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2023年度桜井政成ゼミ資料_論文の探し方・読み方

 2023年度桜井政成ゼミ資料_論文の探し方・読み方

大学生・大学院生向けに、論文の探し方・読み方を解説するための資料です。社会科学系の学生・院生に適用できる内容かと思います。無断複写・転載を禁じます。

Masanari Sakurai

February 02, 2024
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Transcript

  1. 論⽂の「信頼性」の⽬安①論⽂の掲載誌による判断 1. 学会誌・学術雑誌(査読有り) 2. ⼤学や研究所等発⾏の論⽂誌(紀要)で「査読有り」 3. ⼤学や研究所等発⾏の論⽂誌(紀要)で「査読無し」 4. その他、商業雑誌記事など ※査読とは…専⾨家同⼠での審査。多くの場合覆⾯審査員制で⾏う。学会

    誌であれば学会員が⾏う。ピア・レビューとも呼ぶ。 ※⼤学や研究所等発⾏の論⽂誌で査読のあり・無しをどこで判断するか? →基本的に「査読あり」と書いてなければ査読無しの論⽂。 持ってきた論⽂の掲載されている媒体は なんでしたか? 信頼性⾼い 低い
  2. 論⽂の「信頼性」の⽬安②論⽂の種類 持ってきた論⽂の種類はどれですか? 信頼性⾼い 低い 1. 学術論⽂ • 理論(演繹的)論⽂…「AはBである。BはCである。なのでAはC。」 • 実証(帰納的)論⽂(以下で詳しく説明するもの)

    • 展望論⽂・レビュー論⽂…これまでの研究、研究の現状の整理をした もの Ø⾼度な分析⼿法を⽤いたものは信頼度が⾼い(システマティック・レビューな ど) • 研究ノートもやや質が落ちるが、査読付きのはOK 2. 速報的論⽂ Ø「研究ノート」、「ディスカッションペーパー」、「ワーキングペー パー」、「要旨集」、「資料」、「報告書」等々、タイトルや表紙に 論⽂種類が書いてあるもの。学術論⽂とはちょっと違うかも!
  3. 論⽂の「信頼性」の⽬安③参考⽂献⼀覧を⾒てみる • 参考⽂献リストを⾒るポイントその1:リストの「⻑さ」を⾒る! • 引⽤論⽂数がひとケタ台では、、、!? • その論⽂の「有⽤性」について⼗分に説明されていないおそれ • 参考⽂献リストを⾒るポイントその2:リストの構成内容を⾒る! 1.

    英語論⽂の割合 2. 学術論⽂の割合(査読付き論⽂、学術学会発⾏の論⽂が望ましい) • 論⽂を引⽤しているか。本や新聞からしか引⽤していない場合は、アヤシイ… ↓ • その論⽂の「位置」が⼤まかに分かる。 • 世界的な研究の領域・潮流に位置付けられるものなのか。 • 何学の論⽂なのか。経営学・社会学・社会福祉学・政治学・都市計画論… <ブラックな論⽂の匂いがするもの> ※ 同じ著者(特にその論⽂執筆者本⼈!)からの引⽤のみ ※ 新聞・雑誌記事・新書・⽂庫からの引⽤のみ(先⾏研究に位置付けてられてない) ※ 「古典」「重要⽂献」からの引⽤のみ(その古典の考察をしている論⽂はOKな場合も) ※ 海外⽂献が邦訳物のみ(英語等原典を読解する能⼒が著者にあるか?) ※参考⽂献⼀覧のよくある勘違い ×「参考」にした資料 ◦本⽂で引⽤した資料 逆に⾔えば、参考⽂献⼀覧に乗せるものは全て本⽂中で⾔及していなければならない 先⾏研究が無いとどうなるか…「ぼくがかんがえたさいきょうの◦◦」
  4. 最初にどこを読めばよい? 〜タイトル・アブストラクト・本⽂の構造〜 1. タイトル…20字〜40字程度 ↓↑ 2. アブストラクト…200字〜800字程度 ↓↑ 3. 本⽂…12,000字〜20,000字程度

    ※内容的には同じ!いわゆる「縮⽂」。ただしタイトルは「キャッチコピー」なので内容 を正確に反映しないことも(特に海外の論⽂は⾯⽩いタイトルが多いです。「彼らは本当 に私を愛していたの!〜ボランティアツーリズムにおける親密性〜」とか)。 アブストラクトで論 ⽂の構造(次スライ ド参照)がわかるも のは良い論⽂!!
  5. 論⽂の構造とは? 〜a→bと、aʼ → bʼ の流れを意識する〜 研究背景 先⾏研究の考察 調査の⽅法 調査結果・考察 aʼ)

    リサーチクエ スチョン a) 「この研究で明らかにすることに は価値がある!」=研究の意義 b) 「この研究結果はウソじゃないし意 味もある! 」=研究の記録(再現性) と解釈(有⽤性) bʻ) 結論 研究課題。(または調査⽬的) 何を明らかにしないといけないか リサーチクエスチョンの「答え」
  6. IMRADという実証論⽂の古典的な型(理系の論⽂) • Introduction(導⼊ ; I) • Methods(研究⽅法 ; M) •

    Results(研究結果 ; R) and • Discussion(考察 ; D) IMRAD型はそのまま文系の論文に当てはまらないことも… ・ Introductionには研究の背景(Background)と先行研究の考察(Previous studies)が含まれ る。 ・ MethodとResultが合体して1つの項目になっていることやResultsとDiscussionが合体して1 つの項目になっていることもある。 ・ DiscussionとConclusionの境目もあいまいなことが多い。 ・ MethodsにはMaterials(素材。調査対象の概要)、Theory(分析に用いる理論枠組み)も 含まれる。
  7. まとめ:先⾏研究の探し⽅・読み⽅ ステップ1 本⽂を⼊⼿し保存する基準 • タイトルとアブストラク トから、⾃分の興味ある 内容かを判断する。 • 図表もざっと⾒てみる (あれば)。

    ステップ2 本⽂を精読するための基準 • 掲載先と参考⽂献リスト から、論⽂の「質」を把 握する。 • 信頼性を⼤まかにつかむ。 • 研究分野(何学の論⽂ か)を⼤まかにつかむ。 ステップ3 先⾏研究に⼊れる基準 • リサーチクエスチョンと 結論からおおまかに理解。 • 調査の⽅法と結果を読ん でその論⽂が明らかにし たことを整理。 • 要点をまとめリスト化
  8. ネットでの探し⽅のコツ • どのサイトから調べるか? üCinii、J-Stage …⽇本語論⽂・記事に強い(学会名や雑誌名を絞って検索 できる) üGoogle Scholar…網羅的(⼀番のおすすめ) üGoogle…たまに掘り出し物がある(「論⽂」「 PDF」と検索ワードで⼊

    れたり) • どこからアクセスするか? • ⼤学のWIFI…⼤学が契約している論⽂の本⽂が読める(学外からのVPN接 続も可) • どんなキーワードで検索するか • 2つ〜4つのキーワードを⼊⼒する(対象がより絞られる) • テーマだけでなく、切り⼝、⽅法論、理論、雑誌名・学会名なども組み合わせる(例 えば「⼦ども⾷堂」+「多世代交流」+「質的調査」+「社会福祉学会」など。) • “ ”を使ってみる(固有名詞が切り離されなくなる) • Google( Scholarでない⽅の)を使う場合は「論⽂」「 PDF」と⼊れるの も⼿(本⽂が⼊⼿しやすくなる)