Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
【地域おこし勉強会 第3回】ソフトなソフトウェアを作る【2023_10_25】
Search
hirotask
October 20, 2023
0
21
【地域おこし勉強会 第3回】ソフトなソフトウェアを作る【2023_10_25】
hirotask
October 20, 2023
Tweet
Share
More Decks by hirotask
See All by hirotask
【備忘録】ニューラルネットワークとはなにか
hirotask
0
17
【地域おこし勉強会】仮想化技術入門
hirotask
0
40
【地域おこし勉強会 第2回】Git勉強会【2023/10/18】
hirotask
0
30
【Tech Community LuMo】第1回 バックエンド勉強会
hirotask
0
24
【2023/04/28 東北Tech道場】東北Tech道場に入ったら いつの間にかAndroiderになっていた話
hirotask
0
70
エンジニアもパワポを使って アウトプットしたほうが良い
hirotask
0
120
Featured
See All Featured
Evolution of real-time – Irina Nazarova, EuRuKo, 2024
irinanazarova
4
290
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
226
22k
5 minutes of I Can Smell Your CMS
philhawksworth
202
19k
Creating an realtime collaboration tool: Agile Flush - .NET Oxford
marcduiker
25
1.8k
The Pragmatic Product Professional
lauravandoore
31
6.3k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
107
49k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
459
33k
Why You Should Never Use an ORM
jnunemaker
PRO
53
9k
How GitHub (no longer) Works
holman
311
140k
RailsConf & Balkan Ruby 2019: The Past, Present, and Future of Rails at GitHub
eileencodes
131
33k
Agile that works and the tools we love
rasmusluckow
327
21k
Rails Girls Zürich Keynote
gr2m
93
13k
Transcript
ソフトなソフトウェアを作る 波紫寛斗(はし)
本勉強会のゴール • ソフトウェアにおける2つの価値を学ぶ • ソフトなソフトウェアを作るためのソフトウェアアーキテクチャの原則を学ぶ
ベースにする本 『Clean Architecture - 達人に学ぶソフトウェアの 構造と設計』 著: Robert C. Martin
目次 1. 設計とアーキテクチャ 2. ソフトウェアにおける2つの価値 3. 構造を実現するソフトウェアアーキテクチャ
システム設計とアーキテクチャ
システム設計とアーキテクチャ • システム設計=アーキテクチャ • アーキテクチャの目的 ◦ システムを適切に動作させること ◦ システムのライフサイクル(理解→開発→デプロイ→保守・運用)のコストを最小 限に抑える
◦ システムを安定して継続させる • しかし、この目的は大抵満たされない ◦ →なぜか?
なぜ我々はアーキテクチャの目的を満たせないのか • 「あとで設計を綺麗にすればいい」という思考 ◦ 市場(顧客、ユーザー)からの要望は絶え間ない ◦ そのため、新機能の開発に追われてきれいにすることができない • アーキテクチャが綺麗でなくても売上は上がる ◦
「ちゃんと動く」ことを満たせていれば顧客はひとまず OKを出す • 人と時間をかければ綺麗なプログラムでなくても改修可能(ある程度) ◦ しかし、生産性はどんどん落ちていく 負のスパイラルへ
アーキテクチャを正さないことによる負のスパイラル 売上が上がる 新たな要望 生産性の低下 時間と人を かけて開発
アーキテクチャを正さないことによる負のスパイラル • 売上を求めすぎて、アーキテクチャを正さないと負のスパイラルへ • アーキテクチャを正すのを優先しすぎると売上が上がらない • どちらを優先すべきなのか? ◦ →ソフトウェアにおける2つの価値を理解した上で決定する
ソフトウェアにおける2つの価値
ソフトウェアにおける2つの価値 • すべてのシステムは、ステークホルダーに「振る舞い」と「構造」を提供 • プログラマはマシンに「振る舞い」を与え、マシンが要件を満たしてなければそれを 修正する • プログラマはマシンにどのように振る舞いを実装するか、といった「構造」を考えるこ とも行う どちらが重要な価値か?
