Agent Skillsがハーネスの垣根を超える日

2025年12月18日、Anthropicが「Agent Skills」をオープン標準として公開し、OpenAI CodexやGitHub Copilot Agentなども続々と対応を表明しました。これは単なる機能追加ではなく、エージェント開発における「スキル共有革命」の始まりです。本スライドでは、「どのAIエージェントが最強か」というハーネス（実行環境）の機能比較議論から脱却し、「ポータブルなコンテキスト（Agent Skills）」に知能と実務手順を集約することの重要性を解説します。
特に、シンプルな設計を持つOpenAI Codexでの実践例を通じ、複雑なハーネスのカスタマイズを捨てて「標準MCP × Custom Skills」で開発体験を最適化する良さや、運用時に見過ごせないセキュリティリスクについても話します。また、自作OSS「SkillPort」について紹介します。

年末年始、複雑になったエージェント設定を一度リセットし、特定のツールにロックインされない「資産としてのSkills」を積み上げませんか？

Transcript

1. Agent Skillsがハーネスの垣根を超える日
 
 Gota (@gota_bara)
 
 2025/12/22
 Claude CodeからCodex CLIへ Tech Garden(ROSCAFE)

2. 自己紹介
 Gota (@gota_bara) 職種 Agentic AI Engineer & データアナリスト やってること ⼩売向けデータプロダクト / AIエージェント開発 / データ整備 興味 AI × 体験 / ⾳声AI / LLM Evals / DSPy / 🏕(夏以外) Kiro-styleの仕様駆動開発 (SDD) ツール テンプレート機能が強⼒ / Agent Skills対応中 2 Agent Skillsの運⽤‧管理を容易にするOSS skillsの⼀元管理とOpsに向けて鋭意更新中
3. 3 エージェントハーネスとしてClaude Codeは強力
 機能 Claude Code Codex 備考 Model Opus-4.5 GPT-5.2-Codex 違いはあるが両⽅賢い Subagents ⭕ ❌ Subagentsが必要な場⾯は実は少ない Hooks ⭕ ❌ この差は個⼈的には重要 MCP ⭕ ⭕ 仕様が異なる Plugins ⭕ ❌ チーム‧組織利⽤では重要だが結構複雑... LSP (Plugins) ⭕ ❌ Claude Code 良いよね！ 設計思想 カスタマイズ シンプル 「⽬的に適したモデルが何か？」で利⽤するエージェントは⼤きく変わるため、 ロックインのリスクを避けたい
4. 4 Claude is powerful, but real work requires procedural knowledge and organizational context.
 
 
 
 Anthropic, Equipping agents for the real world with Agent Skills 「実務」には⼿順とコンテキストが必要
5. 5 「⼿順」と「コンテキスト」をエージェントに渡す⼿法として秀逸で徐々に認知 しかしClaudeでしかSkillsを利⽤できなかった...(SkillPortはClaude以外でも使え ることを⽬指して初期開発) 2025/10/16: AnthropicがClaudeにAgent Skillsを発表

6. 6 AnthropicがAgent Skillsをオープン標準として公開！ Codex、Github Copilot Agent、Cursor等でも続々とSkillsへの対応が発表！ 2025/12/18: Agent SkillsがOpen Standardに！

