Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

20241027KSJ

Toshikazu SETO
October 26, 2024
10

 20241027KSJ

Toshikazu SETO

October 26, 2024
Tweet

Transcript

  1. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 1 A02 KOMAZAWA UNIVERSITY Visual Identity Guidelines Ϋʴ࿨จϩΰλΠϓ

    ,ϚʔΫʴ࿨จϩΰλΠϓͷ૊Έ߹Θͤ ͸ɺ ࠨͷछͰ͢ɻ ԣ جຊܗͱ͠ɺ ༏ઌతʹ࢖༻͠·͢ɻ ԣ ϫϯϙΠϯτͳͲɺ ʮԣʯ ͕഑ஔ͠ʹ͍͘ ৔߹ʹ࢖༻͠·͢ɻ ॎ ॎܕαΠϯͳͲɺ ࡉ௕͍഑ஔʹ࢖༻͠·͢ɻ ඞͣϚελʔσʔλΛ࢖༻͍ͯͩ͘͠͞ɻ ࠨهҎ֎ͷ૊Έ߹ΘͤΛ࡞੒͠ͳ͍Ͱ ͍ͩ͘͞ɻ ܗʣ ϙΠϯτ౳ʣ ॎ 地理空間情報の現状を踏まえた 国⼟数値情報のあり⽅検討会での議論・展望 駒澤⼤学⽂学部地理学科・准教授 東京⼤学空間情報科学研究センター(CSIS)・特任准教授 https://tossetolab.github.io/ [email protected] 瀬⼾ 寿⼀
  2. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 7 ベース・レジストリの整備(2021〜) • 公的機関等で登録・公開され、様々な場⾯で参照される、⼈、法 ⼈、⼟地、建物、資格等の社会の基本データであり、正確性や最 新性が確保された社会の基盤となるデータベース データ環境が整備済みの国・都市 データ環境の整備が遅れている国・都市

    ⼟地 データ インフラ データ 交通 データ ⼟地 データ インフラ データ 交通 データ すぐに新ビジネスを開始できる 暮らしやすい 新ビジネスのスタートアップコストが⼤きい サービスレベルが向上しない ⼈や企業、投資は、 より魅⼒的な場所 へ移動 データが、低品質であったり、利⽤制限されている場合がある。 データ収集で コストと時間を浪費 法⼈ データ 法⼈ データ データは最新かつ正確で⾃由に使える。また、連携している。 実証できても 持続できない オープン データ ベース・レジストリ +⺠間データ プラットフォーム • ⼟地系ベース・レジストリ(BR)︓アドレスBR(試験公開中)/不動産登記BR • 地図BR︓基盤地図情報、電⼦国⼟基本図(地図情報・オルソ画像) https://www.digital.go.jp/policies/base_registry
  3. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 8 国⼟情報整備に係る中期的⽅針・検討委員会 (岡部篤⾏委員⻑・2013策定→2018再訂) 第2章︓今後の国⼟情報整 備における基本的⽅針 1. 対流促進型国⼟を⽬指 す国⼟計画に対応した

    情報整備 2. 国⺠参加による国⼟づ くりを⽀えるソフト的 インフラとしての情報 提供・発信 3. 国⼟情報整備・更新に 要する費⽤の考慮 4. 国⼟情報に関する調 査・研究の実施 これを受けて、第2章では国土情報整備における基本的方針を述べている。 さらに、本方針ではどのような情報項目を整備すべきかが重要な論点であることから、第3章に おいて国土計画の推進上必要な情報項目を整備候補となる情報項目として列挙するとともに、各情 報項目について政策的重要度、 既存データの有無、 データの形式・精度、 新たに整備する場合の原典 資料候補等について整理した。 また、情報整備に加えて取り組むべき施策について第4章にとりまとめるとともに、第5章で長 期的な視野からの国土情報にかかる展望と課題について記述している。 最後の「おわりに」では、本方針の検証とフォローアップについて述べている。 本方針の構成 ※巻末に別表として「国土数値情報の情報項目ごとの政策的重要度及び諸元」を添付(第3章関連)
  4. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 9 新たな整備⽅針と過年度策定の中期的整備⽅針との関係 第1章 国土情報整備の現状と課題 1. 国土政策の基本理念の態様 2. 多様な主体による国土情報の利⽤

