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LiDAR点群の地表面分類手法の比較・検証

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 LiDAR点群の地表面分類手法の比較・検証

● 第6回AI・データサイエンスシンポジウム 発表プログラム
 https://committees.jsce.or.jp/struct1002/node/80

●掲載論文「LiDAR点群の地表面分類手法の比較・検証」(AI・データサイエンス論文集 6巻3号, 2025)
 論文ページ:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsceiii/6/3/6_559/_article/-char/ja
 論文PDF:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsceiii/6/3/6_559/_pdf/-char/ja

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January 20, 2026
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  1. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. LiDAR点群の地表面分類手法の比較・検証

    栁沼 洋詞1) 板倉 健太2) 有賀 佳秀2) 中島 由暉2) Sarah Meh OSAY1) 1) ローカスブルー株式会社 2) ImVisionLabs 株式会社
  2. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 背景:3次元点群とは?

    ❏ LiDAR技術の進展により広域の高密度か高精度3次元点群の取得が可能に ❏ LiDARセンサーを様々な機器に搭載することで様々な現場の3次元形状を捉えることができる ❏ 3次元点群:点の集まりにより3次元形状を表現する 2 Backpack Laser MMS (Mobile Mapping System) ALS (Airborne Laser Scan) TLS (Terrain Laser Scanner) 画像出典:iStock.com及び自社用意 1/15
  3. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 背景:地表面分類について

    ❏ 点群には建物・植生など地表面以外の点が含まれる ❏ 地表面に該当する点群を判定すること(地表面分類)で、地形を把握できるようになる ❏ 解析後の点群データは陰影起伏図などに使用するDTM作成や土木設計、防災、森林管理などで 活用する DTM 画像出典:静岡県 ALS点群(左) 和歌山県 ALS点群より生成したDTM(右) 2/15
  4. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 背景:日本のオープンデータを用いた検証

    ❏ これまで欧米のオープンデータセットが多かったが近年日本でも豊富となった ❏ 日本の複雑な地形を持つような点群データへの実験検証はいまだ十分でない 陰影起伏図を用いて欧米と日本を比較した様子 VS 画像出典:国土地理院、地理院地図(電子国土WEB) 3/15
  5. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 背景:代表的な地表面分類の手法

    ❏ 多様なデータセットにて既存手法を比較・検討した先行研究は限られている SMRF(Simple Morphological Filter) Pingel, T. J., et al.: An improved simple morphological filter for the terrain classification of airborne LIDAR data, ISPRS J. Photogramm. Remote Sens., Vol. 77, pp. 21–30, 2013. 6_559 CSF(Cloth Simulation Filter)Zhang, W., Qi, J., Wan, P., Wang, H., Xie, D., Wang, X., Yan, G.: An Easy-to-Use Airborne LiDAR Data Filtering Method Based on Cloth Simulation, Remote Sens., Vol. 8, No. 6, 501, 2016. 6_559 IAT(Improved Adaptive Triangulation:IATのベース)Axelsson, P.: DEM GENERATION FROM LASER SCANNER DATA USING ADAPTIVE TIN MODELS, Int. Arch. Photogramm. Remote Sens., Vol. XXXIII, Part B4, pp. 110–117, 2000. ❏ 本研究では、PTDをベースに改良した手法をIAT(Improved Adaptive Triangulation,改良順応式 不整三角網)を比較対象に選定した 手法名 略称 計算方法 Simple Morphological Filter SMRF 画像処理ベース Cloth Simulation Filter CSF 物理シミュレーション Progressive Triangulated Irregular Network Densification PTD TINベース 4/15
  6. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 研究目的

    ❏ 代表的な地表面分類手法の原理の紹介 ❏ SMRF (Simple Morphological Filter) ❏ CSF (Cloth Simulation Filter) ❏ IAT (Improved Adaptive Triangulation) ❏ 日本の地形を捉えた形状を含む多様な計測手法で計測されたデータセットを 用いた実験検証 ❏ 混合行列の評価指標を用いて各手法の地表面分類の精度を評価 ❏ 評価指標を用いた結果に対する統計的検証の実施 ❏ 実用的な運用を加味した処理時間の計測および考察 5/15
  7. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 手法:SMRF

