入が相次ぐほか、パブリック・ブロックチェーン生態系のマネーマーケットやステーブルコイン発行者等と 提携するなどしてユースケース拡大に努め、差別化を図るケースが散見される →領域内での主要プレイヤーが明確化しつつある段階 #2 オンチェーン完結型STの取組意義 BUIDL: 発行残高21億ドル超で首位 商品性ではほぼ同等も、 管轄法域やスキームに差異 出典:https://app.rwa.xyz/treasuries
  11. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only Securitize社がBlackRockやBNY Mellonと連携して提供するBUIDL(BlackRock USD Institutional Digital

    Liquidity Fund)は、「BVI 籍・私募・米国Reg.D準拠のMMF」持分をパブリックブロックチェーン上のトークンとして表章し、認定投資家向けに提供されている。 © Progmat, Inc. #14 #14 Securitize 投資家 BNY Mellon BlackRock 流動性プール 運用指図 DvP取引 BUIDL USDC :償還時のフロー :発行時のフロー :その他 資金 着金通知 BUIDL Ethereumブロックチェーン (パブリック環境) 償還通知 関係者 スキーム内での役務 Securitize • MMFのトランスファーエージェントとして口座の記録保持 や発行・償還の処理、日次での利払い等の事務を担当 • BUIDLトークンを提供するとともにブロックチェーン上のトー クンの取引を常時監視し、記録を維持*1 • 希望する投資家に対して発行・移転・償還用UIを提供 • プレースメントエージェントとして営業活動を実施 BNY Mellon BlackRock • 本トークン化ファンドのための専用MMFを設定、運用 • 本MMFのカストディアンとして資金とその他資産の管理 • アドミニストレータとして会計等ファンド管理業務 流動性プール • ブロックチェーン上のスマートコントラクトとして存在し、 Circle社を相手方とするMMF取引を提供 • BUIDLとUSDC(ステーブルコイン)間の1:1でのDvP 決済を実現し、トランスファーエージェントである Securitizeを通さずに即時の償還が可能となる 他のKYC済 投資家 移転 BUIDL Circle BUIDL USDC Circle • ファンド運営からは独立した立場で、BUIDLファンド権利 者に対して即時の償還手段を提供 • ブロックチェーン上のスマートコントラクトに対してUSDCを 供給し、投資家が引き渡したBUIDLを受け取る 日次利払い (BUIDL建て) *1 Securitize社はブロックチェーン上の移転記録を基にそれとは別の受益権原簿を管理し、 ブロックチェーン上の記録と不整合が生じた際には受益権原簿が優先することとされている #参考事例|BlackRock×Securitize協働のBUIDLトークン Securitize社が ブロックチェーン上での発行・ 移転・償還状況を監視 パブリック環境での トークン移転状況は 外部からも閲覧可能 引受証券会社は存在せず、 カストディアン(BNY Mellon) 直接的に資金をやり取り #2 オンチェーン完結型STの取組意義
  12. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only トークン化MMFにあってはブロックチェーン環境で発行されていること自体に起因する新たなニーズ取り込みの可能性のほか、スマートコントラクトを活用した 高度な商品性により従来不可能であった投資家体験が実現可能となることが期待される。 © Progmat, Inc.

    #15 #15 • パブリック・ブロックチェーンの利活用においては安定した価値保存手段の欠如が障壁に →従来米ドル等の法定通貨に連動するステーブルコインにより対応されてきたものの、SCは原則無利子で収益機会の逸失も • パブリック・ブロックチェーンを活用したクロスボーダー決済等を模索する事業会社のほか、暗号資産トレーディング企業等にとって もオンチェーンMMFには利用価値 →暗号資産市場が今後も成長を続ける場合、「従来金融市場における暗号資産ETF」と並行で「パブリック・ブロックチェーン における取引効率化」の方向性も追及される可能性高 新規ニーズの開拓 潜在的可能性 従来のファンド等における課題と今後の方向性 • 現在BUIDLトークンの利払いは毎日1回(通常MMFと同程度の頻度)、BUIDLトークンを保有する全アドレスに対して金 利分のトークンを新規発行し付与 • 一部のトークン化MMFにはEthereumブロックチェーンの毎処理サイクルごとに「リベース」と呼ばれる特殊な手法で利回りの付 与を行うものも →数秒ごとのリアルタイム利払いにより資金効率の向上に期待 利払いの高頻度化 ステーブルコインを活用し たDvP決済の実現 • スマートコントラクトにより、トークン化MMFとステーブルコイン等他アセットのDvP決済が可能 • BUIDLで実現したステーブルコイン見合いでの即時償還のほか、ステーブルコインの代わりに他のアセットを対価とする取引や、 MMFを専用スマートコントラクトに担保としてロックしてステーブルコインを借り入れるようなオンチェーンレポ取引も考えられる ステーブルコイン準備資産 としての活用 • ステーブルコインの準備資産としてより透明性の高いトークン化MMFを活用することが考えられる →ステーブルコイン発行請求者がトークン化MMFを拠出してステーブルコインを受け取る、一連の「現物出資」の流れをパブリッ ク・ブロックチェーン上で透明性ある形で実現しえる • 米国で成立した「GENIUS Act」には、ステーブルコイン発行体の準備資産にトークン化アセット(米国債、預金、MMF等) を認める旨明記されており、グローバルでは既に布石が打たれている #示唆|トークン化MMFの潜在的な可能性 #2 オンチェーン完結型STの取組意義
  13. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only トークン化MMFは米国規制等との整合性のためKYC済投資家以外への移転を制限する例が多いものの、例外的により広範なブロックチェーン生態系 内での取引が可能となっている事例も存在。提供ラインの多様化、さらなる小口化を通じて個人投資家など新たな層への浸透も期待される。 © Progmat, Inc.

    #16 #16 パーミッションレスなP2P移転 トークン化MMFのバスケット化 USDY(Ondo Finance):米国その他の主要国投資家に対する販売を制限する一方、 セカンダリ取引にはKYC要件、居住国要件等を求めないことでパブリック・ブロックチェーン上の DeFiプロトコルにおいて他の暗号資産・ステーブルコインと同様に自由に取引が可能。した がって、証券口座等を持たない個人投資家であっても実質的に米国債へのエクスポージャー が得られる。 OUSG(Ondo Finance):パブリック・ブロックチェーン上で発行される複数のトークン化 MMFを裏付けとして、それらをバスケット化したトークンを提供している例。適格投資家を対 象とするが、個々の構成MMFより最低投資額が小さい、投資先の分散が可能といった一定 の利点がみられる。3月時点で4億ドル相当がパブリック・ブロックチェーン上で発行されている。 出典:https://ondo.finance/ousg 出典:https://www.orca.so/ #示唆|金融×オンチェーン・エコシステム Metamask等の アンホステッドウォレットを接続 して24時間取引が可能 市場概況で上位に位置 しているトークン化MMFを 複数組み入れ #2 オンチェーン完結型STの取組意義
  14. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 国 個 人 ・ 法

    人 銀行 預金 国債 トークン化 MMF ステーブル コイン クリプト アセット ETF 株式・社債 セキュリティ トークン オ ン チ ェ ー ン 領 域 の 個 人 ・ 法 人 個 人 ・ 法 人 価値保存&高頻度付利 価値保存&移転利便性 高流動性/即時交換 高透明性 裏付資産 【凡例】 オンチェーン 従来の非オンチェーン方式 ※ ※ ※ 海外では可能/日本国内は規制緩和要 信用創造 裏付資産 裏付資産 リスクマネー供給 リスクマネー供給 調達主体の実相 は個別に異なる 拡 大 ・ 不 可 逆 リターン期待 リターン期待 リターン期待 リターン期待 価値保存&付利 リターン 期待 トークン化MMFは、「オンチェーン領域での価値保存・高頻度付利」・「(高流動性を有するSCとの)即時交換」機能提供や、「高い透明性を持ったSC の裏付資産」としての役割により、従来とは異なる「オンチェーン領域の投資家層」からの資金を国債・預金を介して資金供給する存在となる。 © Progmat, Inc. #17 #17 #トークン化MMFの位置づけ|インベストメント・チェーンと「オンチェーン金融」 #2 オンチェーン完結型STの取組意義
  15. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #前提|日本法上の「ST」|現状は、受益証券/社債等の「トークン化有価証券」が主流 伝統的有価証券 1 :権利が証券/証書に表示される株券,社債券,受益証券等 有価証券表示権利

