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LeanとDevOpsの科学とAI駆動開発

Avatar for Kenji Takatani Kenji Takatani
August 25, 2025
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 LeanとDevOpsの科学とAI駆動開発

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Kenji Takatani

August 25, 2025
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  1. KDDIアジャイル開発センター 名古屋サテライトオフィス長/スクラムマスター 髙谷 憲司 2018年より名古屋市内の大手IoT通信機器メーカーにて 組込開発/スマホアプリのソフトウェアエンジニア/ プロダクトマネージャーとして従事。 2023年よりKAGに転職し、法人向けサイト 開発チームのスクラムマスターを担当。 社内の活動「音KAG(/)部」の立ち上げに関わり、

    音楽活動に貢献。Youtubeに作編曲・動画制作した ワクワクコンテンツを発信している。 2024年7月より名古屋サテライトオフィス長に就任。 オフショア案件のスクラムマスターや 社外生成AI案件のスクラムマスターとして従事 Twitter : @takateeen_knj 自己紹介 KDDI Agile Development Center Corporation 1 大阪出身 10年前から東海圏の人 音楽とキャンプ、娘2人 アニメの話しがち
  2. 2 KDDI Agile Development Center Corporation アジェンダ • AI駆動開発とは •

    Why AI駆動開発 • LeanとDevOpsの科学 • 実際にやったこと @オフショア開発 • まとめ
  3. 9 KDDI Agile Development Center Corporation AI駆動開発 とは・・・(What AI駆動開発?) AIを単なる「完成後の補助ツール」ではなく、開発プロセスの中心

    (駆動力)に据えてソフトウェアを作るアプローチです。 【例】 • 要件定義:コンセプトの言語化、ペルソナの作成 • 設計支援:画像生成、画面モックの案出し、APIなどのアドバイス • 実装支援:LLMがフレームワークやライブラリに沿ったコードを生成 ってchatGPTが言ってた。
  4. 13 KDDI Agile Development Center Corporation Why “AI駆動開発”? Q. なぜ、「AI駆動開発?」

    A. エンジニアのパフォーマンスを上げ るため。良いプロダクトを作るため。 ※ ツールはあくまで手段。
  5. 14 KDDI Agile Development Center Corporation LeanとDevOpsの科学 ソフトウェア開発と運用におけるパフォーマンスを科学的に分析し、高パフォーマンス組織を生み出す要 因を解き明かした本 (2010年代後半)

    DORAチーム(Nicole Forsgren, Jez Humble, Gene Kim)が中心となり、数万件以上のデータをもとに 実証研究が行われています。 • Lean:価値の優先順位を定める思想 • DevOps:価値を素早く循環させる実践 • FourKeys: 成果を数値で可視化
  6. 15 KDDI Agile Development Center Corporation 良いソフトウェア開発とは・・・? • 組織のパフォーマンスが高い ◦

    ソフトウェアデリバリのパフォーマンス • 変更のリードタイム・・・ 変更のコミット〜本番環境へのデプロイ時間 • デプロイ頻度 ・・・ 本番環境へのリリース頻度 • 変更失敗率 ・・・ 意図通り動かないコードをリリースした割合 • 平均修復時間 ・・・ 障害〜復旧するまでの平均時間 ◦ 個人の職務満足度が高い • 継続的なデリバリ • バーンアウトの軽減 (過労やストレス、生きがいの喪失) • デプロイ関連の負荷減少(はんこ、承認行脚など) • 離職率の軽減
  7. 16 KDDI Agile Development Center Corporation 良いソフトウェア開発とは・・・? • 組織のパフォーマンスが高い ◦

    ソフトウェアデリバリのパフォーマンス • 変更のリードタイム・・・ 変更のコミット〜本番環境へのデプロイ時間 • デプロイ頻度 ・・・ 本番環境へのリリース頻度 • 変更失敗率 ・・・ 意図通り動かないコードをリリースした割合 • 平均修復時間 ・・・ 障害〜復旧するまでの平均時間 ◦ 個人の職務満足度が高い • 継続的なデリバリ • バーンアウトの軽減 (過労やストレス、生きがいの喪失) • デプロイ関連の負荷減少(はんこ、承認行脚など) • 離職率の軽減
  8. 17 KDDI Agile Development Center Corporation 良いソフトウェア開発とは・・・? • ソフトウェアデリバリのパフォーマンス ◦

    変更のリードタイム・・・ 変更のコミット〜本番環境へのデプロイ時間 ◦ デプロイ頻度 ・・・ 本番環境へのリリース頻度 ◦ 変更失敗率 ・・・ 意図通り動かないコードをリリースした割合 ◦ 平均修復時間 ・・・ 障害〜復旧するまでの平均時間 Elite High Medium Low Lead Time < 1日 1日~1週間 1週間〜1ヶ月 1ヶ月以上 Deployment Frequency 1日に複数回 1日〜1週間ごと 週〜月単位でデ プロイ 数ヶ月に1回以 下 Change Failure Rate 0~5% 約20% (※) 約10% 約40% Recovery Time < 1時間 < 1日 < 1日 1週間~1ヶ月 ※ 「安定性だけなら Medium の方が良い」結果 High:リードタイム短い(1日〜1週間)、デプロイ頻度高い(毎日〜週単位) → CFR 約20% Medium:リードタイムは長め(1週間〜1ヶ月)、デプロイ頻度も低め(週〜月単位) → CFR 約10%
  9. 18 KDDI Agile Development Center Corporation 研究者に感謝。 DORA core Model

