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20260407_【DCC】トークン化法WG_中間整理_本紙

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April 06, 2026
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 20260407_【DCC】トークン化法WG_中間整理_本紙

「トークン化法」に係る「中間整理」の公表について

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April 06, 2026

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Transcript

  1. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #2 エグゼクティブサマリ

    トークン関連法整備の 背景・取組意義 トークン関連法整備の 全体像 「トークン化法」の 想定内容(*) 「投信法改正」の 必要性・概要 ・世界的な潮流として、今後、様々な資産が分散型台帳上(オンチェーン)でトークン化されていくことが見込まれている。トークンの移転によるDvP決済やスマート コントラクトによる取引が技術的に実現されている中において、トークン化された金融商品(ST)と決済手段(SC)に関する私法上の取扱いが重要性を増している。 ・現状、STもSCも契約上のアレンジメントによって実現しており、前者は原簿管理方式、後者は消滅・発生構成だが、クロスボーダー取引が進む中で日本の制度が ガラパゴス化してしまうリスクの回避や、フルパーミッションレス化の実現可能性や取引安全性の確保を図ることで、国内市場の成長と拡大を促進する。 ・利活用需要が大きく、法整備の優先順位の高い「金融商品取引法(以下、金商法)が適用される有価証券」及び「電子決済手段」を対象に、トークンの移転の 記録に権利推定効等(善意取得を含む)を認める法制度を「トークン化法」として整備することを志向する。 ・「トークン化法」の整備までは一定の期間を要することを踏まえ、短期的にトークン化需要が大きいにも関わらず現行法上「券面発行」を要求する規定によりトーク ン化が難しい投資信託の受益権について、「投資信託及び投信法人に関する法律(以下、投信法)」を改正し、「券面不発行制度」を導入することが望ましい。 ・【分散型台帳】|全ての“通称ブロックチェーン”を定義づけるのではなく、一定の中立的な技術的要件を満たすものを「分散型台帳」と定義する建付けとする。 ・【分散型台帳上の記録】|分散型台帳において作成/管理される、権利内容に関する電磁的記録で、改変の有無を確認することができるものとする。 ・【分散型台帳として効力を認める要件】|「識別性」「権利発生との一体性」「耐改竄性」「耐障害性」等を要件に、自主規制/ガイドラインを含めて定義する。 ・【分散型台帳上の記録の支配(事実上の支配)及び変更】|特定の者のみが分散型台帳上の記録に表章されている権利を有する者として当該分散型台帳上 の記録を排他的に行使することができる状態にあることを「支配」概念、当該分散型台帳上の記録が変更されることを「記録の変更」として定義する。 ・【分散型台帳記録表示権利】|金商法上の有価証券に表示されるべき権利であって、分散型台帳上の記録に表章されるものを指す。(SCは別途定義) ・【譲渡/質権設定の効力要件】|分散型台帳上の記録の変更を、譲渡及び質権設定の効力要件とする。 ・【権利推定効】|分散型台帳上の記録を支配する者は、当該分散型台帳上の記録に係る分散型台帳表示権利を適法に有するものと推定する。 ・【善意取得】|分散型台帳上の記録の変更により記録を支配するに至った者は、分散型台帳表示権利を取得する。(悪意又は重大な過失があるときは除く) ・【発行体の義務】|「記録と権利移転を一連として実施」「電磁的記録を識別できる措置」「強制移転を行う仕組みの確保」を発行体の義務として定める。 ・【強制執行】|ノンカストディアルウォレットで管理されている場合も、債務者アドレスの凍結及び執行裁判所のアドレスへ強制移転させる制度を創設する。 ・【取引時確認等】|権利者間での移転における取引時確認は不要である一方、ノンカストディアルウォレットへ“出庫”時等は対応を要する旨を明確化する。 ・実務上の極めて強い需要、権利関係の安定性や利用者保護の観点、国内の他の有価証券や諸外国との乖離を踏まえ、喫緊の目標として、券面不発行を認 めるよう投信法を改正する必要がある。 ・端的には、投信法6条の改正により信託契約の定めにより受益証券を発行しないことができる旨を定めるとともに、そのことを前提に同条7項の信託法の準用規定 を整備することで、受益証券発行信託の受益権のうち受益証券の発行されないものに関する規律を及ぼすことが考えられる。 ※本頁の記載の事項については、必ずしも本WG参加者のコンセンサスが得られているものではなく、一案として記載している内容が含まれます
  2. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #4 #「Progmat」とは|プログラマブルなネットワークで社会を繋ぎ、あらゆる価値をデジタル化する

    SC あらゆる価値をデジタル化 権利/資金の流れをプログラマブルに ST SC UT セキュリティトークン ユーティリティトークン ステーブルコイン SC ST UT 社会をネットワークで繋ぐ ボーダーレス/24・365/P2P #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  3. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #5 #「Progmat」とは|「インフラ層」を共創/標準化し、市場参加者の圧倒的利便性向上を実現する

