Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
AI進化史:LLMからAIエージェントへ
Search
Sponsored
·
Your Podcast. Everywhere. Effortlessly.
Share. Educate. Inspire. Entertain. You do you. We'll handle the rest.
→
MIKIO KUBO
March 30, 2026
Education
160
0
Share
AI進化史:LLMからAIエージェントへ
授業用に,モダンなAgentic AIの最近までのサーベイを書きました.
MIKIO KUBO
March 30, 2026
More Decks by MIKIO KUBO
See All by MIKIO KUBO
AI+SCM
mickey_kubo
0
42
エージェンティック・サプライチェーン」の概念と、製造業におけるその革新的な役割について解説
mickey_kubo
0
47
MOAI Solutionの紹介 -電力最適化を中心として-
mickey_kubo
0
63
Agent SkillsによるAGI4OPT(最適化のためのAGI)
mickey_kubo
0
93
AGI4OPT:自然言語から数理最適化を導くエ ージェントスキル Translating Human Intent into Mathematical Optimization
mickey_kubo
0
100
AIで最適化を解けるか?
mickey_kubo
0
77
最適化の芸術:生産と物流を統合する
mickey_kubo
0
45
次世代最適化プラットフォーム MOAI Patform
mickey_kubo
2
40
SCML (Supply Chain Modeling Language)
mickey_kubo
0
68
Other Decks in Education
See All in Education
Interaction - Lecture 10 - Information Visualisation (4019538FNR)
signer
PRO
0
2.6k
SSH公開鍵認証 / 02-b-ssh
kaityo256
PRO
0
160
バージョン管理とは / 01-a-vcs
kaityo256
PRO
1
320
AI時代において英語学習は本当に必要? ~未経験からのバイリンガルキャリアの始め方を教えます~
kekekenta
0
140
Modelamiento Matematico (Ingresantes UNI 2026)
robintux
0
270
[2026前期火5] 論理学(京都大学文学部 前期 第3回)「形式言語と四つのキーワード:メタ・構成・意味論・ハーモニー」
yatabe
0
340
Laura Wilson - The Quarterly PR Pivot
laurawilsonbseo1
1
220
計算物理におけるGitの使い方 / 01-c-compphys
kaityo256
PRO
2
610
Dashboards - Lecture 11 - Information Visualisation (4019538FNR)
signer
PRO
1
2.6k
AWS Certified Generative AI Developer - Professional Beta 不合格体験記
amarelo_n24
1
210
2026年度春学期 統計学 第1回 イントロダクション ー 統計的なものの見方・考え方について (2026. 4. 9)
akiraasano
PRO
0
110
0318
cbtlibrary
0
110
Featured
See All Featured
Mozcon NYC 2025: Stop Losing SEO Traffic
samtorres
0
220
Lightning talk: Run Django tests with GitHub Actions
sabderemane
0
170
The innovator’s Mindset - Leading Through an Era of Exponential Change - McGill University 2025
jdejongh
PRO
1
160
We Have a Design System, Now What?
morganepeng
55
8.1k
Future Trends and Review - Lecture 12 - Web Technologies (1019888BNR)
signer
PRO
0
3.5k
XXLCSS - How to scale CSS and keep your sanity
sugarenia
250
1.3M
For a Future-Friendly Web
brad_frost
183
10k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
331
21k
Intergalactic Javascript Robots from Outer Space
tanoku
273
27k
How Software Deployment tools have changed in the past 20 years
geshan
0
33k
Navigating Weather and Climate Data
rabernat
0
180
Claude Code のすすめ
schroneko
67
220k
Transcript
AI進化史:LLMからAIエージェントへ 知能の階梯と技術的転換点に関する考察 1
はじめに 1950年代の黎明期から現代に至るAIの劇的な変遷を分析 単なる計算能力の向上から「意志」に近い計画性の獲得へ 本スライドでは、LLMの誕生から最新の「AIエージェント」への移行を解説 2
第1章:人工知能の黎明と限界 記号的アプローチの時代(1950s - 1980s) 3
知能の定義と初期の試み 1950年:チューリングテストの提唱 知能の基準を「言語的相互作用」に置く 1956年:ダートマス会議 「人工知能(AI) 」という用語が正式に誕生 1966年:ELIZAの登場 パターンマッチングによる初期のチャットボット 人間が機械に知性を投影する「ELIZA効果」を証明 4