    2 :振替株式,振替社債,振替受益証券等 一定のものに表示 (振替口座簿等) トークン化有価証券 3 :株式ST,社債ST,受益証券ST等 電 子 記 録 移 転 有 価 証 券 表 示 権 利 等 電子記録移転権利 4 :受益権ST,TK出資持分ST等 適用除外電子記録移転権利 5 :受益権ST,TK出資持分ST等 みなし有価証券 6 :信託受益権,集団投資スキーム持分等 トークンに表示 トークンに表示 取得者制限&譲渡制限等を満たすもの 【開示要件】 【対抗要件】 【1項有価証券】 :「募集」該当は 50名以上取得勧誘 (適格機関投資家以外) 【2項有価証券】 :「募集」該当は 500名以上所有 【有価証券法理】 :「原簿記載」が 対抗要件 :「原簿」=システム と構成することで デジタル完結可能 【債権法理】 :「確定日付付の 債務者宛通知又は :デジタル完結には、 記録システムに対し 産業競争力強化法 承諾」が対抗要件 の認定(対抗要件特例) が必要 #3 オンチェーン完結型STのスキーム © Progmat, Inc. #19
  16. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 特定受益証券発行信託(特定JS) 1 GK-TK 投資信託(非振替証券) 信託(JS,投信以外)

    ST化対象権利 3 譲渡成立要件 4 第三者対抗要件 2 5 6 7 8 匿名組合出資持分 (主な根拠法) (会社法、民法) 確定日付ある証書による 債務者への通知又は承諾 投信法7条に抵触しない範囲 (”1項有価証券の運用”はNG) 原則、雑所得として 総合課税のみ(累進課税) 譲渡所得として 総合課税のみ(累進課税) BC外譲渡を妨げられず、 BCとは別に対抗要件具備要 課税所得金額330万円以上 の場合、相対的に不利な税制 新旧当事者間の合意 +受益証券交付(発行必須) 受益権原簿への記録 +受益証券交付(発行必須) 1項有価証券含めて運用が可能 (投信法上の特定資産の範囲) 「券面発行」が前提のため、 トークン化に工夫を要する 受益権 (信託法) 新旧当事者間の合意 (信託法上、譲渡制限可) 確定日付ある証書による 債務者への通知又は承諾 BC外譲渡を防止できるが、 BCとは別に対抗要件具備要 信託の種類による 受益権 (信託法) 新旧当事者間の合意 (信託法上、譲渡制限可) 受益権原簿への記録 申告分離課税可(20.315%) BC外譲渡を防止でき、且つ BC=原簿として安定移転可 課税所得金額330万円以上 の場合、相対的に有利な税制 裏付資産/ 運用制約 *1 *1 個人投資家の 配当金課税 個人投資家の 譲渡損益課税 信託の種類による *2 信託の種類による *2 源泉徴収(20.315%) or 申告分離課税可(20.315%) 権利移転の 法的安定性評価 個人投資家の 経済合理性評価 新旧当事者間の合意 (民法上、譲渡制限困難) *1 *1 *2 *1 改正産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」により、事業主管大臣から新事業活動計画の認定を受けることで、規制の特性措置を適用することが可能にはなった *2 ①集団投資信託(合同運用信託等)、②法人課税信託、③受益者等課税信託(①②以外)、の3区分が存在。②を敢えて選択する理由は特になく、③はSPV段階の収益等発生時に受益者の収益等と見做される 受益権 (投信法) 申告分離課税可(20.315%) 源泉徴収(20.315%) or 申告分離課税可(20.315%) 課税所得金額330万円以上 の場合、相対的に有利な税制 投信法7条に抵触しない範囲 (”1項有価証券の運用”はNG) 投信法7条に抵触しない範囲 (”1項有価証券の運用”はNG) *3 *3 「指図による占有移転」構成(カストディアンが投資家から受益証券の預託を受けて管理/占有、BC上の移転Txを指図と見做す)か、「設定・償還」構成(移転Txにより、移転元投資家の償還・移転先投資家の設定と見做す) © Progmat, Inc. #20 #SPV比較|MMFは「国債運用」のため「特定JS」利用不可、「投信」利用を前提に「券面問題」整理要 #3 オンチェーン完結型STのスキーム
  17. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only MMF Transfer Agent Transfer Agent

    Wallet A ノンカストディアル 証券会社 オムニバスWallet ノンカストディアル Wallet B Wallet C Wallet D Wallet G Wallet H 事前承認容易 (現STと同様) 事前承認 必要 事前承認 必要 機関投資家A 個人投資家B 機関投資家C 個人投資家D 機関投資家E 個人投資家F 機関投資家G 個人投資家H 専用の直販アプリ / Web Portal 証券会社 オンボーディング オンボーディング オンボーディング オンボーディング オンボーディング オンボーディング オンボーディング オンボーディング *1 *1 *1 短期的にはホワイトリスト事前登録、中期的には”KYC済SBT”付Wallet、長期的にはブラックリスト対応(非該当であればOKとする) 証券会社顧客にほぼ存在しない 既存MMF比でのメリットを見出しづらい 当事者減による効率性↑コスト↓、チャネルに縛られない24×7取引メリット © Progmat, Inc. #21 #取引参加方式比較|「投資家×オンボーディングチャネル×Wallet」パターン 証券会社を介するパターンは、そもそもノンカストディアルウォレットでの入出庫希望者が証券会社顧客内にほぼ実在しないか、既存MMF比でのメリットを見出しづらい。 海外事例を踏まえると、「専用の直販アプリ/Web」チャネルが差別化要素の1つであり、ノンカストディアルウォレット利用範囲も段階的に拡張し得る。 #3 オンチェーン完結型STのスキーム
  18. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 委託者/当初受益者/受益権取扱事務受託者(運用会社) 受託者(信託銀行) 公社債投資信託 公社債等 SC

    受益権 (ST) STカストディアン Progmat SaaS (顧客ST管理用Wallet) Progmat SaaS (原簿管理用Wallet) 機関投資家/ 事業会社【A】 (カストディ利用) 個人投資家【D】 (自己管理) 委 託 者 名 義 の 直 販 ア プ リ ・ Web Portal Non- Custodial Wallet 【A】 【C】 信託契約 (受益権取扱事務) 業務委託契約 (STカストディ) 業務委託契約 利用契約 利用契約 利用規約等 利用規約/ 利用契約 パブリック ブロックチェーン 保護預り契約等 (信託銀行等) 個人投資家【C】 (カストディ利用) 機関投資家/ 事業会社【B】 (自己管理) 【B】 【D】 *1 *1 投資信託の受益権の自己募集に付随する保護預り契約について、第一種ライセンスを要しないかの個別の検討を要する © Progmat, Inc. #22 #3 オンチェーン完結型STのスキーム #スキーム概要|日本版トークン化MMF(公社債投資信託) SPVは「公社債投資信託」、運用会社は「委託者兼当初受益者」として同社名義の専用チャネルを通じて「自己募集」の方式を採る。同時に、自己募集者は「受 益権取扱事務受託者」として、カストディ利用を希望する投資家のSTカストディを委託先を介して行うか、ノンカストディアルウォレット接続も可能とする。
  19. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 委託者/当初受益者/受益権取扱事務受託者(運用会社) 受託者(信託銀行) 公社債投資信託 公社債等 SC