    インフラ層 Ⅰ サービス層 Ⅱ Progmat, Inc.…「Core Developer」兼「コンソーシアム(DCC)事務局」 ST UT Coin DCC事務局 信託銀行 A 信託銀行 B 信託銀行 C 銀行 D 銀行 E 証券 F 証券 G エクスチェンジ H コア機能提供 利用料 & 各発行体 役務 対価 Service Developers 株主企業群=アライアンスパートナー 出資 利益還元 スピンアウト (独立化) DCC会員 による 分権運営 インフラ としての 中立的 資本構成 (競争領域) (共創領域) #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  4. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #6 #「DCC」とは|多数の組織が参加する、業界横断で価値を生み出す枠組み 最新ナレッジ 共有 プロダクト

    共創 デジタルアセット共創コンソーシアム 共同検討 ・提言 (DCC) 【目的】 デジタルアセット全般を対象とした、 業界横断での新たなエコシステムの共創 【運営概要】 ②業界横断的/新規性の高いテーマを対象に、 ワーキング・グループ(WG)を組成し、任意参加 ③秘密情報の共有範囲を限定し、 会員同士で柔軟に個別プロジェクトを実施 ④プロダクトに係る分権的運営 ①複数関係者間を跨ったWGや個別プロジェクトを 柔軟に進めるため、”包括的な秘密保持契約” として機能(共有範囲を調整し、都度個別の NDA締結を不要化) 【ポイント】 ①入会金/参加費無償 ②入会申込書(Word/押印不要)の電子送付 (事務局で締結手続完了後、会員サイト案内) ③社名非開示のオプション選択可能 © Progmat, Inc. #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  5. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #7 © Progmat, Inc. #「DCC」とは|商品化検討中の事業者、ノウハウを有する業者/専門家等で330組織で構成されている

    #1 Progmat/DCCと本WGの概要 330組織 デジタルアセット共創 コンソーシアム 43% 15% 9% 6% 16% 4% 7% 【発行体/運用者】 142組織 【金融機関/決済業者】 50組織 【取引所/証券会社】 30組織 【暗号資産交換業者】 19組織 【技術協力/コンサル】 54組織 【法律事務所/監査法人等】 13組織 【他業界団体等】 22組織
  6. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 保有可能なアセットの多様化 プラットフォームの拡張 市場・決済機能の拡張 国内不動産 航空機・船舶

    モビリティ・宇宙関連 コンテンツ/嗜好品 金銭債権 債券(公社債) デジタル完結の 権利移転基盤 (特許登録) ユーティリティトークン API&DLT 証券会社を介した 随時売買・換金 デジタル証券PTS 連携 ステーブルコイン 連携 DeFi/P2P(直接取引) 「利用」との融合 照合不要化 決済リスク減 流動性向上 可能性拡大 (障壁減,投資家層拡大) 構築支援,スマコン共創 上場株式 オープン化 連携(ファンマーケ) 執行自動化 新たな取引機会 …実現済み …進行中/公表済み 海外不動産 ・開発型 未上場株式 /ファンド持分 /投資信託 インフラ・設備 #8 #本WGの位置づけ|「トークンの移転を円滑化するための法整備」の実現に向けた論点を整理する © Progmat, Inc. トークン化法 ワーキング・グループ(WG) #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  7. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 検討会 10月 開催に係る公表 ・開催準備 検討会

    キックオフ 全体 2025年 11月 ~ 3月 検討会 取り纏め 「中間整理」 公表 分科会 トークン化法 キックオフ 個別PJ 検討会 (Web/3W) 分科会 トークン化株式 検討会 (Web/3W) 2026年 政府/当局 本格調整開始 随時状況共有 現在の立ち位置 #9 #本WGの位置づけ|具体的な整理内容を公表すると共に、実現に向けた新たなアクションを開始する © Progmat, Inc. #1 Progmat/DCCと本WGの概要
  8. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 1 主な根拠法 国債 2 地方債