    (Simple Morphological Filter) 画像処理ベースのアルゴリズム 1. XY平面のグリッドを生成 画像出典:1. PointPillars — 3D point clouds bounding box detection and tracking https://becominghuman.ai/pointpillars-3d-point-clouds-bounding-box- Detection-and-tracking-pointnet-pointnet-lasernet-67e26116de5a 2. ディジタル画像処理 Kindle版 ※アルゴリズムの詳細はImVisionLabs社より公開されているスライドを参照のこと https://speakerdeck.com/kentaitakura/di-biao-mian-chou-chu-nofang-fa- dearusmrfnituiteshao-jie 図1: グリッド生成する様子 図2: Step3の概念図 6/15 2. 各グリッドセルの最下点の抽出より高さマップ を生成 3. 高さマップに対して、円形の構造要素を用いた画像処理 の浸食(erosion)と膨張(diliation)で平滑化 4. 暫定の高さマップに対して、厚みおよび勾配を計算し、 各セルの地面か非地面の判定を行う
  8. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 手法:

    CSF (Cloth Simulation Filter) 物理シミュレーションベースのアルゴリズム 1. 点群を上下反転 2. XY平面基準の各グリッドセルの点で構成される 仮想的な布を用意する 3. 仮想布を重力落下させるシミュレーション 4. 布が反転した点群に吸着したかどうかで地面と 非地面に分類する 上下反転のイメージ図 仮想布の実際の構成イメージ図( 質点・バネモデルと呼ぶ) 画像出典:図出典:Zhang, W., Qi, J., Wan, P., Wang, H., Xie, D., Wang, X., & Yan, G. (2016). An easy-to-use airborne LiDAR data filtering method based on cloth simulation. Remote Sensing, 8(6), 501. https://doi.org/10.3390/rs8060501 ※アルゴリズムの詳細はImVisionLabs社より公開されているスライドを参照のこと https://speakerdeck.com/kentaitakura/3ci-yuan-dian-qun-nodi-biao-mian- chou-chu-nofang-fa-dearucsf-cloth-simulation-filter-nituite 7/15
  9. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 手法:

    IAT (Improved Adaptive Triangulation) TINベースのアルゴリズム 1. XY平面グリッドを生成 2. 各グリッドセルの最下点を用いて地表面TINを生成 3. TINの各三角形からパラメータを基に空間検索の範囲を広げ、 地表面TINに追加する新たな点を検索 4. 新たな点を地表面として追加し、2と3を繰り返す 5. 新たな点が見つからない場合または試行回数の上限に到達した場合 →地表面分類を終了する 初期TINから追加された点により精緻されているTINのイメージ図 各パラメータのイメージ図 8/15
  10. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 手法:

    点群データセット ❏ 以下の表のとおり、20個の点群データセットファイルを利用(平均ファイルサイズ167MB) ❏ 計測方法: MLS, UAV, TLS, ALS ❏ DALESおよびToronto3D以外は日本で取得 ❏ CloudCompareを用いてアノテーションで正解データを作成 データセット名 地域 地域特性 ファイル数 点数(万点) 面積 (m²) 点群密度 (points/m²) Shizuoka 静岡県 都市部・郊外 10 26569 3,268,508 97.4 Wakayama 和歌山県 山間部・橋梁 3 15327 8,015,115 19.3 Sagamiko 神奈川県 郊外 1 1275 25,494 500.3 L2-Mountain ローカル座標 山間部 1 3002 112,601 266.6 Jutakugai 静岡県 郊外・住宅地 1 329 47,214 69.9 Toronto3D カナダ・トロント 都市部 1 1028 29,892 344.0 DALES 米国ダラス 郊外・住宅地 1 2413 501,350 48.1 HakataStation 福岡県 駅周辺 1 1830 17,222 1063.0 KairyoKoji ローカル座標 郊外 1 3009 17,663 1704.0 9/15
  11. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 結果1:

    評価指標および精度評価の結果 ❏ Precision,Recall,Accuracy,F1-Scoreの 4指標を用いて地表面分類の精度を評価した ❏ IATはRecall以外で3指標で最も高い数値を出した ❏ CSFは比較してRecallで顕著に低い数値を出した ❏ SMRFはRecallで最も高い数値を出した 各手法に対する評価指標の平均値および標準偏差 各データをエリアに分類し,評価指標の結果 エリア 手法 Precision Recall F-1 Accuracy 都市部 SMRF 0.896 0.995 0.94 0.96 都市部 CSF 0.916 0.992 0.951 0.966 都市部 IAT 0.969 0.976 0.977 0.979 山間部 SMRF 0.776 0.981 0.861 0.961 山間部 CSF 0.795 0.325 0.441 0.902 山間部 IAT 0.84 0.861 0.848 0.963 住宅地 SMRF 0.839 0.965 0.896 0.903 住宅地 CSF 0.872 0.884 0.876 0.896 住宅地 IAT 0.876 0.962 0.914 0.919 山間部周 辺住宅地 SMRF 0.800 0.971 0.874 0.916 山間部周 辺住宅地 CSF 0.834 0.667 0.725 0.86 山間部周 辺住宅地 IAT 0.879 0.929 0.901 0.939 10/15
  12. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 結果2:

