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開発組織のAI活用レベルを可視化する「エンジニア版AI番付」の取り組み

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 開発組織のAI活用レベルを可視化する「エンジニア版AI番付」の取り組み

プロダクトヒストリーカンファレンス2026にて登壇した資料です
https://lp-prohis.youtrust.jp/

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Yu Kamiya

June 27, 2026

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Transcript

  1. AI ドリブン推進室 マネージャー 神谷 優 KAMIYA YU 2008 年新卒入社。入社以来、複数のサービス立ち上げに携わる。2015 年以降

    3 度の育休を挟みつつ、定額制音楽配信サービスにてソフ トウェアエンジニア、子ども向けプログラミングサービスにて海外開発部門責任者として長く toC 向け開発に従事。Developers Connect 室長を経て、2025 年 8 月より現職。2023 年 1 月より Tech DE&I Lead として当社開発組織における DE&I を推進。社外ではWomen Techmakers Ambassadorを務めたほか、Forbes Japan「Women in Tech 30」2024 にも選出。 @_yukamiya 00 | 自己紹介 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 2
  2. AGENDA 01 サイバーエージェントと AI の歩み 02 開発組織の AI 推進戦略 03

    「AI 番付」の取り組み — 背景と課題 04 エンジニア版 AI 番付とは — 評価のしくみ 05 運営の舞台裏 06 結果と振り返り 07 今後の展望 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 3
  3. 会社概要 VISION 21 世紀を代表する会社を創る PURPOSE 新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する 事業領域 メディア & IP / ゲーム /

    インターネット広告 規模 連結子会社 80 社以上、様々な事業を展開 グループ事業領域マップ 01 | サイバーエージェントと AI の歩み ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 5
  4. 主な事業領域 インターネット広告事業 サイバーエージェントの祖業。国内トップシェアの 販売力と運用力。AI がもたらす構造変化を成長機会 とし、新たな広告手法開発へ投資、進化を続けてい る。 メディア & IP

    事業 新しい未来のテレビ「ABEMA」や Ameba ブログ、 競輪サービスの WINTICKET など toC 領域を中心に 運営。近年では IP 事業にも力を入れ、原作からマネ タイズまで一気通貫できる体制を構築中。 ゲーム事業 大ヒットスマートフォンゲームを多数開発・運用。 今後はグローバル展開へも注力。 01 | サイバーエージェントと AI の歩み ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 6
  5. 2023年~2024年: 活用の基盤作り・専門組織の発足 最低限のルール整備 生成 AI 利用ガイドライン 2023 年 4 月に

    ver.1 を公開。データ管理や AI ツール特有の リスクなどを記載し、生成 AI を「徹底的に活用する」ため の最低限のルール・指針を定めたもの。現在も、技術の進化 や環境変化に伴い常にアップデートを続けている。 実行推進専門組織 AI オペレーション室 2023 年 10 月設立。AI の活用を競争優位性にするための専 門組織。20 名規模の専任の開発メンバーが在籍し、プロダ クト開発や事業部への AI 導入支援、活用基盤の整備など、 全社に向けて幅広く活動している。 全社員基礎知識インプット 生成 AI 徹底理解リスキリング 役員を含む 6,300 名(実施時社員の 99.6%)が受講完了。 オリジナル解説動画 + e-learning テスト形式。組織ごとに 合格率を公開するなど、誉感と焦りを演出し、全社一丸とな って取り組むムードを作った。 01 | サイバーエージェントと AI の歩み ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 9
  6. 2025 年:ギアチェンジのためのシナジー創出・利用環境強化 AI 技術集結の祭典「AI Fes.」 各事業部の AI 活用をブース・ポスター発表形式で持ち寄る 1day イベント。役員含む

    1,000 人以上が現地参加し、事業部を超えた知見共有と新たな連携・シナジー創出が生まれた。 2026 年も実施。 開発生産性へ投資 開発エージェント導入支援 エンジニアを対象に、1 人あたり $200/月 の AI エージェント導入費用をサポート。個人の AI スキル向上のために、様々なツールを気軽に試せる制度を用意している。 01 | サイバーエージェントと AI の歩み ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 10
  7. AIを武器に、事業インパクトに直結する成果を出すエンジニアを育成 3 年後の未来予想:開発生産性 既存 2〜3 倍 / 新規 3〜 5