    3 社債 4 5 6 7 8 国債ニ関スル法律 等 投資信託及び投資法人 に関する法律 信託法 信託法 資産流動化法 株式 投資信託 の受益権 受益証券発行信託 (JS)の受益権 信託(上記以外) の受益権 特定目的会社(TMK) の優先出資証券 地方財政法 等 会社法 会社法 券面の全部不発行化 ◦:可能 「登録国債」は無券面化可能 ×:券面発行前提 不発行を認める規定無し ◦:可能 社債券不発行が原則 ◦:可能 株券不発行が原則 ×:券面発行前提 受益証券の発行義務 △:条件付で可能 構成の工夫により実質不発行化 ◦:可能 JS以外は券面不発行が前提 ×:券面発行前提 優先出資証券の発行義務 譲渡時のデジタル完結化 ◦:可能 (登録国債)日銀帳簿書換で移転 ×:券面交付前提 譲渡効力発生には券面交付要 ◦:可能 (不発行時)意思表示で譲渡成立 ◦:可能 (不発行時)意思表示で譲渡成立 ◦:可能 (不発行分)当事者間合意で成立 ×:券面交付前提 譲渡効力発生には券面交付要 ×:券面交付前提 譲渡効力発生には券面交付要 ◦:可能 当事者間合意で譲渡成立 第三者対抗要件のデジタル化 ◦:可能 社債原簿記載のみ ◦:可能 株主名簿記載のみ ×:券面所持/交付前提 対抗要件として券面所持/交付要 ×:券面所持/交付前提 対抗要件として券面所持/交付要 ◦:可能 (登録国債)日銀帳簿記載のみ ◦:可能 (不発行分)受益権原簿記載のみ ×:券面所持/交付前提 対抗要件として券面所持/交付要 △:条件付で可能 確定日付対応につき、特例制度有 *1 例えば不動産STでは、STとして流通する一般受益権(券面不発行)とは別に、受益証券(券面)に対応する「精算受益権」を設定し、精算受益者の「券面不所持の申し出」により実質的に全ての券面を不発行化している *2 改正産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」により、事業主管大臣から新事業活動計画の認定を受けることで規制の特例措置を適用することが可能にはなったが、未だ実例は3社のみ(2024年10月時点) *1 *2 「地方債」「投資信託」「特定目的会社」は券面発行前提でトークン化(デジタル化)が極めて困難。国内ST主流の「受益証券発行信託」も券面の全部 不発行化可否は解釈が分かれるため複雑な法的構成を採らざるを得ず、「信託」も特例制度無しではデジタル化が困難だが特例適用の実例は僅少。 © Progmat, Inc. #11 #11 #国内有価証券のトークン化に関する現状|「券面発行」前提等の“アナログ規制”が横断的に残存している #2 トークン関連法整備の背景・取組意義
  9. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only フランス スイス 米国 ドイツ 1

    トークン化証券定義 3 4 2 7 5 6 8 (根拠法) 権利内容/数量に 関する明確性 権利の移転に関する 意思主義 対抗要件 (第三者) 対抗要件 (債務者(発行者)) 動的安全性 の保護 台帳ベース証券 (DLT法,スイス債務法) 電子有価証券 (電子有価証券法) 支配可能電子記録(CER) (統一商事法典(UCC)第12編) 権利内容は、台帳又は 紐づく付随データとして記録 権利内容/数量に 関する不変性 権利から生じる利益の 帰属に関する排他性 台帳は、完全性の確保/不正な改変 から保護されていることが必要 (適切な技術的・組織的措置) 台帳を通じてのみ行使や譲渡され、 技術的プロセスを用いて、債権者に 権利の処分権が付与される 台帳等に記録された債権者が 真の権利者ではない場合も想定 台帳記録契約のもとで規律される 台帳に記録されている債権者に対して のみ債務履行義務を負い、同債権者 への弁済により義務から免れる 善意取得を規定 (売主が無権限者でも、悪意/重過失 時を除き取得者は保護される) *1 *1 分散型台帳技術の発展への連邦法の適応に関する法律(21年施行) 権利の主要な内容等を台帳に記載、 暗号証券台帳には表示する権利の 分類が「有価証券」である旨も記載 暗号証券台帳は、データが時系列で 記録され、不正削除/事後修正から 保護された改ざん防止記録システム 「物」と同様の排他性が認められ、 権利者として記録されている者は 権利から生じる一切の利益を享受 権利者の指示により移転し、当事者 双方の同意が必要であり、取得者に 譲渡されるまで所有権は移転しない 移転が法的効力を有するためには、 台帳上での記録/移転が必要 保有者は債券で約束された履行を 発行者に請求でき、発行者も保有者 に対する履行により債務が免除される 善意取得を規定 (取得者は悪意/重過失時を除き 保護され、瑕疵のない証券を取得) *2 *2 電子有価証券に関する法律(21年施行、23年改正で株式にも適用拡大)。中央台帳(証券振替制度)を含めて共通の規律である点に特徴 CERによって証明され、債務者が CERを支配する者に対して支払い を約束した資産 CERに対する「支配」概念を導入 (①CERから生じる全利益を享受, ②享受を他社に妨害されない排他的 権限,③移転結果として支配を他者 へ移転可能な排他的権限,④これら 権限が自らに属することを容易に示す ことができる,が要件) 「支配」により、対象への排他的支配 が実現し、第三者との法律関係を 決する役割も担う CER取得者は証明する権利の支配も 取得し、債務者はCERを支配する者 に対する履行により債務が免除される CERを支配する者が 真の権利者ではない場合も想定 善意の購入者は、CERに対する 抗弁が切断されたCERの権利を 取得する DLT有価証券 (通貨金融法典) *3 *4 *3 手段として「分散型台帳技術を用いて」と定義されているものを便宜的にDLT有価証券と呼称(24年改正) *4 Uniform Commercial Code(22年12編新設)。CER=Controllable Electronic Record 設計として、記録/変更の完全性を 保証するとともに、保有者や証券の 性質/数量を特定できる必要 設計として、外部システムでの定期的 なデータ保持等の事業継続計画の 整備/更新が必要 記録上の保有者が 真の権利者ではない場合も想定 善意取得を規定 (善意の記録上の保有者は、 瑕疵のない証券を取得) 所有権の移転は、記録の結果として 生じ、何人も善意の記録上の保有者 に権利主張ができない 欧州3国は分散型台帳技術(DLT)を用いた証券台帳上の名義人記録による規律、米国はより物権的性質の「支配」概念での規律、といった相違有り。 台帳記録/支配の所在を根拠にした第三者への権利主張、左記に基づく履行による債務者免責、取得者の善意取得、といった点は概ね共通する。 © Progmat, Inc. #12 #12 #諸外国の整備状況|欧米諸国の立法は法域により異なる特徴もあるが、共通する考え方も多い 出典:奥山・杉村「トークン化された資産の権利関係」 (日本銀行ワーキングペーパー)を基にProgmat編集 #2 トークン関連法整備の背景・取組意義
  10. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #13 #トークン関連法整備の必要性(立法事実)

