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なぜ勉強会だけでは浸透しないのか ~数百人規模の組織でコーディングエージェントを当たり前にした...

なぜ勉強会だけでは浸透しないのか ~数百人規模の組織でコーディングエージェントを当たり前にした戦略とその結果~

CEDEC2026の講演で使用した資料になります。

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Yusuke Sugiura

July 28, 2026

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Transcript

  1. 自己紹介 杉浦 優介 すぎうら ゆうすけ 2018年 サイバーエージェントへ入社 その後、子会社であるアプリボットへ出向 NieR Re[in]carnation

    など複数タイトルで クライアントリーダーやリードエンジニアを担当 現在は、 クライアントエンジニア領域責任者 兼 AI推進責任者 @siguma_sig
  2. アプリボットの概要 技術スタック 事業領域 スマートフォン向けゲームを中心に Web / ネイティブアプリケーションも開発 Unity / Go

    クライアント / バックエンド サイバーエージェントグループ子会社 組織規模 約600名 うちエンジニア 約150名 プロジェクト数 10+ 100名超の大規模案件から、10名程度の小規模案件まで
  3. 勉強会だけでは越えられない、定着までの5つの課題 1 実践に至らない 勉強会の参加者は「興味はある」で止まり、現場での実践に至らない 2 チームによって浸透具合がバラバラ 熱意のある人がいるチームだけが進み、それ以外は停滞する 3 普及度合いが定量で測れず、効果検証ができない どの施策が効いているのかわからない

    4 発展的な内容が扱いづらい 職種を絞らずに進めたため、エンジニア向けの深い話ができない 5 ゲーム開発での活用方法が難しいと思われている MCPは何を使えば良いか、そもそも開発のどこで使えるかなどがわかりづらい
  4. 3つの方針転換(2025年9月〜) 1 2 3 AI推進代表者を 各プロジェクトに配置 「活用レベル」を定義 毎月計測 推進対象を エンジニア職に限定

    現場に近い場所で、 リーダーシップを持っ て巻き込む体制を構築 エージェント理解度や 並列活用、ルール整備 状況など多角的な設問 でレベル付け より発展的・技術的な 内容を扱えるように 勉強会中心の全体展開 → 現場主導かつ計測可能な状態で、エンジニア中心の推進へ
  5. 施策全体像 計測する 責任者を置く 時間を確保する 同じ基準で見える化 現場に熱を浸透させる 試す時間を公式に用意 施策① AI活用レベル計測 施策②③④

    AI代表会 戦略共有会 エバンジェリスト会 ツールで型化する 一歩目をより 踏み出しやすく 施策⑤ 施策⑥ AI Week ツール整備 一度きりの「勉強会」ではなく、この4つの戦略に基づいて施策を設計
  6. 施策① AI活用レベル 概要 コーディングエージェントの活用度を定量で見える化するためにレベル定義と計測 目的 「浸透したか」を感覚ではなく、同じ基準で追えるようにする 計測の流れ 25問の設問回答 理解・並列活用・ チーム内への展開など

    → Lv1〜Lv5判定 個人の自己評価 → 組織別に集計 PJ/会社の弱点 → 測る対象は「成果」ではなく、コーディングエージェントをどれだけ理解し、使いこなせているか 施策の効果検証が可能になり、全社平均Lv3という定量目標を置くことが可能になった 翌月施策へ活かす 低スコア項目を改善
  7. 施策① AI活用レベル AI活用レベルごとの定義 Lv1〜Lv5の定義 Lv1 AIアシスタント AIツールの基本操作を習得し、コード補完を部分的に活用 使う Lv2 AIペアプログラミング

    AIとの対話で単一の開発タスク(バグ修正・機能追加)を完結 使う Lv3 AIオーケストレーター 複数セッションの並列活用・ワークフロー構築と知見のチーム還元 使いこなす Lv4 AIアーキテクト コーディングをAIに委任し、要件定義・品質保証に専念 使いこなす Lv5 AI・ワークフロー開発 自分や他のエンジニアが使えるAIツール・ワークフローを開発 Lv1-2「使う」→ Lv3-4「使いこなす」→ Lv5「作る」の3フェーズで段階的に引き上げる 作る
  8. 施策② AI代表会 概要 各プロジェクトにAI推進代表者を立て、その代表者間で毎月やったことを共有する 目的 各プロジェクトの成功を全社へ横展開 毎月の共有サイクル 1 現状を可視化 AIレベル平均と伸ばすポイント