    受益権 (ST) Progmat SaaS (顧客ST管理用Wallet) Progmat SaaS (原簿管理用Wallet) 委 託 者 名 義 の 直 販 ア プ リ ・ Web Portal 【A】 【C】 募集(自己募集) パブリック ブロックチェーン 信託財産 拠出/ 06 08 ST 発行 01 02 申込 03 KYC ホワイトリスト 05 登録 保護預り 投資家登録 04 (Wallet承認) (Wallet登録) 09 払込(SC)/不所持申出 12 ST移転 10 ST移転オペ (→投資家) 07 ST発行 オペ 11 ST移転通知 (+必要オペ) 13 運用 指図 14 ST追加発行 (利息分残高増加) 15 ST一部解約請求 16 償還金(SC) 不所持申出 17 ※セカンダリ取引 18 18 24/7 リアルタイム 情報参照 24/7 リアルタイム 情報参照 *1 *3 *1 募集者は第二種金商業ライセンス要 *3 取引の場の内容次第で、第一種金商業ライセンス(又は証券会社連携)等要 委託者/当初受益者/受益権取扱事務受託者(運用会社) *4 *4 「譲渡」(券面発行/指図による占有移転)又は「償還/設定」構成 *3 STカストディアン (信託銀行等) 機関投資家/ 事業会社【A】 (カストディ利用) 個人投資家【D】 (自己管理) 個人投資家【C】 (カストディ利用) 機関投資家/ 事業会社【B】 (自己管理) Non- Custodial Wallet 【B】 【D】 *4 *2 SC保有分は利子を生まないため、即時換金性の担保の度合いと利回りのバランスを勘案し、個別商品毎に保有上限/制約の検討要 *2 © Progmat, Inc. #23 #取引フロー概要|全体像とポイント 委託者は自社チャネルでの自己募集であれば第二種金商業、同チャネルでセカンダリ取引も提供する際は第一種金商業ライセンス(又は証券会社連携)等を要する。 「券面不所持の申出」を前提に、即時換金は「一部解約・償還」構成、セカンダリ取引実装の法的構成は選択肢があり、当事者間での精緻化/合意を要する。 #3 オンチェーン完結型STのスキーム
  20. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #25 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 トークン化MMFの組成に用いる器として、既存 の不動産ST(ないし日本版預託証 券:JDR)で利用されている「特定受益証券 発行信託:特定JS」を用いることのフィジビリ ティはあるか。 前提として、投信法7条において、信託財産を主として有価証券に対する投資として運用することを目的とする信託は、投資信託として組成さ れることが企図されている。 外国有価証券等を信託財産とする特定JSであるJDRは、以下の要件を満たすことで投信法7条に抵触しない整理になっている。 ①信託目的は、特定の有価証券の管理と、裏付けとした受益証券の発行/流通であって投資運用ではない ②信託設定/追加設定/一部解約は有価証券現物による受渡しのみで行われ、信託財産たる特定の有価証券は受託時点から不変 ③上記により、信託が市場で売買を行って運用する行為が存在しない 特定JSでは、投資信託では可能となっている以下の機能を持たせることは不可能なため、トークン化MMFのSPVとしては不適と考えられる。 ①投資家(受益者)による金銭払込での信託設定(その後ファンドとして公社債を購入) →金銭信託された信託財産を「運用」(投信法7条)していると評価されるため、不可能 ②投資家(受益者)への金銭での償還金支払(その前にファンドとして公社債を売却し換金) →ファンドとして公社債を売却し換金してしまうと、投資家の利益のために信託財産を「運用」していると評価されると考えられるため、不可能 ③信託財産である公社債から生じた利息分の再投資(各決算期における発生利益の2.5%以上を分配せず留保) →再投資することは、信託財産の管理にとどまらず「運用」に該当するため、不可能 #「SPV」に関する論点(1/3)|WGの見解は以下のとおり SPVとして「投資信託」を用いる場合、受益証 券の譲渡に際して、受益証券の券面を不発 行にすることのフィジビリティはあるか。 前提として、受益証券の譲渡/行使は、記名式の受益証券をもって表示されるものを除くほか、受益証券をもってしなければならないとされている (投信法6条2項)。 投信法は、信託法の受益証券発行信託に関する規定が準用されているところ、受益証券を不発行とすることができる旨の規定(信託法185 条2項)は投信法に準用されていない。 記名式の受益証券が発行されている受益権の譲渡は、受益証券の交付が効力要件とされている(投信法で読み替えて準用される信託法 194条)。 受益権原簿への記載又は記録は、委託者及び受託者への対抗要件となる(投信法で読み替えて準用される信託法195条1項)。第三者 に対する対抗要件については信託法195条2項が準用されていないが、受益証券発行信託に係る議論に倣い、受益証券の占有が第三者対 抗要件になるとする見解がある(澤飯・大越・滝ほか「投資信託・投資法人法コンメンタール」36頁(商事法務、2019年))。 以上から、保振によらない場合、受益証券の譲渡/第三者対抗要件具備は、受益証券の交付により行うことが想定されていると考えられ、譲 渡を想定する場合に券面を不発行とすることは一義的にはできないと考えられる。
  21. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #26 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 SPVとして「投資信託」を用いる場合で、受益 証券の譲渡に際して券面発行が不可避であ るとした場合の、「大券発行」方式のフィジビリ ティはあるか。 ここでいう「大券」とは、①証券が多数発行され、それらが紙としては一枚に記載されているという整理ではなく、②証券は1つのみ発行され、当 該証券に全ての受益権が化体しているという整理(外債等のプラクティスにおいていう「大券方式」同様の整理)が前提とされている。その場合、 証券としては1つであることから、投信法第6条第6項柱書の「受益証券の番号」の記載としては当該受益証券に対応する1つの番号を記載し、 発行される受益権口数全てを表示するものとすることは可能という整理もあり得る。実際に、投信の実務上、ファミリーファンド方式の「受益権を 他の投資信託の受託者に取得させることを目的とする投資信託(マザーファンド)」だけは受益証券を発行しており、その券面においては受益 権の口数に応じた番号が記載されているわけではなく、当該受益証券1枚に対応する1つの番号が付されている。 他方で、追加設定の際は、当初発行した大券に加え、受益証券(別の大券)を発行する必要があるようにも思われ、そのような追加発行は 受益証券に「記名押印」が求められることから実務上のハードルが高い。そこで、かかる追加的な大券の発行を不要とするために、当初発行した 大券に1つの番号が記載されていればよく、その後の受益権の追加発行や償還による受益権口数の変動は別紙に記載することにより、有効に 追加発行・償還を行うことができると整理する余地がないか検討を要する。 但し、上記のロジックも「設定・償還」のみがスコープであり、投資信託の受益権の譲渡にはいずれにしても受益証券の交付が必要であるところ (投信法6条7項、信託法194条)、大券方式で全体を一体化している場合、混蔵保管の中から譲渡対象となる証券を取り出すことにより、 他の証券から識別可能な形で客体を特定しなければ、特定の者に個別の証券を帰属させることは困難との指摘もある。 そこで受益証券の譲渡にあたっては、移転元受益者・移転先受益者・受託者兼大券カストディアンの間において、トークンの移転トランザクション を移転元受益者・移転先受益者・受託者兼大券カストディアンで署名する行為により、指図による占有移転が行われたものとみなす旨を合意 するだけではなく、当該行為により、混合寄託の中から受益者の受益証券を取り出す行為としての返還請求及び占有移転後の再度の混蔵寄 託についても同時に行われたものとみなす旨の合意をしておくことも必要と考えられる(関川直輝「譲渡に証券の交付を要する権利のトークン化 の方法等に関する考察(下)」金法2166号(2021年)25頁脚注57参照)。 また、投資信託の大券は無記名証券であることから、権利行使には証券の提示が必要であるところ(投信法6条2項)、発行者(投資信託 の受託者である信託銀行)が大券カストディアンに対して受益証券の権利行使のための受益証券の提示を受ける事務を委託し、かつ、受益 者と大券カストディアンとの間で、配当等の都度、受益者から大券カストディアンに対して権利行使のために受益証券の提示があったとみなす旨 合意することも必要と考えられる。 なお、大券を発行する場合には、券面金額に応じて印紙税が課される点に留意が必要(印紙税法2条、3条、7条、別表第一第4号)。 【500万円以下】200円、【500万円超1000万円以下】1000円、【1000万円超5000万円以下】2000円、【5000万円超1億円以下】 1万円、【1億円超】2万円 #「SPV」に関する論点(2/3)|WGの見解は以下のとおり
  22. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #27 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 SPVとして「投資信託」を用いる場合で、受益 証券の譲渡に際して券面発行が不可避であり、 かつ「大券発行」方式のフィジビリティがない場 合に、他の法的構成は考えられるか。 投資信託について、(無記名受益権の場合を除き)受益証券不所持制度が適用されるため(投信法6条7項により準用される信託法208 条)、「①MMFの新規発行と同時に不所持の申出を受け付けることにより、事実上、券面の作成・交付を省略(不所持の対象となった受益 証券は無効)」、「②MMFトークンを譲渡したい投資家のみ、受託者に申し出て個別に受益証券(券面)を発行してもらう」、という方法も考 えられる。 また、MMFトークンをSCに換金する場合に、第三者に買い取ってもらう既存の方式(BUIDL-Circle)ではなく、信託の一部解約+払出しと いう方式も考えられる。この方式であれば、換金に際してMMFトークンの譲渡自体が不要となり、上記②の受益証券の発行の申出すら不要に なる。 そのうえで、MMFトークン買取/SC換金以外のセカンダリ取引(P2Pトランスファー)についても、上記②の受益証券の発行の申出を不要とする 方式として、MMFトークンの移転を「償還/設定」と見做す構成も考えられなくもない。(特定信託受益権における「消滅/取得」構成に準拠) すなわち、ブロックチェーン上の動きとしては、投資家Aから投資家BへのMMF(ST)の移転、投資家Bから受託者を経由しての投資家Aへの SCの移転が生じるものの、その移転の根拠は投資家Aから投資家BへのMMFの「譲渡」ではなく、投資家Aによる投資家A保有のMMFの一 部解約の申し出(解約に伴う償還はSCにより実施)と、投資家Bによる新規のMMFの発行の申出(発行の際の払込みはSCにより実施) が同時に行われたことにあると見做すもの。 #「SPV」に関する論点(3/3)|WGの見解は以下のとおり SPVとして「投資信託」を用いる場合で、「償 還/設定」構成を採用する場合に、留意すべ き事項は何か。 投資家Aと投資家Bが示し合わせてこのような解約申出及び発行申出を同時に行うような場合、実質的にはMMFの譲渡が行われているとの評 価を受け、受益証券の交付を伴わない譲渡としてその効力が否定される可能性がある。 実質的には「債権者の交替による更改」(民法515条)に該当するのではないかとの懸念も考えられる。 元権利者において受益権が消滅することによる不都合の有無(例えば、元権利者が持っているタイミングで滞納処分等により差押えがなされた 場合に、MMFの移転を止めることができるか、止められなかった場合の処理をどのようにすべきか)等について、更なる検討が必要。 法的整理として受益証券の償還・新規設定を行うに当たっては受託者及び発行者である委託会社の関与が必要となり、投資家は受託者や 委託者に対しSTの移転について通知する必要がありますので、セカンダリー取引における受託者等への通知プロセスについて実務上の整理を要 すると考えられる。 また、発行体(委託者)が作成すべき有価証券報告書には、「設定及び解約の実績」として、計算期間ごとに、設定総額又は設定数量及び 解約総額又は解約数量を記載する必要があるため、セカンダリー取引に伴い一部解約による償還と新規設定を行うスキームによる場合には、 委託者は本STについて行われる一部解約及び新規設定の状況を把握し、その総数について有報に記載する必要があると考えられる。
  23. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #28 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 #「ノンカストディアルウォレット」に関する論点(1/2)|WGの見解は以下のとおり 見解 論点 国内投資家はノンカストディアルウォレットを 利用してSTを保有することは可能か。 可能だとして、証券会社がカストディする(保 護預りする)方式と比較して、相対的なデメ リットは生じ得るか。 ノンカストディアルウォレット形態(投資家による自己管理ウォレット)で保有することは可能。 非振替証券かつ券面発行の世界において、発行された券面を各投資家に交付し、投資家が自身で券面管理している状態と同様の考え方。 現状の証券実務において、証券会社が有価証券の保護預り(STにおいては秘密鍵の管理)をしているのは、あくまで顧客のニーズを汲んで実 施しているものであり、法令上の義務ではない。 尤も、投資家自身による自己管理の場合、証券会社の特定口座を利用することに伴う税制上のメリットは享受できない点には留意。 ノンカストディアルウォレットでの入出庫取引を 受け付ける事業者(自己募集者または証券 会社等およびその委託先)に求められる対 応はどのようなものか。 受け付けたノンカストディアルウォレットが真にそ の投資家自身の管理下にあるものか否かま で確認は必要か。 暗号資産交換業者及び電子決済手段等取引業者(以下、VASP等)においては、トラベルルールの対象外となるウォレット(ガイドラインに 定義される「アンホステッド・ウォレット等」)との間で取引を行う場合は、各ガイドラインに基づいて大要以下の作業が必要に必要になる(暗号 資産交換業ガイドラインII-2-1-4-2⑾、電子決済手段等取引業者ガイドラインII-2-1-2-2⑾)。 ・氏名、住所、移転先のウォレットアドレス等の入手 ・取引先となるウォレット等の属性についての調査分析・リスク評価 ・ブロックチェーンを検証等することによるウォレット等のリスク把握等 VASP等の少なくとも一部の企業は、ブロックチェーン解析ツールを提供する企業(ChainalysisやElliptic等)のサービスや、オンチェーン情報 をその他の情報と結びつけてリスク分析を適用している企業(TRM Labs等)のサービスを利用することで、ガイドラインが求めるリスク把握や分 析を行い、申告されたアドレスがリスクアドレスであると判明した場合に当該アドレスとの取引を制限する、といった対応がなされている。 “same business, same risk, same rules”の観点から、STにおいても同様の対応を行うことが想定される。 尤も、顧客が移転先としてウォレットのアドレスを申告した場合に、当該アドレスが当該顧客自身の管理下にあるものであるかを確認する、といっ た手続は特段実施していないように思われる。 ノンカストディアルウォレット利用者が、ウォレット アドレスに紐づく秘密鍵の紛失等(いわゆる セルフゴックス)により自身で移転ができなく なった状態において、発行体に求められる対応 はどのようなものか。 当該投資家においてSTを移転できないことを意味するに過ぎず、当該投資家がなお権利者であることは変わらないため、権利者たる当該投資 家に対して予め契約で定めた償還方法(認識済アドレスへ償還金をSCで送付する等)に従って手続きを終了させることが想定される。 BENJIでは、「誤移転や不正取引を是正するための管理措置を維持し、介入には情報収集や運用上の作業が必要…(略)…実施されてい る間、投資家の保有資産が利用できなくなる可能性がある」旨を公表しており、“強制移転”的な救済策の用意も取り得る。 USDCでは、「個々の保有者を管理・把握しているものではなく、また、移転先のアドレスに係る秘密鍵を喪失した場合に、USDCへのアクセスや 請求権を永久に失う可能性がある」旨をリスクファクターとして公表しており、特段の救済策を設けていることを覗わせる記載等は見当たらない。
  24. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #29 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 パブリックブロックチェーン上のトークン化MMFや SCの流通範囲として、ノンカストディアルウォ レットへの移転及びノンカストディアルウォレッ ト間の移転を実現するために、事業者側でど のような対応が考えられるか。 前提として、保護預かり口座からノンカストディアルウォレットへの移転あるいはノンカストディアルウォレット間での移転については、特定事業者たる 金融機関等における特定取引には該当せず、犯収法上の取引時確認は要しない(犯収法施行令7条1項1号ハ、二、リ参照)。 但し、犯収法上、特定事業者は、特定業務に係る取引について、必要に応じて「疑わしい取引」の届出が求められている(犯収法8条)。した がって、特定取引に該当しないノンカストディアルウォレットへの移転等も、特定業務に係る取引として場合によっては「疑わしい取引」の届出を要 する。その際、取引の相手方の氏名等を報告する必要があるため、「疑わしい取引」の届出の実効性確保の観点から、KYCが完了した投資家 に限りノンカストディアルウォレットへの移転を認めるのが実務上は対応が容易になる。 また、信託会社が信託型SCを発行して特定資金移動業を営む場合に適用される「資金移動業者ガイドラインII-2-1-2-1⑸(注2)」では、 「資金移動業者が、電子決済手段を発行する場合にあっては、自らが管理しないウォレットに係る電子決済手段の移転及び償還を停止するた めの態勢を整備する必要がある。」とされており、具体的には不正利用があった場合や犯罪行為に利用されていると疑われる場合に移転及び償 還を停止する仕組みの構築が求められる(2023年5月26日パブコメ16頁No47)。信託銀行が信託型SCを発行する場合も、上記で言及 されている移転及び償還を停止するための態勢の整備は求められている(信託会社監督指針11-9参照)。 上記はSCを前提とした議論で、STの文脈においてはノンカストディアルウォレットに移転するに際して資金移動業ガイドラインのような言及はない ものの、SCでは上記対応が必要であるがSTには不要という整理も監督行政上は歪であるため、SCの運用に平仄をあわせる対応がなされるも のとしての考えるべき。 ▪ブラックリスト方式+移転/償還停止措置 ブラックリストに掲載されていない者であっても犯罪者等である可能性はあることを前提に、不正利用等が疑われる場合に移転/償還を停止でき るような技術仕様/業務態勢を整備する。ノンカストディアルウォレットとの入出庫は、KYCが完了した投資家のみに認める。ホワイトリスト方式よ りもシステム構築と業務態勢の整備のレベルを上げる必要はあるが、ブラックリスト形式が許容されないといったものではない。 ▪ホワイトリスト方式+移転/償還停止措置 あらかじめスクリーニングが実施された者にだけ移転又は償還が行われるホワイトリスト形式の方が、移転/償還を停止をするための態勢を整備す ることは容易。 ▪SBT方式(リスト運用のオンチェーン化)+移転/償還停止措置 SBT(Soul Band Token)を各業者が付与できる構成とし、SBTをKYC済みの証明とする。発行会社は、どのSBTが付与されているアカウント に移転可能かを決定できる権限を持つ。グローバルでSBTの付与方式の共通化を進めることができれば、事業者間のリスト共有をオンチェーンに 寄せつつ、トークンの移転の自由度は格段に上がると考えられる。 #「ノンカストディアルウォレット」に関する論点(2/2)|WGの見解は以下のとおり
  25. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #30 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 既存のトークン化MMFで実現している機能の うち、「直販アプリ/Web Portal」の提供者 にライセンスは必要か。 トークン化された国内投資信託の受益証券の委託会社(AM会社)は、いわゆる投資信託委託会社として、金商法上の投資運用業のライ センスが必要になる(投信法3条、2条11項)。 そのうえで、委託会社がチャネル提供の主体(すなわち、「直販アプリ」を通じての一般の個人投資家への新規発行、「Web Portal」を通じての 機関投資家向け新規発行を行う主体)になる場合、投信の自己募集として、委託会社において第二種金融商品取引業(電子申込型電 子募集業務で、かつ、STを自己募集することについて業務方法書に記載されることも要する)の登録が必要になると考えられる(金商法28条 2項、2条8項7号ホ)。 保護預りを行う場合、第一種金融商品取引業の登録が必要になるか否か、個別の検討を要する。 #「“オンボーディングチャネル“関連機能提供」に関する論点|WGの見解は以下のとおり 既存のトークン化MMFで実現している機能の うち、「Transfer Agent」にライセンスは必 要か。 前提として、「Transfer Agent(以下、TA)」は大要以下の行為を行っているものと想定する。 ①投資家が投資信託受益権STを管理するためのホステッドウォレット(以下「TA管理ウォレット」)の作成及びSTの管理 ②投資家から受けた指図に基づいたST取引の処理及び当該取引のブロックチェーンへの記録(正確には、トランザクションの作成とブロックチェー ン上のブロードキャスト) ①について、投資家のためにST等の管理(カストディサービスの提供)を行うことになるため、取扱い証券会社及び受託会社においては、それぞ れに適用のある業法に基づき、従前のSTの管理と同様に整理する必要がある。なお、TA管理ウォレットの提供者がProgmat社などの金融ライ センスを有しない事業者で、売買やその媒介等を行わないのであれば、これらに「関して」STを管理するものではないため、「有価証券等管理業 務」(金商法28条5項、金商法2条8項16号)として第一種金融商品取引業のライセンスが必要になるものではないと考えられる。 ②ではTAが取引の処理及びブロックチェーンへの記録を実行することになり、(A)「有価証券の募集の取扱い」(プライマリー取引の場合)又 は(B)「有価証券の売買の媒介」(セカンダリー取引の場合)を行っていると評価される可能性があるかという点が問題となる。 (A)募集の取扱い:一般的に、有価証券の発行者などの他人のために、有価証券の募集を代行する行為(勧誘代行行為)と考えられて いる。この「勧誘」行為についても、金商法上、どのような行為が該当するか明確に定義されていないが、特定の有価証券について投資者 の関心を惹起し又はその興味をかきたてる行為は、広く勧誘に該当する可能性がある。そのため、TAは執行の部分に関与するのみであり、 発行体及び投資家間の交渉及び約定には一切関与しないということであれば、勧誘を行っていないと整理することは可能と思われる。 (B)売買の媒介:「媒介」とは一般に、他人間の法律行為の成立に尽力する行為をいうものと考えられているが、かかる定義は曖昧かつ広範 であり、「媒介」該当性の判断基準は必ずしも明らかではない。金商法上の「媒介」への該当性に関しては、参考となる監督指針やパブ リックコメント等が様々あるものの、取引への関与の程度等から個別具体的に判断せざるを得ないものの、TAは執行のみに関与し、取引 の交渉及び成立(約定)に全く関与しないのであれば、「媒介」に該当しないと整理することは可能と思われる。
  26. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #31 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 既存のトークン化MMFで実現している機能の うち、「SCを用いた投資家間DvP取引」におけ る「直接取引UI(DEX)」の提供者にライ センスは必要か。 投資家間で行われるSTの売買をマッチングさせる機能(直接取引UI)のシステム/プロトコル提供者は、他人の間に立って、他人を当事者とす る法律行為の成立に尽力する事実行為を行っており、業として有価証券の売買の「媒介」(金商法2条8項2号)を行うものであることから、 金融商品取引業に該当すると考えられる。 また、直接取引UIによって成立する売買の価格決定方法次第( 「有価証券の売買の媒介であって」「電子情報処理組織を使用して」「同時 に多数の者を一方の当事者又は各当事者として」売買を行わせるもの)では、当該システム/プロトコルの提供がPTS業務(同項10号)にも 該当し、金融商品取引業の登録に加えて認可も必要となる可能性がある(同法30条本文)。 但し、STを受益証券発行信託の受益証券又は投資信託の受益権に限定する場合、PTSにおける有価証券の売買高の合計額が小規模とし て政令で定める基準額(4半期当たり600億円)以下のときは、金融商品取引業(第一種)の登録のみで足り、PTSに係る認可は不要 (金商法30条1項ただし書)。 DEXに接続する行為がそもそも許容されるか、及びDEXへの接続が許容されるとして暗号資産交換業に該当するかについて直接言及されてい るパブコメ等はないものの、暗号資産交換業者に接続することについては、コンテンツの転載のみを行う場合は「媒介」に該当しない(暗号資産 交換業に該当しない)旨が明確化されており、本件においても参考となる可能性がある。 #「“ST×SC“機能提供」に関する論点|WGの見解は以下のとおり 既存のトークン化MMFで実現している機能の うち、「SCを用いた即時償還」における「流動 性プールプロトコル」の提供者(自身は流動 性供給者ではない)にライセンスは必要か。 法的には、①MMFの一部解約及び法定通貨での払戻し、②MMFの一部解約及びSCによる払戻(規約により払戻方法を規定)、③MMF の買取及びSCによる代金支払、が考えられる。 ①の場合、ユーザーにSCを提供するには、払い戻された法定通貨をSCに交換することが必要になるため、「電子決済手段の売買」の「媒介」を 行っているとして、電子決済手段等取引業者として規制される可能性がある(資金決済法2条10項2号)。 ②の場合、①のような法定通貨と電子決済手段の交換は発生しないため、電子決済手段等取引業には該当しないと考えられる。 ③の場合、MMFを自動買取するシステム又はプロトコルは、「有価証券の売買の媒介」を行うものとして、金融商品取引業者として規制される 可能性がある(金商法2条8項2号)。 上記「SCを用いた即時償還」における「流動 性供給者」にライセンスは必要か。 流動性提供者は、投資家からMMFを買い取り、SCを交付することになるため、基本的には、電子決済手段等取引業の登録を要するものと考 えられる。また、MMFの買取行為が「有価証券の売買」に該当し、金融商品取引業の登録を要する可能性について検討が必要と考えられる。
  27. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #32 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 既存のトークン化MMFで実現している機能の うち、「SCを用いたP2P送金」は日本法上も 可能か。 日本法上のSCである電子決済手段について、保有者が、電子決済手段等取引業者を介さずに、P2P取引において自己の電子決済手段を 移転させる場合、送金金額に依らず特段の制約なく送金が可能。 当該電子決済手段が円建てであっても、米ドル建てであっても、同様の整理。 但し、1件当たり3,000万円を超える本邦から外国に向けての支払(電子決済手段の移転も含む)を行う場合、外為法上の報告義務の対 象になる(外為法55条1項、外国為替令18条の4第1項1号、外国為替の取引等の報告に関する省令1条1項)。 当該報告の実務対応としては、日本銀行のホームページに掲載されている定型的な報告書のフォーマット(報告者自身の情報のほか、取引の 相手方の名称・所在国又は地域等の記載等)を埋めて提出するにとどまり、実務上過大な負担になるということでは必ずしもないと思われる。 【外国為替の取引等の報告に関する省令・別紙様式第一(支払又は支払の受領に関する報告書 (銀行等又は資金移動業者を経由しな い支払又は支払の受領))】 https://laws.e-gov.go.jp/data/MinisterialOrdinance/410M50000040029/623165_1/pict/2FH00000068644.pdf 【記入の手引(電子決済手段等)】 https://www.boj.or.jp/z/tame/t-redown2014/nregt01-2.pdf #「SC利活用」に関する論点(1/2)|WGの見解は以下のとおり トークン化MMFの発行体である信託銀行 (信託勘定)によるSC保有(即時償還用 待機資金)や、保護預り者としての証券会社 (顧客勘定)によるSC保有は、機関投資 家としての金融機関(自己勘定)によるSC 保有は、バーゼル規制上も問題ないか。 まず原則として、信託銀行が信託勘定で保有する場合や、証券会社が顧客勘定で保有する場合は、自己の資産として認識されないため、オ ペリスク等は別として、自己資本比率規制において信用リスクや市場リスクは考慮されないと考えられる。 次に金融機関が自己勘定で保有する場合について、バーゼル銀行監督委員会が2024年7月に銀行の暗号資産エクスポージャーに係る開示 枠組みと資本基準及び銀行勘定の金利リスクに係る基準の改訂を承認しており、改訂された規則文書について2026年1月1日に実施予定。 改訂後の基準ではSCについて(i)裏付け資産の要件等の分類基準を充足するものは「グループ1暗号資産」、充足しないものについては「グルー プ2暗号資産」としてリスクウェイト1250%相当の資本賦課が適用される(なお、パーミッションレス型ブロックチェーンについてはグループ2暗号資 産に該当する旨明記されている。)ほか、(ii)開示枠組みが具体化され、グループ1暗号資産かグループ2暗号資産かにより開示項目が異なる こととされている。 日本においても、上記のバーゼル銀行監督委員会による規制枠組みを踏まえた告示が策定された場合、国内の金融機関も当該告示に従い 対応する必要があり、 「既存のバーゼル規制の枠組みに則した資本賦課+観察されたインフラリスクに対応した柔軟な追加的資本賦課」が求 められる可能性がある。
  28. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #33 #4

