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イノベーション支援に向けた取組み

 イノベーション支援に向けた取組み

2021年12月15日に開催したフィンテックエンジニア養成勉強会#20のトーク「イノベーション支援に向けた取組み」(金融庁 牛田 遼介さん)の発表スライド。
https://fintech-engineer.connpass.com/event/228873/

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Transcript

  1. 2 0 2 1 事 務 年度⾦ 融 ⾏ 政⽅

    針 〜デ ジ タ ル・ イ ノベ ー シ ョンの推 進 ( 抜粋 ) 〜 3 n ⺠間事業者においては、ブロックチェーンやAI等の⾰新的技術やオープンAPIを活⽤した多様な⾦融商品・サービスの提供が進んでいるほ か、新興国を中⼼に経済成⻑を促す観点からデジタル⾦融サービスによって⾦融包摂を進める動きも⾒られる。また、各国中央銀⾏におい ては、中央銀⾏デジタル通貨(CBDC)に関する研究開発が活発化。 n 利⽤者保護の確保を図りつつ、企業の⽣産性や利⽤者保護の向上を実現するため、⾦融分野におけるデジタル・イノベーションを⼀層推進 していくことが重要。 n キャッシュレス化や決済サービスの担い⼿の多様化等を踏まえた資⾦決済インフラの改⾰ ü 資⾦移動業への全銀システムの参加資格拡⼤に向けた検討の着実な進展を図るとともに、多頻度⼩⼝決済の利便性向上に向けた検討 を促していく。 ü 全銀システムに新たに接続する事業者に対するモニタリングのあり⽅について検討する。 n フィンテック関連ビジネスの⽀援や⾦融サービス仲介業の制度施⾏に向けた対応 ü FinTech Innovation Hub(FIH)の機能を活⽤して、国内外の事業者とのコミュニケーションを強化するとともに、⼀体的な⽀援を ⾏う。 ü ⾦融サービス仲介業について、⾃主規制機関の認定や事業者の登録審査等の施⾏を進める。 決済インフラの⾼度化・効率化や新たな⾦融サービスの育成 n 送⾦⼿段や証券商品等のデジタル化への対応のあり⽅等の検討 ü 我が国におけるデジタル送⾦⼿段の利⽤の進展や、証券商品のデジタル化・プラットフォーム構築等に関する検討にくわえ、グロー バルステーブルコインの取扱いも含めクロスボーダー送⾦の改善を⽬指した国際的な議論を踏まえ、⾦融庁に設置した研究会におい て具体的な検討を進める。 n CBDCの検討 ü ⽇本銀⾏において現在実施しているCBDCの基本機能に関する概念実証に続いて、2022年度中までに周辺機能に関する概念実証を⾏ うこととしており、財務省とも連携しつつ、引き続きこの検討に貢献していく。 デジタル化に対応した⾦融制度の検討
  2. 国 内 ミ ー ト アッ プ n 2019年10⽉以降、新型コロナウイルス感染症の影響により開催 を⾒合わせていたMeetup

    with FSAを完全オンラインで開催。 n フィンテックに関する施策や足もとのビジネス・技術の動向について、フィンテック企業等と金融庁職員の双 方向のコミュニケーションを行う場として、ミートアップ(Meetup with FSA)を開催している。Fintech協会等 の協力も得て、各回テーマを設定して2021年11月には第10回を開催。 n 新型コロナの中でもオンラインで取組みを継続している。 Meetup with FSA Online(2021年3⽉) n 2021年6⽉に監督指針等が公布された⾦融サービ ス仲介業をテーマに完全オンラインで開催。 Meetup with FSA Online(2021年6⽉) Meetup with FSA Online(2021年11⽉) n 公的個⼈認証をテーマに完全オンラインで開催。
  3. FIN/SUM 2021 “New Paradigm of Trust in Financial Services” [2021年3⽉16〜18⽇]