    3手法の地表面分類結果の比較 ❏ 右図(茶色着色で,地表面判定のみ表示)はCSFにおいてRecallが低く 出た例である ❏ Recallで顕著に低い数値を出したCSFの処理結果では,多くの地表面と すべき点を地表面でないと判定した データ 手法 Precision Recall F-1 Acc. KairyoKoji SMRF 0.707 0.922 0.801 0.814 KairyoKoji CSF 0.823 0.395 0.534 0.721 KairyoKoji IAT 0.769 0.989 0.865 0.876 11/15
  13. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 結果2:

    3手法の地表面分類結果の比較 ❏ 右図(RGB&地表面判定のみ表示)では,IATが最も高いPrecisionが 出た例である ❏ Precisionが比較して高く出たIATは低植生など部分を地表面から除去 できている データ 手法 Precision Recall F-1 Acc. Shizuoka SMRF 0.784 0.985 0.873 0.934 Shizuoka CSF 0.811 0.716 0.761 0.896 Shizuoka IAT 0.924 0.919 0.921 0.964 12/15
  14. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 結果3:

    精度評価結果に対する統計的検定(二元配置分散分析)の結果 ❏ 各評価指標に対するデータセットおよび手法の影響を定量的に評価するため,二元配置分散分析 (主効果モデル)を実施した。 ❏ 本分析は,手法間に性能差が存在する可能性を示唆すると同時に,その性能がデータセットの 特性に影響されることも示している. ❏ 全体としてSMRFとIATがCSFよりも優れた性能を持つことを示唆している. ❏ 特にPrecisionの性能を重視する場合,IATが最も有力な選択肢となる可能性が示された F1-Score Accuracy 評価 指標 要因 平方 和 自 由 度 平均平方 (Mean Sq.) F値 p値 Preci- sion Dataset 0.509 19 0.027 16.1 < .001 Method 0.043 2 0.022 12.9 < .001 Recall Dataset 0.621 19 0.033 1.44 0.167 Method 1.053 2 0.526 223.15 < .001 要因 平方和 自由度 平均平方 (Mean Sq.) F値 p値 Dataset 0.568 19 0.030 2.8 .003 Method 0.412 2 0.206 19.29 < .001 Dataset 0.118 19 0.006 11.53 < .001 Method 0.030 2 0.015 27.57 < .001 13/15
  15. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. 結果4:

    三手法の処理時間について ❏ 20 の各点群データセット(平均データサイズ:167.81 MB)に対して三手法間の処理時間を比較した ❏ CSFがIATに対して約1. 79 倍高速であった.一方,SMRF はCSF より約1.5倍の計算時間を要した ❏ IATは計算コストが高いものの、実用面では誤分類の修正工数やアプリケーションの学習コストを考慮 すると本研究で示された高い分類精度が実用的な場面において、優位となる考え方も提起された ❏ 以下、地表面クラスのみを表示し、IATの結果を緑色、SMRFを赤の点群で着色し、表示切替した様子 低植生などの誤分類が少ない例 急峻な地形にて誤分類が少ない例 14/15
  16. © 2026 Locus Blue Co,. Ltd. All Right Reserved. まとめ

    ❏ 地表面分類アルゴリズム(SMRF、CSFおよびIAT)について説明した。 ❏ 四種類のスキャナータイプから取得した点群データを用いて、三手法の地表面分類ア ルゴリズムにて分類した結果の精度を検証し、考察を行った。 ❏ 全体としてSMRFとIATがCSFよりも優れた性能を持つことが示唆された。特に Precisionの性能を重視する状況においては,IATが最も有力な選択肢となる可能性 が示された。 ❏ しかしIATでは計算コストにおいて課題が明らかになったと同時に、三手法は適切な 場面で使い分けていくか組み合わせて使うことができるのではないかと結論付けた。 謝辞:本研究では,国土防災技術株式会社の吉村様より提供いただいた L2-Mountain 点群データ,静岡県が公開してい る VIRTUAL SHIZUOKA 点群データ,および和歌山県が公開している点群データを用いた.ここに記して厚く御礼申し上 げます 15/15