Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
サステナビリティと価格の壁 / Price Challenges to Sustainability
Search
松村 大貴|ハルモニア
February 09, 2024
Research
0
37
サステナビリティと価格の壁 / Price Challenges to Sustainability
<Ver 0.1>
サステナビリティと価格の壁
超訳!「GXリーグ グリーン商材の付加価値付け検討WG 最終報告書」
松村 大貴 / @dmattsun
<シェア・共有歓迎です>
松村 大貴|ハルモニア
February 09, 2024
Tweet
Share
More Decks by 松村 大貴|ハルモニア
See All by 松村 大貴|ハルモニア
People Driven Transformation / 人が起点の、社会の変え方
dmattsun
0
160
行動変容ワークシート / Behavior Change Worksheet
dmattsun
0
270
行動変容 自分と世界を変える技術 / Behavior change techniques
dmattsun
31
18k
なぜ「日本は安い」のか 価格決定力向上のための調査レポート / pricing-power-whitepaper2021
dmattsun
0
200
【経営者向け】危機を乗り越えるプライシング 守りの技法・攻めの技法 / Pricing to Overcome with MagicPrice
dmattsun
0
1.5k
飽和の時代のマーケティング戦略 / Pricing and Why for saturated age
dmattsun
2
370
カルチャーブック 株式会社空 / Happy Growth Culture (β)
dmattsun
4
2.3k
カスタマーサクセスチームの役割は顧客の成功だと思っていました
dmattsun
3
3k
Other Decks in Research
See All in Research
LLMマルチエージェントを俯瞰する
masatoto
26
16k
3D Human Mesh Estimationについていくつかまとめてみた / Survey about 3D Human Mesh Estimation
nttcom
0
230
DeepCrysTet: A Deep Learning Approach Using Tetrahedral Mesh for Predicting Properties of Crystalline Materials
tsurubee
0
390
オープンな日本語埋め込みモデルの選択肢 / Exploring Publicly Available Japanese Embedding Models
nttcom
14
5.8k
音声処理ツールキットESPnetの現在と未来
kanbayashi1125
3
570
CSC590 Lecture 01
javiergs
PRO
0
130
[KDD2023論文読み会] BERT4CTR: An Efficient Framework to Combine Pre-trained Language Model with Non-textual Features for CTR Prediction / KDD2023 LY Tech Reading
shunk031
0
470
東工大Swallowプロジェクトにおける大規模日本語Webコーパスの構築
aya_se
13
6.9k
Discovering Universal Geometry in Embeddings with ICA
momoseoyama
1
370
プロシェアリング白書2024_PROSHARING_REPORT_2024
circulation
0
740
Azure Arc-enabled Serversを利用した ハイブリッド・マルチクラウド環境の管理 / Managing Hybrid Multi-cloud Environments with Azure Arc-enabled Servers
nttcom
0
220
メタ動画データセットによる動作認識の現状と可能性
yuyay
0
220
Featured
See All Featured
5 minutes of I Can Smell Your CMS
philhawksworth
199
19k
Stop Working from a Prison Cell
hatefulcrawdad
267
19k
The World Runs on Bad Software
bkeepers
PRO
61
6.7k
In The Pink: A Labor of Love
frogandcode
138
21k
Building an army of robots