    世界的な潮流として、今後、様々な資産が分散型台帳上(オンチェーン)でトークン化されていくことが見込まれている。トークンの移転によるDvP決済やスマートコン トラクトによる取引が技術的に実現されている中において、トークン化された金融商品と決済手段に関する私法上の取扱いが重要性を増している。 現状は、契約上のアレンジメントによって、金融商品取引法が適用される有価証券のトークン(以下、セキュリティトークン/ST)化や、電子決済手段(以下、ス テーブルコイン/SC)のうち特定信託受益権(3号電子決済手段)の発行が想定されている。 STに関してはトークンの移転の記録に権利移転及び第三者対抗要件の具備の効果を認める(原簿管理方式)ものであり、SCについては、いわゆる消滅・発生 (取得)構成を採用するものである。 もっとも、原簿形式での対応では、中央集権的にトークンの移転を管理することになり、原簿への記録のために保有者の氏名・名称と住所等の把握が必要となってし まうため、フルパーミッションレス化(インターネット接続環境さえあれば、事前の申請や許可なく参加や取引が可能)の実現可能性が極めて低くなり、また善意取得 が認められていないという点で取引の安全の確保には限界があるといわざるを得ない。 また、オンチェーン取引の強力なユースケースの一つとして、クロスボーダーでの取引が想定されているが、海外法制においてもデジタル資産の移転に関する規律で氏 名・名称と住所等を記載する原簿方式を採用する方向性にはなっていないと思われることからも、国境を越えたSTの取引及びSC決済が今後進展していく中で日本 の制度がガラパゴス化してしまい、日本のトークン化資本市場が世界に劣後するリスク(諸外国で発行されたSTの取引可能地域から日本が除外されるリスクや、準 拠法として日本法が意図的に排除され日本の消費者が保護されないといったリスク )が高まることで、日本におけるトークン化資本市場の今後の成長と拡大を阻害 してしまうおそれがある。 そのようなリスクを回避し日本における今後のトークン化資本市場の成長と拡大を促進するため、トークンの記録に権利推定効(及び善意取得)を認める法制度を 整備することが望ましいと考える。この考え方は、フルパーミッションレスの実現の前提条件、かつ、消滅・発生構成の限界への対処にもなる。 トークンの移転の記録について権利推定効等を認める法制度の対象アセットとしては、加藤貴仁=加毛明「デジタル金融資産の私法上の取扱い」において金融商 品取引法の適用される有価証券及び電子決済手段について理論的な整理が進められたことから、依拠可能な論拠もある、金融商品取引法の適用される有価証 券及び電子決済手段を対象とすることを志向する。 #2 トークン関連法整備の背景・取組意義
  11. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 投資信託の 受益権 名簿(原簿)管理を 前提とする有価証券 名簿(原簿)管理を前提としない有価証券

    金融商品取引法が 適用される有価証券 上記以外 (社債,株式,受益証券発行 信託の受益権等) 電子決済手段 上記以外 短期対応 中長期対応 「投信法改正」 (不発行制度導入) 「トークン化法」 (権利推定効等を認める 法制度の整備) 上記との差分に係る 追加検討要 優先順位は低い 優先順位は低い 優先順位は高いが 実現まで一定期間要 優先順位は高いが 実現まで一定期間要 優先順位は高いが 実現まで一定期間要 #法整備の全体像|「金商法適用有価証券」「電子決済手段」を対象とし、別途投信法改正が望ましい #3 トークン関連法整備の全体像 © Progmat, Inc. #15 優先順位の高い「金商法適用有価証券」「電子決済手段」を対象に、トークンの移転の記録に権利推定効等を認める法制度を「トークン化法」として 整備しつつ、実現まで一定の期間を要することを踏まえ、短期的には投資信託の受益権の券面不発行化を可能とする改正を志向する。
  12. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #17 #「分散型台帳」「分散型台帳上の記録」の定義および基本的な要件