    セッション⼀覧 セッション1 ポストコロナで金融サービスとテクノロジーは 如何にあるべきか セッション2 デジタル上の「信頼」構築に向けたビルディング・ブロック セッション3 デジタル資産への変わりゆく信頼 セッション4 金融庁ブロックチェーン国際共同研究プロジェクト ‒ デジタルアイデンティティの活用可能性と課題 セッション5 APIエコノミーにおける金融の役割を再考する セッション6 BGIN ‒ 1年間の歩みの振り返りと今後の展望 特別座談会1 ユーザー起点の金融サービスとは何なのか? 特別座談会2 金融サービス新時代に向けた フィンテック・イノベーションの推進 n日本経済新聞社と共催で開催している日本最大級のフィンテックカンファレンス。2016年の第一回開催以 来、国内外の金融・大学・政府が金融政策の在り方やフィンテックの潜在力などについて活発に議論を 行っている。 n3日間に渡り、約80のセッション、200人以上の登壇者により、講演やパネル討論を行った。
  4. (計1,268件) 【法令解釈類型別】 【相談終了済案件の対応期間】 ü 開設(2015年12⽉14⽇)以来、2021年9⽉末までに、問合せ総数は1,498件。 ü 法令解釈に関する問合せ1,268件の内、開業規制(事業開始にあたっての許可・登録の要否)に関するものが約8割(1,015件)。 ⾏為規制に関するものは約2割(253件)。 ü 相談終了済案件(861件)の内、規制がかからないとの回答をしたものは約3割、回答期間は平均5営業⽇以内。

    平均5営業⽇以内 【相談終了済案件の内訳】 7 n フィンテックに関する事業を営んでいる、または、新たな事業を検討している事業者等からの開業規制の法 令解釈等に関する相談にワンストップで対応する窓⼝として、2015年12⽉14⽇、「FinTechサポートデス ク」を開設。 n 既存の法令に触れないこと等の法令解釈の明確化や、個別事案のガイダンスについて、平均5営業⽇以内に 対応。 n IT技術の進展が⾦融業に与える影響を前広に分析するとともに、⾦融イノベーションを促進。 TEL:03-3506-7080 (計861件) (計861件) F i n Tech サ ポート デ スク
  5. 8 F i n Tech 実 証実験 ハ ブ 申込者

    実証実験概要 支援決定 公表日 実験結果 公表日 1 みずほフィナンシャルグループ 三井住友フィナンシャルグループ 三菱UFJフィナンシャル・グループ デロイト トーマツ グループ 等 ブロックチェーン技術を用いて、顧客が、ある金融機関において行った本人確 認の結果を、他の金融機関との取引にも利用できる仕組みの構築に係る実証 実験 2017年 11月2日 2018年 7月17日 2 大日本印刷 西日本シティ銀行 顔認証技術を用いて本人確認を実施する機器の実用化に係る実証実験 2018年 3月16日 2018年 10月24日 3 FRONTEO、三菱UFJ銀行 りそな銀行、横浜銀行 SMBC日興証券 人工知能を用いた金融機関のコンプライアンス業務の効率化に向けた実証実 験 2018年 5月7日 2018年 8月1日 4 日本通信、群馬銀行 千葉銀行、徳島銀行 マネーフォワード、サイバートラスト スマートフォンのSIMカードを用いた利用者認証の仕組みに係る実証実験 2018年 5月31日 2019年 1月24日 5 TORANOTEC GMOペイメントゲートウェイ セブン銀行、ポケットチェンジ 買い物の際に生じたおつり等の小銭を投入することによって、そのまま投資に 回せる装置の導入に係る実証実験 2018年 11月8日 ― 6 みずほ銀行 グーグル・クラウド・ジャパン 野村総合研究所 大日本印刷 顧客の生体情報とスマートフォン等の位置情報を活用した、本人認証及び顧 客管理の高度化に係る実証実験 2020年 4月10日 ― 7 新生銀行 三井住友DSアセットマネジメント ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント アストマックス投信投資顧問 投資信託の目論見書に係る電子交付の高度化に向けた実証実験 2020年 5月29日 ― 8 三菱UFJ信託銀行 BHI 購買履歴情報を活用した情報銀行サービスの実施に向けた実証実験 2020年 8月27日 ―
  6. 2018年 仮想通貨(当時)の 流出事案 「デジタル・分散型⾦融への対応のあり⽅等に関する研究会」について ◦ 社会経済全体のデジタル化が進む中、ブロックチェーン技術の活⽤を含め、⾦融のデジタル化が加速。 ◦ こうした中、⺠間のイノベーションを促進しつつ、あわせて、利⽤者保護などを適切に確保する観点から、 送⾦⼿段や証券商品などのデジタル化への対応のあり⽅等を検討する。 コンテンツ・著作物