    倍 ミドルクラスの開発業務の 7〜8 割を AI が代替 新ビジョン:AI ドリブン エンジニアと AI が協働し、素晴らしいプロダクトを共 創する開発組織へ 中長期目標:2028 年 Level4 到達 要件策定から本番環境への展開まで、開発プロセスを完 全に自動化 プロダクト開発チーム「AI 成熟度」 L5 AI Development Teams ✓ L4 PRD to Production / AI Software Engineer 要件策定から本番環境への展開まで、開発プロセスを完全に自動化 L3 Project-level Generation / Ticket to PR プロジェクトレベルの自動化(初期段階)、複数ステップを自動化 L2 Task-level Code Generation / IDE with Chat タスクレベルのコード生成 L1 Code-level Completion コード補完 番付はこの「AI 成熟度 L1-L5」に対応づけて 7 段階で定義(L4=2028 目標) 引用元 https://prompt.16x.engineer/blog/ai-coding-l1-l5 02 | 開発組織の AI 推進戦略 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 12
  8. AI ドリブンを加速させる打ち手 4 つの打ち手で、組織の AI 活用を底上げする ① 開発組織 AI 成熟度の推進

    全社で開発組織の AI 成熟度を引き上げる ② 開発 AI エージェントの予算化 & 活用推進 エンジニア 1 人あたり $200/月 を会社が補助 ③ 評価制度のアップデート AI を武器に成果を出す動きを評価へ反映 ④ キャリアチャレンジの創出 AI 時代に挑戦できる機会・役割をつくる 02 | 開発組織の AI 推進戦略 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 14
  9. AI ドリブンを加速させる打ち手 4 つの打ち手で、組織の AI 活用を底上げする ① 開発組織 AI 成熟度の推進

    ▶ この現在地を測るのが「AI 番付」 ② 開発 AI エージェントの予算化 & 活用推進 エンジニア 1 人あたり $200/月 を会社が補助 ③ 評価制度のアップデート AI を武器に成果を出す動きを評価へ反映 ④ キャリアチャレンジの創出 AI 時代に挑戦できる機会・役割をつくる 本日お話しするのは、このうち ①。組織の AI 成熟度を可視化する「AI 番付」です 02 | 開発組織の AI 推進戦略 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 15
  10. 概要 全社版 AI 番付 エンジニア版 AI 番付 ◀ 本日のテーマ 対象 全社

    76 組織(事業部・組織全体) 開発 44 組織(個人 → チーム → 技術組織) 評価の主軸 経営インパクト・事業価値創造・サービス品質 エンジニアリング品質・技術成熟度・推進体制 評価項目 全 9 項目 全 14 項目 KPI 例 売上・コスト削減率・改善速度・データ資産化 リードタイム・コード品質・自動化の深さ・経営との整合 横綱(最上位)像 AI が事業運営の基盤として不可分 開発プロセスを AI が自律実行、人間は判断のみ 03 | 「AI 番付」の取り組み ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 20
  11. 三賞 番付ランク(組織単位)とは別に、施策単位でも称える 殊勲賞 — 成果の大きさ 最も経営インパクトに寄与した施策(コスト削減・売上・新規価値創出など) 敢闘賞 — 動かす力 現場の

    AI 活用カルチャー・温度感の醸成に最も貢献した施策 技能賞 — 設計・手法の良さ プロンプトやエージェント設計の独創性・工夫が際立つ施策 番付ランクで上位を狙いづらい組織でも、施策という切り口で光を当てる仕組み 03 | 「AI 番付」の取り組み ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 21
  12. 定義 プロダクト開発チーム「AI 成熟度(L1〜L5)」とマッピングする形で 7 段階を定義 AI 成熟度 AI 番付 定義

    L5 横綱 完全自動化(人間はビジネス判断のみ)、全社ロールモデル L4 大関 開発プロセス全体(要件定義〜デプロイ)を AI が自動実行 L3 関脇 開発プロセスの半分以上(要件定義〜テスト)を AI が自律実行 L2 成熟 小結 開発プロセスの一部(複数ステップ連携、人間が各ステップで関与) L2 初期 前頭 開発プロセスの特定タスクを AI で自動化(散発的・部分的) L1 成熟 十両 コード補完・AI エージェント利用(チーム全体で日常化) L1 初期 幕下 コード補完・AI エージェント利用(個人レベル) 上に行くほど人間の関与が減り、AI が自律する。段位は「使っているか」ではなく「開発プロセスをどこまで任せられているか」で決まる 04 | エンジニア版 AI 番付とは ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 23
  13. 評価軸 2 軸 × 7 項目 × 5段階 で詳細に評価 ①

