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仕事観がアップデートされた読書体験 「エンジニアリング組織論への招待」を読んで
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DaisukeShinoku
February 28, 2024
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仕事観がアップデートされた読書体験 「エンジニアリング組織論への招待」を読んで
めぐろ LT #12「おすすめ書籍紹介 LT」@日本橋
https://meguro-lt.connpass.com/event/305704/
でお話した内容です
DaisukeShinoku
February 28, 2024
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Transcript
仕事観がアップデートされた読書体験 「エンジニアリング組織論への招待」を読んで めぐろ LT #12「おすすめ書籍紹介 LT」@日本橋 新奥 大介(株式会社 SmartHR) 2024.02.28
自己紹介 新奥大介 / 元・航海士でパナマ運河を通峡した唯一の日本人 Web エンジニア 大学卒業後、船長になることを目指して航海士を約 5 年間経験 コンテナ船やタンカーに乗船 中東航路・北米航路等を航行
船上での大量の単純作業に辟易 自動化・IT に漠然と興味 Web 系受託開発企業へバックエンドエンジニアとして転職 約 2 年半勤務 転職情報サイトや EC サイトなどを開発 2023 年 6 月に人事・労務向け SaaS を運営する SmartHR に転職 ここで初めて SaaS プロダクトの開発を経験
エンジニアリング組織論への招待 不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング 広木大地 著 技術評論社 2018 年 2 月 22
日 発売 本日はこちらの、エンジニアとしての学びが詰まった色褪せない名著を紹介します
Ch1. 思考のリファクタリング 内容 エンジニアリングの本質 仮説・検証によって情報を生み出し未来への不確実性を削減する 秩序を作ることで人々の間にあるコミュニケーションの不確実性を削減する 推しポイント プログラミングだけがエンジニアリングじゃない、だったら何なのか、という部分を 的確に言語化してくれている。 キラーフレーズ
(17 ページより引用) 「未来」と「他人」という不確実性の発生源から逃れることができません。(中略) それらを少しでも減らしていくことが、唯一物事を「実現」させる手段なのです。
Ch2. メンタリングの技術 内容 メンタリングとは 対話からメンターの思考力を貸し出し、メンティの思考の幅を広げる手法 能力の開花を妨げる思考の鎖を紐解き、チームの力を大幅に向上させる 推しポイント 自身の経験を物語として語り、相手に追体験させるストーリーテリングがメンタリン グの質を向上するという主張は、生成 AI
時代の人間の役割を感じさせてくれる。 キラーフレーズ (123 ページより引用) 人の成長のサイクルは、行動・習慣・能力・成果の 4 つの事柄のループ..(中略)..習慣が 能力に変われば、成果につながり、成果は自信となって次の行動を強化してくれます。
Ch3. アジャイルなチームの原理 内容 アジャイルとは 開発手法ではなく、開発チームをどのように構築するか、という方法論 チームが不確実性を最も効率よく削減している理想状態とも言える 推しポイント 日本においてウォーターフォールと対となる開発手法の 1 つかのように誤解して語ら
れるアジャイルの本質を歴史的経緯も踏まえて紐解いている私が最も好きな章。 キラーフレーズ (180 ページより引用) (前略)..流行りのかっこよさを教条的に取り入れるのではなく、今何をすべきかをしっ かりと周囲と対話し..(中略)..それがチームをアジャイルにする最も効率的な道になりま す。
Ch4. 学習するチームと不確実性マネジメント 内容 不安と向き合ってマネジメントすることを繰り返すことで、チームとして広い視野で の問題解決ができる「チームマスタリー」を得た状態を獲得することができる。 推しポイント 不確実性の削減、メンタリング、スクラム開発という前章までに説明のあった手法の 必要性を説いた伏線回収的な章。 キラーフレーズ (220
ページより引用) 不確実なことを減らすためには、一番不確実なことから確かめていくことです。そう すれば、早く失敗できるので、一番早く問題解決できます。エンジニアリングという のは、そういうことです。
Ch5. 技術組織の力学とアーキテクチャ 内容 システムアーキテクチャと組織設計はお互いに影響を与え合う。コミュニケーション を通じて、その両方をビジネスの向かうべき方向に一致させる必要がある。 推しポイント エンジニアリング組織構築の鍵、権限委譲に必要な考え方、技術的負債の正体などマ ネジメントする側も受ける側も知るべき内容が盛り沢山の最終章。 キラーフレーズ (301
ページより引用) 必要なのは、妥協でも、政治でも、卓越した技術力でもありません。組織やビジネ ス、プロセス、そしてシステムへの「エンジニアリング」なのです。
まとめ 発売から 5 年が経つ本ですが、普遍的な内容で書かれており、今から読んでも多くの 発見がある名著です。 一度も読んだことがないという方も、発売当初に読んで内容がうろ覚えだという方 も、次に読む一冊にしてみてはいかがでしょうか?
最後に 私自身は、スクラム・アジャイル的な思想・技術組織作り、などのワードに興味津々 のエンジニア歴 3 年半、SaaS 業界歴に関しては 1 年未満のまだまだ未熟者です。 「こんな書籍もオススメだよ」「ウチではこんな取り組みをやっているよ」などあり ましたら、このあとのお時間でご指導・ご鞭撻いただけますと泣いて喜びます!
たくさん話しましょう!
ご清聴ありがとうございました。