    証券 暗号資産 (仮想通貨) 送⾦ (デジタルマネー) 【2016年の制度整備】 ・交換業者に登録制を導⼊ 2008年 ブロックチェーン 技術とビットコインの登場 2019年 いわゆるグローバル・ ステーブル・コイン構想 【2019年の制度整備】 ・「仮想通貨」から「暗号資産」に変更 ・利⽤者資産の原則オフライン管理 ・資⾦調達を⾏う場合に証券規制を適⽤ 仮想通貨(当時)による資⾦調達 【関係者のねらい】 ・低コスト・迅速な送⾦ ・途上国の⾦融包摂 【指摘されている課題】 ・マネロン・テロ資⾦供与 対策 ・送⾦の安定・確実な履⾏ 【関係者のねらい】 ・ゲームコンテンツなどの 取引 【指摘されている課題】 ・実態としてマネロンなどに ⽤いられる懸念 【関係者のねらい】 ・低コスト・活発な取引 【指摘されている課題】 ・デジタル化に対応した 取引インフラ ・私法上の権利義務関係 【関係者のねらい】 ・株式など伝統的な資産に 代わる投資対象 【指摘されている課題】 ・マネロン・テロ資⾦供与 対策 ・なお続く価格の乱⾼下 中 銀 デ ジ タ ル 通 貨 ︵ C B D C ︶ 【2009年の制度整備】 ・資⾦移動業の創設 9
  7. 法定通貨と価値の連動を⽬指すステーブルコイン(注)の種別分けと既存のデジタルマネーの関係 「発⾏者」と 「移転・管理を⾏う者」の分離 ① 発⾏、償還等 ② 移転 ③ 管理、取引の ための顧客接点

    送⾦・決済サービス 提供者の機能 ➢ 現⾏制度は、以下の①〜③の機能 を同⼀の者が果たすことを前提。 ➢ 分散台帳の活⽤等により、 複数主体が台帳を共有し、①〜③ の機能を分離することが容易に。 「発⾏者」及び「仲介者」に求められる規律 【デジタルマネー類似型】法定通貨の価値と連動した価格(例︓1コイン=1円) で発⾏され、発⾏価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの) アルゴリズムで価値の安定を試みるもの等(上記以外) ⑴ 発⾏者 ➢ 銀⾏業免許⼜は資⾦移動業登録が必要。 (発⾏者に対する利⽤者の償還請求権を明確に確保) ⑵ 仲介者 ➢ 利⽤者保護やマネロン対応等の観点から、取引実態等が類似する暗号資産交換業 の規制を参考に、所要の規制を導⼊する必要がある。 ⑶ 発⾏者と仲介者の関係等に関する規律 ➢ 発⾏者と仲介者の適切な連携や、責任関係の明確化等。 発⾏者 右記⑴ 仲介者 右記⑵ 暗号資産や⾦融商品として規律され得る デジタルマネー(送⾦・決済の⼿段) として規律される 10 ステーブルコイン等に対する制度的対応の論点 1 2 上記の については、下記のような対応が考えられる 1 (注)明確な定義は存在しないが、⼀般的には、特定の資産と関連して価値の安定を⽬的とするデジタルアセットで分散台帳技術等を⽤いているものをいう。
  8. 11 グ ロ ー バ ル な視 点: 分 散型

