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AI時代を生き抜くために〜1年間のFAST実践で学んだ、自律分散型組織の可能性と難しさ〜 ...

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August 30, 2025
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AI時代を生き抜くために〜1年間のFAST実践で学んだ、自律分散型組織の可能性と難しさ〜 / Surviving the AI Era: Lessons in a Decentralized Autonomous Organization with FAST

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Kyosuke Awata

August 30, 2025
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  1. • 実はスクラムフェス仙台2024が、⼈⽣初の参戦 ◦ キーノートが衝撃的すぎた ◦ 去年は公式のネットワーキングでコミュ⼒の限界に ◦ 2⽇⽬も終わると同時に直帰した陰キャっぷり • 各地のスクフェスに参加し、楽しさを覚えてしまいました

    ◦ RSGT2025, スクフェス神奈川(3回), 新潟, ⾦沢, ⼤阪 ◦ いまでは深夜まで多くの⼈との交流を楽しめるように スクラムフェスに初めて参加してから1年が経ちました 4 引⽤:(https://prd-blog.loglass.co.jp/entry/2024/08/28/090032) ただいま!仙台!
  2. • AIの進化で⾃律分散型組織へ ◦ AIの進化によってチームはどう変化するのか ◦ AIが進化するなら⾃律分散型組織がいいのかも? ◦ そうは⾔っても難しいんだよなー ◦ あっ、これFASTでやったところだ!

    • FASTと⾃律分散型組織の類似点 ◦ FASTと⾃律分散型組織が似ているのなら ◦ FASTの学びはAI時代に活⽤できるはず • FASTへの挑戦で発⽣した問題 ◦ 具体事例の紹介と、これらの経験から学んだことの共有 • これらの経験と学びは⾃律分散型組織へのヒントになりそう ◦ 活⽤できそうなポイントのまとめ アジェンダ 8 本編はじまります
  3. • ⼩規模なチームでこれを実現している ◦ (2025年7⽉時点) ◦ 従業員は約100名 ◦ 90%はエンジニアと研究者 • とんでもない速度で売上を伸ばしている

    ◦ 発売から12ヶ⽉でARR1億ドルを達成 ◦ そこから12ヶ⽉後にはARR3億ドルを達成 ◦ そして発売から30ヶ⽉でARR5億ドルを達成 (どうでもいいプチ情報なんですが、僕は2023年の1⽉にCursorを初めて使いました) Anysphere(Cursorの開発元)は少⼈数で爆発的な成⻑を遂げた 10 AIの進化で⾃律分散型組織へ 引⽤:(https://www.news.aakashg.com/p/how-cursor-grows)
  4. AIの進化で⾃律分散型組織へ • これまではビジネスの成⻑に合わせて組織を拡⼤してきた ◦ リスクを取ってでも⼈を増やすしかなかった ◦ 他に取るべき有効な⼿段が少なかったのかもしれない • ⼈の代わりにAIを増やすという新たな選択肢 ◦

    コミュニケーション、マネジメントコストが抑えられる ◦ ⼈件費が抑えられる ◦ ローリスクに単純なアウトプットの増加が⾒込める 無理にチームに⼈を増やさなくても良い時代がやってきたのかも 11 遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけである ー ブルックスの法則  引⽤:(https://ja.wikipedia.org/wiki/ブルックスの法則)
  5. • 従来のクロスファンクショナルチームとは ◦ “さまざまな部署や専⾨分野の⼈が” 集まり、お互いの知識を組み合わせて、同じ⽬標に向かう • 新時代のクロスファンクショナルなチームとは ◦ “少⼈数のメンバーと⽣成AIが” 集まり、お互いの知識を組み合わせて、同じ⽬標に向かう

