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自治体課題へのアプローチ:デジタル行財政改革会議 課題発掘対話第6回

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February 27, 2024

自治体課題へのアプローチ:デジタル行財政改革会議 課題発掘対話第6回

2024年2月27日に行われた、デジタル行財政改革会議 課題発掘対話第6回で発表した資料です。
主に、自治体の人材育成・確保やシステム投資や開発についての課題や解決策について記載しています。
・自治体の人材育成は大きな課題
・シビックテックのアプローチ
・自治体毎にシステムを作るのは限界
・自治体のインセンティブ設計を見直す必要
といった論点を示しています。

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Haruyuki Seki

February 27, 2024
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Transcript

  1. © Code for Japan 自治体の人材育成は大きな課題 1. デジタル職が、主体的なキャリアイメージを描けない問題 a. 「デジタル職」がある自治体は少ない i.

    デジタル人材を育てるには5〜6年かかるが、育成モデルを持つ自治体は少ない ii. 適切な仕様が書けないので、ベンダーだよりになりがち。実はベンダー側も困っている b. 技術をキャッチアップしてユースケースを作るには主体性が必要だが、発揮しにくい i. 主体的に「色々試す」ことが不可欠だが、忙しすぎて手を動かす時間がない ii. 適切に評価し、フィードバックができる上長もいない iii. 数年で、キャリアの連続性が無い職場に異動するケースが少なくない→退職へ c. キャリアモデルや職員エンゲージメント評価の概念が希薄 i. 昨年、総務省が人材育成・確保基本方針策定指針を26年ぶりに改定 1. 東京都や兵庫県などはデジタル人材のマネジメント方針を策定済(変化の兆し) 2. 広域自治体がデジタル人材をサポートできるか? a. AIやクラウドなど、特定業務に関するアドバイザーであれば、広域で確保することは可能だし有益 b. 一方で、外部のスポット人材ではBPRはできず、現場職員のリスキリングは必須 c. そもそも、都道府県単位でも人材確保は厳しい状況
  2. © Code for Japan シビックテックのアプローチ 1. ここ10年で、デジタルを通じた市民参画が急速に普及 a. 日本全国に、「Code for」の名を持つコミュニティだけで90以上ある

    i. デジタルを活用したまちづくりを推進する地域コミュニティ ii. 自治体職員が参加しているところも多い b. 東京都ではオープンデータのハッカソン「都知事杯」を開催。600名以上が参加。 i. 市民のみならず、事業者も参加 ii. 自治体や町の課題に対して、様々なアプローチでユースケースを検討 iii. アイデアの多様性や、当事者性が向上する c. 加古川市を始めとした自治体で、Decidim などの市民参加型プラットフォームが普及 i. 学校なども巻き込み、高校生が市の政策に対してアイデアを出す ii. 浜松市では Well-being 指標なども活用 2. 組織の壁を超えた共創が有益 a. 組織の壁を超えて、悩みを相談しあえるコミュニティとして拡大 b. 自治体と市民の関係を、「サービスを提供する側と使う側」から「ともに課題を解決する」へ 「ともに考え、ともにつくる」関係が必要
  3. © Code for Japan 自治体毎にシステムを作るのは限界 20業務標準化の先や、公共サービスメッシュのあり方について、国が一定の姿を示すべき 1. 20業務標準化の先 a. 20業務以外についても国が仕様書を示し、数個のSaaSサービスを選択できるようにすべき

    i. ただし、20業務標準化のように全て同じタイミングではなく、随時移行する ii. 自治体の更改タイミングに合わせて入れ替えられるようにする iii. 共同化や共通化、新規参入も可能にする→調達改革とDMP(Digital Market Place)の実 効性のある導入が必須 ※地方自治法施行令第167条の2(随契条項)の改正含む iv. 窓口DX SaaS のように、自治体の好事例を元に、自治体と共に仕様を策定すること b. 公共サービスメッシュのユースケースを作り展開する i. 標準化業務に関連するデータを、データ連携基盤を通じて準公共サービスで使えるようにする ii. パーソナルデータについても、一定の仕様を示す必要あり 2. オープンソース等を活用したデジタル公共財の経済圏を作る a. SaaS サービス以外の部品はオープンソースとして国が提供、もしくは開発した自治体にインセ ンティブを与え公開してもらい、企業が様々なサービスを開発できるようにする b. 都市OS、ID基盤、データ変換ライブラリ等をオープンソースで作り提供することで相互運用性 が高まり、それらを使ったサービスも生まれるはず
  4. © Code for Japan 自治体のインセンティブ設計を見直す必要 デジタルでは現場は楽にならないという不都合な事実 1. デジタル化は仕事が増える a. 「課題を見つけて、解決する」だけでは仕事がどんどん増えていく

    i. 共同化や省力化、簡素化等、「やめる」こととセットで考えないと仕事が増えるだけ ii. 人による、個別最適の高いサービスレベルを落とすことができないというジレンマ 1. 主体的に未来について考えてもらえるような市民の協力や理解が必要 b. 頑張って効率を上げても、その分予算や人員が減らされるという現場のリアル i. 現場職員にインセンティブが無いので進まない ii. 「人を減らす」ことが目的化してしまっている→人へ投資するパラダイム転換が必要 2. 広域で協力し合うインセンティブが無い a. データ連携基盤が進まないのはこれが原因。広域連携を積極的に行う自治体はわずか。 i. データ連携基盤を提供する事業者は、構築費と運用費でしかマネタイズできない ii. 広域マーケットにインセンティブを持つのは基盤上にサービスを展開する事業者 b. 自治体の作ったものをオープンソースで公開すれば有益だが、地方自治法の解釈も微妙(地自法238条) c. 近隣自治体の仕事を職員がちょっと手伝ってあげられるだけでもだいぶ連携できるはず