    ⾦ 融 シ ステ ム の ガ バ ナンス構築に向けた取組み n 各国当局も参加した「ブロックチェーン・ラウンドテーブル」等においてアカデミアやエンジニアとの議論を積み重ね、 G20⼤阪宣⾔での国際合意を経て、「Blockchain Governance Initiative Network (BGIN)」の設⽴に貢献。 n 「Blockchain Global Governance Conference (BG2C)」や「BGIN第1・2回全体会合」において、世界中から参加した 多様なステークホルダーと分散型⾦融システムにおける諸課題を議論。 2019年6⽉ G20財務⼤⾂・中央銀⾏総裁会議 ・⾸脳会合(福岡・⼤阪) • マルチステークホルダー・ガ バナンスの論点や設計を議論 2019年9⽉ FIN/SUM2019(東京) 2019年3⽉ 第3回ブロックチェーン ラウンドテーブル(東京) • マルチステークホルダー・ガバナンスの必要 性について議論 (出典:Goodway) 「G20技術⾰新にかかるハイレベルセミナー」 村井 純* (教授, 慶応義塾⼤学), Adam Back (CEO, Blockstream), Brad Carr (Senior Director, Digital Finance, International Institute of Finance), Klaas Knot (President, De Nederlandsche Bank, and Vice Chair, FSB), 松 尾 真 ⼀ 郎 (Research Professor, Georgetown University) (出典:⽇本経済新聞社) 2020年3⽉ Blockchain Global Governance Conference[BG2C](東京) 特別オンラインパネル討論 ➡BGIN設⽴ (出典:⽇本経済新聞社) 2018年6⽉〜 ⽶ジョージタウン ⼤への職員派遣 2020年8⽉ BG2C、FIN/SUM BB(東京) (出典:GoodWay) • BGINの⽬的やロード マップ等に関する共 同議⻑間対談 2020年11⽉/2021年3⽉ BGIN第1・2回全体会合 (ムンバイ/パリ) • AML/CFTとプライバシーの 両⽴等の重要課題に関する オープンディスカッション
  9. BGIN[Blockchain Governance Initiative Network] 12 § 2020年3⽉に設⽴したグローバル・ネットワーク。 § ブロックチェーンコミュニティの持続的な発展のため、すべてのステークホルダーの共通理解の醸成や直⾯する課題解決に 向けた協⼒を⾏うためのオープンかつ中⽴的な場を提供することを⽬的とする

    § 2019年のG20⼤阪⾸脳宣⾔とも整合的な取組みであり、⾦融庁からも初期メンバー(Initial Contributors)として2名が参加 h t t p s : / / b g i n - g l o b a l . o r g l オープンかつグローバルで中⽴的なマルチステークホルダー間の対話形成 l 各ステークホルダーの多様な視点を踏まえた共通な⾔語と理解の醸成 l オープンソース型のアプローチに基づいた信頼できる⽂書とコードの不断の策定を通じた学術的基盤の構築 当⾯の活動⽬標
  10. 難しい関係… オープンソース エンジニア ビジネス 消費者 規制当局 共通⾔語がない 規制だけで対処できない 過剰な規制 お互い知らない

    進化のスピード が速すぎる 規制を 避けたい 技術が⼗分発展 する前にどんど んビジネスが利 ⽤する 透明性の⽋如 規制ゴールを達成する必要 イノベーションの促進 よりよい技術の開発 社会変⾰ より⾃由に 利益の確保 レピュテーション維持 社会的責任 より良いサービス プライバシーの確保 13
  11. 将来のブロックチェーンエコシステム(の理想像) Open Source Style Engineers Businesses Consumers Regulators イノベーションを阻害する ことなく規制⽬標の達成

    Better society より良い技術提供 ⾃由な開発環境 Better society 規模・利潤確保 レピュテーション形成 Better society 安全でより良いサービスの希求 Better society Rule of Law Code as Law Market Norm Healthy Governance 14