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「活動」は激変する。「ベース」は変わらない ~ 4つの軸で捉える_AI時代ソフトウェア開発マネ...

「活動」は激変する。「ベース」は変わらない ~ 4つの軸で捉える_AI時代ソフトウェア開発マネジメント

AIを使えばすぐにソフトウェアが作れる時代が来ています。実装の工数がどんどん消えていく中で、マネジメントの役割とはと不安になることもありました。

しかし、現場でAIを使い色々な話を聞くほど、実はソフトウェア開発の根底にある価値が浮き彫りになってきました。

AIは「何でも作れる」けれど、「何を作るべきか」は決めてくれません。
AIは「爆速でコードを吐く」けれど、その「設計の意図」までは守ってくれません。
AIは「正解」は出すけれど、チームの「納得感」は作ってくれません。

この資料は、AIという強力な相棒を得た今、僕らマネージャーが向き合うべき「変わらない本質」について、4つの視点(プロダクト・プロジェクト・技術・人)で整理したものです。
本資料が、これからの開発マネジメントを、一緒に考えるきっかけになれば嬉しいです

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辻裕士/sentokun

March 27, 2026
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Transcript

  1. 辻 裕士 Hiroshi Tsuji • 経歴 ◦ 組込エンジニア (2009-2019年) ▪

    1社目: 実験用NWルーター開発 ▪ 2社目: ネットワークカメラ開発 ▪ ともに開発リーダーを経験 ◦ 国内データセンター事業者TL (2019-2022年) ▪ 自社グローバルポータル開発を牽引 ▪ PjM, チームビルディングなど幅広く担当 ◦ フリー株式会社 EM (2022年-現在) ▪ 権限管理基盤チームの EM を担当 ▪ 2025 年から PdM も兼務 • その他 ◦ 本資料の内容は個人の見解に基づくものであり、 所属組織とは関係ありません。 ニックネーム: sentokun/kikiさん 自己紹介
  2. ほぼすべての⼯程を、AIがチームを組んで実⾏可能になった 要件定義 ⼈間 /AI 設計 AI 実装 AI デリバリー AI

    1.AIでなにが起きたか 現在:Claude Code 全盛 (AI Agent のチーム化 ) チーム活動そのものを AI が回すレベルに進化。 「CLIからAIを召喚=>⾃律的にエラーを直す」 なんてことも
  3. 「全体の構造は変わってないよね?」(まだ) 1.AIでなにが起きたか でも、「ソフトウェア開発」のベースはまだ変わっていない 要求定義 (なにが価値か) 設計 (どう実現するか) 実装 (実現する) デリバリー

    (届けて検証する) 主体がAIに置き換わっても、⽬的と必要な要素は変わらない AIは「実⾏の⾼速化」であり、「価値判断」の代替ではない
  4. 「マネジメント」のベース => 変わらない 「マネジメント」の実現⽅法 => 劇的に変化している なぜそれを作るのか 意味付けと価値の接続 美しいシステムか 疎結合と持続可能性

    チームで機能するか 個と組織のパフォーマンス 1.AIでなにが起きたか ソフトウェア開発にある普遍的な「問い」 ソフトウェア開発には普遍的に解決したい「問い」がある。それに答えるのがマネジメント
  5. 4つのマネジメント軸の主戦場 レベル 主戦場とするマネジメント軸 Level 3 📦Product Level 2 📦Product, 📅Project,

    ⚙Technology Level 1 📅Project, ⚙Technology Foundation 👥People, ⚙Technology 2.ソフトウェア開発とマネジメントの構造
  6. 3-1. PRODUCT MANAGEMENT 1. マネジメントのベース 以下を⼤切にした、理想のプロダクトを追い求める 1. 価値を届ける: 「なにが課題か」に執着し、ユーザー価値を届ける。 ユーザーや市場の深い理解から課題を追求‧特定し、解決にこだわる

    2. 意味をつなげる: 「なぜ必要か」を問い、ビジョンと連動する。 なぜ今必要か、やらないとどうなるかを掘り下げ、ビジョン実現への道筋を作る 3. 筋を通す: 「なにを作るか」を選び、増殖する要求から守る。 「できること」でなく「やらないこと」を決め、刺さらない要求は捨てる覚悟を持つ。
  7. 3-1. PRODUCT MANAGEMENT 2. 現在地:AIとの共創による仮説検証サイクルの高速化 1. DeepResearch による課題特定の⾼速化 市場調査、要約、データ解析をAIが担うことで、課題特定のリードタイムが劇的に改善 2.

