Write your own mrbgem, Create your own device

Write your own mrbgem,
Create your own device
PicoRuby Overflow Kaigi
R3 institute, Osaka
2025-07-19

Transcript

1. Write your own mrbgems, Create your own device Pico Ruby Overflow Kaigi, Osaka 2025-07-19 Shunsuke Michii / Harukasan
2. Shunsuke Michii / Harukasan → ピクシブ株式会社 執行役員 CTO → 2012年にピクシブに新卒ソフトウェアエンジニアとして入社 → 仕事では普段「はるかさん」と呼ばれています → 学生時代は高専ロボコンで主に機械加工を担当していました → PicoRabbitというやつをつくっています 2
3. きょうはこのデバイスについて話します → なまえはPixelcatとしています → ファイルを整理してオープンソースなハードウェアとして公開する予定 → PicoRubyで動いて → いません → 今日はそのはなしをします 3
4. ピカピカ光るバッジをつくりたい → 光ったらたのしい → ピカピカ光る → キーボード → キーボードが作れれば、光らせることができる！ → 猫のアイコンは239ドット → 雑に計算したらいけそう 4
5. そもそもキーボードはどうやって光っているのか → たくさんのフルカラーLEDが数珠つなぎになっている → LEDストリップと同じ構造 → ATOM Matrix にも同様のものが搭載 → とにかくたくさんつなげば光る → 消費電流とサイズから最適なものを選択 5
6. 設計する → ただ光るだけじゃなくてちゃんとドット状にしたい → LEDマトリクス → 3Dプリントでつくった格子 → Adafruitで売っているLED拡散パネル → これをサンドイッチしてケースに格納する 6
7. 設計する → Autodesk Fusion をつかって設計 7
8. 設計する → LEDがちゃんと格子に収まるか → 格子の厚さ → ケースの厚さ → 何パターンも作ってみて検証してみる 8
9. 基板を設計する → とにかくLEDをたくさん並べるだけ → キーマトリクスがないので簡単 → おなじみのKiCADをつかっています 9
10. 基板と3Dプリントを発注する → 中国の製造サービスに発注 (JLCPCB) → ZIPファイルをアップロードするだけ → 部品も全部実装された状態で届く → 難しい表面実装部品の半田付けは不要 10
11. プログラミングする → PicoRubyにはws2812を光らせるmrbgemがある！ → picoruby-prk-rgb → なぜならキーボードは光るので → これをR2P2から使えるようにするだけで良さそう → ビルド失敗！ → R2P2を正常に動かすことができずタイムアップ...... 11
12. RubyKaigiまで時間がない！ → Raspberry Pi Pico SDK を使ってCで実装する → アニメーションを描くエディタをWebで実装する → コンパイルして書き込み → 光った！ 12
13. プルリクくださいよ〜 13
14. Rubyでできない → プルリク出せてない → Cの実装はある → あとはmrbgemにするだけのはず！ 14
15. Rubyで動くようになった！ → https://github.com/harukasan/picoruby/tree/feature/ws28 12 → 昨日がんばって動くようになった → デストラクタによるリソース開放がうまく動かない → しょうがないので裏でリソースを使い回すようにした → うまくいっていないところをデモします 15
17. overflow.rb require "ws2812" image = [1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, … (snip) ] # 画像データの配列を作成 web_safe_values = [0, 4, 8, 12, 16, 20] led = WS2812.new(26, 239) # static領域のstructを割り当て index = 0 image.each do |v| color = v - 1 r = web_safe_values[color / 36] # 画像データをRGBに展開 g = web_safe_values[(color % 36) / 6] b = web_safe_values[color % 6] led.set_pixel_at(index, [r, g, b]) # C側の配列に値をセット index += 1 end led.show # DMA転送開始 17
