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CSS2026:OWS研究会・招待講演「世界観を、実装する」

 CSS2026:OWS研究会・招待講演「世界観を、実装する」

CSS2026(コンピュータ・セキュリティ・シンポジウム)OWS研究会・招待講演
https://www.iwsec.org/css/2026/program.html?20260908#3C1
3C1: OSSとAIが切り拓くサイバーセキュリティの未来
座長:金井 遵(東芝)
プログラム概要:AIとOSSの発展により、サイバーセキュリティの研究開発は大きな転換点を迎えている。本セッションでは、第一線で活躍するOSS開発者・実践者を招き、AI時代における技術・研究・コミュニティの可能性を議論する。高江洲氏からは、小規模オープンウェイトLLMのサイバーセキュリティ能力を評価するOSS基盤を題材に、「モデルの能力はモデル単体ではなくハーネスも含めて決まる」という視点から、その可能性と限界を紹介いただく。佐田淳史氏からは、学生時代からのOSS開発や研究活動、Black Hat USA・DEF CONでの発表経験をもとに、自らの世界観を技術として実装し、学びを成果へと発展させる実践について語っていただく。最先端の技術動向に加え、OSS活動や研究を通じて成長し、世界へ挑戦するためのヒントを学生・若手研究者に届けるセッションである。

講演者:佐田淳史(セキュリティ若手の会 共同創設者 幹事)
講演概要:世界を観察し、経験し、人と議論することで、自分の世界モデルは更新されます。そこから生まれる「世の中こうあってほしい」という世界観を、実務・研究開発・コミュニティとして現実に置く。私にとって、ものづくりとは世界観や哲学の0 to 1的な実装です。
- RSA暗号の部分実装をXに公開 → セキュリティサークルRiSTとの出会い
- コンパイラの軽装 →RyotaK氏の一本のブログ → sisakulint → 3年以上の開発を経てDEF CON 34へ
- EDR運用での違和感 → MachStealer → AIエージェントとの高速な試行錯誤でBlack Hat USA Arsenalへ
- Firefoxの「世界モデル」とAIと更新し続ける脆弱性発見農場を構築し、ロジックバグの探索へ
- 学生時代に欲しかった場所 → セキュリティ若手の会 → 2人から390人規模へ
一見ばらばらな活動ですが、やっていることは同じです。気になったものを人より一段深く追い、仮説を立て、作り、外に出す。そして人のいる場所へ行き、得られた成功も失敗も次の仮説へマックスベッドする。これを支えたのは、特別な才能ではなく、仮説を立てて外しまくってはピボットする思考回数、チャレンジの手数、そして高速なイテレーションでした。
本講演では、学生時代から現在までの試行錯誤を通じて、この反復が自分の世界モデルを更新し、後から「専門性」と呼ばれるものになっていった過程をお話しします。最後に、人生の長期目標である「まだ見ぬ新しい景色を追求し続ける過程を楽しむこと」を、世界観という視点から考えます。

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atsushi, sada

October 23, 2026

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Transcript

  1. 自己紹介 セキュリティエンジニア 佐田 淳史 IPA 専門委員 GitHub ultra-supara X @atsush1_sada

    専門 Enterprise Security パブリック・クラウドを中心とした企業と製品のセキュリティ セキュリティツールの開発 研究 教育 世界観を、実装する Black Hat USA /DEF CON Demo Labsで発表 ブラウザの脆弱性研究・ソフトウェアサプライチェーン セキュリティ・キャンプ AIセキュリティクラス講師・呼ばれたら講演 CSS2026 OWS研究会招待講演 2
  2. 源流に世界観がある 観察・対話 理解する 世界モデル どう動くと理解しているか 世界観 仮説を立てる 選択の基準 実装 使える道具や場所にする

    誰に、何ができてほしいか 使う・確かめる 結果・人の反応 次に考える 着想:カレー沢薫「時流漂流」第392回 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 4
  3. パイが縮む時代ほど、問いをゼロサムに委ねない。 前提 人口減少 経済停滞 機会の偏在 AIによる能力のコモディティ化 縮小するパイ 拡張より分配、探究より席取り、創造より比較に寄りやすい。 代理的自己実現 強い人を消費する側

    強い人・強い言葉・強い肩書き・強い実績を 眺めて、無力感を得る 自分の探究 どう移るか 自分で問いを持ち、検証し、 成果物を積む側 既存の席を奪い合うだけでなく、 新しい問い・ツール・実装・防御の余地をつくる。 決定プロセス 何を大事にし、何を減らし、何を守るか。 アルゴリズム・企業・市場・空気に選ばせず、自分たちで決める。 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 5
  4. 今日の目次は、当時の計画ではない。 最初は「気になる」「面白い」「これはおかしい」。 作って、人と話して、また試した。 振り返って、自分が大事にしているものが見えてきた。 暗号 コンパイラ CI macOS Firefox コミュニティ