    オンチェーン完結型STの論点詳細 見解 論点 SCの流通/保有の利便性を担保する観点か ら、SCを用いた納税は可能か。 前提として、国の収入については「現金の収納」をいうこととされ(財政法第2条)、会計認識基準では現金主義(現金の授受、すなわち収 入、支出の時を捕らえて整理計算し、その時をもって損益の発生として整理すること)が採用されている。 その上で、①インターネットバンキングによる納付と②クレジットカード決済、電子マネー決済、二次元コード決済及びコンビニ決済(クレジットカー ド決済等)については、キャッシュレス法に関するデジタル庁のガイドラインにおいて、一定の場合には可能であるという整理がなされている。 また、前払式支払手段についても、国税や地方税、ふるさと納税の支払が可能との見解が示されている。(金融庁「広く共有することが有効な 相談事例の公表(資金決済に関する法律関係)」(令和3年3月19日更新))。 一方で、SCについてはこれらのような明確な整理は現時点ではなされていないと思われるため、SCでの納付を可能とするためには、上記と同様 に整理を行うことが必要であると考えられる。 例えば、国税通則法では、納税額が一定額以下である場合、納税者は国税庁長官が指定した「納付受託者」に国税の納付を委託することが できるとされ、指定納付受託者が各電子マネー発行者(資金移動業者、前払式支払手段発行者)と提携のうえ、国税納付を行っている。 【スマホアプリ納付のQ&A】(国税庁) https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/smartphone_nofu/smartphone_qa.htm#a2-4 上記方式では、利用者が電子マネーによる納付を希望する場合、各電子マネー発行者が納税者から払込を受けている金銭(電子マネーの発 行見合金)が、指定納付受託者を通じて国庫納付されていると考えられる(電子マネーの償還金による納付)。 したがって、SCについてもいわゆる電子マネーと同様に、その保有者が指定納付受託者を通じて、当該SCの償還金を納付することは可能と考え られる。現状、電子マネーの発行者自身は国税の納付受託者として指定を受けていないものと思われるが、制度上は、SCの発行者自身が納 付受託者としての指定を受け、自ら償還金の国税納付を行うことも可能と考えられる。 なお、国税のほか、地方公共団体に対する歳入等の納付についても、地方自治法に基づき指定を受けた納付受託者を通じ、電子マネーを用 いた納付が可能な仕組みとなっているため、同様の整理を行うことも可能と考えられる(地方自治法第231条の2の3)。 #「SC利活用」に関する論点(2/2)|WGの見解は以下のとおり 現在の電子マネーと同様、「指定納付者」を 通じてSC(の償還金)での実質的な納税を 可能にするうえで、関連する当局の窓口はどこ が考えれるか。 キャッシュレス法の所管部署は「デジタル庁・省庁業務サービスグループ(キャッシュレス担当)」と考えられる。 そのほか、実際にSCによる納付について導入する省庁(以下)との協働も必要となるように思われる。 「金融庁・Fintech実証実験ハブ」、「経済産業省・商務・サービスグループ(キャッシュレス推進室)、「内閣府規制改革推進会議・デジタル・ AIWG(旧・公共WG)」
  29. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 委託者/当初受益者/受益権取扱事務受託者(運用会社) 受託者(信託銀行) Progmat SaaS (顧客ST管理用Wallet)