kneath
300
41k
How to train your dragon (web standard)
notwaldorf
75
5.2k
Being A Developer After 40
akosma
67
580k
Code Reviewing Like a Champion
maltzj
515
39k
WebSockets: Embracing the real-time Web
robhawkes
59
7k
GraphQLの誤解/rethinking-graphql
sonatard
56
9.3k
実際に使うSQLの書き方 徹底解説 / pgcon21j-tutorial
soudai
123
39k
Writing Fast Ruby
sferik
622
60k
Transcript
サステナビリティと 価格の壁 超訳!「GXリーグ グリーン商材の付加価値付け検討WG 最終報告書」 松村 ⼤貴 / @dmattsun 1
「グリーン商材の付加価値付け検討WG」について 各社の排出削減施策が、製品やサービスの経済的価値に結び付くた めの仕組みについて、具体商材のユースケースを想定しながら検討 を⾏うWGです。 グリーン商材の価値創出に関して、幅広い業界で応⽤可能な考え⽅ についての提⾔をアウトプットとして策定します。 https://gx-league.go.jp/news/2023120401/ 2
企業の積極的なグリーン投資 ↓ 脱炭素+循環経済 の実現を加速させたい 3
企業のグリーン投資が進みづらい ↓ 脱炭素+循環経済 の実現がなかなか進まない 4 持続可能な商材の 製造‧流通に 追加コストがかかる 販売価格を 上げにくい
測定‧評価制度 が使いづらい 投資しても 回収できるか不透明
について議論され、提⾔がまとめられている 5 グリーン インセンティブ 評価指標 とラベル表⽰ toC 消費者⽀援 toB 企業⽀援
解決策として、
6つの提⾔と今後の展開(資料から転載) • 提⾔1 企業の脱炭素等の取組みを進めるため、商材のグリーン価値が市場から適切に評価され、経済活 ⽤される仕組みづくりを⾏うこと。 • 提⾔2 グリーン商材の普及を推進するため、これまで着⽬されてきた CO2 排出の絶対量に加え、基準
値からの排出削減量(以下、ΔCO2)を指標として適切に認識‧活⽤すること。その際、「マスバランス ⽅式」の考え⽅を参考に、グリーン商材への投資を促すなど ΔCO2 のグリーン価値を有効活⽤すること。 • 提⾔3 サプライチェーン全体のグリーン価値を評価すること。特に、調達、製造、製品利⽤における ΔCO2を評価に組みこむこと、プラスチックなどのリサイクルにおけるΔCO2排出量についてライフサイ クル全体での評価が重要であること。 • 提⾔4 CO2 削減を推進する上で重要⾦属資源の資源セキュリティーが益々重要となること。特に、⽇本 では、域内循環を⽀援することが重要であること。 • 提⾔5 グリーン商材の市場拡⼤に向けては、カーボンプライシングの導⼊以外にも様々なインセンティ ブの仕組みが必要であること。 • 提⾔6 グリーン商材に関するルールについては、本提⾔をベースとして、業界ごとの取組みや国際標準 化の取組みにつなげていくこと。 6
課題の構造を整理する (個⼈的な解釈です) 7 1.
グリーン商材が浸透しない課題構造(仮説) 8 企業の積極的なグリー ン投資が増えない 産業のグリーン 変⾰が進まない 流通する商材のグリー ン⽐率が上がらない リサイクル‧資源循環 率が上がらない
投資回収が 不透明 価格転嫁が 難しい グリーンプレミアム (持続可能な商材 の追加コスト) グリーン商材の 規模の経済が働かない 消費者‧企業の 購⼊シフトが進まない
9
価格転嫁がなぜ難しいか (グリーンな商材を⾼めの価格で販売すること) 10 個⼈ 企業 持続可能な製造‧流通に 切り替えても 商材によっては 機能的価値が変わらない (例:鉄鋼)
気候変動などの 良い結果も悪い結果も 全員に降りかかる (外部性がある) (規制‧炭素税がなければ) 従来品が まだ安く変える ▼ 積極的に購⼊する個⼈‧企業が得をする、評価制度‧インセンティブを設計する必要がある あえて⾼い⽅を 買う理由が (感情‧倫理⾯しか) ない‧‧‧
提⾔で⽬指す変化と施策 11 企業の積極的なグリー ン投資が増える 産業のグリーン 変⾰が進む 流通する商材のグリー ン⽐率が上がる リサイクル‧資源循環 率が上がる
投資回収の 期待ができる 価格転嫁が 進む グリーンプレミアム (持続可能な商材の追加 コスト)が減る グリーン インセンティブ グリーン ファイナンス 納得感のある測 定‧評価制度 グリーン商材の 規模の経済が働く 消費者‧企業の 購⼊シフトが進む カーボンクレジット ‧優先調達 ΔCO2、削減貢献量 エコラベル 購⼊補助⾦ サステナビリティ‧リ ンク‧ファイナンス
加えられる視点‧アイディア (ここからは提案です) 12 2.
