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GPUを利用したStein Particle Filterによる点群6自由度モンテカルロSLAM

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September 05, 2025

GPUを利用したStein Particle Filterによる点群6自由度モンテカルロSLAM

第43回日本ロボット学会学術講演会発表スライド

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September 05, 2025
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Transcript

  1. 3 関連研究  Rao-Blackwellized Particle Filter (RBPF) SLAM [Griseti+, 2007]

    2次元SLAMでは一般的なサンプリングベースSLAM手法 軌跡のサンプルをばらまいて,その中から最適なサンプルを選び出す手法  これまでの提案手法(ICRA2025) パーティクル毎に簡易的な大域軌跡最適化 (ループクロージャ) RBPF SLAM + 確率分布の多峰性を柔軟に表現 定式化の不足 大域軌跡最適化の精度が低い 代表値抽出の安定性が低い 課題 10万パーティクルをGPU並列処理して 6自由度モンテカルロSLAMを実現
  2. 4 提案手法  キーアイディア 1. 最新姿勢についてStein Particle Filterを適用 2. 大域マッチングコスト最小化とGaussian

    Belief Propagation (GBP) による パーティクル毎の大域軌跡最適化(グラフ最適化) 3. 大域マッチングコストによる代表値抽出の安定化 4. GPUの並列演算能力を最大限活かすアルゴリズム キーアイディアを完全SLAM問題として定式化 少数のサンプルであっても事後確率分布を柔軟に表現
  3. 5 システム概要と問題設定  SLAMのバックエンドシステムを実装  問題設定 𝑁個のパーティクル集合により状態(完全SLAM)の事後確率分布を推定する パーティクル集合: パーティクル状態: ※今後𝑖,

    𝑗はパーティクルインデックス LiDAR点群 IMU加速度 IMU角速度 入力 LiDAR Inertial Odometry (LIO) サブマップ構築 フロントエンドシステム モンテカルロSLAM (提案システム) バックエンドシステム サブマップ
  4. 6 問題設定  完全SLAMの事後分布 𝑥0 𝑖 𝑥1 𝑖 𝑥2 𝑖

    𝑥4 𝑖 𝑥3 𝑖 𝑥5 𝑖 例:𝑖番目のパーティクルのファクタグラフ 観測モデル (SVGD) 動作モデル (現在姿勢へのノイズ付与) 事前モデル (パーティクル毎のグラフ最適化)  実装上の工夫 地図の代わり 一般的なグラフベースSLAM[Thrun+, 2005]との違い 観測モデル: 近傍の変数とのみファクタを結べば十分 各パーティクルは疎なファクタグラフを保持
  5. 7  SVGD(変分推論)[Liu+, 2016] (関連研究:Stein Particle Filter[Maken+, 2022] ) 確率分布の勾配情報(引力)とパーティクル近接関係情報(斥力)用いて

    確率分布にフィットするようにパーティクルを輸送 サンプリング効率が高い 低確率パーティクルを保持できる 高次元になると破綻する[Ramdas+, 2015] (SLAMへのそのままの適用は難しい) 関連研究 SVGD (64 particles) 従来のパーティクル更新則 Resampling (1024 particles) MegaParticles[Koide+, 2024]
  6. 8  二次最適更新ベクトル 最新姿勢についてStein Particle Filterを適用  Gauss-Newton SVGD[Koide+, 2024]

    更新式: 更新ベクトル: 引力 斥力 尤度分布 の二次最適更新ベクトル カーネル関数 • Localizationの場合 事前地図と現在フレームのスキャンマッチングで求まる • SLAMの場合 地図が確率分布(パーティクル)なので,各パーティクルの地図とスキャンマッチング 各パーティクルの地図毎の更新ベクトル (スキャンマッチング結果)
  7. 9 GBPによる大域軌跡最適化 SVGDによって現在姿勢を適切に輸送したが,軌跡の一貫性が保てないパーティクルも存在…  iSAM2[Kaess+, 2011] 一般的なグラフ最適化手法 インクリメンタル最適化で小計算量 厳密な2次最適解が得られる(直接法) GPU並列処理のボトルネックがいっぱい存在

    パーティクル毎に大域軌跡最適化(グラフ最適化)を実施したい  Gaussian Belief Propagation (GBP) [Ortiz+, 2021] 各変数・ファクタが隣接するノードからのメッセージ (正規分布)の再帰的なやり取りから最適化を行う 同じ処理の繰り返し(反復法)で近似解が得られる GPU並列処理に向いたアルゴリズム SE(3)空間でのGBPをGPUの並列演算能力を最大限活かすよう実装[Murai+, 2024]
  8. 10 大域マッチングコスト最小化  ファクタ選定 • 相対姿勢ファクタ 相対姿勢を正規分布近似(固定の正規分布) 誤った推定値が精度悪化の原因に • スキャンマッチングファクタ

    相対姿勢を非線形なまま表現(可変の正規分布) 計算コストが高い  実装の工夫 • 大量のファクタの線形化(スキャンマッチング)をGPU並列処理で高速化 • 線形化点からのずれが大きいファクタを優先的に線形化  代表値抽出にファクタグラフの誤差を利用 低確率の姿勢に輸送されたパーティクルも後から復帰可能に
  9. 12 まとめ わずか1000個のパーティクルでも6自由度モンテカルロSLAMを実現 1. 最新姿勢についてStein Particle Filterを適用 ー 最新姿勢のサンプル多様性を表現,サンプリング効率を向上させた 2.

    大域マッチングコスト最小化とGaussian Belief Propagation (GBP) による大域軌跡最適化 ー 各パーティクルで軌跡の一貫性を保ち,サンプリング効率を向上させた 3. 大域マッチングコストにより代表値抽出を安定化 今後の課題:パーティクル数をスケールさせる工夫が必要 根本的に膨大なサンプル数がないと6自由度誘拐などの極度の不確実性に対処できない 理論上,尤度の勾配計算,SVGDの更新,両方にパーティクル𝑂(𝑁2)… カーネル関数を使っているので,遠方をはじいて,𝑂(1)にすることは可能 既存手法との定量的な評価も必要