Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
「再現ケース」の必要性とその難しさ
Search
Yasuo Honda
July 04, 2020
Technology
2
530
「再現ケース」の必要性とその難しさ
銀座Rails#23
Yasuo Honda
July 04, 2020
Tweet
Share
More Decks by Yasuo Honda
See All by Yasuo Honda
NOT VALIDな検査制約 / check constraint that is not valid
yahonda
1
78
今、始める、第一歩。 / Your first step
yahonda
3
890
RailsのPull requestsのレビューの時に私が考えていること
yahonda
5
4.2k
pg_stat_statementsで inの数が違うSQLをまとめて ほしい
yahonda
0
200
遅延可能な一意性制約
yahonda
0
820
あなたとRails
yahonda
4
960
PostgreSQL 15とRailsと
yahonda
0
540
PostgreSQLとRuby on Rails
yahonda
0
230
How to address multiple Rails CI failures
yahonda
1
980
Other Decks in Technology
See All in Technology
能動的ドメイン名ライフサイクル管理のすゝめ / Practice on Active Domain Name Lifecycle Management
nttcom
0
240
12 Days of OpenAIから読み解く、生成AI 2025年のトレンド
shunsukeono_am
0
110
10個のフィルタをAXI4-Streamでつなげてみた
marsee101
0
180
効率的な技術組織が作れる!書籍『チームトポロジー』要点まとめ
iwamot
1
110
Opcodeを読んでいたら何故かphp-srcを読んでいた話
murashotaro
0
320
NW-JAWS #14 re:Invent 2024(予選落ち含)で 発表された推しアップデートについて
nagisa53
0
280
3年でバックエンドエンジニアが5倍に増えても破綻しなかったアーキテクチャ そして、これから / Software architecture that scales even with a 5x increase in backend engineers in 3 years
euglena1215
9
3.6k
エンジニアカフェ忘年会2024「今年やらかしてしまったこと!」
keropiyo
0
100
組み込みアプリパフォーマンス格闘記 検索画面編
wataruhigasi
1
140
AWS環境におけるランサムウェア攻撃対策の設計
nrinetcom
PRO
0
170
LINE Developersプロダクト(LIFF/LINE Login)におけるフロントエンド開発
lycorptech_jp
PRO
0
150
株式会社ログラス − エンジニア向け会社説明資料 / Loglass Comapany Deck for Engineer
loglass2019
3
32k
Featured
See All Featured
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
666
120k
Writing Fast Ruby
sferik
628
61k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
328
21k
Visualization
eitanlees
146
15k
Build The Right Thing And Hit Your Dates
maggiecrowley
33
2.4k
Designing Experiences People Love
moore
138
23k
Scaling GitHub
holman
459
140k
A designer walks into a library…
pauljervisheath
205
24k
Templates, Plugins, & Blocks: Oh My! Creating the theme that thinks of everything
marktimemedia
28
2.1k
How STYLIGHT went responsive
nonsquared
96
5.2k
[RailsConf 2023] Rails as a piece of cake
palkan
53
5.1k
Save Time (by Creating Custom Rails Generators)
garrettdimon
PRO
29
910
Transcript
銀座Rails#23 July 4, 2020 Yasuo Honda @yahonda 「再現ケース」の必要性とそ の難しさ
• 依存するライブラリやプログラムの変更で、アプリケーションやフレーム ワークに問題が出たときに、どうレポートするか • Rubyの変更でRailsのCIが落ちたときの例を元にうまくいったこと、うまく いかなかったこと • 技術的な側面よりも、どのように考えるか、どのように行動するかをお話し します 話すこと
• 開発中のRubyの変更で、開発中のRailsのCIが落ちることがある ◦ https://buildkite.com/rails/rails/builds?branch=master • Ruby 2.8.0dev ◦ 1日1回更新される rubylang/ruby:master-nightly-bionic
◦ 詳細は How to git bisect ruby/ruby repository 参照 RailsのCI
• Rubyのどのcommitが現象を引き起こしたか特定する ◦ git bisect を利用 ◦ How to git
bisect ruby/ruby repository 参照のこと • 現象が再現する手順を確立する ◦ minitest_bisect を利用する ◦ https://gist.github.com/yahonda/b67b19304d34fc1150a9db 79ee325bcc 参照のこと ◦ この時点ではRubyにとって”ミニマムな”再現手順ではない ◦ "ミニマム"の意味はリポジトリにより異なる Rubyの変更でRailsのCIが落ちたらやること
• 考えられる選択は以下のいずれか • 現象が発生したRailsのissues ◦ Issues · rails/rails · GitHub
