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IIJmio meeting 33 無線通信の世界~第一弾:無線通信とは?~

IIJ_techlog
September 17, 2022

IIJmio meeting 33 無線通信の世界~第一弾:無線通信とは?~

IIJmio meeting 33
無線通信の世界~第一弾:無線通信とは?~
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September 17, 2022
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  1. 4 通信と無線通信 通信とは情報を伝送する事 • 情報を相手に確実に伝えるようにする技術 = 通信技術 • 情報を伝えたい状況に応じて技術を変化させ様々な通信技術が開発されました 糸電話

    半鐘 のろし 無線通信とは? 音(空気の震え)を糸に伝えて、音を伝える 大きな音(空気の震え)を、遠くの人へ伝える 煙を用いて、視覚で情報を伝える 有線通信 無線通信 無線通信
  2. 5 無線通信の課題 無線通信において、課題や要求が生まれてきました • 環境ノイズ :周りがうるさい、暗い(闇)、障害物の陰、雨 • 混信/盗聴 :特定の相手にだけ伝送したい •

    新たな要求 :もっと遠くへ、もっと正確に情報を伝えたい うるさいなぁ!! 半鐘 大きな音(空気の震え)を、遠くの人へ伝える 空気、環境ノイズに課題 暗くて見えない のろし 煙を用いて、視覚で情報を伝える 光、障害物や環境ノイズに課題 無線通信とは?
  3. 8 無線通信の歴史と今回の説明の背景 1897年 無線に音声を乗せることに成功 1914年 第一次世界大戦では無線通信システムが軍事技術として普及 しかし、当時は大きな無線機が必要で、限られた人しか利用できませんでした グリエルモ・マルコーニ氏 Wikipedia アマチュア無線の歴史より引用

    1820(文政 3) ・アンペール、アンペールの法則を発見 1833(天保 4) ・ガウス、ウエーバ(独)、最初の電磁的電信機製作 1837(天保 8) ・モールス(米)、符号式電信機を発明 ・クックとホイートストン(英)、5針式電信機を発明 1864(元治 1) ・マクスウエル(英)、電磁界理論を発表し、電磁波の存在を予言 1886(明治19) ・志田林三郎、隅田川で誘電式無線電信を実験 1887(明治20) ・ヘルツ(独)、電磁波の存在を実証 1890(明治23) ・ブランリー(仏)、コヒーラ現象を発見 1891(明治24) ・逓信省電気試験所設立 1895(明治28) ・マルコーニ(伊)、無線電信を発明 1897(明治30) ・逓信省電気試験所の松代松之助、無線電信機開発に成功 ・ブラウン(独)、陰極線管(ブラウン管)を発明 1900(明治33) ・フエツセンデン(米)、無線電話実験成功 1901(明治34) ・マルコーニ、大西洋横断無線電信実験に成功 電波博物館 から引用 https://www.cleandenpa.net/museum/ AM無線機通話システムと変調
  4. 9 無線機と変調 今回はこの無線機を紐解いてどのように無線通信ができるのか説明します • 構成部品が変わっても今の携帯電話と基本的な仕組みは同じ 無線通信部分について説明するため、AM無線通話システムを例にご紹介いたします • 音による空気の振動を電波に変えて送るシステムと受信した電波を音に逆変換するもの • “AM”とは“Amplitude

    Modulation"の頭文字を取り日本語では「振幅変調」といいます ここでは、電波がなぜ空間を伝わっていくか?の前に、変調の必要についてご紹介します 電波を用いて通信するには専用の機械として、無線機が必要 AM無線機通話システムと変調
  5. 10 AM無線通話システムについて 音声を電気信号に乗せた波と、信号発生器の波を変調器 で混合し搬送波に乗せます(下図) • 信号発生器:一定周期で一定電圧を出力し搬送波を作る • 変調器:マイクと信号発生器の波をあわせる mio! 電

    圧 時間 マイクの信号 × 電 圧 時間 搬送波 すごく早く振動 = 電 圧 時間 変調後の信号 拡大 拡大 マイク 変調器 増幅器 送信器 AM無線機通話システム 送信側の構成 連続的な波形を変調することをアナログ変調と呼びます • アナログ:情報を連続的な量として扱うこと • 変調が電波を用いて通信する際に非常に重要な要素の一つ マイク 変調器 信号発生器 信号発生器 AM無線機通話システムと変調 参考:AM変調計算式 入力:m(t) 出力:s(t) s(t)=(1+m(t)) x c(t) c(t)=Acos(2πft+ φ) 搬送波
  6. 14 電波が空間に出るには電荷というものが関わってきます • 電荷:プラスとマイナスの値を持つ粒子。動くことで電流が流れる • 電荷が動くことでそれまで静かだった空間に変化をもたらす • アンテナの上で電荷が移動 (変位電流が発生)することで周囲に磁界が発生 •

