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Transcript
アリから学ぶ組織マネジメント 2023.05.25 TechD LT Vol.11 miure https://m-miura.jp/
Copyright levii Inc. All rights reserved. 自己紹介 三浦 政司 (みうら
まさし) JAXA宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 准教授 株式会社レヴィ 共同創業者/システムデザイン研究所所長 株式会社ロケットリンクテクノロジー/取締役 専門分野 • 制御工学 :分散協調制御、飛翔体誘導制御 • システム工学:システム設計論、システムモデリング • 工学教育 :PBL型工学教育 好きなこと • 蟻コロニーの飼育 https://r.m-miura.jp/ant • 自転車 • コミック https://m-miura.jp @miuramiure
今日の発表は… • 進化生物学者である長谷川英祐先生の著書に基づいて、 アリの「個体と組織の関係」を紹介する • そこからエンジニアリングマネジメントや組織マネジメントについて 何か言えることがないか(ちょっと無理やり)考える • LTにアリを出したいだけという説もある
前提
働きアリはみんなメス バグズ・ライフ ピクサー&ディズニー, 1998 幼馴染のS級パーティー から追放された聖獣使い。 KADOKAWA, 2022
働きアリは卵を産まない(子孫を残さない)
働きアリは卵を産まない(子孫を残さない)
利他行動が進化する条件 出典:長谷川英祐「働かないアリに意義がある」
長谷川先生の本から
複数の個体が、協調的に行動することで、ある目的が達成される。それ が「協力」です。このためには、ある個体は集団 の中の他の個体に反応し て、全体の目的が達成 できるように行動しなければなりません。そのため には自分 だけの利益になる行動を抑制しなければならず、協力する個体に はコストが発生します。 出典:長谷川英祐「働くアリに幸せを 存続と滅びの組織論」
アミメアリというアリは、女王アリがおらず、すべてのワーカーが産卵して ワーカーを産む変なアリです。時々、コロニーの中に少し大型で単眼のある 個体が混じっていることがあります。DNA分析により、この系統は普通の アミメアリの中から後になって現れたものであることがわかっています。大 型個体は普通のワーカーに比べると、ほとんど働かず、産卵数はずっと多い のです。つまり、「働く」という協力のコストを払わずに集団による利益だ けを受け取ろうとする裏切り者です。産卵数が多いので、このタイプはコロ ニーの中でどんどん増えます。同時に、たくさんいても全然働かないので、 大型個体ばかりになったコロニーは滅びます。 出典:長谷川英祐「働くアリに幸せを
存続と滅びの組織論」
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生物の世界で個体の利益より組織の利益を優先させることができないの は、生物の進化にとっての損得勘定が、「将来の世代にどれだけ個体の遺 伝子を伝えたか」というモノサシだけで測られるからです。コロニーなど の上位階層は、それ自体の利益を測る独自のモノサシを持っていませんか ら、利害はすべて、「個体のモノサシ」の目盛りが上がるか下がるかに還 元されてしまうのです。 出典:長谷川英祐「働くアリに幸せを 存続と滅びの組織論」
アリのコロニーでは、ある瞬間には7割くらいのワーカーが働いていませ んし、長期的に見ても1~2割くらいの個体がほとんど働きません。コロ ニーの中で働いている個体だけを組み合わせて新たなコロニーをつくって もやはり1~2割の個体はほとんど働かないようになってしまいます。 ~中略~ 生き物は、生き残ったものが勝ちという厳しい競争の中を生き抜いてきた ものなので、こういうシステムを採用しているからには皆が一斉に働くシ ステムよりもその方がもっとよいからだと考えられます。 出典:長谷川英祐「働くアリに幸せを 存続と滅びの組織論」
実際のアリコロニーを見ているといろいろ気づきがあります