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チームのテスト力を総合的に鍛えて品質、スピード、レジリエンスを共立させる/Testing ap...

チームのテスト力を総合的に鍛えて品質、スピード、レジリエンスを共立させる/Testing approach that improves quality, speed, and resilience

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Hiroki Iseri

July 07, 2025
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  1. 自己紹介 ⚫経歴 • 開発者、テストエンジニア、コンサルタント、QAエンジニアと様々な立場で 様々なプロダクトのソフトウェアテスト業務に従事 • 現在はトヨタ自動車でQA/テストテックリードを担当 • JSTQB技術委員、テスト設計コンテストU30クラス初代審査委員長 ⚫著作・講演

    • 「ソフトウェアテスト徹底指南書」(最近発売) 「テスト自動化の成功を支えるチームと仕組み」 「シフトレフトテストを支える現代的なテスト設計」 「テストの視点を活用したTDDアプローチの検討とその検証」(共著)など
  2. チームのスピード ⚫開発チームのスピードが速いと、プロダクト価値が高まる • ユーザのニーズを迅速に・効率的に実現できる • 顧客満足のための試行錯誤を高速に回せる • 開発とビジネスのフィードバックループを迅速に回せられる ⚫開発チームのスピードが遅いと、プロダクト価値が劣化する •

    有限な開発リソース(時間・コストなど)を使い果たして品質を犠牲にする • 試行錯誤ができずプロダクト価値を開拓できない • 開発とビジネスのフィードバックループがうまく回せない 現在では、チームの開発スピードが顧客満足に直結する
  3. チームのレジリエンス ⚫開発チームのレジリエンスが高いと、プロダクト価値が高まる • プロダクトに障害が発生しても即座に解消される • ユーザの不満点が改善される • リスクの許容度が高まりよりチャレンジができ、プロダクト価値を高められる ⚫開発チームのレジリエンスが低いと、プロダクト価値が劣化する •

    障害が発生しても復旧が遅れ、ユーザの不満点が残り続ける • ユーザ目線では、プロダクトの品質がひどく低いという印象につながる • リスクを伴うチャレンジができない 現在では、チームのレジリエンスが顧客満足に直結する
  4. 総合的なビジネスパフォーマンスは 開発チームのスピード・レジリエンスと連動 ビジネス パフォーマンス エリート 高い 中間 低い 変更リードタイム 1日未満

    1日~1週間 1週間~1か月 1か月~ デプロイ頻度 いつでも (1日複数回) 1日1回~ 1週間に1回 1週間に1回~ 1か月に1回 1か月に1回~ 変更失敗率 5% 20% 10% 40% 障害復旧時間 1時間未満 1日未満 1日未満 1週間から1か月 DORA Accelerate State of DevOps 2024 現代的なソフトウェア開発では プロダクト品質、開発チームのスピード・レジリエンスの共立が必要
  5. 開発者テストの充実のための 開発者が責任をもって自分のコードに自動テストを書く習慣の醸成 1. 習慣の定着 • ガイドラインやプロセスで納得を確保 • テスト駆動開発/Cover & Modifyの奨励

    • モブプログラミング/ペアプログラミングによる習慣の伝播 • CI/CDによる自動テストの資産化 2. 習慣づけへの短期フィードバック • PRレビュー/MRレビューでの有識者によるチェック • CI/CDからのカバレッジのフィードバック • フォールトインジェクション/ミューテーションテストによる評価 3. 習慣づけへの中長期フィードバック • 反復型プロセスを採用し、バグ流出を評価して改善サイクルをまわす
  6. テスト容易性 品質特性 内容 具体例 観測容易性 テスト対象の観測のしやすさ エラーログの充実度 制御容易性 テスト対象の操作のしやすさ APIの充実度

    セットアップ容易性 テストのセットアップのやりやすさ コンストラクタの単純さ 実行容易性 実行の容易さ テスト実行のブロック要因の少なさ 分解容易性 テスト対象の分割・置換の容易さ 接合部の充実度 網羅容易性 テストでの網羅のしやすさ デッドコードの少なさ 安定性 テスト対象の安定性・バグの少なさ 変更頻度の少なさ 環境構築容易性 テスト環境の構築のしやすさ 環境の冪等性 問題検出性 バグの特定のしやすさ 解析ログの充実度 テスト制約許容性 テストに関わる制約の許容度 未完成状態への許容度 対象によってより具体的な品質特性がある。例)自動化:仮想化容易性、並列化容易性、CI/CD統合容易性
  7. テスト容易性の充実 1. 開発早期からテスト容易性の要件を識別し、アーキテクチャレベル から織り込む • 疎結合・高凝集設計を推進し、品質リスクを分離・局在化する • 難易度の高い課題に対しテスト容易性確保の段取りを組む 2. 早期からテストを実行し、テスト容易性の問題を早期検出・是正