    「FDE(現場で解決する)」型の仮説検証への進化 PdM がAIでのプロトタイプ作成に染み出し、現場で直接ニーズを特定‧検証するスタイルが登場 3. AIの「できるはず」によるプロダクト構造への軽視と圧迫 「AIができると⾔った」という安易な⾔及により、技術マネジメントコストを増⼤させるリスク => 「できる」と「やってよい」は別。PdM の技術構造への敬意、理解、歩み寄りがより重要に
  8. 3-2. PROJECT MANAGEMENT 1. マネジメントのベース 以下を⼤切にした、不確実性を飼いならす理想のプロセスを構築する 1. ⼩さく分ける:実⾏可能な単位に分け、巨⼤な課題を経験から把握する。 解像度の粗い巨⼤な課題を分割し、⼩さく試すことにより戦略的に解像度をあげる 2.

    ずれを検証する:サイクルを可視化し、予測とのずれを学びにする。 予実を可視化し⽐較検証するサイクルを回すことで、学びを得ながら先の⾒通しをあげる 3. 実現しきる:失敗要因を制御し、特に泥臭く決断し価値を出し切る。 リスク要因を早めに拾い制御する。制御しきれない場合も提供価値のラインを⾒極め実現しきる。
  9. 2. 現在地:構造化スキルの二極化と「ボトルの移動」 1. 地道に「型」を作ってきたマネージャー程がハマるパートナー チケット分割やWBS作成を緻密に⾏ってきたPjMほど、構造化された指⽰を好むAIを相性抜群 2. ボトルネックの移動で「やるべき」が「やらなければ」に変化 AIによって「コード⽣成」が爆速に。APIテストや⾃動レビュー等、やるべきと思いつつ⼿が回りに くかった理想のプロセスが AI

    に MUST な世界に変わりつつある 3. 「泥臭い調整」からの脱却は⼈間側のプロセス成熟ありき AI の恩恵を受けているためには、⼈間が整理できる状態を作る必要がある。 => AI のベストプラクティスを参考に、泥臭くプロセス整理の先に、AI の真価がある 3-2. PROJECT MANAGEMENT
  10. 3. 未来予想: 悲観シナリオ 爆速実⾏によるリスクの爆発 ⼈間が理解‧感知できる速度を超えてプロジェクトが進⾏。微細なリスクが「不可視」のまま積 み重なり、ある⽇突然、巨⼤な品質障害やセキュリティホールとして爆発する。 あるいは AI が実⾏するための構造づくりによる疲弊し、リスク管理が崩壊するパターンも [対処]

    速度だけでなくリスクに⽬を向け、解像度を上げる活動を⼿放さない プロジェクトマネジメントの「不確実性を飼いならす」というベースを⼿放さず、リスクの解 像度をあげる活動から⽬をそらさない。 AI の判断に「なぜ?」を問い、AI と協⼒して様々な観点をいれリスクを拾い意思決定する。 3-2. PROJECT MANAGEMENT
  11. 3-3. TECHNOLOGY MANAGEMENT 1. マネジメントのベース 以下を⼤切にした、トレードオフで最善を尽くしたコードを磨きこむ 1. 意思を込める:コードでなにを実現したいかの思想を表現する。 機能実現を続けながら「なぜこの設計にしたか」にこだわり、ADR等で⾔語化 2.