    • 「分散型台帳」とは、分散型台帳上の記録を管理するための電子情報処理組織であり、分散型台帳上の記録の支配及び分散型台帳上の記録の変更を適切か つ確実に行うために必要な技術的措置がとられるものを指す。 ✓ 全ての“通称ブロックチェーン”を「分散型台帳」として定義づけるのではなく、一定の中立的な技術的要件を満たすものを「分散型台帳」と定義する建付け • 「分散型台帳上の記録」とは、権利の内容を記録した電磁的記録のうち、分散型台帳において作成され、及び管理されたものであって、当該電磁的記録が改変さ れているかどうかを確認することができる措置がとられているものを指す。 ✓ 発行する有価証券を「分散型台帳上の記録」とすること(そのような形式の証券を発行すること)について、発行体の意思によることが前提となるところ、「分散型 台帳上の記録」に求められる技術的要件に加えて、発行手続上の規律としてこれを盛り込むことも考えられる(なお、実務上は、発行に係る取締役会等の機関 決定の内容に含める対応等が考えられる) ✓ なお、分散型台帳上の記録に表示された権利が金商法上の有価証券にあたることを前提とする場合、金商法上の電子記録移転有価証券表示権利等の定 義との整合性についても要配慮 • 「分散型台帳」としての効力を認めるための技術的要件として、以下のような内容を想定する。 ➢ パーミッションドチェーン/パーミッションレスチェーン共通の要件 :分散型台帳上の記録としての効力を有する電磁的記録を識別することができる措置(「分散型台帳記録表示権利」の主要な内容、発行総額、額面金額、発 行者の情報が記録されること等) :権利の発生と分散型台帳上の記録の組成手続を連動させる措置(権利発行の裏付けの存在しない分散型台帳上の記録が組成されることがないようにすること 等)、及び、分散型台帳上の記録が変更され、又は消去された場合には、その履歴を記録し、又は保存する措置(データが時系列で記録され、不正な削除や事 後修正から保護された改ざん防止記録システムで管理されること等) ➢ パーミッションレスチェーン固有の要件 :分散型台帳の運営に参画している参加者が高度に分散している等、耐障害性や耐改竄性を担保するための適切な技術的措置 #4 「トークン化法」の想定内容 ※本頁の記載の事項については、必ずしも本WG参加者のコンセンサスが得られているものではなく、一案として記載している内容が含まれます
  13. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #18 #「分散型台帳上の記録の支配(事実上の支配)」「記録の変更」の定義

    • 「分散型台帳上の記録の支配(事実上の支配)」とは、分散型台帳において、特定の者のみが分散型台帳上の記録に表章されている権利を有する者として当該 分散型台帳上の記録を排他的に行使することができる状態にあることを指す。 ✓ いかなる場合に「分散型台帳上の記録の支配(事実上の支配)」が認められるかについては、カストディアンによるトークンの預託の議論と一致させることが考えら れ、具体的には、権利者が単独で、又はカストディアンと協同してトークンを移転し得る秘密鍵を保有している場合等、主体的に財産的価値の移転を行い得る 状態にある場合には分散型台帳上の記録を支配しているものとする ✓ ただし、電子船荷証券記録における「電子船荷証券記録の支配」概念への批判(①既存の国内法体系法上、電磁的記録は「占有」や「所持」の対象には ならないと考えられており、電磁的記録に対する「支配」という用例もないため、「支配」という概念を法律上の定義なく用いるとすると、法規範としての具体性を 欠くことになること、②「電子船荷証券記録を〔排他的に〕利用することができる状態」といった定義を置いたとしても、抽象的に過ぎ、その具体的な当てはめは容 易ではないこと)が「分散型台帳上の記録の支配」概念に対しても当てはまることから、上記「支配」の詳細について、自主規制やガイドライン等で定めることも 考えられる ✓ なお、ここで、分散型台帳上の権利に関する秘密鍵の管理者が「(事実上の)支配」者であることが法的に確保されるような一定の仕組みが「分散型台帳」及び 「分散型台帳上の権利」の定義にビルドインされているのであれば、別途「支配」概念を定義する必要はないという立場も取り得る(翻って、いかなる場合に「分 散型台帳上の記録の支配(事実上の支配)」が認められるかが、「分散型台帳」の要件論として問題となる) ✓ もっとも、その場合には権利推定・善意取得の規定をどのように規定するかについて検討が必要になるところ、結局、各規定において、上記「支配」概念に関する 議論と同様の規定を設けることになると考えられ、そのような観点では、総論的に「支配」概念を定義づけることには意義があると考えられる • 「分散型台帳上の記録の変更」とは、分散型台帳上の記録が変更されることを指す。 ✓ 「商法(船荷証券等関係)の改正に関する要綱案」の第1部 第1 4は、「提供」概念を、支配権限者により、支配権限者が指定する者が支配権限者になるよ うにするための措置をとることと定義しており、これに倣って「記録の変更」概念に支配権限者による手続等を求めるという建付けも考えられるが、結論として、本 件における「記録の変更」概念には、支配権限者による手続を要件として規定する必要はなく、端的に、分散型台帳上の記録の変更を要件とするべき ✓ なお、振替法140条等は、「振替の申請により、譲受人がその口座における保有欄[……]に当該譲渡に係る金額の増額の記載又は記録を受けなければ、そ の効力を生じない」と規定しており、当事者による手続を要求しているが、これは、その前提として、ほふりの手続上、記録の変更には当事者の申請が必要である (ほふりは当事者からの申請がなければ譲渡を感知できない)状況があるのに対して、分散型台帳を用いれば譲渡当事者は中央集権的特定者への「申請」 を経ずに「記録の変更」を行うことができるため、当該「申請」に相当する行為を別途要求する必要はないと考えられる #4 「トークン化法」の想定内容 ※本頁の記載の事項については、必ずしも本WG参加者のコンセンサスが得られているものではなく、一案として記載している内容が含まれます
  14. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #19 #「分散型台帳記録表示権利」(仮)の定義および基本的な性質