    3. コスト等の最適化及び国土政策局以外における情報整備の進展 4. 国土情報整備に関係して着目すべき社会環境の変化 第2章 今後の国土情報整備における基本的⽅針 1. 対流促進型国土を目指す国土計画に対応した情報整備 2. 国⺠参加による国土づくりを支えるソフト的インフラとしての情報提供・発信 3. 国土情報整備・更新に要する費⽤の考慮 4. 国土情報に関する調査・研究の実施 第3章 整備候補となる情報項目 1. 国土情報の分類整理 2. 国土政策局が整備すべき情報項目 3. 国土数値情報として整備を検討すべき情報項目についての諸元の整理 4. 国土政策局が整備すべき情報項目の優先順位の考え⽅ 第4章 情報整備に加えて取り組むべき施策の検討 1. 各府省・地⽅公共団体における情報の整備状況等の把握 2. 国土情報の利活⽤事例の提供及び国土の分析成果の発信・提供 3. 地理情報標準への対応と他の情報とも使いやすい形式での提供 4. G空間情報センターとの連携 5. 国際的な取り組み等における国土情報の 向把握 6. 国土情報に係る人材の育成 第5章 ⻑期的な視野からの国土情報に係る展望と課題 1. ⻑期的な視野からの国土情報整備の可能性の拡大 2. ⻑期的な視野からの国土情報整備に係る課題 ◦ 国土数値情報の現状と課題 1.国土数値情報を取り巻く環境 2.国土数値情報の今日的な評価 3.多様な主体による国土数値情報の利⽤ ◦ 今後の国土数値情報の整備におけるニーズの 把握 1.⾏政・⺠間のニーズの把握 2.整備対象の取捨選択 3.新規ユーザーの獲得 4.効果的な情報発信 ◦ 今後の国土数値情報の効率的な整備⼿法・ 提供⽅法 1.効率的な整備⼿法 2.整備したデータの提供⽅法等の環境整備 3.他のデータによる代替性 ◦ 中⻑期の国土数値情報に係る展望と課題 ◦その他必要な事項を追記 ◦ 現⾏の整備⽅針(「国土情報整備に係る中的⽅針(以下、中期的⽅針)」︓平成29年度策定)のうち、現在もその内容を引き継げる ものは踏襲しつつ、今後の国土数値情報の整備にあたって重要と思われる論点を抽出し、本検討会でのご意⾒を踏まえた内容を重点的に新 たな整備⽅針に位置づけることとしたい。 【平成29年度 中期的⽅針の構成】 【新たな整備⽅針の構成案】(今後議論) 2 第3回検討会(2023年12⽉)資料より
  5. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 10 第5章 ⻑期的な視野からの国⼟情報に係る展望と課題(2018年) 1. 国⼟情報整備の可能性の拡⼤ ① ⾏政情報の電⼦化とオープン化による国⼟情報の整備の可能性 ②