    Progmat SaaS (原簿管理用Wallet) 【A】 【C】 募集(自己募集) 信託財産 拠出/ 06 08 ST 発行 01 02 申込 03 KYC ホワイトリスト 05 登録 保護預り 投資家登録 04 (Wallet承認) (Wallet登録) 12 ST移転 10 ST移転オペ (→投資家) 07 ST発行 オペ 11 ST移転通知 (+必要オペ) 13 運用 指図 15 ST一部解約請求 不所持申出 *1 *1 募集者は第二種金商業ライセンス要 委託者/当初受益者/受益権取扱事務受託者(運用会社) *4 *3 STカストディアン (信託銀行) 公社債投資信託 公社債等 SC 受益権 (ST) 14 ST追加発行 (利息分残高増加) 16 償還金(SC) 17 Non- Custodial Wallet パブリック ブロックチェーン 18 18 24/7 リアルタイム 情報参照 24/7 リアルタイム 情報参照 09 払込(SC) 委 託 者 名 義 の 直 販 ア プ リ ・ Web Portal アプリ/Web Portalの 見やすさ・使いやすさ 日次又は更に高頻度 の利払(Token配当) SCでの購入 (銀行口座/Fiat不要) SCでの即時償還 (振込介さず自動化) 24/7 リアルタイムで 資産/移転状況確認 ”P2Pトランスファー”は ライセンスと法的構成 (券面)が課題になる 機関投資家/ 事業会社【A】 (カストディ利用) 個人投資家【D】 (自己管理) 個人投資家【C】 (カストディ利用) 機関投資家/ 事業会社【B】 (自己管理) 【B】 【D】 ※セカンダリ取引 *3 *4 *2 SC保有分は利子を生まないため、即時換金性の担保の度合いと利回りのバランスを勘案し、個別商品毎に保有上限/制約の検討要 *3 取引の場の内容次第で、第一種金商業ライセンス(又は証券会社連携)等要 *4 「譲渡」(券面発行/指図による占有移転)又は「償還/設定」構成 *2 © Progmat, Inc. #35 #5 オンチェーン完結型STの商品性と課題・アクション #日本版トークン化MMFの商品性|メリットと課題 既存のトークン化MMFで訴求しているメリットの多くは、日本法上でも実現し得る。他方、“P2Pトランスファー”メリット=「セカンダリ取引」は、前述のライセンス(第 一種金商業等)と法的構成(券面を要する「譲渡」か、従来なかった「償還/設定」構成か)が課題になる。
  30. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only Option B プライマリー 1 Option

