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生成AI活用の本質的理解: 大学DXを加速する 「プロトタイプ起点業務」

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October 31, 2025
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生成AI活用の本質的理解: 大学DXを加速する 「プロトタイプ起点業務」

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  1. 生成AI関連 2019年4月~2021年10月 東京都市大学 総務部管理課 専任事務職員 2021年11月~2025年1月 九州大学 IR室 学術推進専門員 2022年7月-8月

    画像生成AI Midjourney/Stable Diffusionを使い始める 歌詞を元に画像を生成・画像を元にMV作成 2023年1月-3月 ChatGPTを使い始める 架空の大学職員を生成して実験したり業務への影響を考えたり 2023年4月 大学が公表した生成AIポリシーをデータベース化・公開(継続) 大学教職員向け講演・研修・ワークショップに多数登壇 その他…個人開発、プロンプトガイド構築(P4Us)、調査、執筆 森木 銀河 モリキ ギンガ @gmoriki @pogohopper8 図 形 中 程 度 の 精 度 で 自 動 的 に 生 成 さ れ た 説 明 • 佐賀県佐賀市 出身 • 修士[教育学] • クジラとゾウが好き AIとヒトをつなぐ人 2025年2月~ 某民間企業 社内の生成AI推進担当者 個人事業主 大学/教育機関等の生成AI活用支援
  2. 大学職員のあるある 具体的な業務シーンで感じる「あと一歩」の物足りなさ 広報担当者 「オープンキャンパスのキャ ッチコピー案を出してもらっ たが、大学の理念が反映され ておらず、結局ゼロから考え 直した」 教務担当者 「履修案内のFAQを作らせた

    が、例外規定や前提条件が抜 け落ちており、そのままでは 公開できなかった」 研究支援者 「科研費申請書の要約を頼ん だが、専門用語のニュアンス がズレており、研究の独自性 が伝わらなくなった」 © gmoriki 4
  3. なぜ「レベル1」の壁を越えられないのか? 2つの構造的要因:AIへの「関係性」の誤解と組織の「完璧主義」 © gmoriki 6 • AIを「単に質問に答えるチャットボット」 と捉えている • 「指示→回答」という一方向の関係性から

    抜け出せない • 「AIが悪いよーAIが」 1. AIとの関係性の誤解 2. 組織・個人の完璧主義 • AIの回答が「不完全」だとすぐに「使えな い」と判断してしまう • 「100点の答え」を最初から期待してしまい、 70点のたたき台から育てる発想がない • 「やっぱAIはまだまだやねw」
  4. なぜ「レベル1」の壁を越えられないのか? 2つの構造的要因:AIへの「関係性」の誤解と組織の「完璧主義」 © gmoriki 6 • AIを「単に質問に答えるチャットボット」 と捉えている • 「指示→回答」という一方向の関係性から

    抜け出せない • 「AIが悪いよーAIが」 1. AIとの関係性の誤解 2. 組織・個人の完璧主義 • AIの回答が「不完全」だとすぐに「使えな い」と判断してしまう • 「100点の答え」を最初から期待してしまい、 70点のたたき台から育てる発想がない • 「やっぱAIはまだまだやねw」 AIはただの便利な対話型チャットツールではない いま・不完全なAIを育てる (どうせ将来えげつない影響を与えるので媚売っておきましょう)
  5. 「エイリアン・インテリジェンス」の特性 AIは「人間のような」万能選手ではなく、「異質な」専門家である 人間より得意なこと(例) 人間より不得意なこと(例) 処理速度・量 ◎ 膨大で迅速な処理 △ 常識的な物理法則 パターン発見