    企業や個⼈が保有する情報を活⽤した国⼟情報整備の可能性 ③ 質的な分析、諸活動に関する国⼟情報整備の可能性 ④ 新たな技術の活⽤による情報取得・整備・蓄積 ⑤ 国⼟情報の利活⽤層の更なる広がり 2. 国⼟情報整備に係る課題 ① 国や地⽅公共団体が保有する情報の利⽤に関する課題 • (中略)地⽅公共団体の情報を原典資料として利⽤する場合に、どのような情報やどのような加⼯を施せ ば社会的な公益性が認められ、オープンデータとして活⽤できるのか、 また、個⼈情報保護等と相反しな い範囲での集計単位・精度等の利⽤条件等について検討し、地⽅公共団体からの情報提供が得やすくなる よう環境整備を図る必要がある。 ② 企業や個⼈が保有する情報の利⽤に関する課題 ③ 質的な分析、諸活動に関する国⼟情報整備の課題 ④ 地理空間情報に係る新たな技術の活⽤と情報の蓄積の課題 • (中略)今後整備される情報については中⻑期的に⽐較検証できることが望ましいため、できる限り情報 を蓄積し利活⽤できる状態とすることが必要である。さらに、これまでに電⼦化されていない過去の情報 についても、技術の進展や情報の利⽤ニーズを踏まえて電⼦化できることが望ましい。 ⑤ 多様な主体との連携や⼈材育成に関する課題 • (中略)国、地⽅公共団体等の職員 は、今後⾃ら国⼟情報を利⽤した現状把握、視覚化、分析、KPI 等の ⽬標設定を⾏うなどが求められることから、国⼟政策と国⼟情報に精通し GIS を利活⽤できる⼈材を育成 する必要がある。しかしながら、 国⼟情報をはじめとする地理空間情報の活⽤は幅が広いことから、国⼟ 交通⼤学校などのプログラムなどと連携して、国⼟政策や地⽅創⽣を進めるにあたって必要となる⼈材に 対する教育プログラムの実施や定期的な講習を開催するなど育成プログラムの作成と実践が必要である。 ⑥ 持続的な情報の整備や利活⽤に向けた財源等の確保 • (中略)⼀義的には国⼟情報の整備における必要性を認識し、国⼟の実相を把握する社会インフラとして 整備する財源を確保する必要があるが、国⼟情報がオープンデータとして提供されることを鑑みつつも、 データ整備・提供にかかる費⽤確保や低減を図るため、⼤学研究機関、研究開発法⼈や⺠間企業との共同 整備など委託事業以外の整備スキームを検討する必要がある。
  6. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 11 今後の国⼟数値情報の整備・提供⽅針 ―より開かれた・使われるデータに向けて― 1. 国⼟数値情報の現状と 評価 2. 国⼟数値情報の整備等

    にあたっての諸課題 3. 今後の国⼟数値情報の整 備等にあたっての⽅針 1. 利⽤ニーズの把握 2. ユーザーの拡⼤ 3. 効率的・効果的な 整備・提供 今後の国土数値情報の整備・提供方針 ―より開かれた・使われるデータに向けて― 目 次 はじめに ..................................................................................................................................................... 2 1.国土数値情報の現状と評価 ................................................................................................................. 3 (1)国土数値情報の歴史と現状 ............................................................................................................. 3 (2)国土数値情報を取り巻く環境 ......................................................................................................... 4 ① 経済・社会の動向 ........................................................................................................................ 4 ② 地理空間情報関連技術の進展・普及の動向 ................................................................................ 4 ③ 官民学各主体の動向 .................................................................................................................... 5 (3)国土数値情報の今日的評価と今後の方向性 .................................................................................... 7 ① 国土数値情報の特徴・意義 ......................................................................................................... 7 ② 今後の国土数値情報の基本的な方向性 ....................................................................................... 7 2.国土数値情報の整備等にあたっての諸課題 ....................................................................................... 9 (1)ニーズの把握に係る課題 ................................................................................................................. 9 (2)ユーザーの拡大に係る課題 ............................................................................................................. 9 (3)データ整備・提供に係る課題 ....................................................................................................... 10 3.今後の国土数値情報の整備等にあたっての方針 .............................................................................. 12 (1)国土数値情報の利用ニーズの把握 ................................................................................................ 12 ① 官民各主体のニーズ把握 ........................................................................................................... 12 (2)国土数値情報のユーザーの拡大 .................................................................................................... 13 ① 新たなユーザーへのアプローチ ................................................................................................ 13 ② 商用利用等の拡大に向けた取組 ................................................................................................ 14 ③ 効果的な情報発信 ...................................................................................................................... 14 (3)国土数値情報の効率的・効果的な整備・提供 .............................................................................. 15 ① 整備・更新対象の選択と判断 .................................................................................................... 15 ② 原典資料の標準化・高度化 ....................................................................................................... 16 ③ 新たな技術の活用 ...................................................................................................................... 18 ④ データ提供方法の改善等 ........................................................................................................... 18 ⑤ 国土数値情報へのアクセス性向上 ............................................................................................. 19 ⑥ 代替可能データへのアクセス性向上 ......................................................................................... 20 おわりに ................................................................................................................................................... 22
  7. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 14 検討会トークセッションにおける「将来展望」 • 論点1︓デジタルツイン時代に向けたベースデータ化 – 3次元都市モデルや点群データと合わせた3次元可視化 • 論点2︓AI等の先端技術を活⽤したデータ⽣成

