Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

2023/11/14 観光と宇宙

2023/11/14 観光と宇宙

和歌山大学の「観光と宇宙」で発表したスライドです。

発表内容は報告者個人の見解に基づくものであり、発表者が所属する組織の公式見解ではございません。
また、内容に誤りがある可能性があります。ご了承の上閲覧ください。

Tatsuki Yonezawa

March 24, 2024
Tweet

More Decks by Tatsuki Yonezawa

Other Decks in Education

Transcript

  1. 自己紹介 • 米澤樹(よねざわ たつき) • 紀美野町みさと天文台 研究員 • 和歌山大学観光学部9期生 ※2019年卒業

    • 尾久土ゼミ所属、GISを使い研究 • クリエソーラー四輪自転車プロジェ クト • 部活:競技スキー部 • 学芸員資格取得、博物館実習は「み さと天文台」 • バイト:個別指導塾講師、Amazon 倉庫ピッキング 4
  2. タイムスケジュール 予約 開始時間 月 火 水 木 金 土 日・祝

    プラネタリウム・ライブ解説 要 14:30 休館日 〇 〇 3Dによる宇宙の旅 ※1 15:30 〇 〇 全天周映画 要 16:30 〇 〇 星空ツアーNeXT 1回目 要 19:30 〇 〇 〇 〇 星空ツアーNeXT 2回目 要 20:30 〇 〇 ※1「プラネタリウム・ライブ解説」か「全天周映画」のどちらかへ参加のお客様のみ、「3Dシアター宇宙の旅」 (無料)にご参加頂けます。 ※6・7月は全ての時間が上記より30分遅くなります。 28
  3. 料金について プラネタリウム 全天周映画 星空ツアーNeXT 一般 500円 500円 1,500円 小学生・中学生・高校生 100円

    100円 200円 未就学児(乳幼児) 無料 無料 無料 ※12-2月は星空ツアーNeXTの一般価格は1000円 2021年のリニューアルにより価格を変更。リニューアル前は「大人200円」だった。 29
  4. 公開天文台の観望会の料金 無料 56% 入館料に含まれ る 23% 入館料に含まれない 21% ※1:公開天文台白書2018 公開天文台(望遠鏡のある施設のた

    め科学博物館や公民館なども含む) の夜の観望会の料金は右図(※1) の通り。 50%以上が無料 <参考>博物館の料金 無料:35.3% 入館料 平均 ¥434 中央値 ¥310 出典:日本の博物館総合調査報告書(2020)
  5. 観望会の料金について 長野県阿智村 浪合パーク 1,800円 長野県阿智村 スタービレッジアチ 2,600円-3,400円 石垣島 体験工房コーラルブルー 2,200円

    与論島 アークトゥルス 3,300円 ※各HPより、2023/06の値段。内容、所要時間が異なるため単純な比較はできないことに留意 32
  6. みさと天文台の料金 • 一般的に観覧料、入館料が安すぎて、維持管理ができないところもある →持続可能でない。幅広い業界に一石を投じる • 町の歳入(=収入)を一定程度確保 • 街の人に星でお金が取れることを示す。 山内台長 •

    決して安くない1,500円はスタッフ(米澤)にとってプレッシャー • 面白いもの、楽しいものにしないといけない →結果的に天文台の品質向上に役立っているのでは。 • なお、今のところ料金が「高い」と言う声はない。 • ちなみに、この料金でも黒字にはならない。 • 一方で業界内、組織内で、教育でお金を取ってよいのか、観光に力を入れないと いけないのかとの声もある。 そもそも観光と教育は本当に違うのか。教育でお金を取るのは良くないのか、、 天文教育とアストロツーリズムの垣根を越えて ~鹿児島県与論島における星文化普及の取り組み~ (澤田ほか、2021) 33
  7. 37

  8. 38 棚橋源太郎「博物館施設近時の傾向」(1929 年) 維持に差支ない限りは無料で入れると云ふことを原則としなければならぬ。 併しながら無料入場と云ふことは必ずしも無制限に人を入れると云ふことではない のです。観覧の曜日と時間を制限し観覧の区域を限定する必要がある。美術館には特 に其の必要がある。公衆の運んで来る塵埃や日光、湿気、熱、振動等で陳列品に非常 な損害を被むるからである。(中略)博物館を余り開放すると種々な弊害が起る、悪用 される傾がある。 1954年度の調査(鶴田総一郎)

    現在の日本にとっては有料入場はいろいろな意味での災害を防ぐためのよい意味の 一種の入場制限になっている。また日本の大衆の心理として、無料ということは商業 広告でなければやすっぽい見せ物というように感じてしまう妙な傾向があり、現在の 有料制度は結構利点もあるのである。 瀧端 真理子(2016),「日本の博物館はなぜ無料でないのか?―博物館法制定時までの議 論を中心に―」,『追手門学院大学心理学部紀要』(10),p13-31の孫引き
  9. 瀧端 真理子(2016),「日本の博物館はなぜ無料でないのか?―博物館法制定時まで の議論を中心に―」,『追手門学院大学心理学部紀要』(10),p13-31の孫引き 39 「博物館法制定 10 周年記念座談会」 ・古賀忠道(上野動物園長)「先の話の動物園協会の反対の一つは、“入場無料”という 項をそのままとり、無料では絶対にやっていけない、つぶれてしまう。即ち“原則とし て”というのをそのまま受けてしまった。」