    AI AWS ・・・ 着想:カレー沢薫「『作風は決めたほうがいい?』それは“あなたのファン”ができてから」 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 7
  5. 事例1: 基礎と出会いが、次の問いになった。 基礎 コンパイラ実装で、 コードの構造を読む基礎を得た。 出会い RyotaK氏の記事で、 開発プロセスを狙う攻撃に驚いた。 GitHub Actionsの危険な設定を、

    開発の流れの中で確かめたい。 sisakulint 深く速く脆弱性の温床を探る静的解析 DEF CON 34 で発表 GitHub Actionsのワークフローを静的に解析する。信頼できない入力が、危険な処理へ届く経路を調べる。 外部からの入力 ワークフロー内の受け渡し 危険になりうる処理 sisakulintの解析範囲:実行前に、設定とデータの流れを調べる 出典:Rui Ueyama「低レイヤを知りたい人のためのCコンパイラ作成入門」/RyotaK「HomebrewのCaskリポジトリを介した任意コード実行」/sisakulint 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 10
  6. 約1か月の後ろに、持ち込める経験があった。 着手から応募まで、 約1か月 実務の知識 抽象化と構想 AIを使った試行錯誤 Black Hat USA 2026

    Arsenalで発表。 外へ出したことで、質問と次の対話が生まれた。 Chrome Security Teamとの対話へ。 緩和策となる技術の共同調査につながった。 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 16
  7. 外した仮説も、次の理解に残す Max Betの姿勢 このループを回すハーネスを、まるごとソフトウェアとして構築した。 次の探索でも参照する 対象理解の記述 探索に使う AIによる仮説・探索 理解を更新 更新するのは、対象理解・台帳・次の探索方針

    実際に試す 台帳 結果を記録 再現・検証 機能・権限・危険な結果 結果・否定した理由・次の確認 報告したFirefox / Firefox Focusの脆弱性7件にCVE番号が付与(2026年10月時点) 出典:INODS講演報告/Mozilla Security Advisories 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 人が評価し、報告する 19
  8. 大きな仮説: AIの未来には、複数の賭け筋がある 言語 コードの実行 空間 生成した世界 現実の感覚 ロボットの身体 OpenAI・Anthropic など

    Google DeepMind(Genie 3) Poolside AMI Labs(LeCun) World Labs Physical Intelligence 各社のvisionを信仰せず、何に賭けていて、どこが反証点かを読む。 出典:Poolside/World Labs/Google DeepMind「Genie 3」/TechCrunch(2026-03-09)/Physical Intelligence 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 20
  9. Poolside:コードの実行から、知能を広げる。 長期・多段階のソフトウェア開発を、研究の足場にする。 ソフトウェアの課題 コードを生成・修正 試す 結果を得る 更新したモデル RLでモデルを訓練 実行・テスト 報酬として使う

    結果を評価 コンパイル・テストなど 構想:ソフトウェアで得た能力を、他分野へ一般化 出力を実行し、結果を学習へ返せる環境をつくる。 出典:Poolside, Purpose(2023-10-07)/Research(2025-07-24) 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 21
  10. World Labs:空間を、理解と行動の足場にする。 Fei-Fei Liらが共同創業 画像・動画・テキスト・3Dを、共通の空間的文脈で扱う。 入力 画像 動画 テキスト 3D

    空間表現 公開されている例 柱 机 未観測部分には 補完が入る Atlas 視点を変えた生成 空間の再構成 R2S2R ロボット課題の シミュレーション 同じ物体 視点A 視点B 構想:多様な環境の理解・推論・行動へ 出典:World Labs, Atlas(2026-09-01)/R2S2R(2026-07-28) 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 22
  11. 『確かめ方』も、つくるものになる。 何を足場に、知能を広げようとしているのか。 Poolside 主な足場 World Labs ソフトウェアの課題とコード実行 何を確かめるか(例) 実行結果、コンパイル、テスト 目指す広がり

    構想 ソフトウェア以外の長期タスクへ 視覚・空間・相互作用 空間の一貫性、 特定のロボット課題での実機との対応 物理世界での理解と行動へ 自分たちの分野では、何を確かめる環境をつくれるか。 再現環境・評価条件・失敗の記録も、セキュリティの成果物になる。 出典:Poolside Research/World Labs R2S2R 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 23
  12. 参加者の声で、場を更新し続ける。 2人で立ち上げ、2年弱でconnpassグループ登録約400人へ 2026年10月時点 初めて参加する人 参加する 交流会・LT 聞く 現地の声・ アンケート 次回に反映する

    次の開催を設計 改善点を考える 場をつくり、声を聞き、また設計する。 参照:セキュリティ若手の会(connpass) 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 26
  13. 次の挑戦に、何を持ち越せるか。 ツールの操作も、得意な作業も変わっていく。 新しいAI開発手法 実際の開発で試す コンパイラ実装で得た理解 基礎として使う sisakulint DEF CON 34

    で発表 使って調べる 改善を残す 実用上の 良し悪しを確かめる 理解・記録を次の研究へ ツールを持っていることが次の学びの実験場になる。 これが創作者のおいしい部分 世界観を、実装する CSS2026 OWS研究会招待講演 28