    エンジニアリング品質・技術成熟度 ①-1 AI 利用範囲 ①-2 自動化の深さ ①-3 人と AI の役割分担 ①-4 ワークフロー統合・エージェント協調 ①-5 成果(リードタイム / 品質) ①-6 インシデント対応の自律度 ①-7 インフラ構築・環境管理の自律度 ② 推進体制・技術文化 ②-1 利用レベル(個人 / チーム / 組織) ②-2 ツール環境・ガイドライン ②-3 チーム標準化 & ナレッジ共有 ②-4 推進体制(責任者・チーム) ②-5 効果測定と改善サイクル ②-6 全社への発信・ロールモデル性 ②-7 目標・戦略・経営との整合 04 | エンジニア版 AI 番付とは ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 24
  14. 評価軸 5 段階評価の例:①-2「自動化の深さ」 ① エンジニアリング品質 自動化の深さ タスク単位〜プロセス全体まで、どこまで自動化されているか 人の関与が減り、AI の自律度が高まる ▶

    Lv1 コード補完・レビュー支援など、 人間が操作する前提での支援 Lv2 テスト作成・ログ分析など特定タ スクを AI が自動化 Lv3 要件定義〜実装〜テストなど複数 ステップを AI が連携実行 Lv4 開発プロセスの半分以上を AI が 自律的に実行 Lv5 開発プロセス全体を AI が一貫し て自律実行し、人はビジネス判断 のみ 14 項目それぞれに、このような Lv1〜Lv5 の評価基準を定義 04 | エンジニア版 AI 番付とは ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 25
  15. 番付ランク確定までの運営フロー 自己申告を起点に、証左で裏づけ、AI一次レビューを経て、審議で最終確定する 1 自己申告 エントリーシートで 14 項目を Lv1-5 自己評価 Lv3

    以上は証左の提出を必須に 2 証左確認 提出資料(GitHub・ ドキュメント等)を Google Drive で突合・確認 3 審議会で確定 審議メンバーは技術担当役員+管轄責任者で構成 審議会での議論にて最終番付を決定 自己申告制を取ることで、各組織が自分たちの AI 活用と向き合うプロセスを重視 客観的な評価を担保するため、一定のレベル以上は証左を提出 05 | 運営の舞台裏 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 27
  16. 運営の工夫①AIによる証左の一次レビュー 審議のコストをAI とダッシュボードで下げる 証左チェックを AI で一次判定 Claude API と Google

    Drive 連携で、提出資料を読み取り妥当性を一次評価 判定ロジックの言語化・コード化 スコア集計・補正案・審議ポイントをドキュメント化した上で実装し、判定根拠を説明可能に ダッシュボードで可視化 スコア・レーダーチャート・番付分布を一覧化し、審議を効率化 なお審議ではAIによる一次レビューだけでなく、運営による目視チェックも実施しています。 05 | 運営の舞台裏 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 28
  17. ダッシュボードで可視化 スコア・番付・項目別の強み/弱みを 1 画面で俯瞰し、審議を効率化 左: 組織一覧と KPI / 中央: 組織

    × 14 項目マトリクス / 右: 項目別スコア 05 | 運営の舞台裏 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 29
  18. フィードバックレポート①サマリ(例) 14 項目のレーダーと総合スコア、最終番付を理由とセットで ①-1 利用範囲 ①-2 自動化の深さ ①-3 役割分担 ①-4

    WF統合・協調 ①-5 成果 ①-6 インシデント ①-7 インフラ ②-1 利用レベル ②-2 ツール/GL ②-3 標準化 ②-4 推進体制 ②-5 効果測定 ②-6 全社発信 ②-7 経営整合 総合平均 3.00 ① エンジニアリング品質 2.86 ② 推進力・組織文化 3.14 最終番付 小結 05 | 運営の舞台裏 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 31
  19. フィードバックレポート②証左(例) 証左項目ごとに、自己申告 Lv・提出物に対する4段階評価・評価に対するコメント 05 | 運営の舞台裏 評価項目 AI 利用範囲 申告