7. Don’t Build Agents, Build Skills Instead
 7
8. 8 Agent Skills = ポータブルなコンテキスト
 • エージェントに必要な「業務知識」を⼀つのフォルダで渡す • どのエージェントでも読み込めるオープン標準 • ただのファイルのため管理‧共有が簡単 Agent Skillsはエージェントに依存せずにどこでも使える！
9. 9 Agent Skillsの構造はシンプル
 必須なのは、SKILL.mdだけ！ それ以外は必要に応じて、柔軟に拡張可能
10. 10 SKILL.mdの書き方
 YAML Frontmatterが上部にあるだけのmarkdownファイルに業務⼿順や知識を書 くだけ YAML Frontmatterにname, descriptionは必須
11. 11 AgentがSkillsを使う仕組み: Progressive Disclosure
 コンテキストの段階的開⽰(検出 → アクティベーション → 実⾏)により、⾼速に膨 ⼤なコンテキストにアクセス可能 https://platform.claude.com/docs/en/agents-and-tools/agent-skills/overview どんなSkillがあるか？ 必要なSKILL.mdだけを読む リソースを段階的に展開しなが ら実⾏ (コードは展開せずに実⾏ 可能)
12. 12 Agent Skillsが汎用エージェントを特化型に簡単に変える！
 業務知識を持つ⼈⾃⾝がSkillsを作るだけでAIの振る舞いを定義し、特化型エー ジェントを作ることが出来る さらにこれまでAI Agentでは扱うことが難しかったタスクも実⾏可能に！ 1. マルチモーダル(あらゆるファイル形式) 2. 繰り返し可能なワークフロー 3. 実⾏環境が⽤意できるなら実⾏環境でできること⼤体何でも シンプルかつ拡張性が⾼いフォーマットで業務知識をパッケージ化可能
13. CodexでAgent Skills

14. 14 CodexでAgent Skillsを使う
 /skillsを使うと利⽤可能なSkillsを確認可能
15. 15 CodexでAgent Skillsを使う
 コマンドのように選択してSkillsを発動可能！ (Custom Commandsは多分Skillsに統合されそう) デフォルトのSkills
16. 16 Agent Skillsをインストールする
 任意のリポジトリからSkillsをインストールすることが可能！ ~/.codex/skills/配下にインストールされるが、$CWD/.codex/skills/も可 Skill Installer、インストール先を$CODEX_HOMEから変えれば別のエージェントでもSkills登録して使い回せますw
17. 17 Agent Skillsが使えるように！
 あとは選択して使うだけ！ ちなみに...明⽰しなくとも動的にSkillを発動できる！
18. 18 Codex WebでもAgent Skillsを使うことは可能
 明⽰的な呼び出しはサポートしていないが、Skillsは利⽤可能！ catで呼び出すの本当にやめてほし い...
19. 19 CodexにはないplanモードがSkills経由で追加される...？
 experimentalとして存在 (昨⽇までsystemだった気 がする) Codexはエージェントがシ ンプルだからこそ、 ”Skills”中⼼の思考に変え やすい https://github.com/openai/skills/blob/main/skills/.experimental/create-plan/SKILL.md
20. 20 到達すべき境地
 ハーネスをカスタマイズしなくても、 良いSkillsさえあれば⼗分だった！ 本当かどうかは知りませんw
21. 21 年末年始の提案: 一度リセットしませんか？
 直近モデルの性能が⼤幅に向上し、カスタマイズ不要で出来ることが増えていま す。まっさらなエージェントハーネスからやり直しませんか？ 1. 複雑にカスタマイズした設定やロジックを含むMCPサーバーを⼀度全て削除 する 2. まっさらなCodexに標準MCPサーバ(できるなら必要なツール)だけ接続する 3. ロジックや業務知識はAgent Skillsとして載せていく ハーネスのカスタマイズは最終⼿段、Skillsで構築するのはいかが？
22. 22 Agent Skillsには見過ごせないリスクがある
 Supply Chain Attack 野良Skillに悪意あるコードやプロンプトが含まれていたら？ Indirect Prompt Injection 読み込んだログファイルやドキュメントに攻撃命令が隠されていたら？ Shadow AI 組織で承認されていないSkillが勝⼿に利⽤されたら？ Skills利⽤時は中⾝を全て確認した上で利⽤する。更新も注意
23. 23 まとめ
 Agent Skillsはエージェントの垣根を超えたポータブルな資産となる！ Codex / Claude Code / その他Agent 何でも良いのでとにかくSkills化を進めて いくべし！ Agent Skillsの運⽤‧管理を容易にするOSS 今回はSkillsの良いところを語っているが、課 題もあるのは事実。それらに対処できるように 鋭意更新中
24. ありがとうございました！
 質問やお問い合わせ等あればお気軽に！ 
 X: @gota_bara