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なぜ勉強会だけでは浸透しないのか ~数百人規模の組織でコーディングエージェントを当たり前にした...
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Yusuke Sugiura
July 28, 2026
Business
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なぜ勉強会だけでは浸透しないのか ~数百人規模の組織でコーディングエージェントを当たり前にした戦略とその結果~
CEDEC2026の講演で使用した資料になります。
Yusuke Sugiura
July 28, 2026
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Transcript
なぜ勉強会だけでは浸透しないのか 数百人規模の組織で コーディングエージェントを当たり前にした戦略とその結果 株式会社アプリボット 杉浦 優介
このセッションでお伝えしたいこと アプリボットでは、約1年足らずでエンジニアの コーディングエージェント使用率 100% を達成 個人が 使いこなすこと 組織全体で当たり前に 使われる状態を作ること この2つは
全く別の課題 なぜ勉強会だけでは浸透しないのか、壁とその後行った打ち手と成果をお話しします
自己紹介 杉浦 優介 すぎうら ゆうすけ 2018年 サイバーエージェントへ入社 その後、子会社であるアプリボットへ出向 NieR Re[in]carnation
など複数タイトルで クライアントリーダーやリードエンジニアを担当 現在は、 クライアントエンジニア領域責任者 兼 AI推進責任者 @siguma_sig
アプリボットの概要 技術スタック 事業領域 スマートフォン向けゲームを中心に Web / ネイティブアプリケーションも開発 Unity / Go
クライアント / バックエンド サイバーエージェントグループ子会社 組織規模 約600名 うちエンジニア 約150名 プロジェクト数 10+ 100名超の大規模案件から、10名程度の小規模案件まで
1. 初期の取り組みと方針転換 2. 具体的に行った施策とその効果 3. 実際の成果と各社の推進担当に伝えたい 教訓
01 初期の取り組みと方針転換
初期の取り組み(2025年5月〜8月) AI浸透のため、横断組織「生成AI室」を設立(2025年5月) 当時、Cursorを知らない人が大半だった まず、誰もが「AIツールを使いはじめられる環境」を整備 AIツール・MCPのホワイトリスト管理 ・使用可否を明確化 ・迷わず安全に使える状態に 社内ツールMCPの内製化 ・当時はMCPが未成熟で社内のツール も公式では無いものが多かった
・Confluence・Wrike等に自前で対応
初期の取り組み(2025年5月〜8月) あわせて、「触れる機会」と「投資の仕組み」も準備 全職種向けCursorハンズオン 生成AI室予算(研究費)の確保 ・MCP含む基本の使い方を体験 ・社長と相談し予算を確保 ・全職種がAIに触れる機会に ・新しいツールへ投資しやすく それでも、組織全体への浸透には至らなかった…
どうなったのか 社内の多くのメンバーが「興味はあるが、実践まで至らない」状態にとどまった また、チームによってコーディングエージェント活用度の格差が大きかった 熱意のある人がいるチーム どんどん活用が進む VS それ以外のチーム 停滞したまま 組織内で 「二極化」
が発生 勉強会や環境整備しただけでは組織は変わらない
勉強会だけでは越えられない、定着までの5つの課題 1 実践に至らない 勉強会の参加者は「興味はある」で止まり、現場での実践に至らない 2 チームによって浸透具合がバラバラ 熱意のある人がいるチームだけが進み、それ以外は停滞する 3 普及度合いが定量で測れず、効果検証ができない どの施策が効いているのかわからない
4 発展的な内容が扱いづらい 職種を絞らずに進めたため、エンジニア向けの深い話ができない 5 ゲーム開発での活用方法が難しいと思われている MCPは何を使えば良いか、そもそも開発のどこで使えるかなどがわかりづらい
3つの方針転換(2025年9月〜) 1 2 3 AI推進代表者を 各プロジェクトに配置 「活用レベル」を定義 毎月計測 推進対象を エンジニア職に限定
現場に近い場所で、 リーダーシップを持っ て巻き込む体制を構築 エージェント理解度や 並列活用、ルール整備 状況など多角的な設問 でレベル付け より発展的・技術的な 内容を扱えるように 勉強会中心の全体展開 → 現場主導かつ計測可能な状態で、エンジニア中心の推進へ
02 具体的に行った施策とその効果
施策全体像 計測する 責任者を置く 時間を確保する 同じ基準で見える化 現場に熱を浸透させる 試す時間を公式に用意 施策① AI活用レベル計測 施策②③④
AI代表会 戦略共有会 エバンジェリスト会 ツールで型化する 一歩目をより 踏み出しやすく 施策⑤ 施策⑥ AI Week ツール整備 一度きりの「勉強会」ではなく、この4つの戦略に基づいて施策を設計
施策① AI活用レベル 概要 コーディングエージェントの活用度を定量で見える化するためにレベル定義と計測 目的 「浸透したか」を感覚ではなく、同じ基準で追えるようにする 計測の流れ 25問の設問回答 理解・並列活用・ チーム内への展開など
→ Lv1〜Lv5判定 個人の自己評価 → 組織別に集計 PJ/会社の弱点 → 測る対象は「成果」ではなく、コーディングエージェントをどれだけ理解し、使いこなせているか 施策の効果検証が可能になり、全社平均Lv3という定量目標を置くことが可能になった 翌月施策へ活かす 低スコア項目を改善
施策① AI活用レベル AI活用レベルごとの定義 Lv1〜Lv5の定義 Lv1 AIアシスタント AIツールの基本操作を習得し、コード補完を部分的に活用 使う Lv2 AIペアプログラミング