18. 現在のharukasan's実装 → WS2812はstatic structを確保してそれを割り当てるようにした → Raspberry Pi PicoのDMAを用いて転送している → メモリが溢れているのはどうやらRuby世界 → とりあえず（Cで実装されている）picoruby-prk-rgbは置き換えられそう → picoruby-prk-rgbはpicoruby-ws2812に依存するようにしたい → インターフェースがESP32実装と異なる → このあとの実装方針を相談したいです 18
19. なぜ実装方針に違いがでるのか → 求めているハードウェア要件が異なる → 25個光らせるのと239個光らせるのだと1フレームで確保するメモリが違う → アニメーションしようとすると大量の配列が必要になる → 組み込み開発ではハードウェアの性能が限られている → ソフトウェアはハードウェアの性能を100％引き出さなければならない 19
20. Rubyとつくる理由 → そもそもなんでRubyでつくりたいんだっけ → Cで書いたほうが結局つくりやすい → 別にCを書くのもそんなに嫌いではない → AIが書いてくれるならCでもいいよね 20
21. Rubyと生活 → Rubyは生活のなかにある言語 → なにか計算したくなったらまずIRBを起動する → 特に得意じゃないんだけど、生活の一部にある → キーボードのように日常に溶け込んでいるツールであってほしい → Cも書くんだけど生活の中でコンパイルはしない 21
22. Rubyと暮らしたい → Rubyで書くのが目的ではなくて、Rubyと暮らしたい → Cで書いた方が良いこともいっぱいある → MRI (CRuby) もCで書かれているし...... → 組み込み開発ではやはりCの方が書きやすい 22
23. やっぱりCで書きたい → さっきRubyと暮らしていくって言ったのに！ → やっぱりハードウェアとのインターフェースはCで書きたい → やっぱりRubyでメモリやリソース管理するの難しい → Cで書いたほうが圧倒的にデバッグしやすい 23
24. VSCode + RaspberryPi Pico SDK → 公式に提供されているVSCode拡張 → SDKとか環境をいろいろセットアップしなくていい → USBケーブルを抜いたり挿したりしなくていい！ → この環境にPicoRubyだけを組み込みたい 24
25. 試してみたけどPicoRubyを組み込むのは難しい → PicoRubyが想定しているプラットフォームでしか動かない → 正確にはpicoruby-machineが実装されている環境でしか動作しない → RP2040でもUSB周りを全部セットアップしないと動かせなさそう → 実質的にR2P2かprk-firmwareでしか利用できない → mrubyくらい簡単に組み込めるとうれしい → picoruby-machineの依存をどうにかすればどうにかなりそう...... → いまのところどうにもなっていない 25
26. そこでCでつくってからmrbgemをつくる → まずはCで実装する → 次にそのコードを呼び出すmrubyを実装する → Cで書いた実装を ports/rp2040/*.c におく → それを呼び出す src/mrubyc/*.c のバインディングを書く → するとCでうごくものをすべてRubyで使えるようになる 26
27. 専用のmrbgemをつくる → ふだんは車輪の再発明を避けがち → 組み込みでは部品やリソースの状況によって条件が異なる → ハードウェアの能力が限られているので100％性能を出さないといけない → ハードウェアにあわせたmrbgemを作ればあとはRubyだけで変更できる → みんなが実装を公開すればいろんな領域での実装例があつまる 27
28. 今後の展望 → R2P2はフラッシュ領域にアクセスできる → フラッシュからロードするようにすればPixelcatを実装できる → これを実現できるようなmrbgemを設計したい → PicoRuby側にもなおせるところがいっぱいありそうなのでチャレンジしたい 28
29. PicoRubyからはじめる → PicoRubyでとりあえず動かす → ちゃんとした実装をCでつくる → Cでつくった実装をmrbgemにする → mrbgemをPicoRubyに組み込む → 共通項がPicoRubyに取り込まれる → こういうループがまわるようになるとよさそう 29
30. じぶんだけのデバイスを作る → 世の中にもっといろんなデバイスが溢れてほしい → キーボードもひとりひとり違うように、デバイスもひとりひとり違って良い → 売ってるようなクオリティが誰でも感じられるようになってほしい → なんども作るのは大変だから、いちど作ったらあとはRubyでなおしたい → スクリプトを書き換えて日々の暮らしに馴染ませていきたい 30
31. じぶんだけのデバイスを作る → いろんな実装例がでてくる → いろんな知識があふれる → 世の中がゆたかになる → そういうループがまわるようにしていきたい 31
32. 今日のまとめ → 自分だけのデバイスををつくるとたのしい → mrbgem化するにあたっていろんな難しさがあるのでチャレンジしたい → とりあえずws2812をどうにかしたい → いろんなデバイスがあふれていろんな知見があふれる世界にしたい → Let's create your own device! 32