• 現象を引き起こした(と報告時点では考えている) Rubyのissues ◦ Ruby Issue Tracking System 再現できたらどこにレポートするか
• 現象が発生したレポジトリ ◦ 私はずっとこうしていた(Railsのissueとして報告していた) • いいところ ◦ 再現ケースはRailsのUnit testなので、Railsフレームワーク開発者 にとってなじみがある(ミニマムなテストケースといえる)
• よくないところ ◦ Rubyの非互換性の可能性があっても、Rails側で「直してしまう」場合 がある 再現できたらどこにレポートするか(2)
• 現象のきっかけとなったレポジトリ ◦ いまはこうしています(bugs.ruby-lang.orgにまずレポート) • いいところ ◦ Ruby開発者にRubyの非互換性や問題を直接レポートできる ◦ 非互換性や問題はRuby開発者が意図している場合と意図していな
い場合があることがわかる ◦ Rubyが直る場合とRailsが修正される場合がある ▪ 意図しているRubyの非互換性であれば、現象が発生したレポジ トリ(Rails)で修正を行うことになる 再現できたらどこにレポートするか(3)
• よくないところ(難しいところ): ◦ ミニマムな再現ケースを作りにくい ◦ Ruby開発者にとってはRailsフレームワークのunit testはミニマム ではない ◦ Railsのunit
testをplainなRubyでの再現ケースにするのは大変 ▪ 私自身ほとんどできていない • Note: 100%の再現性を特定できていない場合 ◦ 現象が発生したレポジトリで、再現性を高めるための情報を得ましょ う 再現できたらどこにレポートするか(4)
実際の例2つ
• 最初はRailsにレポートした ◦ Action Text and Action View unit tests
are failing with ruby 2.8.0dev · Issue #38613 · rails/rails ▪ NoMethodError: undefined method `runnables' for ActiveJob::Base:Class • 2日後にRubyにレポートした ◦ https://bugs.ruby-lang.org/issues/16669 Case 1
• よかったこと ◦ Rubyが修正された ▪ https://github.com/ruby/ruby/commit/8119bcbf ▪ https://ruby-trunk-changes.hatenablog.com/entry/rub y_trunk_changes_20200423 に解説があります
• “defined? で undef したメソッドも "method" になってし まっていた” ◦ あたらしいRubyのビルドのきっかけになった ▪ 後で話します Case 1 (2)
• うまくいかなかったこと ◦ bin/testでは再現し、bundle exec rubyでは再現しない違いに気 づいていたが、Ruby(Without Rails)で再現ケースを作れなかった ▪ https://github.com/rails/rails/issues/38613#issuecom
ment-595285939 ◦ ミニマムな再現ケース(7行) ▪ https://twitter.com/kamipo/status/12528819301035581 44 Case 1 (3)
• うまくいかなかったこと ◦ minitest の--seedを固定しても、テスト実行順が固定化されなかっ た(再現したりしなかったりする原因) ◦ RailsのParallel testingがAction ViewとAction
Packで有効に なっているのに気づくのに時間がかかった ▪ Railsガイドを修正しました ▪ [skip ci] How to run Action View and Action Pack unit test in serial · Issue #38693 · rails/rails Case 1 (3)
• 最初からRubyにレポートした ◦ https://bugs.ruby-lang.org/issues/16973 ▪ ActiveSupportのto_jsonのテストが落ちる • Railsのbug templateを参考にしたRubyスクリプトにした ◦
Railsリポジトリをクローンしなくても再現できる ◦ https://github.com/rails/rails/blob/master/guides/bug_rep ort_templates/generic_master.rb ◦ gem "activesupport" - Plain Rubyスクリプトには遠い Case 2
• よかったこと ◦ 意図通りで、3rd party issueとしてクローズされた ▪ https://github.com/ruby/ruby/commit/41582d5866 ▪ https://ruby-trunk-changes.hatenablog.com/entry/rub
y_trunk_changes_20200619 に解説があります ◦ Ruby側の判断を受けて、Railsが修正されました ▪ https://github.com/rails/rails/pull/39697 Case 2 (2)
• よかったこと ◦ 再現ケースを小さくしたり、print debugの結果を更新していたら、 Railsの該当コードレビューワーからコメントがもらえた ◦ http://blade.nagaokaut.ac.jp/cgi-bin/scat.rb/ruby/ruby-cor e/98900 •
うまくいかなかったこと ◦ "Without Active Support"での再現ケースはつくれなかった ◦ それでも事象が解消されたことのほうが重要ではあります Case 2 (3)
最近追加されたRubyのビルド
• https://bugs.ruby-lang.org/issues/16895 が報告され、debug build(-DRUBY_DEBUG=1)つきRuby 2.8.0devが利用可能になった ◦ GitHub Actions: ruby-debug ◦
Docker Image: rubylang/ruby:master-debug-nightly-bionic • Railsでは下記のpull requestがopen ◦ https://github.com/rails/buildkite-config/pull/9 • Oracle enhanced adapterでは導入済み ◦ https://github.com/rsim/oracle-enhanced/pull/2015 最近追加されたRubyのビルド
Thank you