    C 「券面不所持」 (+譲渡時個別発行) スキーム MMFの(新規/追加)発行時に 「券面不所持の申出」を受け付けし、 券面の作成/交付を省略する。 *1 MMFの一部解約+SCでの払い出し という建付けをとることで、オンチェーン 完結で即時換金を行う。 (券面の発行申出等の手続不要) 受益権の譲渡の都度、旧権利者 が受託者兼カストディアンに対して 「券面発行の申し出」を行うと共に、 新権利者を含めて「管理の委託」 「指図による占有移転」「不所持の 申し出」を行うこととし、券面の作成 /交付を極力省略した形で移転。 「券面不所持」 (+「償還/設定」構成) スキーム トークン移転を、「旧権利者による 一部解約(SC償還)」と「新権利者に よる新規発行(SC払込)」が同時に 実施されたものと見做し、当該移転 情報を投信委託者/受託者に通知 (当該変動も把握し有報に反映)し、 オンチェーン完結で移転。 Option A 「大券」発行 (+指図による占有移転) スキーム MMFの新規発行時に「大券」を発行 し、追加発行(/償還)時の受益権 口数変動は「別紙」に記載する。 大券/別紙はカストディアンに管理を 委託し、カストディアンが占有する。 MMFの一部解約+SCでの払い出し という建付けをとることで、オンチェーン 上で即時換金を行う。 (「別紙」への口数変動反映は必要) 新旧権利者/カストディアン間での 「指図による占有移転」「混蔵寄託」 観点で有効とするための合意、 受託者/カストディアン/権利者間で 「無記名証券の権利行使時の提示」 観点で有効とするための合意、を したうえで、オンチェーン完結で移転。 (新規発行/追加発行) SCによる即時換金 2 セカンダリー 3 (第三者によるST買取/ SC即時支払いを含む) *1 自益信託(委託者兼当初受益者宛てに発行)の場合、プライマリー取引においても「最終投資家」向けに権利移転が生じるため、「セカンダリー」と同様の処理が必要にならないかは精緻化要 © Progmat, Inc. #36 #5 オンチェーン完結型STの商品性と課題・アクション #日本版トークン化MMFの法的構成|3つのオプション 「譲渡時の券面交付」を前提とする現行法のまま組成する場合、「大券(及び別紙更新)」を伴うがセカンダリー時はオンチェーン完結化の可能性がある「Option A」か、通常時は券面不要だがセカンダリー時に券面対応が煩雑化する「Option B」か、理想的だが法的安定性の深堀りが必要な「Option C」が想定される。
  31. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 短期アクション 「投信×券面前提」 1 中長期アクション 「譲渡不可」の前提(券面交付が

