Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
そのSQL、もっと速くなりますよ。
Search
forcia_dev_pr
February 21, 2022
Programming
0
480
そのSQL、もっと速くなりますよ。
「FORCIA Meetup #4 高速検索を支えるPostgreSQLのノウハウ」の資料です
forcia_dev_pr
February 21, 2022
Tweet
Share
More Decks by forcia_dev_pr
See All by forcia_dev_pr
第7回ゆるふわオンサイト解説
forcia_dev_pr
0
160
第6回ゆるふわオンサイト解説
forcia_dev_pr
0
190
よくわかるFORCIAのエンジニア旅行SaaSプロダクト開発編
forcia_dev_pr
0
600
よくわかるフォルシアのエンジニア 新卒採用編
forcia_dev_pr
0
3k
第5回ゆるふわオンサイト解説
forcia_dev_pr
0
130
よくわかるフォルシアのエンジニア 旅行プラットフォーム部編
forcia_dev_pr
0
5.5k
React hooks を気合で理解する
forcia_dev_pr
0
360
k8sマニフェストを Typescriptで管理したい― cdk8s+を導入してみました ―
forcia_dev_pr
0
340
第4回ゆるふわ競技プログラミングオンサイト解説
forcia_dev_pr
0
520
Other Decks in Programming
See All in Programming
pylint custom ruleで始めるレビュー自動化
shogoujiie
0
120
社内フレームワークとその依存性解決 / in-house framework and its dependency management
vvakame
1
560
Boost Performance and Developer Productivity with Jakarta EE 11
ivargrimstad
0
300
定理証明プラットフォーム lapisla.net
abap34
1
1.8k
DROBEの生成AI活用事例 with AWS
ippey
0
130
楽しく向き合う例外対応
okutsu
0
120
Domain-Driven Transformation
hschwentner
2
1.9k
Honoをフロントエンドで使う 3つのやり方
yusukebe
7
3.3k
Pulsar2 を雰囲気で使ってみよう
anoken
0
240
How mixi2 Uses TiDB for SNS Scalability and Performance
kanmo
37
14k
2,500万ユーザーを支えるSREチームの6年間のスクラムのカイゼン
honmarkhunt
6
5.3k
富山発の個人開発サービスで日本中の学校の業務を改善した話
krpk1900
4
390
Featured
See All Featured
Responsive Adventures: Dirty Tricks From The Dark Corners of Front-End
smashingmag
251
21k
Git: the NoSQL Database
bkeepers
PRO
427
64k
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
366
25k
The Cost Of JavaScript in 2023
addyosmani
47
7.3k
Docker and Python
trallard
44
3.3k
Typedesign – Prime Four
hannesfritz
40
2.5k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
114
50k
The Myth of the Modular Monolith - Day 2 Keynote - Rails World 2024
eileencodes
21
2.5k
Documentation Writing (for coders)
carmenintech
67
4.6k
Fireside Chat
paigeccino
34
3.2k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
461
33k
Designing Dashboards & Data Visualisations in Web Apps
destraynor
231
53k
Transcript
そのSQL、もっと速くなりますよ。 長尾 和昌 2022.02.15 FORCIA Meetup #4
自己紹介 • 長尾 和昌 (Kazumasa Nagao) • ソフトウェアエンジニア 旅行系アプリケーションの開発・保守 •
職歴 某電力会社の営業・経理 → プログラミング独学 → 起業 → 資金が底をつく → 就職 2
用語解説(バッチ処理とは) • オンライン処理のSQL エンドユーザーからのリクエストに応じて結果を返す。 数秒で完了する(べき)もの。 • バッチ処理のSQL 最新の料金在庫や商品情報などを顧客DBからコピーして 検索に必要な各種テーブルを作成する集中処理。
数十分で終わるものから数時間、なかには10時間を超えるものも。 3
バッチ処理のSQLの高速化に取り組む 4アプリケーションで計11時間短縮しました。 26.5時間 → 15.5時間(4アプリの合計) 4
高速化のノウハウを 4つ紹介させていただきます! 5
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル 6
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル 特に時間がかかっている処理をいくつか 調べたところ共通点が見つかりました。 7
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル いつも同じテーブルが登場する。 8
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル なんだこのテーブルは。 9
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル SELECT count(*) FROM hoge1; -[ RECORD 1 ]-
count | 100000000 10
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル でかい。 11
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル これを見て疑問に思いました。 12
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル このレコード、本当に全部使われているの? 13
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル SQLをじっと眺めていると さらに共通点が見つかりました。 14
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル hoge1 が使われるときは 必ず hoge2 もINNER JOIN されている。 (部屋IDにてJOIN)
15
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル つまり hoge2 に存在しない部屋IDは 絶対に使われることがない。 ……と、いうことで試してみました。 16
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル SELECT count(*) FROM hoge1 INNER JOIN hoge2 using
(部屋ID) ; -[ RECORD 1 ]- count | 8000000 17
