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Generational ZGCのメモリ運用改善 - その物理メモリ使用量、本当に正しい?

Generational ZGCのメモリ運用改善 - その物理メモリ使用量、本当に正しい?

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Daishi Tabata

June 07, 2025
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  1. © 2025 Fujitsu Limited ZGCの特徴 G1GC ZGC チューニング (起動時設定) 必要性が高い

    せずとも十分な性能 レイテンシ アプリやチューニング によって変動 1ms以下 スケーラビリティ (ヒープサイズ) ヒープの増大化で レイテンシ鈍化リスク ヒープサイズは レイテンシに無影響 スループット 高い G1GC比 -15%以内
  2. © 2025 Fujitsu Limited ZGCの歩み JDK21 2023/9 JDK23 2024/9 JDK24

    2025/3 Generational ZGCリリース Generationalが ZGCのデフォルト化 非Gen ZGCが削除 JDK11 2018/9 実験版リリース (Linuxのみ) JDK14 2020/3 Windows/macOS サポート 正式リリース JDK15 2020/9
  3. © 2025 Fujitsu Limited 実際のメモリ使用量とRSSの不一致 RSSが実際のメモリ使用量より多く報告される RSSを使った判断・判定ができない 検証マシン 必要なメモリは10GB だから少し余裕を

    持ったマシンにしよう Java アプリ RSS:10GB Java アプリ 本番マシン メモリ12GB ⇐ ①過剰報告 ⇐ ②誤判断 ⇐ ③リソースの 無駄遣い
  4. © 2025 Fujitsu Limited ロードバリア オブジェクトの参照をロードするときにJITコンパイラが処理を追加 String name = person.name;

    例 •再配置後のアドレスに書き換える(Remap) •オブジェクトを参照中とマークする(Mark) オブジェクトの状態をみて、 処理 GCによるSTWが激減、1ms以下のレイテンシを実現 ZGC以外 アプリを一時停止してGCスレッドで実行 ZGC アプリの処理の一部として実行
  5. © 2025 Fujitsu Limited ロードバリア オブジェクトの参照をロードするときにJITコンパイラが処理を追加 String name = person.name;

    例 •再配置後のアドレスに書き換える(Remap) •オブジェクトを参照中とマークする(Mark) オブジェクトの状態をみて、 処理 GCによるSTWが激減、1ms以下のレイテンシを実現 ZGC以外 アプリを一時停止してGCスレッドで実行 ZGC アプリの処理の一部として実行 オブジェクトの参照のロードは ユーザアプリやAPI内部で頻発するので 無視できないオーバーヘッドとなる オーバーヘッドを軽減する仕組みが必要
  6. © 2025 Fujitsu Limited ZGC以外のオブジェクトの状態取得方法 ヒープ オブジェクト オブジェクト Mark Word

    Klass フィールド ・ ・ ・ 状態 状態を取得するには メモリアクセスが必須 状態はヒープ上の オブジェクト内で管理
  7. © 2025 Fujitsu Limited カラーポインタ Unused(16bits) F R M M

    オブジェクトアドレス(44bits) オブジェクトポインタ(64 bit) オブジェクトの状態をポインタ内の4bitで表現 メタデータ メモリアクセスを伴わず状態の取得が可能 メモリアクセス分のオーバーヘッドを軽減
  8. © 2025 Fujitsu Limited カラーポインタを使ったアクセス Unused(16bits) F R M M

    オブジェクトアドレス(44bits) メタデータ オブジェクトにアクセスするのにメタデータ部分は不要 ⇒ マスク処理でオブジェクトアドレス部分を抽出 この処理も削減できないか?
  9. © 2025 Fujitsu Limited マルチマップメモリ Heap Remapped View Heap Marked1

    View Heap Marked0 View ヒープメモリ 仮想アドレス空間 1つの物理メモリを3つのアドレス空間にマップ 各仮想アドレス空間内でオフセットが同じ ポインタは同じ物理メモリのアドレスを指す 例 0x41234 0x21234 0x11234 0x01234 マスク処理を省略 ⇒ オーバーヘッド軽減
  10. © 2025 Fujitsu Limited マルチマップメモリ Heap Remapped View Heap Marked1

    View Heap Marked0 View ヒープメモリ 仮想アドレス空間 1つの物理メモリを3つのアドレス空間にマップ 各仮想アドレス空間内でオフセットが同じ ポインタは同じ物理メモリのアドレスを指す 例 0x41234 0x21234 0x11234 0x01234 マスク処理を省略 RSSが実際の物理メモリ 使用量と一致しない原因 ⇒ オーバーヘッド軽減
  11. © 2025 Fujitsu Limited Generational ZGC Young領域 Old領域 OBJ OBJ

    一定期間以上存在した オブジェクトは昇格 JDK21 JDK23 JDK24 正式リリース ZGCのデフォルト化 非Gen ZGCが削除 •使い方(JDK21):-XX:+UseZGC –XX:+ZGenerational 領域ごとのGC戦略 GCパフォーマンスの最適化
  12. © 2025 Fujitsu Limited カラーポインタの拡張 Unused (2bits) R M m

    F Object Address(46bits) R R R M m F r r Unused (4bits) メタデータ 世代別のオブジェクトの状態を表現するには より多くのメタデータビットが必要 オブジェクトポインタ(64 bit) Unused (2bits) オブジェクトアドレス (46bits)
  13. © 2025 Fujitsu Limited マルチマップメモリの変更 効果: 効果よりも現実のリスクの方が大きいと判断 オブジェクトアクセス時のマスク処理をなくす ⇒ ロードバリアのオーバーヘッド軽減

    •実際の物理メモリ使用量とRSSが一致しなくなる •Generational ZGCのカラーポインタはメタデータが 増えたのでより多くのマルチマップが必要になる 現実: 廃止
  14. サマリ 非Generational Generational JDK11~JDK14 △ × JDK15~JDK20 〇 × JDK21~JDK23

    〇 ◎ JDK24~ × ◎ ×:未実装 △:実験版 〇:正式版 ZGCはGenerationalの導入で真価を発揮 JDK21以降への移行を検討してみよう ◎:正式版・おすすめ