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次世代図書館専門課程(2020年)_第1回01
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都市経営プロフェッショナルスクール
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October 01, 2020
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次世代図書館専門課程(2020年)_第1回01
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October 01, 2020
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Transcript
都市経営プロフェッショナルスクール 次世代図書館専門課程 「地域社会、地域経済を支援する図書館」 ①これからの図書館を取り巻く環境 奈良大学 文学部(司書課程) 嶋田 学
自己紹介 1963年 大阪生まれ 1987年 大阪府豊中市立図書館 1998年 滋賀県永源寺町図書館準備室 2000年 永源寺町立図書館 開館
2005年 東近江市立永源寺図書館 八日市図書館~能登川図書館を経て 2009年 東近江市立永源寺図書館 2008年 同志社大学大学院総合政策科学研究科修了 2009年 同志社大学政策学部嘱託講師 2011年 岡山県瀬戸内市新図書館館長候補者 2016年 瀬戸内市民図書館もみわ広場 館長 2019年 奈良大学文学部文化財学科 教授(司書課程)
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 1)ザックリと、『市民の図書館』以降を振り返る 2)「これから」を語る前に、「これまで」を確かめる
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 1)ザックリと、『市民の図書館』以降を振り返る ◎1970年代~1980年代 ・貸出しが増加していく時代。それに合わせて図書館が 増えていく時代。 ・貸出密度は、図書館活動の評価の決め手 ・日野市立図書館が市庁舎内に「市政図書室」を開設。
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 1)ザックリと、『市民の図書館』以降を振り返る ◎1980年代~1990年代 ・行革時代のはじまり~窓口業務委託~ ・図書館設計は、「貸出図書館」として開架スペース重視 ・住民による図書館設置運動が隆盛 ・貸出冊数と図書館設置は右肩上がりを続ける
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 1)ザックリと、『市民の図書館』以降を振り返る ◎1990年代~2000年代 ・行革から構造改革への移行期 ・「滞在型図書館」という図書館設計の萌芽期 ・町立図書館整備の時代~苅田町立図書館の登場~ ・「無料貸本屋」という批判(『図書館雑誌』1998年5月号 津野 海太郎「市民図書館という理想のゆくえ」 )
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 1)ザックリと、『市民の図書館』以降を振り返る ◎2000年代~2010年代 ・構造改革「民で出来ることは民で」 小さな政府 2003年 指定管理者制度の登場 ・「ビジネス支援図書館」というサービス展開と批判 2003年 菅谷明子
『未来をつくる図書館』(岩波新書) ・「平成の大合併」 自治体数3000→1800というインパクト “補完性の原理” “新しいまち(自治体)づくり”
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 1)ザックリと、『市民の図書館』以降を振り返る ◎2000年代~2010年代 ・「役に立つ図書館」という言説と批判 ・2006 年 文部科学省 『これからの図書館像』 ・2008年「長尾構想」~国立国会図書館電子図書館構想
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 1)ザックリと、『市民の図書館』以降を振り返る ◎2010年代~2020年代 ・2011.3.11 災害の時代と図書館のあり方 ・2013.4 “ツタヤ図書館”(武雄市図書館)の登場 ・「地域活性化」「賑わい創出」という図書館目的論の登場 ・「複合」から「機能融合」へという建築と運営のデザイン ・首長部局での図書館(社会教育施設)の運営・法改正
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 2)「これから」を語る前に、「これまで」を確かめる ◎『市民の図書館』は達成されたか… ・「全域サービス」という課題は達成されたか… → 「地域活性化」「賑わい創出」でかすむ地域利用 格差という課題。 ・「貸出し」サービスのうち「利用を喚起する」という 課題は達成されたか… →
「貸出し」の取り組みは、「貸出密度」を効率的に 伸ばす顕在的な「利用者」に絞られていなかった か、という疑念。
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 2)「これから」を語る前に、「これまで」を確かめる ◎「基本に忠実な図書館」と「貸出しを重視する」という 言葉の空疎さについて 『市民の図書館』の課題の次の展開として「課題解決型 図書館」というアプローチに対する異論だが…。 → 「基本に忠実」であることの中身は『市民の図書館』 というもの以外に見えてこない。その実践からの学び が語られていない。
