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AIと私たちの学習の変化を考える - Claude Codeの学習モードを例に

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September 11, 2025

AIと私たちの学習の変化を考える - Claude Codeの学習モードを例に

生成AIの登場は私たちの仕事の進め方に大きな変化をもたらしました。より多くの仕事をこなせるようになった一方で、「自分の頭で考える」時間が減り、思考力や問題解決能力の低下が懸念されています。このような課題に対応するため、多くのAIサービスは、単に答えを提供するのではなく、ユーザー自身の思考を促す「学習モード」を実装しています。本発表では、Claude Codeの学習モードを例に、AIを学習パートナーとして効果的に活用する方法を探ります。

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September 11, 2025
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Transcript

  1. コードの大部分はAIが生成するように ▸ Claude Code や Devin といった AI コーディングエージェントの登場 ▸

    開発者は自然言語で指示を出すだけでエージェントが自律的にコードを生成して くれる、いわゆる「Agentic Coding」の時代が到来 ▸ 開発者はコードの生成からコードのレビューや設計、AI エージェントの管理へと 仕事の内容がシフトしつつある ▸ AIが自動生成したコードをベースに、開発者が微調整を加えるスタイルが主流に
  2. 従来の問題解決例 問題発生: React useEffect を使ったら無限ループが発生した ↓ Google検索「React useEffect infinite loop」

    ↓ Stack Overflow の回答や技術ブログを複数参照 ↓ 公式ドキュメントを熟読 ↓ 試行錯誤(3-4回のエラー体験) ↓ 解決(所要時間:2-4時間) ↓ 副産物: - なぜ依存関係の警告が出るのか理解できた - useEffectの挙動についての理解が深まった
  3. コード生成の便利さと落とし穴 // AIに「React TODOアプリを作って」と依頼 // → 5分で完成度の高いアプリが生成 function TodoApp() {

    const [todos, setTodos] = useState([]); const addTodo = (todo) => { setTodos([...todos, todo]); }; // 実施に動作するコードが一瞬で... }
  4. VUCA時代に求められる能力 VUCA = Volatility(変動性), Uncertainty(不確実性), Complexity(複雑性), Ambiguity(曖昧性) ▸ 問題を解決する能力だけでなく、問題を発見する能力が重要に ▸

    AIは既知の問題を効率的に解決することに長けているが、未知の課題を見つけ出 したり、創造的な価値を生み出すことは人間の仕事
  5. 劇場のイドラ(Theater of Idols) フランシス・ベーコンの「4つのイドラ」より 権威や流行に盲従してしまう認知バイアス AI時代における「劇場のイドラ」 ▸ AI の権威性:「AI が言うから正しい」

    ▸ 技術の流行性:「最新のAIツールなら間違いない」 ▸ 自動化への過信:「機械の方が人間より正確」 🎭 権威への盲従は 判断力を奪う
  6. 学習曲線の変化 時間 スキル 基礎固め期間 プラトー期間 深い理解 従来の健全な学習曲線 ▸ プラトー期間は、 脳が知識を整理・

    成熟させる期間 ▸ この期間を乗り越 えることで、さら なる応用力や思考 速度の向上につな がるとも言われて いる
  7. 恥をかかない環境での学習 従来の学習環境での課題 ▸ 質問への恐れや不安 ▸ 間違った内容の質問をしてい ないか ▸ 自尊心が邪魔をする ▸

    結果として疑問をそのままにして しまう AIメンターの利点 ▸ 周囲の目を気にしない ▸ 素直に質問できる ▸ 自分の考えていることの言語化に集 中できる
  8. 24時間365日、いつでも利用可能 従来の学習支援の制約 ▸ 時間的制約 ▸ 先生の都合に合わせる必要 ▸ コスト的制約 ▸ 家庭教師は高額な費用

    ▸ 個別指導は限られた人のみ AIメンターの利点 ▸ いつでも質問できる環境 ▸ 自分のペースで学習を進められる ▸ 低コストで利用可能
  9. output-style を設定 ▸ Claude Code の学習モードは output-style の 1 つ

    ▸ output-style は Claude Code のシステムスタイルを直接変更する ▸ デフォルトで以下の3つのスタイルが用意されている ▸ default ▸ explanatory (説明型):Claude が選択したコードの実装方針やコード パターンについて説明しながらコードを生成する ▸ learning (学習型):Claude がユーザーの学習をサポートするため に、 「インサイト」を共有したり、一部のコードの生成をユーザーに依頼