    ◦ (例)弊社でもPdMがClaude Codeで実装してプルリクを出すといったことが起きている クロスファンクショナルチームの在り⽅も変わる 12 AIの進化で⾃律分散型組織へ 引⽤:(https://hups.com/blog/agile-in-the-age-of-ai)
  6. • ⾃律分散型組織の特徴 ◦ 階層がなくフラットな構造で、中央の管理者は不在 ◦ 全員が⾃分の判断で、⾃律的に動くことができる ◦ 共通の⽬指すべき⽬標に沿って⾏動する ◦ 情報の透明性が担保されている

    並列に動くチームが多いのであれば、⾃律分散型組織が良いのではないか 14 AIの進化で⾃律分散型組織へ 引⽤:(https://trade-log.io/column/2163)
  7. FASTと⾃律分散型組織は似ている • ⾃⼰組織化とスケーリングの技術 ◦ ⼈々が仕事を中⼼に⾃⼰組織化し、スケールしていくための⽅法 • デリバリーとディスカバリーの両⽅に対応 ◦ 従来の多くの⼿法がデリバリーに偏っていたが、FASTはディスカバリー活動にも対応 •

    変化に強い組織を⽬指した仕組み ◦ 変化の速い時代において、⾼い適応⼒とレジリエンスを備え、継続的なイノベーションを促進する • 超軽量で最⼩限の構造のみが存在する ◦ 適応と創発を推進するために、あえて超軽量で最⼩限の構造 FAST - Fluid Adaptive Scaling Technology とは 20 引⽤:(http://fastagile.io)
  8. • “コレクティブ” で、共通の⽬的を達成する ◦ 共通の⽬的のために集まった、⾃律的で権限を持つ⾃⼰組織化された集団 • “チーム” は “コレクティブ” の中で、流動的に作られる

    ◦ チームは固定されず、作業に応じて流動的に形成される ◦ 知識やスキルの共有、必要な場所への⼈員配置の柔軟性などが促進される • “チーム” 同⼠は、サイロ構造ではなくネットワーク構造 ◦ チームが固定されたサイロになるのではなく、ネットワーク状につながる構造を作り出す ◦ 静的なチーミングやサイロが引き起こす課題(限られた知識リソース、知識共有の困難さ、柔軟性の ⽋如、依存関係など)を解決する チームとコレクティブ 21 引⽤:(http://fastagile.io) FASTと⾃律分散型組織は似ている
  9. バリューサイクル 22 コレクティブ ⽴ち上げ FAST Meeting FAST Meeting FAST Meeting

    ここ • FASTにおける「連続的な作業サイクル」のこと ◦ FAST Meetingによって区切られる • スクラムのスプリントと違ってタイムボックスではない ◦ 期間も可変に設定できる • バリューサイクルをどのように過ごすかは基本的に⾃由 ◦ 集合知と各⾃の判断を組み合わせ、⾃⼰管理的に解決する ◦ 必要に応じて、⼀時的に別のチームに移って共同で作業することも可能 ここ 永遠に 繰り返す 引⽤:(http://fastagile.io) FASTと⾃律分散型組織は似ている
  10. FAST Meeting 23 第1部 バリューサイクルの完了 第2部 バリューサイクルの開始 第3部 マーケットプレイス 前回のバリューサイクルで達成したことや学んだことを

    コレクティブ全体で共有し全員が共通の理解を持つ PdMからコレクティブにメッセージを伝え 次のバリューサイクルを開始する 次に何に取り組むべきかのマーケットプレイスボードを作成し メンバーが個々に貢献したい作業を選びチームを形成する 引⽤:(http://fastagile.io) FASTと⾃律分散型組織は似ている
  11. FASTと⾃律分散型組織は似ている • 「タスクベースの流動的なチーミング」 ◦ 「チームに所属して⾃律的に動く」ではなく「個⼈が⾃律的に動いてチームを作る」 • モビリティの法則を取り⼊れている ◦ モビリティの法則はオープンスペーステクノロジーが由来でそれによってメンバーは合理的ないか なる時点においてもチーム間を移動できます。(引⽤:FASTガイド)

