IPv6の普及は家庭向けブロードバンド環境において着実に進展している一方、大学等の高等教育機関では、組織内部、とりわけ研究室単位までPublic IPv6到達性が提供される事例はなお限定的である。本稿では、この停滞の背景に、組織ネットワークの管理権限、セキュリティポリシー、投資対効果に基づく意思決定が複合した制度的デッドロックが存在することを指摘する。そのうえで、SINET L2VPN/VPLSを用いて複数研究室を接続し、独立した自律システムを共同運用することで、研究室単位の自律的なIPv6接続性を確立するモデルを提案する。さらに、IPv6-mostly環境とNAT64/DNS64を組み合わせることにより、IPv6を主たる通信基盤としつつ既存IPv4資源への到達性を維持する構成を検討する。本稿は、大学におけるIPv6導入を単なる技術課題ではなく、研究者・学生がネットワーク制御可能性を回復するための運用モデルとして位置づけ、その実現可能性と運用上の課題を議論する。