ワーキンググループで議論‧整理されたことに 同感‧リスペクトしつつ、 より成功確度を⾼めるために、 追加できそうな視点 13
追記版‧課題構造(仮説) 14 企業の積極的なグリー ン投資が増えない 産業のグリーン 変⾰が進まない 流通する商材のグリー ン⽐率が上がらない リサイクル‧資源循環 率が上がらない
投資回収が 不透明 価格転嫁が 難しい グリーンプレミアム (持続可能な商材 の追加コスト) グリーン インセンティブ 納得感のある測 定‧評価制度 グリーン商材の 規模の経済 消費者‧企業の 購⼊シフトが進まない みんなで負担の 合意形成が難しい 社会‧経済の不安 可処分所得縮⼩ 政治信頼感‧推せ るビジョンの不⾜ ⾼齢化‧ ⼈⼝動態の変化 ⼈⼿不⾜‧ 専⾨⼈材不⾜ 組織ケイパビリ ティの不⾜ グリーン ファイナンス 変わる世代‧ 価値観&⾏動変容の可能性 背景にある社会‧経 済モデルの課題 問題の種類とアプ ローチの整合性 ⼈材‧組織開発 の課題
制度確⽴のためには合意形成が必要 全体的な機運‧ムード不⾜も無視できない フランス「⻩⾊いベスト運動」 化⽯燃料からのシフトを⽬的に掲げていた燃 料税の引き上げ 税収の⼀部しか環境問題に使われない ↓ フランス全国で⼤規模な抗議運動に発展 15 背景にある社会‧経
済モデルの課題 CC 表⽰-継承 https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=74483210 施策の公平感‧納得感に細⼼の注意が必要
経済の先⾏き不安や⾼齢化を抱え、 政治の信頼感が⾼くない状態で “みんなで負担”の合意形成は どうすれば可能だろうか? 16 背景にある社会‧経 済モデルの課題
頭と⾝体で考える、感じる、 “ボトムアップの⺠主主義”に可能性 全員が納得し、“推せる”トップ ダウンの社会Visionを描くこと が難しいならば ひとりひとりが⼿を動かし始め、 ⾃分なりのVision(より良い未 来像)を描ける社会‧機会を⽬ 指すのが良いかもしれない 17
背景にある社会‧経 済モデルの課題 『実験の⺠主主義 』宇野重規 『クリエイティブデモクラシー 「わたし」 から社会を変える』 ⼀般社団法⼈ 公共とデザイン
購⼊シフトがどう進むかも、 2040~2050年の価値観を想像して考える 18 変わる世代‧ 価値観&⾏動変容の可能性 ベビーブーマー世代 (≒団塊世代) X世代 (≒団塊ジュニア) Y世代(ミレニアル)
Z世代 α世代 ベビーブーマー世代 (≒団塊世代) X世代 (≒団塊ジュニア) Y世代(ミレニアル) Z世代 α世代 ??世代 各産業の中核を担うのはミレニアル世代‧Z世代となっていく ▼ 例えば「GXリーグ U-40」(40歳以下の分科会‧勉強会)をやってみるのはどうか
制度だけでなく、組織‧⼈材にも⽬を向ける 価格転嫁も、グリーン投資も、 ⽀援策があればすぐに実⾏で きるわけじゃない 元々企業努⼒で我慢していたグリーン化のコストを 価格に転嫁しても「便乗値上げ」と批判されるかも しれない環境で、フェアな値上げは進められるだろ うか? インセンティブプランに加えて、各社の⼈材‧ 組織開発の課題解決にも注⼒したい
19 ⼈材‧組織開発 の課題 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221016/k10013860801000.html
施策が散発的にならないよう、 全体をシステムとして捉え、取り組んでいく 20 『⾏政とデザイン: 公共セクターに変化を もたらすデザイン思考の使い⽅』 アンドレ・シャミネー 利⽤できる情報 が豊富 知識の不⾜
コンセンサス がない コンセンサス がある 単純な問題 ▼ カイゼン・効率化 倫理的な問題 ▼ 話し合い・調整 科学的/専⾨的な問題 ▼ ロジカルシンキング ・仮説検証 複雑/厄介な問題 ▼ ︖︖︖ 問題の種類とアプ ローチの整合性 複雑な問題には新しい アプローチが必要 「施策ありき」「個別に実 験」という進め⽅にならない よう、 システムチェンジやデザイン の専⾨家をプロジェクトに⼊ れていく
⾃分⾃⾝のコミットメント、貢献できること 21 正解のない問題に 取り組む ファシリテーション ⾏動変容の ワークショップ、 プロジェクト⽀援 持続可能性と利益を 両⽴する
価格戦略の⽀援
より詳しい⽅法論に興味のある⽅は、 過去のスライドもご覧ください 22 ⇤⇧⇥⌅ ⌃ ◆ # .( ) ⇣⇢⇧
1 ⇥ ✓ ⇡⌃.()+ & ⌧1 ⇤ *0,$ )⌥⌧✏⇠% ⌘⌦⌧1 ⌅ -'-/ .( )⌥⌧ 1 ⌫↵ .()+ "! ⌧ 1 ⇤ ⇥ ⇧ ⌅ ⇤⌃ ⇥⌥⌦ ↵ ⌦ ⇥⌅⇧⇤ ⌥ ⌃ ⾏動変容 ⾃分と世界を変える技術 https://speakerdeck.com/dmattsun/behavior-change-techniques
CEO CEO https://twitter.com/dmattsun https://note.com/mattsun https://www.linkedin.com/in/daikimatsumura/ 23
最後までお読みいただきありがとうございました。 松村 ⼤貴 / @dmattsun 24