    • “複雑適応系” がFASTの柱に⼊っていることから以下のように推測できる ◦ 個⼈が⾃律的に⾏動し環境や経験から学ぶことで、個⼈がより最適な⾏動を選択するようになる ◦ 個別最適の積み重ねが全体最適へと繋がる FASTではどのようにチームを作り活動するか 24 引⽤:(https://drive.google.com/file/d/1jkKpvhWcF1N0-7B-9tCkRNXZnphHrHxP/view)
  12. • 得られた効果 ◦ チームのキャパシティ/ケイパビリティが適切かどうかに意識を向けられるように ◦ 適切でなければチームを作らないという判断を⾃律的にやれるように ◦ 相互のチーム状況に関⼼を持ちやすい状況に ◦ 重要なタスクの⾃信度が下がっていれば、そこに注⼒した⽅が良いかも?といった議論が⽣まれた

    • 得られた学び ◦ チームのキャパシティ‧ケイパビリティに合わせてタスクを進めるではなく ◦ タスクに必要なキャパシティ‧ケイパビリティを持つチームを作るという考え⽅ ◦ 「どういうチームを作ればいいのか?」より「どんなタスクを進めれば良いのか?」が先にくる ◦ これが実現できれば、より重要なタスクを優先的に進めることができる 並列数を増やしすぎたことで戦⼒が分散し、⼈間のリソースが不⾜した 31 FASTへの挑戦で発⽣した問題と学び
  13. • 何が起こっていたのか ◦ 各チームが⾃分たちのチームの⽬標にフォーカスしすぎた ◦ 他のチームよりも⾃分たちのチームを優先することが増えた ◦ 協業関係にあるはずのチームが、対⽴関係になりそうだった チーム間にコンフリクトが発⽣した 33

    FASTへの挑戦で発⽣した問題と学び チーム チーム チームの⽬標達成が厳しく 他のチームから即戦⼒メンバーを 移動させてもらえませんか... うちのチームの⽬標が 達成できなくなってしまうので 誰も移動させられないです... チーム 優先度⾼いタスクなのに なんで誰もうちのチームに きてくれないんだろう...
  14. • 実践した対策 ◦ 対⽴関係を解消し、協業関係を後押しするようなOKRをボトムアップに作った • 具体的な進め⽅ 1. 全員に各⾃がやった⽅が良いと思うことを書き出してもらった 2. 各職種の専⾨的観点から「これはやった⽅が良さそうだね」という認識を揃えた

    3. 選ばれた項⽬をそれぞれ以下の3項⽬で整理 ‧なぜこれを次の3ヶ⽉でやるべきなのか? ‧具体的にどんなアクションをやっていく想定か? ‧どのように評価するか? 4. 超重要なものが漏れていないか、⼯夫次第で達成できる範囲に収まっているかを議論して確定 チーム間にコンフリクトが発⽣した 34 FASTへの挑戦で発⽣した問題と学び
  15. • 得られた効果 ◦ ボトムアップに作ったことで、メンバーにオーナーシップや納得感が醸成された ◦ チームの⽬標達成よりも、コレクティブとしての⽬標達成にフォーカスできるようになった ◦ 相互にメリットを得られる状況を作り出したことで、コラボレーションが促進された • 得られた学び

    ◦ コラボレーションを促進するためには、インセンティブデザインが必要 ◦ 与えられた⽬標ではなく、⾃ら決めた⽬標だからこそ、オーナーシップや納得感が醸成される チーム間にコンフリクトが発⽣した 35 FASTへの挑戦で発⽣した問題と学び
  16. • 何が起こっていたのか ◦ 短期的には⽬標達成に反する可能性のある⾏動が取りにくい状態になった ◦ 特に⼊社歴が浅いメンバーは、何をやるべきか悩んでしまう場⾯があった ◦ 組織全体として何をしたいんだっけ?という認識が浸透しきっていなかった ⾃律的に動くことに、メンバーが迷いを抱える 37