    • 金商法上の有価証券に表示されるべき権利であって、分散型台帳上の記録に表章されるもの(以下、総称して「分散型台帳記録表示権利」という)について、 有価証券の種類ごとに以下の内容を定める。 ➢ 分散型台帳上の記録の変更が譲渡の効力要件となること :分散型台帳記録表示権利の譲渡は、当該分散型台帳記録表示権利に係る分散型台帳上の記録の変更を伴わなければ、その効力を生じない ✓ なお、第三者対抗要件や発行会社対抗要件については、分散型台帳記録表示権利の類型ごとに、その性質に応じてそれぞれ条文を設ける ✓ 具体的には、株式、社債、受益証券発行信託の信託受益権など名簿(原簿)管理を前提とする有価証券と、受益証券発行信託以外の信託受益権など名 簿(原簿)管理を前提としない有価証券とで、別内容を想定する ➢ 分散型台帳上の記録の変更が質権設定の効力要件となること :分散型台帳記録表示権利の質入れは、当該分散型台帳記録表示権利に係る分散型台帳上の記録の変更を伴わなければ、その効力を生じない ✓ 「分散型台帳上の記録の支配」「分散型台帳上の記録の変更」の概念を前提に、秘密鍵の管理者の地位を移転させることをもって質権を設定する規定 ✓ 排他的な占有(の移転)を観念できる紙の株券等と異なり、トークンの場合には、仮に秘密鍵の情報ないしその管理者の地位を移転したとしても(債権者/質 権者が秘密鍵の情報を取得・保有できたとしても)、債務者/質権設定者は引き続き当該秘密鍵の情報を保有・把握しているため、トークン自体を移転しな い限り、排他的な(準)占有を実現することは不可能であるため、債権者が保有するアドレスに移転させることを想定 ➢ 分散型台帳上の記録の支配に権利者を推定する効力があること :分散型台帳上の記録を支配する者は、当該分散型台帳上の記録に係る分散型台帳表示権利を適法に有するものと推定する ➢ 分散型台帳上の記録の変更を受けた者に善意取得を認めること :分散型台帳上の記録の変更により分散型台帳上の記録を支配するに至った者は、当該分散型台帳上の記録に係る分散型台帳表示権利を取得する :但し、当該取得者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない #4 「トークン化法」の想定内容 ※本頁の記載の事項については、必ずしも本WG参加者のコンセンサスが得られているものではなく、一案として記載している内容が含まれます
  15. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #20 #「分散型台帳記録表示権利」(仮)に関する発行体の義務および強制執行

    • 分散型台帳記録表示権利の発行体の義務として、以下の事項を定める。 ➢ 分散型台帳上の記録と分散型台帳記録表示権利の移転が一連として行われること ➢ 分散型台帳上の記録としての効力を有する電磁的記録を識別することができる措置 ➢ スマートコントラクトの機能に基づき分散型台帳記録表示権利の強制移転を行う仕組みの確保 • 分散型台帳記録表示権利の強制執行にあたって、以下の対応を想定する。 ➢ 分散型台帳記録表示権利が、強制執行対象の債務に係る債務者自身(ノンカストディアルウォレット)で管理されている場合 :(上記のとおり、本対応が可能な仕組みを備えることを発行体に義務付けることを前提に)債務者のアドレスを凍結して執行潜脱を防ぎつつ、強制執行により執行 裁判所の(共通の)アドレスに移転をさせる制度を、民事執行法の改正による創設する ✓ 執行官が秘密鍵の情報を取得できたとしても、当該秘密鍵の情報は債務者にも残ってしまうため、債務者による当該トークンの移転(執行潜脱)を防ぐことは できないと考えられる ✓ このような執行潜脱を防止するためには、例えば執行官のアドレスにトークン自体を移転してしまうことも考えられるところ、実際問題として、トークン移転等の技 術的ノウハウに習熟した執行官の育成・確保は容易ではないため、執行官が秘密鍵の情報を取得するという制度建付けや執行官個々人のアドレスの利用を 前提とした強制執行の手法は現実的ではないと考えられる ✓ なお、上記のように強制執行によって執行裁判所のアドレスへトークンの移転をさせる際には、暗号資産等管理業(資金決済法2条15項4号)に該当しない 建付けとする必要があり、強制執行の場面については該当しないように除外規定を定める必要がある ➢ 分散型台帳記録表示権利が、強制執行対象の債務に係る債務者に代わって仲介者等(カストディアルウォレット)に管理されている場合 :当該仲介者等を第三債務者として、分散型台帳記録表示権利の返還請求権を「その他の財産権」(民事執行法167条1項)として債権執行の例による :発行体を第三債務者として、社債に関する分散型台帳記録表示権利であれば債権執行(民事執行法143条)として債権執行の例による :発行体を第三債務者として、社債以外に関する分散型台帳記録表示権利の償還請求権等を「その他の財産権」として債権執行の例による #4 「トークン化法」の想定内容 ※本頁の記載の事項については、必ずしも本WG参加者のコンセンサスが得られているものではなく、一案として記載している内容が含まれます
  16. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #21 #「分散型台帳記録表示権利」(仮)の取引時確認等

