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WebAssemblyインタプリタを書く ~Component Modelを添えて~

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August 09, 2025

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  1. ① モジュールのデコード • ヘッダ+セクションのシンプルな構成 • LEB128 (整数の可変長バイナリ表現) が多用される • 仕様見ながら地道に書く

    ヘッダ Type Section Import Section Function Section Table Section Memory Section Global Section Export Section Start Section Code Section Data Section
  2. ③ VM • ハーバードアーキテクチャ ◦ 関数にはインデックスベースで飛ぶ • スタックマシン • ブロック単位の遷移

    • 型はi32, i64, f32, f64の4種類 ◦ ※Wasm 1.0の場合 • 独自機能としてプリエンプティブなグリーンスレッドをサポート ◦ C#側の非同期関数をWasmから同期的に呼べる ◦ 会話イベントなど作るうえで便利
  3. 動いた!しかし…… • 素のWebAssemblyはFFIがたいへんやりにくい! • FFIでの引数・戻り値の型はi32, i64, f32, f64の4種類のみ ◦ それ以外のデータは線形メモリを介して渡す必要がある

    • 線形メモリを介した任意長データの渡し方が十分に定義されていない ◦ 線形メモリ上のデータレイアウト、確保・解放の方法やタイミングなど ◦ つまり標準的なABIがない • 実用的には、FFI用のグルーコード生成が必要になる
  4. WebAssembly Component Model • Wasmのハイレベルなinteroperabilityを実現するための仕様 • 文字列、配列、構造体など複雑な値を扱うためのCanonical ABIがある ◦ 引数や戻り値はCanonical

    ABIに従ってやりとりされる • WASI preview 2以降はComponent Modelに則って定義される • 将来的にはWasmコンポーネントをレジストリに公開して依存解決する、 みたいなのも目指している ◦ wa.devというパッケージレジストリが既にあったりする
  5. Component Modelの普及状況 • ゲスト言語向けのツーリングは充実しつつある ◦ Rust, Go, C/C++, C#あたりは動く ◦

    moonbit (Wasmをメインターゲットとした新興言語) も注目 • 実行環境のサポートはまだまだ ◦ wasmtime ◦ ブラウザはまだ非対応