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル めっちゃ減った。 1億 → 800万 18
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル hoge1 も hoge2 も顧客DBから取得した 生テーブルだったため、取得のタイミングで hoge1 に hoge2
をJOINして 不要なデータを落としました。 19
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル これにより、hoge1 を使っている全ての SQLが爆速化しました。 計165分の大幅な短縮となりました。 20
Case1. 1億レコードの超巨大テーブル 【まとめ】 そのレコードは本当に使っているのか。 使っていないなら可能な限り上流で落とす。 21
Case2. WHERE句から条件を消したい 22
Case2. WHERE句から条件を消したい プレウォームが遅い。100分もかかる。 23
Case2. WHERE句から条件を消したい プレウォームとは バッチ処理の最後、サービス復帰の直前に 前もってよく投げられるクエリを発行し 結果をキャッシュに載せる。 24
Case2. WHERE句から条件を消したい 問題のSQLをいろいろいじっていて あることに気づきました。 25
Case2. WHERE句から条件を消したい SELECT * FROM hoge1 WHERE 方面 = ‘8’;
「方面=’8’」を消すと爆速化する。 26
Case2. WHERE句から条件を消したい これ消したい。 27
Case2. WHERE句から条件を消したい ただ、必要なので書かれているわけで 消したいからといって消せるもんじゃない。 28
Case2. WHERE句から条件を消したい 消したいなあ。でも消せないなあ。 29
Case2. WHERE句から条件を消したい あっ!!! 30
Case2. WHERE句から条件を消したい テーブルのほうを分ければよいのでは?! 31
Case2. WHERE句から条件を消したい 方面の数は有限なので もとのテーブル(hoge1)を hoge1_1, hoge1_2, hoge1_3 …… と分割しました。 32
Case2. WHERE句から条件を消したい SELECT * FROM hoge1 WHERE 方面 = ‘8’
↓ SELECT * FROM hoge1_8; 33
Case2. WHERE句から条件を消したい 重かった WHERE がなくなり プレウォームが100分から15分に短縮。 34
Case2. WHERE句から条件を消したい 【まとめ】 WHEREが重くて困ったら テーブルのほうを分けられるか確認する。 35
Case3. ループするSQLにご注意 36
Case3. ループするSQLにご注意 こんなSQLがありました。 37
Case3. ループするSQLにご注意 38 5回ループ { CREATE TABLE 新テーブル_{1~5} AS SELECT
hoge FROM Aテーブル INNER JOIN Bテーブル INNER JOIN Cテーブル INNER JOIN Dテーブル INNER JOIN Eテーブル_{1~5} ; }
Case3. ループするSQLにご注意 ん?なんか無駄じゃないか? 39
Case3. ループするSQLにご注意 40 CREATE TEMPORARY TABLE 一時テーブル AS SELECT hoge
FROM Aテーブル INNER JOIN Bテーブル INNER JOIN Cテーブル INNER JOIN Dテーブル ; 5回ループ { CREATE TABLE 新テーブル_{1~5} AS SELECT hoge FROM 一時テーブル INNER JOIN Eテーブル_{1~5} ; }
Case3. ループするSQLにご注意 これでB~DテーブルをJOINする回数が 5回から1回に減りました。 処理時間も当然ながら1/5ほどになりました。 41
Case3. ループするSQLにご注意 【まとめ】 ループさせるときは 本当にループすべきもの以外は 一時テーブルとして外だしする。 42
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい 43
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい なんだこのSQLは……読めん。 44
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい 45 SELECT 超複雑な処理 FROM ( SELECT 超複雑な処理 FROM
( SELECT 超複雑な処理 FROM ( -- かろうじて理解できた部分、ここから SELECT hoge FROM Aテーブル INNER JOIN Bテーブル INNER JOIN Cテーブル INNER JOIN Dテーブル INNER JOIN Eテーブル -- かろうじて理解できた部分、ここまで ) ) );
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい 階層深いし、ループしてるし SELECTのなかに独自実装の関数がいっぱい。 46
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい しかも処理が遅いのは まさにその超複雑な箇所でした。 47
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい この超複雑な箇所を直接触らずに しかもその箇所の速度を上げたい。 でも、そんなうまい話あるわけ…… 48
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい ANALYZE !! 49
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい かろうじて理解できた箇所を外だしして ANALYZEをかけた状態で 超複雑な処理を迎えるようにすれば…… 50
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい 51 CREATE TEMPORARY TABLE 一時テーブル AS SELECT hoge
FROM Aテーブル INNER JOIN Bテーブル INNER JOIN Cテーブル INNER JOIN Dテーブル INNER JOIN Eテーブル ; ANALYZE 一時テーブル; SELECT 超複雑な処理 FROM ( SELECT 超複雑な処理 FROM ( SELECT 超複雑な処理 FROM 一時テーブル ) );
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい たったこれだけで25%の高速化に成功しました。 52
Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい 【まとめ】 困ったときのANALYZE 53
まとめ 54
まとめ • Case1. 1億レコードの超巨大テーブル そのレコードは本当に使っているのか。 使っていないなら可能な限り上流で落とす。 • Case2. WHERE句から条件を消したい WHEREが重くて困ったら
テーブルのほうを分けられるか確認する。 55
まとめ • Case3. ループするSQLにご注意 ループさせるときは 本当にループすべきもの以外は 一時テーブルとして外だしする。 • Case4. 理解不能な激ムズSQLでも速くしたい
困ったときのANALYZE 56
さいごに 今回ご紹介させていただいたノウハウは いずれもトリッキーな技術ではなく 「なんだそんな単純なことか」 「そんなこと既にできているに決まっている」 と思われるようなものも多々あったかと思います。 57
さいごに ただ、ひとつのSQLが数百行数千行あったとしたら どうでしょうか。 その中にたった数行問題のある重い処理が存在する ということは十分にあり得ることだと思います。 そして、それを探し出すのがSQLチューニングの 楽しさかなと思います。 58
ご清聴ありがとうございました! 59