    ・近藤春文「金をとれば博物館法が示す広く一般に提供することに反し、また研究調査 を考える場合、図書館法のように無料でやることはあり得ない。」 博物館の理念として、また、寄附や納税者からの支持を得る意味でも、博物館関係者は格差 是正のための努力(=不利益を被っている人々への積極的優遇措置)を、その有効性の検討 も含めて視野に入れるべき時期を迎えているのではないだろうか。(瀧端,2016)
  10. 40 学校 図書館 公民館 教育=>格差是正のために無償 民間=>営利目的 非営利団体 企業 赤十字 少しは自分で稼げる

    ようになりなさい 顧客志向となるため サービス向上が見込 まれる 海外は寄付も多いよ 納税者、行政機関 博物館
  11. 紀美野町星の動物園条例 星の動物園は、次に掲げる事業を行う。 1. 住民が宇宙を中心とした豊かな自然環境の中で正しい自然 観を吸収し、情緒豊かな人間形成を目指す事業 2. 天文及び宇宙に関する調査、研究及び資料等の刊行並びに 公開事業 3. 住民を対象に天体観望会を開催し、天文学の普及及び指導

    を行う事業 4. 住民講座、研究会、学会等を開催する事業 5. 全国の公開天文台や関連の学会等の関係機関と連絡し、協 力する事業 6. 前各号の事業を含め、星の魅力を発信するため、宿泊の場 を提供する事業 43
  12. 紀美野町星の動物園条例施行規則 2 研究員は、次に掲げる職務を行う。 1. 天文及び宇宙に関する調査、研究及び資料等の刊行並びに 公開に関すること。 2. 住民を対象に天体観望会を開催し、天文学の普及及び指導 に関すること。 3.

    住民講座、研究会、学会等の開催に関すること。 4. 全国の公開天文台や関連の学会等の関係機関との連絡及び 調整に関すること。 5. 友の会の運営に関すること。 44
  13. 「学びの楽しさ」を伝えるための手段 より魅力ある施設へ お客様に飽きられ ない施設にするた め、様々なサービス を提供する。 カフェ デジタル技術との融合 言葉では伝えにくい 内容も視覚的にわ

    かるようになり、深 い学びにつながる。 大型望遠鏡ドーム投影 ほんものにこだわる 様々なこだわりに より、一層感動でき、 観察力を養い深い 学びにつながる。 SDSSで使用した実物 ライブ解説 状況によって解説 が変わる 何度来ても楽しい 施設目指す。 プラネタリウム 47
  14. 事務仕事の例 • 請求書の処理 • ものを買ったり、使ったりしたら請求書がくる。 • 支払いができるように処理 • 各種調査への回答 •

    社会教育調査や議会、町、県の実施している調査へ回答 • 凛議 • 何かを実行する前に、それをしていいか上司にやっていいか聞く • 予算、決算 • 来年度こんなことに何円使うのか計画。増えた理由や減った理由が説明 できるように • 各種契約の締結 • 保守点検や工事、購入契約を締結する 49
  15. 星空ツアーに関わる仕事例 • 星空ツアーの実施 • 天文ニュースの収集 • 天文について勉強 • 各種催し実施にあたり、予約ページの作成 •

    ツアーで使う機器のメンテナンス • 無くしたネジやハズレそうな部品がないか確認 • レンズのクリーニング • ツアーで使う、器具や写真、スライドを作成 • 科学が面白く感じられるように! 51
  16. 研究員の一日(土日祝の例) 8 時 13 時 22 時 23 時 25

    時 起 床 就 寝 始 業 12 時 出 勤 ( 海 南 → 天 文 台 ) 帰 宅 ( 天 文 台 → 海 南 ) 終 業 休 憩 ( 晩 ご は ん ) 18 時 19 時 星 空 ツ ア ー 1 回 目 星 空 ツ ア ー 2 回 目 片 付 け 打 合 せ ・ 準 備 プ ラ ネ タ リ ウ ム 3 D シ ア タ ー 全 天 周 映 画 14 時 15 時 16 時 朝 ご は ん 、 昼 ご は ん 、 晩 ご は ん の 用 意 20 時 空き時間 事務作業・催し準備・展示整備等その他作業 65
  17. 参考文献等 • Astrotourism Lab • みさと天文台 • 山内千里(2022)「みさと天文台の “令和の大改修” に至るま

    で」 • 澤田 幸輝ほか(2021)「アストロツーリズムに対する日中間の認 識ギャップに注目した意識調査」 • 紀美野町(2023)「予算に関する説明書」 • 猪名川町(2022)「令和4年度 猪名川町予算説明書」 • 井原市(2023)「令 和5年度井原市一般会計特別会計予算書」 • 吉田芽生(2023)「星空観光に求められるもの」令和2年度和歌 山大学観光学部卒業論文 • 公開天文台協会(2023)「公開天文台白書2018」 70