エキスパートシステムの台頭と限界 1970-80年代:シンボリックAI 特定の専門知識を「If-Then」ルールで記述 例:感染症診断システム「MYCIN」 致命的な弱点 ルールの手動更新が困難 文脈の変化や未知のデータに柔軟に対応できない 結果として「AIの冬」を招く 5
第2章:トランスフォーマー革命 統計的アプローチへの転換 6
逐次処理から並列処理へ RNN / LSTM の限界 文章を端から順に処理するため、長い文の初期情報を忘れる(勾配消失問 題) 大規模な並列計算が困難 2017年:Transformerの登場 論文
"Attention Is All You Need" 逐次処理を排除し、自己注意機構(Self-Attention)を導入 7
自己注意機構(Self-Attention)の衝撃 全単語間の関連度を同時に計算 文中のどの単語が、他のどの単語に注目すべきかを動的に決定 数千単語離れた文脈も効率的に学習可能 現代AIの標準アーキテクチャ その後の全てのLLM(BERT, GPT等)の基盤となった 8
第3章:LLMの誕生とスケーリング則 「理解」のBERTと「生成」のGPT 9
BERTとGPT:二つの道 BERT(Google) エンコーダーを活用。文脈を「双方向」から理解 感情分析や質問回答に強み GPT(OpenAI) デコーダーを活用。 「自己回帰的」に次単語を予測 文章生成に特化し、高い汎用性を示す 10
知能の「スケーリング則」 パラメータ数とデータ量の増大 GPT-1(1.1億)→ GPT-2(15億)→ GPT-3(1750億) 創発的能力の出現 モデルを巨大化するだけで、予測精度がべき乗則に従い向上 明示的な学習なしにタスクをこなす「ゼロショット / フューショット学習」
が可能に 11
第4章:アライメントの時代 人間の意図に沿うAIへ 12
RLHFによる調整 課題:ハルシネーションとバイアス LLMは「もっともらしい嘘」をつくことがあった RLHF(人間からのフィードバックによる強化学習) i. 人間が回答例を作成(SFT) ii. 回答の良し悪しをランク付け(報酬モデル) iii. AIが報酬を最大化するように自己最適化(PPO)
13
ChatGPTと社会実装の爆発 2022年11月:ChatGPT公開 対話インターフェースとしてLLMの地位を確立 2023年3月:GPT-4リリース 画像も扱えるマルチモーダル化 司法試験やコーディングで人間レベルの性能を発揮 14
第5章:推論モデルへの進化 「直感」から「論理」へ 15
推論時間(Test-time)のスケーリング 従来のLLM:システム1(直感的) 入力に対して即座に応答を生成 推論モデル(o1, R1等) :システム2(論理的) 回答前に「思考の連鎖(Chain-of-Thought) 」を内部展開 考える時間を増やすほど精度が向上する 16
自己修正と検証 DeepSeek R1 等の革新 人間の手本なしで、強化学習のみで高度な思考プロセスを獲得 思考のトレース:手順を言語化 自己修正:途中の誤りに気づき、遡って直す 検証:結論の整合性を再確認 17
第6章:AIエージェントの定義 「対話」から「行動」へ 18
チャットボットとエージェントの違い チャットボット(受動的) ユーザーの問いに答えるだけ AIエージェント(能動的) 自ら計画を立て、目的達成まで自律的に実行 外部ツール(Web、API、ファイル操作)を使いこなす Observe-Think-Actのサイクルを回す 19
エージェントの3つの構成要素 1. プランニング(計画) 抽象的な目標を具体的な実行ステップに分解 2. メモリ(記憶) 短期:対話の文脈保持 長期:過去の知識やユーザーの好みを蓄積 3. ツール利用
外部検索、コード実行、企業内システムとの連携 20
第7章:自律型エージェントの歴史 2023年からのパラダイムシフト 21
先駆的プロジェクト:AutoGPTとBabyAGI 2023年のトレンド 「自己プロンプト(Self-Prompting) 」の導入 AIが自分自身に指示を出し続け、タスクを完遂するデモが世界に衝撃を与 えた 初期の課題 無限ループに陥りやすい トークン消費(コスト)が激しい 22
オーケストレーションの時代 単一のループから構造化されたワークフローへ 主要フレームワーク LangChain / LangGraph:複雑なプロセスをグラフ構造で制御 AutoGen / CrewAI:複数の専門エージェントを連携させる「マルチエージ ェント」体制の構築
23
第8章:ビジネス実装の現状(2025年) 実験から実用フェーズへ 24
産業へのインパクト カスタマーサービス 回答だけでなく、在庫確認や返金処理まで完遂 ソフトウェア開発 生成だけでなく、デバッグ・テスト・デプロイまで自律化 組織構造の変化 **最高AI責任者(CAIO)**の登場 AIを「個人ツール」ではなく「仮想労働力(ワークフォース) 」として管理 25
第9章:将来展望(2026-2030) エージェント経済の到来 26
テクノロジーの深化 世界モデル(World Models) 自分の行動が物理世界に与える影響を「想像」する能力 製造・物流・医療への展開を加速 恒久的メモリ ユーザーと共に成長し、数年単位のコンテキストを保持するパーソナルエ ージェント 27
社会・経済の変容 エージェント間取引(A2A) AI同士が交渉し、スマートコントラクトで決済するエコシステム ソロ企業(Solo Enterprise)の急増 1人の人間が数百のエージェントを操り、大規模な収益を上げるモデル 労働市場の再編 「定型作業」から「ゴール設定と監督(Human-in-the-loop) 」へ 28
第10章:リスクと課題 安全性とガバナンス 29
予見されるリスク 法的責任の所在 AIの自律的な判断による事故(AIによる死など)への対処 認知能力の低下 過度な依存による人間の批判的思考の衰え セキュリティ プロンプトインジェクションによる権限奪取やデータ漏洩 監視用「セキュリティ・エージェント」の重要性 30
まとめ AIは「知識の図書館(LLM) 」から「有能な社員(エージェント) 」へ変容した 2017年:Transformer(技術の種火) 2022年:アライメント(対話能力) 2024年:推論(論理的思考) 2025年以降:自律的行動(エージェント) 私たちに求められるのは、AIと競うことではなく、AIという強力な労働力を 「導き、共生する」オーケストレーション能力である
31