    • テストファースト、テスト駆動開発を推進する • シフトレフトテスト(テスト実行のシフトレフト)を推進し、テスト容易性の問題 を早期是正する • 反復開発で早期からテストを実行する • 開発者テストを充実させ、CI/CDで早期から実行する • ウォーキングスケルトンを確保する
  8. Wモデルに基づいたアプローチ ⚫例:ユーザーストーリー作成と一緒に、そのテストを考えてフィードバッ クする ユーザーストーリ:検索履歴の呼び出し 「システム利用者として、過去の検索 履歴の一覧を表示し、履歴の検索構 文を選択して再実行できる。それによ り、以前検索した内容をすばやく実行 できるようにする」 境界値テストを考える。表示履歴数の最小

    値・最大値を確認し、受け入れ基準に明 記する ユーザストーリをテスト担当交えて共同作成する or 作成直後にテストの視座でレビューする テストの検討を行い、早期に対策を打つ テストに必要な情報を確保する。詳細なUI 仕様を確保・補完する リリース判定の観点でチェックする。「検索 履歴の削除」「検索履歴のセキュリティ」な ど、関連するユーザーストーリや仕様の存 在を確認し、不足があれば是正する
  9. ソフトウェアテスト徹底指南書 アウトライン ⚫ Part I ソフトウェアテストと品質マネジメント • ソフトウェアテスト/品質マネジメント ⚫ Part

    II テストの戦略とプロセス • テスト戦略 • シフトレフトテスト/Wモデル • アジャイル開発、継続的デリバリ、 DevOps、SPLEを支えるテスト戦略 • テストプロセスの構築 ⚫ Part III テストの作成と実行 • テスト分析 • テストアーキテクチャ設計/VSTeP • テスト設計/テスト実装 • テスト環境構築 • テスト設計技法の活用 • テストの実行 • ユニットテスト/性能テスト/ 組み合わせテスト • リスクベースドテスト/探索的テスト /ユーザーストーリーテスト/静的テスト ⚫ Part IV 自動テストの活用 • 自動テストの開発 • 自動テストの品質作りこみ/フレーキーテスト/ 脆いテスト • 自動テストの評価/ミューテーションテスト • 自動テストの設計・実装の原則 • 自動テストコードのパターン・イディオム • 開発者テスト • テスト駆動開発 ⚫ Part V テストの計画とマネジメント • テスト計画 • テストのモニタリングとコントロール • リスクマネジメント • テストで求められる能力 • テストを担う組織の構築 ⚫ Part VI テストを支える基礎作り • CI/CDの構築 • バグ管理とバグチケット設計 • テスト容易性の確保 • テスト設計を支えるモデリング • テストを支える契約による設計 • ブランチ管理とテストの連携 • システムエンジニアリングで支えるテスト
  10. ソフトウェアテスト徹底指南書 アウトライン ⚫ Part I ソフトウェアテストと品質マネジメント • ソフトウェアテスト/品質マネジメント ⚫ Part

    II テストの戦略とプロセス • テスト戦略 • シフトレフトテスト/Wモデル • アジャイル開発、継続的デリバリ、 DevOps、SPLEを支えるテスト戦略 • テストプロセスの構築 ⚫ Part III テストの作成と実行 • テスト分析 • テストアーキテクチャ設計/VSTeP • テスト設計/テスト実装 • テスト環境構築 • テスト設計技法の活用 • テストの実行 • ユニットテスト/性能テスト/ 組み合わせテスト • リスクベースドテスト/探索的テスト /ユーザーストーリーテスト/静的テスト ⚫ Part IV 自動テストの活用 • 自動テストの開発 • 自動テストの品質作りこみ/フレーキーテスト/ 脆いテスト • 自動テストの評価/ミューテーションテスト • 自動テストの設計・実装の原則 • 自動テストコードのパターン・イディオム • 開発者テスト • テスト駆動開発 ⚫ Part V テストの計画とマネジメント • テスト計画 • テストのモニタリングとコントロール • リスクマネジメント • テストで求められる能力 • テストを担う組織の構築/チーム全体アプロー チ ⚫ Part VI テストを支える基礎作り • CI/CDの構築 • バグ管理とバグチケット設計 • テスト容易性の確保 • テスト設計を支えるモデリング • テストを支える契約による設計 • ブランチ管理とテストの連携 • システムエンジニアリングで支えるテスト 今回解説した内容すべてを包括的に学べます