    – AIを活⽤した場合,測量成果として位置づけられるの か︖(作業プロセスを成果物担保として位置づけられる のか︖)また,⾃動処理等で効率化がどう図れるか︖ – 教師データとしての地理空間情報の活⽤可能性 • 論点3︓オープンデータと⺠間データとの関係性 – データの鮮度・精度・ミクロデータでの「棲み分け」 – 国・⺠間双⽅による⾃治体のDX化→情報活⽤への流れ • 論点4︓新たな活⽤分野の拡⼤ – 選挙事務・不動産AI・⾦融物流業等への認知度向上 • 論点5︓教育現場での利活⽤の促進 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/chirikukannjoho/content/001761044.pdf
  8. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 16 ⾼校の地理総合における可能性と課題 -教育現場における国土数値情報の利用に際しての課題- ・国土数値情報のデータをそのままお渡ししても利用いただけないケースが多い。 ・当社がデータを加工し、組み合わせたものを見ていただくと良い評価を頂ける。 国土数値情報は教育現場においても利活用が十分に可能と思われるが、 【現場の状況を踏まえた課題】 ・校務で忙しい教員の方々にとって、すぐに使えるわかりやすいモノが必要

    ▸GIS自体を知らない方が多い、専門性が高いイメージで、先生方にとってはハードルが高い印象。 ▸直感的に触れるものでないと限られた授業時間で使えない、生徒に習熟させる必要もある。 ・興味、関心のある情報を探すことが困難 ▸国土数値情報の存在を知らない(GISのデータがオープン化されていることを知らない)。 ▸目的のデータが日本や世界に散在していて探すのが手間、構成が複雑かつ階層が深く見つからない。 ・データを入手しても、情報量が多すぎる問題 ▸授業に使用できるものなのか読み込みが必要。ファクトの確認も必要、翻訳も手間。 ▸たくさんの属性情報があっても使いきれない。 ※第2回検討会︓⽯川⽒・村松⽒資料より
  9. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 17 包括的データ戦略のアーキテクチャ 国⼟数値情報整備の基本原則(私案) デ ! タ 環 境

    整 備 ⼈ 材 ・ セ キ ュ リ テ ィ Open by Default 国⼟数値情報は、地理空間分野のデータコモンズとして 「オープンデータ化原則**」に基づき、整備する。 **︓①営利、⾮営利⽬的を問わず⼆次利⽤可能、②機械判読に 適応、③無償で利⽤可能 ※参考︓まちづくりのデジタル・トランスフォーメーション実現ビジョン 〔ver1.0〕「まちづくりDX原則の考え⽅」 官⺠連携 データの活⽤⽅策や新たな整備ニーズの掘り起こしに、 産・官・学・⺠それぞれのステイクホルダーが貢献・連携 する。 標準化 データ標準の策定や,メタデータの整備・機械可読性の担 保。データごとで精度や情報量が統⼀的になるような情報 提供者(地⽅公共団体等)への働きかけ。 サービス・ アプローチ FAIR原則*に則り、あらゆる利⽤者にとって活⽤しやす いデータ提供形式・検索性の向上などを⽬指す。 *:発⾒容易性・アクセス性・相互運⽤性・再利⽤性 重点的なデータ整備に関する取り組み ①インフラ ②データ ③連携基盤・ツール ④利活⽤環境 ⑤ルール ⑥社会実装と業務改⾰ ⑦新たな価値の創出
  10. 2024/10/27 第33回学術研究発表⼤会・第19回MGD研究会 18 本発表を通した私⾒ • 地理空間情報のコモンズとして、国⼟数値情報が 「地図」分野を越えた全国的・標準的なデータ整備の 担い⼿として期待 • 情報化の進展や⼤きな社会変⾰を経て、あらゆるセク

    ター(政府・⾃治体・「シビックテック」等)でオー プンなデータ&取り組みが重要に – 新たな分野への普及・拡⼤ – 多様な主体が「参加」できるようなデータ基盤やデータ提 供環境に対する継続的な⽀援を期待 – 「教育」(⼈材育成)現場へのリーチが急務(普及までに は時間を要するため) – 11/1(⾦)秋葉原UDXにて東京⼤学シビックテック・デ ザイン学創成寄付研究部⾨キックオフイベントを開催