    Lv 3 ◎ PB 作成、マルチエージェントによるコードレビュー、spec driven のコード生成、テストコー ド生成、テスト項目書作成等の複数工程での AI 活用が具体的に確認でき、Lv3 定義を十分に満 たしている。 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 32
  20. フィードバックレポート③ネクストアクション(例) 次の番付に上がるための「優先アクション」を提示 現在の最終番付は 小結。次の 関脇 に進むには、関脇に求められる取り組み水準を満たすことが必要です。特に以下を優 先的に改善してください。 1. 自動化の深さを次の番付基準まで引き上げる ①-2

    が上位番付の条件に届いていない。単発支援ではなく複数工程をまたぐ実運用を増やす 2. AI 活用範囲を複数工程へ広げる 個人利用・一部工程にとどまる使い方を、要件定義〜実装〜テスト〜運用の標準フローへ 3. 目標と経営・事業方針の整合を明確にする AI 活用の狙いを事業 KPI・投資判断と結び付け、PM・事業責任者・経営層と同じ目線で説明 05 | 運営の舞台裏 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 33
  21. 番付分布:44 組織の現在地 全組織が十両以上に到達。多くは前頭〜小結に分布 2028 年・目標ゾーン 2026 年 4 月・現在地(全 44

    組織) L5 横綱 AI 前提の組織・業務編成 — L4 大関 PRD to Production / 完全自動化 — L3 関脇 プロジェクトレベルの自動化(初期) 4 組織 L3 小結 包括的な取り組み 13 組織 L2 前頭 部分的な取り組み 13 組織 L2 十両 組織レベルで真似る 14 組織 L1 幕下 個人レベル 0 最高位は関脇(横綱・大関は該当なし)、幕下はゼロ。AI 成熟度 L1-L5 に対応 06 | 結果と振り返り ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 35
  22. 各事業の成果例 各事業の証左から確認された成果例 ① リードタイム短縮 ・仕様書作成工数 70% 削減 ・実装工数 40〜50% 削減

    ・AI レビュー指摘数 3〜4 倍増 ② 生産性向上 ・開発ベロシティ 2.1 倍向上 ・モック制作 3 倍速、3 ヶ月で 224 個、月 13 人日の工 数創出 ③ 品質向上 ・コードレビューカバレッジ 22.7% → 79.3% ④ コスト削減・業務自動化 ・監視業務 10 倍効率化(1,500 件/時間)、E2E テスト 500 件自動生成 ⑤ 少人数化 × 成果維持 ・既存事業を 1/3 に圧縮後も、新規事業 2 ラインの同時 開発を継続 ⑥ 先行事例 ・アプリの 1 画面を 30 分、低コストで実装する可能性 を実証 06 | 結果と振り返り ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 36
  23. 証左が示す課題 AI 一次評価と証左から見えた 3 つの課題 課題❶ 成果は出ているが「測定できていない」 証左ありの組織でも「体感として短縮している」「概算・推測」という記述が散見される。実際には成果が出ているが、測定基盤がないために可視化・証明できていない 組織が多い。 課題❷

    成果の二極化が急速に進んでいる 上位組織と、証左ゼロの組織の間で成果の差が急速に開いている。 課題❸ 「使っている」と「成果が出ている」の間に大きな壁がある ②-1 利用レベルの全体平均 3.27 に対し、①-5 成果は 2.57 に留まる。AI を日常的に使っていても成果に結びつくかは、測定の仕組みと開発プロセスへの組み込み方に 大きく依存する。ここを整備することが全社として次に取り組むべき最重要課題。 06 | 結果と振り返り ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 37
  24. 2028年までのマイルストーン AI Level ロードマップ ― 2028 年に Level 4(プロジェクトレベルの自動化)へ 2026年4月

    2026年10月 2027年 2028年 いまここ Level 十両・前頭・小結 小結・関脇 関脇・大関 大関・横綱 L1 コード補完 L2 タスクレベルのコード生成 L3 プロジェクトレベルの自動化(初期段階) L4 プロジェクトレベルの自動化 半期ごとに各組織の AI レベルを測り、一段ずつ引き上げる。2028 年には開発プロセスを AI 前提に進化させ、人がより 本質的な価値創造に向き合える状態を目指す 07 | 今後の展望 ©CyberAgent, Inc. All Rights Reserved 39