→ 「貸出しを重視する」とは、どのような取り組みなのか は、まったく言及されない。
1.『市民の図書館』から現在までの図書館 2)「これから」を語る前に、「これまで」を確かめる ◎貸出しを重視する → 豊かにする内実とは? ・実利用人数(対人口比)の増加 1年間に1度でも貸出利用をした住民の数(対人口比) → 多様な住民の図書館利用の蓋然性が高い ・分類別貸出冊数の主題多様性
→ 多様な情報ニーズへの対応可能性 ・貸出利用の先にある「アウトカム」評価の多様性 → アウトプット(貸出冊数)からは見えない、図書館 利用の成果(便益効果)の可視化 * 定量的評価から定性的(質的)評価(ナラティブ評価)
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 1)「高齢者」という住民との関係 2)「判断根拠」語らない「AI」という知恵との付き合い方 3)「情報提供」から「ものがたり」、「コミュニティ」の提供へ
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 1)「高齢者」という住民との関係 利用者であり、協働におけるメインプレイヤー 市民ボランティア組織の課題は「高齢化」と言われるが… → 可処分時間を持つ年代層は、自ずと壮年、高齢層。 これからは、高齢者の層が厚くなっていく時代 → 住民協働のチャンス →
高齢者が住民協働を引っ張り、図書館という 「場」を活かして多様な年代層の住民の参加を 得て、新たな公共領域を創造していける時代
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 1)「高齢者」という住民との関係 *高齢者という存在の捉えなおし → 主体性、当事者性、未来展望性を喚起する活動 → 加齢という課題を情報と実活動の両面で解決支援 *高齢福祉系部局との連携
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 2)「判断根拠」語らない「AI」という知恵との付き合い方 人工的な手段で実現され,知覚,インタラクション,推論( 推理),問題解決,言語,連想,学習などの知的情報処理 を自律的に遂行することができる情報処理メカニズム。 → 行動選択肢の提案や意思決定を支援してくれるが… 現在の技術では、「なぜ、そうなのか」という判断根拠 を示せないのが、AI(人口知能)の限界。 →
AIが代替不可能な領域で「人間らしさ」を高める好機 *人は、なぜ生きるのか? *人にとって幸福とは何か?それはどのような理由? *平和をもたらすためのコミュニケーションとは?
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 2)「判断根拠」語らない「AI」という知恵との付き合い方 → 行動選択肢の提案や意思決定を支援してくれるが… 現在の技術では、「なぜ、そうなのか」という判断根拠 を示せないのが、AI(人口知能)の限界。 → AIが代替不可能な領域で「人間らしさ」を高める好機 *図書館が先人の知恵の集積体として提供できる知恵 *人と人が、何らかの興味関心でつながることを支援
*知と情の両面の精神活動を支える 「知性」と「感情」によって、人の「物語」は生成される。 人が生きている時間には、独立的な、あるいは織り重な った「物語」があり、そこに生きる意味が刻印されている。
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 3)「情報提供」から「ものがたり」、「コミュニティ」の提供へ 「貸出し」から「資料提供」そして「情報提供」への歩みは 結局、より多くの「貸出し」(情報提供)を、効率的、効果的 に行う、という量的側面に傾斜した「市場的」な施策であっ た。(鈴木均 2004年) 図書館法(1950年施行) 第一条 (この法律の目的)
この法律は、社会教育法(昭和二十四年法律第二百七 号)の精神に基き、図書館の設置及び運営に関して必 要な事項を定め、その健全な発達を図り、もつて国民の 教育と文化の発展に寄与することを目的とする。
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 3)「情報提供」から「ものがたり」、「コミュニティ」の提供へ 「ユネスコ図書館宣言」(1994年11月採択) 「社会と個人の自由、繁栄および発展は人間にとっての 基本的価値である。」 「地域において知識を得る窓口である公共図書館は、 個人および社会集団の生涯学習、独自の意思決定およ び文化的発展のための基本的条件を提供する。」 「この宣言は、公共図書館が教育、文化、情報の活力で あり、男女の心の中に平和と精神的な幸福を育成する
ための必須の機関である、というユネスコの信念を表明 するものである。」
2.「これからの図書館」を取り巻く環境 3)「情報提供」から「ものがたり」、「コミュニティ」の提供へ 「図書館法」の目的や、「ユネスコ図書館宣言」の目指して いる図書館の在りようから、私たちの図書館が提供すべ き「価値」と「意味」を再考してみる。 → それぞれの地域の事情を踏まえつつ、一人ひとりの 「私」という生の営みに、図書館は何をもたらし得るか あるいは「私」は、図書館に何を求めているか。 常に、問い続けるべき「問い」