    FASTへの挑戦で発⽣した問題と学び チーム チーム 直近の⽬標達成のために いったんこの負債解消は 後回しかな 今は正直に⾔うと 新⼈を受け⼊れるほどの 余裕がないです (新⼈) 我々はどこのチームに ⼊ったらいいんだろうか...?
  17. • 実践した対策 ◦ コレクティブについて理解を深めるための「語り合う会」を実施した • 具体的にやったこと ◦ BigPictureモム会 参考:図説:SmartHRのプロダクト開発サイクル 2021

    ver. ◦ プロダクト戦略‧BigPicture‧OKR‧組織戦略 を広く理解する会(ワールドカフェ⾵) ◦ 現在進⾏中、溜まっているタスクの 優先順位を考えてみる会 ⾃律的に動くことに、メンバーが迷いを抱える 38 FASTへの挑戦で発⽣した問題と学び 引⽤:(https://tech.smarthr.jp/entry/2021/06/16/115550)
  18. • 得られた効果 ◦ 対話の中から認識のズレや、共通の価値観のようなものが⾒え始めた ◦ 「だったらこういう⾵にやっていくべきだよね」と少しずつ変化が⽣まれた ◦ コンテキストを少しずつ揃えていくことで、⽇々の業務においても議論がスムーズに • 得られた学び

    ◦ ビジョンのような⼤前提となる共通認識の重要性 ◦ (少し別の視点)無理に変化させようとする必要はなかった ◦ (個⼈的)運営を通して、適切なワークを考えるスキルが少しだけ⾝についた ⾃律的に動くことに、メンバーが迷いを抱える 39 FASTへの挑戦で発⽣した問題と学び 引⽤:(https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/109059)
  19. • 全員がオーナーシップを発揮できるビジョンを共有すること ◦ メンバーに混乱を⽣み出してしまい、⾃律的に動ける環境を最⼤限に活⽤できない ◦ どうしても、短期的な⽬標達成にフォーカスしてしまいがちになる ◦ アウトプットを増やせるからこそ、⻑く正しいものを作り続けられる組織を⽬指して • タスクを進める上で必要なキャパシティ/ケイパビリティをもつチームを設計すること

    ◦ チームが独⽴して価値を出せなければ、⾃律的に動ける環境を最⼤限に活⽤できない ◦ 必要なキャパシティ/ケイパビリティを埋めるのは⼈間かAIか?はこの先より不確実になる ◦ ⽬的ベースで最適なチームを作るスキルがこの先の時代ではより重要に • コラボレーションを促進する、インセンティブを設計する ◦ 個別の課題を⾼速に解けるからこそ、独⽴性はより⾼まっていく ◦ しかし、全体の課題を解決できているかどうかは、個別の課題を解決しただけでは分からない ◦ 問題を分割するなら分割前の複雑な問題が解決されなければならない。そうでなければ、問題の分割 は別の問題を⽣み出す (引⽤:トレードオフの連続解決を通して対⽴を協⼒に変えるプロダクトマネジメントを実現するぞ) ⾃律分散型組織作りに必要だったもの 42 これらの経験と学びは⾃律分散型組織作りのヒントになりそう 引⽤:(https://speakerdeck.com/moriyuya/continuous-management-of-trade-offs-rsgt2025?slide=187)
  20. おわりに • この先のAIの進化は読めないし、⾃分はスーパーマンにはなれない ◦ ⾃分よりも優秀な⼈が世の中にはたくさんいるし ◦ AIが⾃分よりも圧倒的に仕事をできるようになるかもしれない ◦ だからこそ共存する⽅法を探していきたい •

    FASTに挑戦することは困難もたくさんあるけど、楽しい ◦ 1つ1つ、課題を乗り越えながら前に進めている感覚はある ◦ だからこそ、こういった気づきを得て考えられるようになったのかもしれない ◦ AIが進化して、いつになったら⼈間は不要になるのか?みたいな話もあるが、⼈を⼤事にしたい ただのお気持ち表明 44
  21. 46