    電流に対して90度の角度で回転する力(磁界)が生まれる • 発生した磁界に対して、さらに電磁誘導が発生して電界が生まれる • この連鎖は理論上は果てしなく続いていくとされています • 電荷の移動で磁界と電界が交互に生じる波を合わせて電磁波と呼ぶ • 一般的には電磁波を電波(電磁界の波)と呼びます 電荷と電磁波 Wikipediaダイポールアンテナより引用 電波がなぜ空間を伝わっていくのか この電波の性質を表すために周波数というものがあります 電流 磁界 アンペアの右ねじの法則
  7. 15 電磁波の性質を表す式 振幅と波長と周波数は次のように定義されています • 振 幅:波の1周期間での最大変位量の絶対値 • 波 長:波の1周期(山と谷)の長さ •

    周波数:1秒間で繰返される波の周期の回数 • 周波数と波長は相互に変換可能 • 1/2波長の長さのアンテナから効率的な電波発射が できる • この長さなら電荷がアンテナの上で最も激しく動く 電 圧 時間 波長 λ 1秒 0秒 1秒間に繰返される周期の数=周波数 振幅 電波が空間を伝わる性質に周波数が大きな影響を与えます 電波がなぜ空間を伝わっていくのか
  8. 16 空間中の電波と減衰 減衰:電波の空間中での振る舞いとして電波の強さが弱まる現象 • 電波が減衰する要因 • 空間の状態 :雨、建物、金属物などにぶつかり減衰 • 電波の特性

    :受信器までの距離の2乗に比例して減衰 • 周波数特性 :周波数の2乗に比例して減衰 • 特に周波数による特徴はアンテナ設計にも影響 • 低周波より高周波が非常に減衰しやすい • 波長の関係から低周波のほうがアンテナが長く大きくなる 800MHz 2.1GHz 28GHz 約360m 約27m 約950m 約-90dBm で受信できる距離は… 電波がなぜ空間を伝わっていくのか 特定の周波数の電波を効率よく集めるため、共振という現象を使います
  9. 17 共振現象 共振現象:同じ共振周波数の音叉を並べて片方を叩くと、叩いていない側も振動します • 同じ波である電波を選択的に受信するためにも共振現象を利用 電波の場合、アンテナの共振周波数を調整する 1) アンテナの長さを調整(物理的な限界あり) 2) 電気回路として調整

    共振周波数をあわせる回路を同調回路と呼ぶ • ラジオの選局で「バリコン」を調整しているのが同調 搬送波に対し共振する周波数に調整することで、特定周波数の電波を効率的に拾うことが可能 • 受信機では受信した電波を送信と逆の流れで音声に変換 電波がなぜ空間を伝わっていくのか
  10. 18 4つのキーワードでふりかえりましょう 電波がなぜ空間を伝わっていくのか 電荷 共振現象 周波数 減衰 • 電波は光と同じ仲間(電磁波)です。光と同じく真空中でも伝搬します。 •

    電波(電荷が移動することで発生する波)は、電界と磁界の時間的な変化(周波数で表される) が波として伝わるため、光同様周波数による様々な特性を有します。 • また空間に多くの電波が飛び交っていても、共振現象という自然現象を用いて特定周波数の 電波を効率よく集める事で、選択的に情報を伝えることができます。この時、その状態やそ の特性により減衰(弱くなる)しますが、受信後に増幅する事で解消します。 • 音は真空状態や宇宙空間では伝えることができません。空気の波であり、空気がない環境では波が起き ないためです。 • 光は直進性が高く高速ですが、障害物があると情報を伝えることができません。ただ、障害物さえ無け れば星がきらめくように数万光年と言った長距離であっても届きます。 電波がなぜ空間を伝わっていくのか
  11. 19 電波の発見と通信への応用:今回の紹介を経て • 音や光より環境に影響されにくい • さらに遠くへ、正確に届けることが可能に • 電波の特性を使用することで、確実に通信ができる 情報を、電波で正確に伝える 無線通信

    電波がなぜ空間を伝わっていくのか 電波を使った無線通信って、めっちゃ便利ですよね! ▷ 光とは異なる性質を持ち、暗闇や障害物など環境ノイズの影響を受けにくい ▷ 光と同じ仲間であるが、反射や回折など様々な特性で届きやすい ▷ 共振現象を用いて特定周波数の電波を集める事で、選択的に情報を伝えることができる
  12. 22 携帯電話へとつながっていく 無線機やトランシーバー(片方向通信)から携帯電話に成るためには → 双方向で通信するための複信方式の検討が必要 → 基地局(中間ポイント)が必要 1) 端末の上り周波数と下り周波数を同じにできる 2)