    2 実践したことを持ち寄る モブプロ、Skills作成、 AI勉強会など 3 良い施策を横展開 他プロジェクトで再利用 代表者のミッションとして半期評価にも組み込み、責任を明確化&評価にも繋げられるように 結果、成功パターンが全体へ波及した。また、各プロジェクトの推進者が密に連携する機会になった
  9. 施策③ 半期AI活用戦略共有会 概要 各プロジェクト代表が、半期ごとにAI活用の現状と次半期の戦略を全社へ発表する会 目的 全体の意識統一と代表の責任感向上 発表内容 現状 戦略 宣言

    AIレベルから現状を把握 プロジェクトの現状をみて、 どんな施策を実施して、 活用度を上げていくか 次半期に 具体で何をやり切るか 社内のエンジニア全員が各プロジェクトのAI活用方針について知る機会になり、活用に向き合う意識が向上
  10. 施策④ エバンジェリスト会 概要 AIエバンジェリストが社長と毎月直接対話し、現場の取り組みを共有する会 目的 先進的なAI活用をしているメンバーと社長筆頭に経営陣のシンクロをする 対話するテーマ例 1 SDD/ハーネスなど最新トレンド 2

    3 若手とAIの付き合い方のような 組織論 AIコストと投資判断 社長筆頭に経営陣とのシンクロができ、全社で推し進めるものやコストなどの肌感をすり合わせができた
  11. 施策⑤ AI Week 概要 1週間の間、必ずコーディングエージェントを使って開発を行う 目的 「使いたいが、学ぶ・試す時間がない」状態を、1週間の集中期間で解消する 1週間の進め方 目標設定 具体的なやること

    を決める → 業務で実践 PMと工数を確保 → 試行・改善 使い方を磨く → 成果を共有 次の習慣につなげる 「余裕があれば試す」ではなく、各プロジェクトのPMと合意して正式に時間を確保 最初の一歩を強制的につくることができ、日常業務だけでは後回しになる学習と実践が組織全体でできた
  12. 施策⑤ AI Week 実際の目標アンケート 目標例 1 業務フローから3つのSkillsを作る 2 複数並列の開発環境を構築する 3

    チームのナレッジとルールを整備する 全員が“AI Week後のなりたい姿”を記入 使ったことがない人が居なくなり、活用レベルが一気に向上し、AIについての議論レベルも上がった
  13. 施策⑥ ツール整備 目的 社内の課題をツール整備で解決し、社内のAI活用浸透をサポートする 課題① 解決案 worktreeでの並列開発がしづらい worktree作成CLIツールを作成・展開 Submodule構成のリポジトリが多いため Submodule構成も考慮して自動セットアップ

    課題② 解決案 Skillsなどの作り方がわからない Pluginsリポジトリを作成 他プロジェクトの活用例も知りたい Applibot標準のSkills / MCPなどを提供 困りごとベースでツールが整備され、現場が使い始めやすい形でAI活用の浸透が進んだ
  14. 定量的成果(方針転換前 → 現在) 100% 100% 75% コーディング エージェント使用率 開発の起点が AIとの対話

    複数並列で エージェントを活用 全エンジニアが使用 習慣として定着 高度な活用も浸透 「開発時にまずAIとの対話を行う」習慣の定着 = 開発スタイルそのものの変化
  15. 活用状況の推移 2025年5月 2025年9月 現在 コーディング エージェント使用率 10% → 20% →

    100% 開発の起点が AIとの対話 5% → 15% → 100% 複数並列で エージェントを活用 0% → 5% → 75% 2025年9月の方針転換(勉強会 → 仕組み化)を境に、一気に加速
  16. 各社の推進担当に伝えたい4つの教訓 1 AIが日常にある環境を作る 2 現場に近い人を巻き込む あらゆる場で発信し、 経営層も巻き込んで組織の優先度を上げる 身近な人の実践がいちばん響く 3 計測できる指標で目標を立てる

    4 推進者自身が一番詳しくなる 計測できなければ評価できない 可視化が推進の後押しになる 何を聞かれても答えられることが、 組織からの信頼につながる 「勉強会」だけではなく、「仕組みと文化」を作ることが大切