    ◎ パターン発見・抽出 × 暗黙知・文脈の理解 スケーラビリティ ◎複製・展開が容易 × 倫理観・価値判断 記憶 ◎ 24時間稼働の記憶容量 △ 一貫性のない推論 © gmoriki 10
  6. 反脆い (Antifragile) AI導入における組織の「脆さ」 AIの「不完全さ」というストレスに、あなたの組織はどう反応しますか? 脆い (Fragile) AIの不完全な回答(ストレ ス)に直面し、混乱する。 「AIは使えない」と判断し、 以前のやり方に戻ってしまう

    頑健 (Robust) AIの不完全さを「想定内」と し、ストレスに「耐える」。 AIを補助的なツールとして、 限定的に利用する(レベル1 で停滞) AIの不完全さ(ストレス)を 「学びの機会」と捉える。そ こから対話が生まれ、業務プ ロセス自体の改善や革新に繋 げる © gmoriki 19
  7. 業務フローの変革 従来の「計画起点」から「プロトタイプ起点」へ 従来型 (計画起点) 完璧な計画立 案 (人間がゼロ から) 実行・開発 レビュー(手

    戻り発生) 新型(プロト タイプ起点) AIがプロトタ イプ生成 (数分) 人間とAIが対 話・改善 本質的な議 論・実行 高速リリー ス・改善 © gmoriki 22
  8. プロトタイプ起点業務の4ステップ AIとの「双方向」の対話サイクルを回す STEP 1 【目的設定】(人間) AIに「何を作ってほしいか」の目的・意図・期待を伝える(オープンな指示) STEP 2 【プロトタイプ生成】(AI) AIが指示に基づき、不完全なたたき台(プロトタイプ)を高速で生成する

    STEP 3 【検証・対話】(人間) 専門家として内容を精査(クローズドな検証)。 「なぜこうなった?」とAIに対話し、改善を指示 STEP 4 【改善・実行】(AI+人間) AIが改善案を再生成。人間が最終判断し、実行に移す(またはステップ3に戻る) © gmoriki 23
  9. 実践プロセス(よくある例) 事例:広報部門「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」 © gmoriki 24 STEP 1 【目的設定】(人間) AIに「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」を依頼 STEP

    2 【プロトタイプ生成】(AI) AIが数分で「動画企画プロトタイプ」を提示(シナリオ、スケジュール案) STEP 3 【検証・対話】(人間) 職員が確認 →「学生の動線を考慮していない」「撮影許可が必要」など問題が続出 STEP4 使えないなあ… プロトタイプ思考
  10. 実践プロセス(目指したい姿) 事例:広報部門「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」 24 STEP 1 【目的設定】(人間) AIに「新入生向けキャンパスツアー動画の企画」を依頼 STEP 2 【プロトタイプ生成】(AI)

    AIが数分で「動画企画プロトタイプ」を提示(シナリオ、スケジュール案) STEP 3 【検証・対話】(人間) 職員が確認 →この「ストレス」を「学びの機会」と捉える 「なぜAIはこの順序を提案したのか?」「我々が当然と思っている暗黙知は何か?」 STEP 4 【改善・実行】(AI+人間) 対話の中で「そもそも動画は必要なのか?」「VRツアーの方が効果的ではないか?」 といった、より本質的な問いが生まれる © gmoriki 反脆さ プロトタイプ思考
  11. みなさんが今すぐ始めるべきこと 「反脆い」組織文化を醸成するためのファーストステップ Step 1: 宣言 AIは「チャット」ではなく 「エイリアン」であると定 義し、AIの「不完全さ」は 「学びの機会」であるとト ップダウンで宣言する

    Step 2: 小さく試す 「反脆さ」を持つ意欲 的な部門・チームを選 び、「プロトタイプ起 点業務」のパイロット 運用を開始する(例: 広報部、DX推進室) Step 3: 成功の共有 「AIの70点のたたき台 から、人間が100点に した」という具体的な 「プロトタイプ成功事 例」を収集し、学内に 広く共有する Step 4: 横展開 成功事例を基にガイド ラインを整備し、他部 門へ横展開。AIとの 「協働」を組織文化と して根付かせる © gmoriki 41