    必要となる局面を発生させない)で、 まずは「商品組成/発行」を実現。 デジタル庁をはじめ、関連する当局 に対して、「指定納付受託者」を 通じた納税可否の明確化について 働き掛けると共に、既存のサービス 提供者と連携する。 現行の投信法を前提とすると、 いずれのオプションを採ったとしても 「券面前提」に伴う無用な契約/事務 により煩雑化し、グローバルな目線で 劣後した商品性にならざるを得ない。 バーゼル銀行監督委員会の枠組み をそのまま踏襲すると、特定のチェーン 上のST/SCはリスクウェイト1250% 相当の資本賦課が課され、金融機関 SCについて、現行の電子マネーと同様 「指定納付受託者」を通じた納税が 可能か否かが不明確なため、 受領したSCの利用用途/出口として 「納税」を選択できない。 「パブリックチェーン× 2 「SC×納税利用可否 3 問題 リスクウェイト」 問題 不明確」 による保有は実質的に困難になる虞。 前述のOptionA~Cで法的整理が でき、必要なライセンス保有者との 連携でき次第、セカンダリを解禁。 バーゼル規制の対象となる金融機関 が日跨ぎで保有しない形とするか、 一定期間保有が想定される場合は パブリックチェーンでも仕様を工夫 し、「グループ1」該当相当とする。 振替制度新設時の「社振法」の 制定時と同様、既存の投信法等に 極力手を入れずに”上乗せ法”的 に「トークン化法」を新設する等、 「券面」を前提としない法制とすべく 整理/働き掛けを事務局として行う。 ※米国「UCC」や信託型SCの「支配 (control)」概念等が想定される *1 バーゼル銀行監督委員会の枠組み に対して「過度に保守的」として再考 を求める動き有り、グローバルな趨勢 を注視 *2 問題 © Progmat, Inc. #37 #5 オンチェーン完結型STの商品性と課題・アクション #「オンチェーン金融」活性化に向けたネクストアクション|3つの“大課題”と短期/中長期アクション 日本でも「オンチェーン金融」(ST×SC)を活性化させるうえでは、「投信×券面前提」問題、「パーミッションレス型チェーン×リスクウェイト」問題、「SC×納税利用可 否不明確」問題を踏まえたアクションが必要。特に券面問題は、短期的に商品化を目指しつつ、中長期的な整理/働き掛けも事務局として実施する。 *1 UCC=Uniform Commercial Code(統一商事法典)。「Controllable electronic record:CER」(支配可能電子記録)という概念が導入されている。 信託型SC(消滅/取得構成)等を想定し、「支配アドレス」概念を織り込んだ「消滅・取得型トークン化受益権システム」の概要はAppendix参照(特許出願中) *2 Reuters: 「 Finance industry bodies call for changes to crypto rules for banks 」 (2025.8.21) Reuters:「Finance industry bodies call for changes to crypto rules for banks」(2025.8.21)
  32. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #38 #5

    オンチェーン完結型STの商品性と課題・アクション #「オンチェーン金融」活性化に向けたネクストアクション|「GENIUS法」を踏まえた“更に望ましい”対応 米国で成立した「GENIUS法」では、SCの裏付資産として「トークン化アセット」も認められている。日本においても、一定の要件(*1)を満たす「トークン化MMF」を 組み入れ可能とすることで、SC銘柄間の残高増減も「オンチェーン化」し、SCの「共同化」や「価値交換」をより円滑にできるため、実現に向けて整理を進めたい。 トークン化MMF 国債 ①持分 ②持分 信託① 預金 MMF 国債 SC① 信託② 預金 MMF 国債 SC② 信託委託者【X】 「独自ブランドSC②」 仲介者【A】 仲介者【B】 仲介者【C】 【SC利用者】 SC①振替(X→Y) 【SC利用者】 SC交換(①→②) SC①総量不変 MMF【↓】 MMF【↑】 SC②【↑】 SCの裏付資産に「トークン化MMF」を組入可能とし、 SC銘柄間の残高変動による裏付資産の増減も 「オンチェーン化」(プログラマブル化)することで、 SCの「共同化」や「価値交換」をより円滑にできる *1 *1 「一定の要件」として、MMFへのSC組入は制約が入る可能性に留意 信託委託者【A】 「共同ブランドSC①」 信託委託者【B】 「共同ブランドSC①」 SC①【↓】
  33. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 32億超 235億超 811億超 1,486億超 4

    15 33 51 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 5,500 6,000 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 2021 2022 (単位)億円 2023 ST案件残高(公開案件) ST発行累計額(公開案件) ST案件累計数(公開案件) (出典)公開情報を基にProgmat作成 ※ST案件残高:SRS上のB/S総額(償還=0へ) ※ST発行累計額/案件累計数:償還済案件含む総計 2024 (単位)案件 2025 2,628億超 68案件 5,189億超 #40 #国内ST市場規模|ST案件残高:約5,189億、ST発行累計額:約2,628億、案件累計数:68案件 © Progmat, Inc. #Appendix
  34. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 0 200 400 600 800

    1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2,200 2,400 2,600 2,800 3,000 3,200 3,400 3,600 3,800 4,000 2021 2022 2023 2024 2025 【不】56 【債】01 【不】377 【債】017 【不】976 【債】122 【金】001 57 394 1,099 (単位)億円 不動産STファンド新規組成額(公開案件) 債券ST新規発行額(公開案件) 金銭債権STファンド新規組成額(公開案件) (出典)公開情報を基にProgmat作成 ※各年におけるST案件新規組成額(償還済案件含む) 【債】0012 【金】0002 【不】1262 1,278 その他STファンド新規組成額(公開案件) 【他】0004 【不】2427 (3,700) 【債】0141 2,568 #41 #国内ST案件組成額|年間3,700億円(YoY+290%)予測に対し、ローンチ済2,568億円(進捗69%) © Progmat, Inc. #Appendix
  35. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 0 200 400 600 800

    1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2,200 2021 2022 2023 2024 2025 【不】31 【債】01 【不】186 【債】017 【不】452 【債】122 【金】001 32 203 575 (単位)億円 不動産ST新規発行額(公開案件) 債券ST新規発行額(公開案件) 金銭債権ST新規発行額(公開案件) (出典)公開情報を基にProgmat作成 ※各年における新規ST発行額(償還済案件含む) 【債】012 【金】002 【不】658 675 その他ST新規発行額(公開案件) 【他】004 【不】1004 (1,925) 【債】141 1,145 #42 #国内ST発行額|年間1,925億円(YoY+285%)予測に対し、ローンチ済1,145億円(進捗59%) © Progmat, Inc. #Appendix
  36. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 50 15 2 1 2,333

    293 3 4 (単位)億円 (単位)案件 73.5% 88.6% 不動産ST(公開案件) 債券ST(公開案件) 金銭債権ST(公開案件) その他ST(公開案件) 案件累計数シェア(アセット別) 発行累計額シェア(アセット別) (出典)公開情報を基にProgmat作成 ※ST案件累計数/発行累計額:償還済案件含む総計 22.1% 11.1% #43 #国内ST案件数/発行金額の内訳|不動産STが大宗(特に金額面で顕著)、次が債券ST © Progmat, Inc. #Appendix
  37. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 不動産管理処分信託 不動産 不動産 委託者 信託銀行