    基地局が無いと、AB間で通信する為に、Aの上り周波数はBの下り周波数 Aの下りはBの上りになってしまう → 普及機が作れない 通信方式の変化と次の世代に求められたこと A B
  13. 23 4つのキーワードをつかって、 なぜ空間を伝わるのか ここに簡潔に書きたい 携帯電話の技術に触れてみる 携帯電話:片方向通信ではなく、双方向通信が必要 TDD(時分割) 1種類の搬送波周波数を使用し、送受信の時間を ズラして通信する方法 このような通信を半二重といいます

    トランシーバーは、送信終了時に他へトークンを渡し 同時に送信することを防ぐと言うルールがある FDD(周波数分割) 2種類の異なった搬送波周波数を使用し、各システム 毎に搬送波周波数を変える方法 このような通信を全二重といいます 上りと下りに別な搬送周波数を使います 4つのキーワードをつかって、 なぜ空間を伝わるのか ここに簡潔に書きたい 通信方式の変化と次の世代に求められたこと 偶数分 送信 奇数分 送信 周波数A 周波数B
  14. 24 無線通信への要求 無線通信は有用な技術のため、様々な要求が生まれました • 双方向通信 :トランシーバーから電話へ。複信方式の開発 • テキスト(デジタルデータ)の効率的な通信 :変調方式の変化 •

    多重化 :多くの人が利用できる、周波数の効率的利用 • 小型化 :省電力やバッテリーなど多くの付帯技術の発明・進化 アナログ無線電話システムはデジタルデータの伝送には不向き • アナログだと伝送速度に限界が…遅い(約300bps※程度の速度) ※カンサスシティスタンダードで記録したオーディオテープの読み出し速度が300bps程度です デジタルデータ伝送では より混信を避ける工夫が必要 • 音声は混信した場合、かろうじて人間が聞き分けることが可能 • デジタル情報が混信した場合、送った”0/1”の組合せが変わってしまうため意味が変わる デジタルデータの伝送効率向上と電波の利用効率向上という要求に応えるため 携帯電話は1G、2G、3G、4Gそして5Gへと進化していきます 通信方式の変化と次の世代に求められたこと
  15. 25 Voice + TEXT Voice Voice + TEXT + Picture

    + Video Voice TEXT Picture Video Stream Online Game etc. 無線通信と携帯電話の進化 変調方式の進化は携帯電話の進歩とも言える • 初期無線電話~携帯電話第1世代ではアナログ変調です • これは音声を伝えることが当時の無線電話の役割だったからです そして無線電話を多くの人が使える社会ニーズが生まれました • 「特定の組織しか使わない」から「一般に普及する」必要性があります • 「大型無線設備」から「誰でも持ち運びできる端末」必要性があります そこで第1世代携帯電話システムが誕生しました • 小型で大勢の人が通信できる要件を満たせる技術が生まれました 携帯電話についてはdocomo様のサイトより借用 トランシーバーはhttps://ja.wikipedia.org/wiki/SCR-536より借用 AM/FM FM BPSK QPSK/16QAM 64QAM/256QAM Voice 通信方式の変化と次の世代に求められたこと
  16. 26 第1世代携帯電話 第1世代携帯電話で多くの携帯電話基礎技術が実装 • 使用する周波数と地域を分割した小ゾーン方式 • 基地局同士でのハンドオーバー機能 • 電波帯域を有効に使うマルチチャネルアクセス無線 これらの技術が登場し、いよいよ私達に近い携帯電話が登場してきます

    • 次回はいよいよ第1世代携帯電話の世界に突入します https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd111110.html 総務省 通信白書令和2年より引用 通信方式の変化と次の世代に求められたこと https://nendai-ryuukou.com/keitai/ 年代流行より引用
  17. 28 参考文献・参考サイト 参考文献 絵でわかる電磁気学 | 橋本 正弘 基礎通信工学|福田明 RFワールドNo.09 今さらきけない電波伝搬のABC

    参考サイト 総務省 通信白書令和2年より引用 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd111110.html 情報通信学会 小形情報端末を作り出したエレクトロニクス より引用 https://app.journal.ieice.org/trial/100_9/k100_9_896/index.html Wikipediaアマチュア無線の歴史より引用 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A2%E7%84%A1%E7%B7%9A%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2 電波博物館 資料編:電波の歴史 から引用 https://www.cleandenpa.net/museum/gaku/g02.html Wikipediaダイポールアンテナより引用 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%8A Wikipedia SCR-536より引用 https://ja.wikipedia.org/wiki/SCR-536 年代流行 より引用 https://nendai-ryuukou.com/keitai/ イラスト いらすとや より https://www.irasutoya.com/