AIとの対話で単一の開発タスク(バグ修正・機能追加)を完結 使う Lv3 AIオーケストレーター 複数セッションの並列活用・ワークフロー構築と知見のチーム還元 使いこなす Lv4 AIアーキテクト コーディングをAIに委任し、要件定義・品質保証に専念 使いこなす Lv5 AI・ワークフロー開発 自分や他のエンジニアが使えるAIツール・ワークフローを開発 Lv1-2「使う」→ Lv3-4「使いこなす」→ Lv5「作る」の3フェーズで段階的に引き上げる 作る
施策① AI活用レベル 実際のアンケート設問 集計結果 機能ごとの活用度を0〜4の5段階で自己評価 (全25問) 平均レベルの推移を毎月可視化し、 伸ばす領域を特定 改善ポイントが具体化され、どのような部分が伸ばせることをやるべきかが明確になる
施策② AI代表会 概要 各プロジェクトにAI推進代表者を立て、その代表者間で毎月やったことを共有する 目的 各プロジェクトの成功を全社へ横展開 毎月の共有サイクル 1 現状を可視化 AIレベル平均と伸ばすポイント
2 実践したことを持ち寄る モブプロ、Skills作成、 AI勉強会など 3 良い施策を横展開 他プロジェクトで再利用 代表者のミッションとして半期評価にも組み込み、責任を明確化&評価にも繋げられるように 結果、成功パターンが全体へ波及した。また、各プロジェクトの推進者が密に連携する機会になった
施策② AI代表会:共有例 毎月の会で実際に共有された「アクション → 効果」の例 アクションと効果をセットで毎月共有 共有された型は他プロジェクトでも再利用
施策③ 半期AI活用戦略共有会 概要 各プロジェクト代表が、半期ごとにAI活用の現状と次半期の戦略を全社へ発表する会 目的 全体の意識統一と代表の責任感向上 発表内容 現状 戦略 宣言
AIレベルから現状を把握 プロジェクトの現状をみて、 どんな施策を実施して、 活用度を上げていくか 次半期に 具体で何をやり切るか 社内のエンジニア全員が各プロジェクトのAI活用方針について知る機会になり、活用に向き合う意識が向上
施策④ エバンジェリスト会 概要 AIエバンジェリストが社長と毎月直接対話し、現場の取り組みを共有する会 目的 先進的なAI活用をしているメンバーと社長筆頭に経営陣のシンクロをする 対話するテーマ例 1 SDD/ハーネスなど最新トレンド 2
3 若手とAIの付き合い方のような 組織論 AIコストと投資判断 社長筆頭に経営陣とのシンクロができ、全社で推し進めるものやコストなどの肌感をすり合わせができた
施策④ エバンジェリスト会:共有例 社長に毎月共有している内容の例 今月のアクションと効果を社長へ直接共有 SDD導入など、成果・変化まで踏み込んで共有
施策⑤ AI Week 概要 1週間の間、必ずコーディングエージェントを使って開発を行う 目的 「使いたいが、学ぶ・試す時間がない」状態を、1週間の集中期間で解消する 1週間の進め方 目標設定 具体的なやること
を決める → 業務で実践 PMと工数を確保 → 試行・改善 使い方を磨く → 成果を共有 次の習慣につなげる 「余裕があれば試す」ではなく、各プロジェクトのPMと合意して正式に時間を確保 最初の一歩を強制的につくることができ、日常業務だけでは後回しになる学習と実践が組織全体でできた
施策⑤ AI Week 実際の目標アンケート 目標例 1 業務フローから3つのSkillsを作る 2 複数並列の開発環境を構築する 3
チームのナレッジとルールを整備する 全員が“AI Week後のなりたい姿”を記入 使ったことがない人が居なくなり、活用レベルが一気に向上し、AIについての議論レベルも上がった
施策⑥ ツール整備 目的 社内の課題をツール整備で解決し、社内のAI活用浸透をサポートする 課題① 解決案 worktreeでの並列開発がしづらい worktree作成CLIツールを作成・展開 Submodule構成のリポジトリが多いため Submodule構成も考慮して自動セットアップ
課題② 解決案 Skillsなどの作り方がわからない Pluginsリポジトリを作成 他プロジェクトの活用例も知りたい Applibot標準のSkills / MCPなどを提供 困りごとベースでツールが整備され、現場が使い始めやすい形でAI活用の浸透が進んだ
03 実際の成果と各社の推進担当に伝えたい教訓
定量的成果(方針転換前 → 現在) 100% 100% 75% コーディング エージェント使用率 開発の起点が AIとの対話
複数並列で エージェントを活用 全エンジニアが使用 習慣として定着 高度な活用も浸透 「開発時にまずAIとの対話を行う」習慣の定着 = 開発スタイルそのものの変化
活用状況の推移 2025年5月 2025年9月 現在 コーディング エージェント使用率 10% → 20% →
100% 開発の起点が AIとの対話 5% → 15% → 100% 複数並列で エージェントを活用 0% → 5% → 75% 2025年9月の方針転換(勉強会 → 仕組み化)を境に、一気に加速
各社の推進担当に伝えたい4つの教訓 1 AIが日常にある環境を作る 2 現場に近い人を巻き込む あらゆる場で発信し、 経営層も巻き込んで組織の優先度を上げる 身近な人の実践がいちばん響く 3 計測できる指標で目標を立てる
4 推進者自身が一番詳しくなる 計測できなければ評価できない 可視化が推進の後押しになる 何を聞かれても答えられることが、 組織からの信頼につながる 「勉強会」だけではなく、「仕組みと文化」を作ることが大切
今後の展望 他職種への展開 成果への繋がりを 可視化 AIドリブンな 新規開発 同様のフォーマットで、 企画職向けにも展開 現状は活用する文化が できた状態で、
成果はまだ肌感のみ AIを最大限活かすには、 新規でワークフロー自体 を変える必要がある
ご清聴ありがとうございました!