XP祭り2024にてお話しさせていただいたスライドです。
https://confengine.com/conferences/xp2024/proposal/20379/scrum
私は2021年11月から楽天グループ株式会社ラクマ開発課でApplication Engineerとして働いております。
今でこそ大規模なプロダクトに携わる事が出来ていますが、私がエンジニアとしてキャリアを始められたのは30歳を過ぎてからでして、楽天での3年間を含めて現在エンジニアとしての経験が5年弱しかありません。
それゆえの焦りからだったのですが、とにかくエンジニアとして技術的にもっと強くなっていきたい思いが強く、もっともっと強くなることにこだわっていました。
そして技術力以外のコミュニケーション能力などのソフトスキルは、エンジニアとしての成長においては重要ではないと感じていて、改善をしようと思ったことはありませんでした。
ですがやればやるほど、技術力、例えばプログラムを書くこと以外の壁にぶつかる事が多く、その壁は自分の技術力が低いから、壁として立ち塞がっているのだと思っていました。
そんな中現職の元上司の影響もあり、Scrumやモブプロの世界を知りました。
当初は言われるがままに試してみたり、なんとなく楽しそうだからという動機でカンファレンスに参加したり、Scrumやモブプロに関する学習をしていました。
そして学びが深まって実践していくうちに、Scrumとモブプロで自分が今まで感じていた壁を越えられるようになっていった事に気づきました。
その壁を越えられるということは、技術力を存分に発揮してプログラムを書くことに集中できるようになるということなのではと思い、もっとScrumとモブプロを上手くなってみたいと思うようになりました。
Scrumとモブプロについて学習を続けていくうちに、自分自身の感情をコントロールすることや、他者とコラボレートすることにも価値を感じるようになり、心理学の勉強にも興味を持つようになっていきます。
関連する書籍を読み、Scrum FestなどでNVCや教育心理学についての登壇を見て、学んだことを実践していきました。
学びと実践を通し、エンジニアリングとコミュニケーション能力はとても密接な関係にあると気づきました。
例えばPull Requestのレビューや設計についての議論、この質を高めることは良いエンジニアリングに繋がります。
そしてのその質を高める要素は大きく以下になると思います。
- Pull Requestや設計の中身の質に関わる知識量
- レビューや議論で得られるFeebackの量と質
前者は個人の学習や経験から引き出せる知識量と直結してると思います。
後者はどれだけ他者との対話を通して学びを得られるかという点で、その得られた学びは前者にも繋がってきます。
そして後者の質を上げるために個人として知識量を増やしておくことも重要なのですが、それと同じぐらいコミュニケーションの力が重要です。
レビューや議論は、時に感情に触れるものだったりして受け入れ難くなってしまったり、こちらの意図を上手く伝えることができなくて適切なFeedbackが得られなくなってしまいます。
これは自分が実践を重ねていく中で感じたことなのですが、自身の感情をコントロールして他者からのFeedbackを受け入れ、こちらの意図を適切に伝えられるようになれば、学びが最大化されて良いエンジニアリングにつながり、それは個人の学びにも繋がるので結果としてエンジニアとしての成長にも繋がります。
これは私が実践から感じている、強くないエンジニアがより強いエンジニアに近づくための一つの方法です。
そしてこの方法を技術的に強いが、まだコミュニケーション能力を磨いたことがないエンジニアは、更に強くなる事にも繋がると思っています。
自分の学びの実践を重ねてきましたがまだまだ暗黙知だと思っていて、形式知にしていくことでより再現性を高めていくことで、もっとエンジニアリングが上手くなっていきたいと思っています。
このセッションでは私が学んできたことや経験をお伝えして、エンジニアリングの力とコミュニケーション能力の深い関係性を知っていただきたいと思っています。
そしてエンジニアの方にこのセッションを通して少しでも「コミュニケーション能力を磨いてみよう」と思ってもらえたら幸いだと思っています。