    ※ Google の DORA(DevOps Research and Assessments)とは、ソフト ウェアの開発、デリバリー、保守の有効性を測定するためのパフォーマンス指 標のフレームワークです。 https://cloud.google.com/blog/ja/products/gcp/using-the-four-keys-to-measure-your-devops-performance
  10. 19 KDDI Agile Development Center Corporation なぜ嬉しいのか? DORA core Model

    デリバリのパフォー マ ンスと、その指標 (Four Keys) 組織のパフォーマ ン スとウェルビー イン グからなる outcome AI駆動開発でどう にかできる内容
  11. 20 KDDI Agile Development Center Corporation なぜ嬉しいのか? DORA core Model

    組織のパフォーマ ン スとウェルビー イン グからなる outcome AI駆動開発でどうにか できる内容 1. 変更のリードタイム・・・ 変更のコミット〜本番環境へのデプロイ時間 2. デプロイ頻度 ・・・ 本番環境へのリリース頻度 3. 変更失敗率 ・・・ 意図通り動かないコードをリリースした割合 4. 平均修復時間 ・・・ 障害〜復旧するまでの平均時間 数値を計測して、適切なアプローチを! 柔軟なインフラ ドキュメントの品質 コードの保守性 継続的インテグレーション データベース変更管理 デプロイメントの自動化 チームがツールを選択する権限を 与えること 疎結合アーキテクチャ 監視と可観測性 テストの自動化 テストデータ管理 トランクベース開発 バージョン管理
  12. 22 KDDI Agile Development Center Corporation オフショア開発チームにおけるブリッジSE ブリッジSEを介す必要があるコミュニケーション 日本人 通訳(BridgSE)

    ベトナム人 ソースコード ・開発チケット ・相談ごと (日本語 ) ・開発チケット ・相談ごと (ベトナム語 )
  13. 23 KDDI Agile Development Center Corporation オフショア開発チームにおけるブリッジSE 平均修復時間(障害〜復旧するまでの平均時間)に異常な時間がかかる。 日本チームが諦めて直す場面が多々あった・・・ 日本人

    ・開発チケット ・相談ごと (日本語 ) 通訳(BridgSE) ベトナム人 ・開発チケット ・相談ごと (ベトナム語 ) ソースコード ボトルネックになりがち
  14. 24 KDDI Agile Development Center Corporation オフショア開発チームにおける生成AIの導入 SlackチャットBot Slack上でチャットbot (AOAI

    GPT/Bedrock Claude)を実装。 チケットの翻訳に加え、技術調 査や語学学習にも活用できる環 境を整備。 翻訳効率化に加え、オフショア メンバー・日本メンバー間の BrSEを介さないダイレクトコ ミュニケーションが増加。 pr-agent pull requestでの日本体制からの指摘 を効率化するため、pr-agentを導入。 pull requestに対して生成AIがコメン トすることで、日本メンバーによる レビュー・技術指導コストを削減を 目指し、運用を模索中。 Github Copilot 現地のワークショップを行い導 入。Copilotから受動的に提案を 受け付けるだけでなく、積極的 にCopilotへの質問や提案依頼を 行なっていくことでスピード アップ・可読性の向上を達成。 生成AIを活用し、ブリッジSEを介さないダイレクトコミュニケーションの実現、コードレ ビューの自動化等によりオフショア開発の生産性を最大化することに成功。 ブリッジSEを介す必要があるコミュニケーションを30%削減。
  15. 26 KDDI Agile Development Center Corporation オフショア開発チームにおける生成AIの導入 〜現状〜 • 日本

    ハノイチームの開発者同士のやり取りはほとんど無い • あってもslackで軽く話す程度 • BridgeSEに情報(チケット)が集約されて、 ハノイチームが開発をする運用 • BridgeSEがいないとチームがうまく回らないことがある
  16. 27 KDDI Agile Development Center Corporation 結果 アイデアがたくさんでてくる! • 必要な情報が欠けているチケットを事前に検知するツール

    • 会議内容をリアルタイムで翻訳、出力するツール • AI BrSE など 実際にプロトタイプ作ってくれたチームも…!
  17. 30 KDDI Agile Development Center Corporation まとめ • AI駆動開発(Howの導入)は大事 •

    DORAの「リードタイム」「失敗率」が改善傾向 • Leanの「ムダのない価値の最速提供」に一歩近づいた • 学び • AIは加速装置であり、方向性(Lean)とサイクル(DevOps)の基盤が必須 • 「なぜAIを入れるか」をチーム合意してから導入することが成功のカギ • やった方がいいこと • 導入後、各ステップを計測し、チームの健康状態の変化を見ること • DORA指標を使った継続的モニタリングと役割分担再評価
  18. 31 KDDI Agile Development Center Corporation まとめ • AI駆動開発(Howの導入)は大事 •

    DORAの「リードタイム」「失敗率」が改善傾向 • Leanの「ムダのない価値の最速提供」に一歩近づいた • 学び • AIは加速装置であり、方向性(Lean)とサイクル(DevOps)の基盤が必須 • 「なぜAIを入れるか」をチーム合意してから導入することが成功のカギ • やった方がいいこと • 導入後、各ステップを計測し、チームの健康状態の変化を見ること • DORA指標を使った継続的モニタリングと役割分担再評価 計測してみよう!!!