    • 分散型台帳記録表示権利の取引時確認等にあたって、以下の対応を想定する。 ➢ 分散型台帳表示権利が、受益証券発行信託以外の信託受益権など名簿(原簿)管理を前提としない有価証券を表章したものの場合 :発行者や仲介者等との分散型台帳記録表示権利の売買や、仲介者等が管理する顧客の分散型台帳記録表示権利をノンカストディアルウォレットへ移転させ る取引、仲介者等がノンカストディアルウォレットに分散型台帳記録表示権利を移転させる取引の代理・媒介を行う場合は、取引時確認を要する :他方、権利者間での移転における取引時確認は不要である旨を、犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)施行令等の改正により明確化する ✓ 分散型台帳記録表示権利は、犯収法の規制対象となるため、パーミッションレスチェーンを含めた分散型台帳上のトークン移転(分散型台帳上の記録の変 更)に際して、取引時確認等の要件を満たすための何らかの措置が必要となる ✓ この点、犯収法において、有価証券の売買等が特定取引として指定されており、かかる状況においては取引時確認(又は確認済みであることの確認)が必要 ✓ 一方で、排他的な占有(の移転)を観念できる紙の有価証券のうち、名簿(原簿)管理を前提としないものの移転については、買手・売手間で直接移転するに 際し、必ずしも発行者や仲介者が取引時確認を実施することは出来ない ✓ 分散型台帳上の記録の支配と、紙の有価証券の占有を法的に同等と評価することや、パーミッションレスチェーンを含めた分散型台帳上のトークンがP2P(直 接的な権利者間)で移転する性質を踏まえると、権利者間での移転における取引時確認は現実的ではない ✓ この点、暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者が、暗号資産や電子決済手段(3号電子決済手段、特定信託受益権を含む)との交換に取引時 確認が求められている一方、トークンをノンカストディアルウォレットへ移転した後のP2P移転については取引時確認を要しない点と整合的である ✓ ただし、仲介者等が権利者に代わってトークンを管理するカストディの類型においては、暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者においても利用者か らの依頼に基づく他社への移転時に取引時確認が求められていることを踏まえて、分散型台帳表示権利についても同様の移転取引時には取引時確認が必 要となる ✓ 加えて、犯収法上の取引時確認以外のAML/CFT対応として、スマートコントラクトによりトークンが移転可能なアドレスをKYC済みアカウント(例えば証券口座 に紐づいたアカウント)に限定することや、トークンを特定のアドレスに移転することを制限すること等の仕組み(ホワイトリスト・ブラックリスト運用)を設けることも想 定される ➢ 分散型台帳記録表示権利が、株式、社債、受益証券発行信託の信託受益権など名簿(原簿)管理を前提とする有価証券を表章したものの場合 :発行者等において権利者の属性を既に把握している(既に取引時確認は行われている)状態しか想定されないため、追加的な措置は不要と考えられる。 #4 「トークン化法」の想定内容 ※本頁の記載の事項については、必ずしも本WG参加者のコンセンサスが得られているものではなく、一案として記載している内容が含まれます
  17. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #22 #「トークン化法」に関する残課題

    • 「トークン化法」に関連し、更なる検討を要する残課題は少なくとも以下のとおり。 ➢ 適用対象として想定する権利のうち、電子決済手段に関する整理 :今回の検討において議論の中心は金商法適用の有価証券となっており、共通的に整理可能な論点を除く、電子決済手段特有の論点については更なる検討を 要する ➢ 分散型台帳として効力を認めるための技術的措置に関する要件の範囲/詳細 :そもそも、どこまでを法律で定め、どこからは自主規制・ガイドライン等で定めるかの線引き :前述の「電磁的記録を識別できることができる措置」として、いかなる情報をもって識別性を認めるか(より簡便な銘柄識別コード的な情報をもって識別性が認めら れないか) :秘密鍵の不正利用によって分散型台帳上の記録が変更された場合(善意取得が否定される場合)において、当該アドレスが支配する分散型台帳上の記録を 償却し、真の権利者のアドレスに新たなトークンを交付することができる仕組みを備える、といったことまでを「必須要件」とすべきか否か :パーミッションレスチェーン固有の要件の一例である「参加者の高度な分散」についての詳細 #4 「トークン化法」の想定内容 ※本頁の記載の事項については、必ずしも本WG参加者のコンセンサスが得られているものではなく、一案として記載している内容が含まれます
  18. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #24 #「投信法改正」の必要性(立法事実)|「トークン化法」に先行させる理由