2つの価値のどちらが重要か • 「システムは動作することが重要である」→(筆者曰く)これは間違い! • なぜか?→以下の2つの例をもとに考える ◦ 完璧に動作、変更できないプログラム。要件が変更されると機能しなくなるため、い ずれ役に立たなくなる ◦ 動作しないが、変更が簡単なプログラム。要件が変更されても修正は可能なので、
引き続き役に立つ • 実際は変更できないプログラムはないが、変更コストがメリットを上回っており事 実上できないものは存在する 重要なのは「構造」である
「振る舞い」は 重要ではないのか?
重要ではない しかし、 緊急ではある
緊急と重要は違う • 「振る舞い」は緊急だが、常に重要とは限らない→優先度1 or 3 • 「構造」は重要だが、常に緊急とは限らない→優先度 2 or 4
構造を実現する ソフトウェアアーキテクチャ
ソフトウェアアーキテクチャとは? • 2つの価値のうち「構造」を実現するもの ◦ 決して神秘的なものではない • アーキテクチャの目的(2回目) ◦ システムを適切に動作させること ◦
システムのライフサイクル(理解→開発→デプロイ→保守・運用)のコストを最小 限に抑える ◦ システムを安定して継続させる • どのようにすれば、この目的が実現できるのか? ◦ →選択肢を残しておく。 ◦ 詳細非依存 ◦ 独立化
詳細非依存 • 詳細を早期に決定してしまい、詳細と密結合している状態であると何が起こるの か? ◦ 依存先の詳細(デバイス・DB・UI等)の変更があったときに改修コストが大きく なってしまう ◦ システムが安定しない、システムのライフサイクルのコストが高くなる •
そのため、はじめから1つの詳細の選択肢のみにこだわったアーキテクチャならば ソフトにはならない(=簡単には変更できない) • しかし、チームの規模が小さく強固な構造を望んでいないプロジェクトではアーキテ クチャの構造が逆に障害となる ◦ →緊急・重要の話と強く関連
各ライフサイクルの要素の独立化 • 独立な開発 ◦ コンポーネントを明確に切り離す ◦ もしユースケースが切り離されていれば、異なるユースケース間のビジネスロ ジックの実装で互いが邪魔になる可能性が低い • 独立なデプロイ
◦ もしユースケースやコンポーネントが切り離されていれば、稼働するシステム で変更したい要素をホットスワップ(=稼働させたまま置き換える)することも可 能 ◦ 新しいユースケースを追加するときは、その他の部分はそのままで新しいjar ファイル等を追加するだけになる • 独立な保守・運用 ◦ それぞれ異なるサーバーに配置して繋げる(e.g. マイクロサービス等)
どのレベルで独立化するのが良いのか • 単に「独立化」といっても、以下のように複数の独立化のレベルがある ◦ 開発レベル:あるモジュールの変更が他のモジュールの変更や再コンパイル に繋がらないようにする ◦ デプロイレベル:あるモジュールのデプロイが、他のモジュールの再ビルド・デ プロイに繋がらないように、デプロイ可能な単位(=コンポーネント)の依存性 を管理する
◦ 実行単位(サービス)レベル:依存性をデータ構造のレベルまで下げ、ネット ワークパケットだけで通信をする ◦ etc… • これに対し明確な正解はない • 時間とともに変化する可能性がある
勉強会のまとめ • 緊急と重要は違う • 重要な価値を実現するもの→ソフトウェアアーキテクチャ • ソフトウェアアーキテクチャの目的 ◦ システムを適切に動作させる ◦
システムのライフサイクルのコストを最小限に抑える ◦ システムを安定的に継続させる • ソフトウェアアーキテクチャの目的実現のために必要なこと ◦ 詳細非依存 ◦ 独立化
優れたアーキテクチャは 選択肢を常に多く残しておくも のである 「Clean Architecture - 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計」 Robert C. Martin
ソフトなソフトウェアを作る 波紫寛斗(はし)