    質を作りこむ:コードが正しく機能することを仕組みで担保する。 CICD、コード規約の適⽤等、可能な限り⼈が介在しない仕組み化 3. 機能美を磨く: コードの性能や、原理原則が守られた美しさにこだわる 「動くものを爆速で作る」ことはもちろん、性能や変更容易性、ドメイン分離等にこだわり守る
  12. 2. 現在地:あるべきとされていた活動が AIを育てる時代に 1. 思想の⾔語化により、 AIが「ずっとほしかった右腕」に ADRなどによるなぜの⾔語化がそのままAIの命令セットに転換。最強の右腕が誕⽣する世界に 2. 構造と事業の接続がより重要に 「動く」をAIに任せ「事業の選択肢を増やす構造(変更容易性‧ドメイン分離)」

    3. ⽣産性の爆上がりが「構造を守る」シニアのレビュー疲れに AI製PRの量産により、シニアが「⾏間」の検品に忙殺。ボトルネックがシニアへ集中するケースも =>どれだけ仕組み(CI/CD、⾃動レビュー)で意思‧質‧機能美を守れるかが重要に 3-3. TECHNOLOGY MANAGEMENT
  13. 3. 未来予想: 楽観シナリオ 「作る」がなくなり真に「事業ドメイン」に向き合う世界に Technology は「いかに業務を抽象化しドメイン構造に落とすか」に絞られ、それを実現するた めの⾏動は AI が⾃動で設計‧実装‧テスト‧運⽤のすべてを回す。 シニアの「勘」が資産化され、AIにより爆速で伝承される

    シニアの「勘」や「経験」がADRやレビューコメントを通じてコンテキストとして⾔語化され る。同僚は隣で⾒て盗んだシニアの「勘」を AI との並⾛により経験し、成⻑に還元される。 3-3. TECHNOLOGY MANAGEMENT
  14. 3-4. PEOPLE MANAGEMENT 1. マネジメントのベース 以下を⼤切にした、⼈の流動性に向き合い理想のチーム‧組織を作る 1. 状態を観察する:⼈は変化するもの、という前提に⽴ち正しく理解する ⼈ならではの「揺らぎ」を理解し、ありのままの個⼈‧チームの状態を深く観察する。 2.

    期待を形にする:価値を届けるプロとしての「期待」と「なぜ」を語る 価値貢献と個⼈へのHRTを⼟台に、期待しているふるまいに熱量を込めて伝える 3. 任せるを設計する: 振る舞いを設計し、挑戦が成長に繋がる構造を作る ⾃由と責任が共存した「ストレッチゾーン」を⽤意し、⾃律的にチームが育つ体制を構築する
  15. 3. 未来予想: 悲観シナリオ ⼈に求めることが爆上がりしパンク AI が定型業務を飲み込み、⼈間には認知負荷の⾼い「答えのない意思決定」だけが積もり続ける。対話の余裕が 失われ、⾼度な「パニックゾーン」の要求しか残らず育つ前につぶれてしまう [対処] つぶれない「半歩先の⾃律」を経験できる環境設計をし続ける AI

    で構築したガードレールの中で、失敗を許容しつつ自律的な意思決定の成功体験が重ねられる 「ストレッチゾーンの場」を意図的に作り上げる。 あえて効率化しない対話や振り返り、未来への思考といった「あそび」を保つ。 3-4. PEOPLE MANAGEMENT
  16. まとめ: AI によるマネジメントの進化と、残る人間の意思 AI の進化により、マネジメントの仕事が劇的に変化 • 📦Product: 探索よりも「問う力」と「決断」 がユーザー価値を生み出す •

    📅Project: 調整よりも「型」と「意思決定速度」 がデリバリーを加速する • ⚙Tech: やるべきだった「言語化」と「仕組み化」 が構造を守る • 👥People: 変化に向き合う「観察」と「設計」 に文化と熱量がにじみ出る 人間が意思を持って選び、言葉に残し、仕組みを作る => AI へ伝承 3. 4つのマネジメント軸