    #5 「投信法改正」の必要性・概要 セキュリティトークン(以下、ST)の取扱いを明確化する2019年「金融商品取引法」(以下、金商法)改正の施行から5年程度が経ち、トークン化については、旺盛な 需要が存在することが確認されてきた。 これまでの実績としては、不動産を裏付けとするSTの発行事例が目立つところであるが、これは受益証券発行信託を利用した契約上のアレンジメント及び法解釈の 工夫により、実質的あるいは部分的に券面不発行を実現できている点が大きい。 他方で、ファンド形式で最大のマーケットは「マネー・マーケット・ファンド」(以下、MMF)をはじめとする投資信託と思われるが、国内投資信託のトークン化へのハードル は未だに高い。これは「投資信託及び投資法人に関する法律」(以下、投信法)が券面発行を要求していることによる。 2025年10月に公表した「オンチェーン完結型STワーキング・グループ報告書」において、券面発行を前提とした「大券+指図による占有移転」構成や「消滅/設定」 構成を苦肉の策として提示しているものの、実際の権利移転の形態とは著しく乖離しており、権利関係の安定性や利用者保護の観点から、多数の個人投資家を取 引当事者として想定した場合には必ずしも望ましくないものと思われる。 既に多くの発行実績が積み上がっている受益証券発行信託を利用したSTにおいて、受益証券を発行しなくとも、受益権原簿により権利関係の特定と対抗関係の 整理について特段支障は生じておらず、利用者保護上の課題も生じていない。 そもそも社債/株式の原則無券面化から約20年が経過し、また上記のように有価証券のトークン化に向けた流れも加速しているなかにあって、券面発行を前提とする 投信法は、時代あるいは実務にそぐわなくなってきている感は否定できない。 海外に目を向けても、有価証券のデジタル化に係る法律において券面発行は要求されておらず、券面発行を求める日本の投信法は、有価証券のデジタル化という 世界の潮流と乖離した規制となっている。 巨大なマーケットである投資信託の非券面化という実務上の極めて強い需要と、権利関係の安定性や利用者保護の観点、国内の他の有価証券や諸外国との乖 離を踏まえると、喫緊の目標として、券面不発行を認めるよう投信法を改正する必要がある。
  19. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #25 #「投信法改正」の概要|「券面不発行」制度の導入

    • 投資信託の「券面不発行化」を可能とするために、以下のいずれかの内容を想定する。 ➢ 信託法185条(受益証券発行信託)に依拠しない場合 :【投信法6条1項・50条1項】|信託契約において定めた場合に限り、受益証券をもって表示しなければならない旨(信託契約の定めにより受益証券を発行しな いことができる旨)を既定する :【投信法6条2項、4項~6項等】|現行の受益証券に関する規定は、信託契約において受益証券を発行する旨規定した場合にのみ適用されることとする :【投信法6条7項・50条4項】|準用規定において、信託法195条2項(受益権原簿の記載が受託者その他第三者に対する譲渡の対抗要件)を読み替えて準 用し、受益証券を発行しない場合の譲渡の対抗要件の規定として準用する :【不発行制度利用対象】|混乱を避ける観点から、改正後の新規組成分にのみ不発行制度の利用を認める(既発行の投資信託受益権については認めない) ✓ 信託法185条では、複数種類の受益権を想定しており、券面を発行しない受益権(ST化対象)と券面発行を前提としつつ不所持の申し出により実質不発 行化している受益権(非STの精算受益権等)を組み合わせた実務となっているが、投信法6条1項では、委託者指図型投資信託において異なる種類の受益 権を発行することを想定していない(受益権を均等に分割しなければならない) ✓ 信託法185条に依拠しない場合、券面発行を前提とする精算受益権を設定するという同条の現行の解釈を前提とした実務を踏襲する必要がないというメリッ トがあり、改正結果としてはこちらの場合が望ましい ✓ 他方、信託法制において適した用例がないため、立法技術的なハードルがやや上がると思われる ➢ 信託法185条(受益証券発行信託)に依拠する場合 :【投信法6条7項・50条4項】|準用規定において、信託法185条・195条2項を準用対象に追加し、(必要に応じて)準用信託法185条2項の定めは、投信 法6条1項の例外である旨を規定する :【投信法6条2項、50条3項】|受益権の譲渡について、不発行時には受益証券の交付が不要である旨(受益証券の不発行の場合を除外する旨)を明記する :【不発行制度利用対象】|同上 ✓ 受益証券発行信託の枠組みに依拠するという点で、信託法制における用例があることになるため、立法技術的にはハードルが低いと思われる ✓ 他方、異なる種類の受益権の発行の禁止という投信法のコンセプトとの関係で、追加的案整理や実務影響の検証を要する可能性が高い #5 「投信法改正」の必要性・概要
  20. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only © Progmat, Inc. #26 #「投信法改正」に関する残課題

    • 「投信法改正」に関連し、更なる検討を要する残課題は少なくとも以下のとおり。 ➢ 都銀懇話会より出されている規制緩和要望(2025年12月17日付)に対する金融庁回答「慎重に検討する必要がある」(2026年1月21日付)への対応 :https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/hotline/siryou2/k_siryou2_r7.pdf :回答の背景にある対応ハードル(平成19年改正時に、信託法185条・195条2項を準用対象から除外した当時の判断が一つのネックとなっている可能性)を確 認のうえ、解消に向けた整理を進める必要がある #5 「投信法改正」の必要性・概要
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