    特定受益証券発行信託 不動産 金銭 一般受益権 (ST) 精算受益権 01 受益権 ローン 精算受益者 受益者代理人 レンダー 信託受益権 信託受益権 AM 一般受益者 兼当初受益者 *1 02 選定 ※受託者裁量無し 03 金銭/受益権 を信託 04 受益権 (ST含む) 金商業者 一般受益者 金商業者 流通市場 11 05 06 07 NRL 選定 取得 指図 08 一般受益権(ST)引受 09 売買 10 売買 *2 *3 *4 *5 *1 ブリッジファンド等のSPCが主流(STファンド設定後に清算前提)。 *2 信託契約により委託者裁量で選定。投資運用業の登録が必要。 *3 NRL実行額と同額の「ローン受益権」を設定し、NRL実行により受益権は即償還され、貸方にローンが残る。 *4 信託契約により委託者裁量で選定(弁護士想定)。一般受益者の配当受領権を除く権利を代理し、ファンド運営における意思結集時に多数個人投資家の関与を不要化。 *5 当初受益者から取得(オリジネーター/スポンサー想定)。信託終了~信託清算時に一般受益者分の償還完了後、残余債権/債務の処理を寄せる役割(券面発行不所持)。 信託銀行 #44 #国内ST代表事例|「特定の不動産」を個人投資家が小口/長期/高流動性で売買可能なスキーム © Progmat, Inc. #Appendix
  38. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 発行体 セカンダリ 仲介者(兼ST/SCカストディ) 仲介者(兼ST/SCカストディ) 機関投資家

    機関投資家 共通PF 共通PF 共 通 PF 01 02 03 03 04 04 05 06 06 プレマーケティング依頼 関係者宛連絡 情報提供 オーダー入力 オーダー入力 情報提供 オーダー集約/還元 ST発行/引受 ST発行/引受 07 07 ST販売 ST販売 08 ST売買取次 08 ST売買取次 08 08 09 09 約定結果 約定結果 10 ST移転 (SC決済) 各種代理人 00 (各種委託) 12 (納税) 11 利払(納税原資) 13 利払(SC送金) 13 利払(SC送金) *3 *1 *1 機関投資家向けST=「社債管理者設置不要」且つ「源泉徴収不適用制度適用」の前提で、資金決済機能をSCで自動化すればFAへの業務委託は発生しない可能性あり *2 既存機関投資家(=暗号資産取引に馴染み無し)はカストディ型を前提 *2 *2 *3 金商ライセンス必須 © Progmat, Inc. #45 #オンチェーン完結型社債(円債ST×SC)の概要|議論のポイント MMFではなく「円債ST」の場合、本質的な付加価値は「各当事者間を繋ぐ共通プラットフォーム(インターフェイス)」の確立の方にあり、SC利用は「FA業務委託不要 化」や「セカンダリ円滑化」への影響に留まる。重要要素である共通PFは、ST債に限らず振替債を含めた検討の枠組みが望ましい。 #Appendix
  39. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 受託者(信託銀行) 特定受益証券発行信託 外国社債 外貨SC 受益権

    (ST) *1 精算受益権 国内親会社 海外子会社 委託者 兼 仲介者 国内投資家 国内投資家 セカンダリ 00 アレンジメント 01 引受 02 信託設定 05 03 ST 発行 仲介者 (兼ST/SCカストディ) (兼カストディ) 04 ST 販売 対象投資家データ (前提等は「データ連携WG」) 11 利払 06 ファンマーケティング 07 ST 買取 08 ST 売買取次 08 08 ST 売買取次 08 09 09 約定 結果 約定 結果 10 ST移転(SC決済) (SC送金) 12 分配 (SC送金) 海外(クロスボーダー) *1 既存ST&JDRの整理を踏襲 *2 *2 金商ライセンス必須 © Progmat, Inc. #46 #オンチェーン完結型社債(外債ST×SC)の概要|議論のポイント MMFではなく「特定の外国社債裏付けST」の場合、前提として「既に外国発行の外国債券がある発行体」が「信託型STのデータ連携フローを生かして国内投資 家へファンマーケティングを行う」ことが動機であり、SCを用いた「利払等国際送金の効率化」「セカンダリ円滑化」自体が強い動機付けになるものではなかった。 #Appendix
  40. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #48 個社別意見(一部抜粋)

    ・「現在の日本の投信スキームでSCによる設定解約をどのように実現できるか、法令面・実務面で精査する必要がある。」との意見があった。 ・「公社債投信の投資対象にSCを組み入れるには、法令面・実務面の精査が必要。」との意見があった。 ・「譲渡せず解約・設定で対応する、日中流動性の確保、高頻度の利払い対応については、実務面の精査が必要。」との意見があった。 ・「リスク等の観点から、ノンカストディアルウォレットの利用は機関投資家に限定するのが望ましいと思う。」との意見があった。 #「日本版トークン化MMF」実務検討上の観点|その他個社別の意見は以下のとおり(一部抜粋) #Appendix
  41. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 信託 信託 受益権 裏付 資産

    受益権発行 電子情報処理組織(ブロックチェーン) X Y 排他的に支配 する秘密鍵等 排他的に支配 する秘密鍵等 X Y 信 管理アドレス【X】 管理アドレス【Y】 受益権 Z 【譲渡制限】 権利主張不可 排他的に支配 する秘密鍵等 ? 管理アドレス【匿名】 匿名 トークン発行 トークン移転 消滅 受益権 取得 受益権 消滅 受益権 取得 トークン移転 匿名先を含めて 権利発生可能 © Progmat, Inc. #49 #「消滅・取得型トークン化受益権システム」(特許出願中)|発明効果 ➢ 信託受益権をトークン化し、トークン移転を「信託受益権の消滅および新受益者による取得」として構成し、信託受益権自体には譲渡制限を付す方式では、トーク ン化受益権の二重譲渡自体が発生せず、券面の交付も第三者対抗要件として氏名・住所の記録も要しない。 ➢ 電子情報処理組織上のトークンの移転事実(電子記録)により、不特定多数の受益者間の移転を、迅速かつ安定的に実行可能にする。 #Appendix
  42. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 【A】信託受託者サーバ 【B】権利者01サーバ 【C】権利者02サーバ 【D】権利者03サーバ 【B】Node

    【C】Node 【D】Node 【A】Node 【B】の秘密鍵に紐づく 管理アドレス 【C】の秘密鍵に紐づく 管理アドレス 【D】の秘密鍵に紐づく 管理アドレス 【B】内部 UI/DB 【C】が排他的に支配 する秘密鍵 【C】内部 UI/DB 【D】内部 UI/DB 【A】内部 UI/DB 【A】の秘密鍵に紐づく 管理アドレス アドレス【C】に対する 移転Tx作成,秘密鍵署名 アドレス【D】に対する 移転Tx作成,秘密鍵署名 【B】が排他的に支配 する秘密鍵 【D】が排他的に支配 する秘密鍵 【B】権利消滅 【C】権利取得 【C】権利消滅 【D】権利取得 【B】権利取得 (氏名/名称・住所不要) (氏名/名称・住所不要) アドレス【C】情報 アドレス【D】情報 トークン化受益権に係る信託契約 情報登録,譲渡制限登録,内容公開 公開(Web) 受益権性質情報 公開(Web) 受益権性質情報 公開(Web) 受益権性質情報 (氏名/名称・住所不要) アドレス【B】情報 アドレス【B】に対する発行Tx作成, 秘密鍵署名(Mint) 【A】が排他的に支配 する秘密鍵 受益権消滅/取得状況反映/出力, 最新受益者アドレス情報反映/出力 01 02 02 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 電子情報処理組織(ブロックチェーン+内部UI/DB) ※Tx:Transaction(トランザクション)の略称。ブロックチェーン上の処理を指す。 © Progmat, Inc. #50 ➢ スキーム直接参加者である【A】【B】【C】【D】がブロックチェーン上のノードを具備したうえでアクセス可能とし、【A】はトークン化受益権発行を行うための秘密鍵、【B】 【C】【D】は自己のトークン化受益権を移転するための秘密鍵を排他的に支配・管理する。 ➢ 【A】は受益権情報を登録/公知したうえで、各参加者は発行/移転Txを作成/署名し、アドレス情報のみで権利の消滅/取得を行い、【A】は最新状態を把握する。 #「消滅・取得型トークン化受益権システム」(特許出願中)|システム構成概要 #Appendix
  43. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 免責事項 ⚫ 本資料は、ディスカッション用に作成されたものであり、個別の商品、サービスを勧誘することを目的としたものではあり ません。本ディスカッション或いは資料だけで契約が成立するものではありません。従って、当社はいかなる種類の法 的義務、或いは責任を負うものではありません。

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