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Yasunobu Kawaguchi
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July 11, 2026
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Transcript
スクラムフェス仙台2026 教室を"学習する組織"にする コミュニティが設計した、アジャイルPBL授業 1
今日の登壇者 全員の共通点:スクラムフェス三河 実行委員 SPEAKER 01 obama 株式会社MSOL Digital アシスタントマネージャ アジャイルコーチ
SPEAKER 03 hirono 自動車部品メーカー ソフトウェアエンジニア ⇒EM。元々はハードウェ アエンジニア SPEAKER 04 kawaguti YesNoBut, inc. 代表取締役社長 一般社団法人スクラムギャ ザリング東京実行委員会 2 SPEAKER 02 kitagawa インターネットイニシアティブ テクニカルマネージャ 元 地図エンジニア
豊橋技術科学大学でのアジャイルPBL 3 開発準備 3W(9h) • チーム分け • Git、開発環境構築 • プロダクト決め
スプリント1 3W(9h) • 開発 2回 • ユーザーレビュー リプランニング 1W(3h) • コンセプト見直し • チームに足りないことを補う スプリント2、3 3W(9h)×2 • 開発 2回 • ユーザーレビュー 振り返り 2W(6h) • 全体振り返り • 社会人に聞いてみよう 修士1年向け 必修科目「高度専門人材育成訓練演習」 100名超・22チームが対象 2025年10月〜2月の毎週月曜14:40〜17:50に、計15回の授業
豊橋技科大 情報・知能工学系 大村 廉 准教授 秋葉 友良 教授 福村 直博
教授 • 大学教育としてのFB • 学内調整、環境整備 • 先生チームとして参加 4 スクラムフェス三河実行委員 • 授業内容の設計・運営・改善 • 授業でのコーチング • レポートFB 授業体制 大学とコミュニティの協働で、必修授業としてのアジャイルPBLが成立した 提案 FB 学生 22チーム 授業設計・支援・フィードバック 実践・レポート・反応
アジェンダ 1 背景 — コミュニティ × 大学で挑むアジャイルPBL 2 仕掛け —
授業のゴールは「クラス全体の成功」 3 学習ループ — デイリーレポートとモブ・フィードバック 4 リアルな課題 — 成功の裏側にあったコーチ陣の葛藤 5
• SECTION 01 背景 コミュニティ × 大学で挑むアジャイルPBL 6
大学と企業のギャップ 大学の学び • 個人での取り組み • 知識・理論の習得 • 「正しさ」 企業の現場 •
チーム開発 • 不確実性への適応 • 「良いふるまい」 豊橋技科大のPBLをやるなら、実務者の私たちに何ができるだろう? 7
解決策:アジャイルコミュニティが授業設計から評価まで • 授業設計のポイント ◦ 単なる技術習得やスクラムの型を覚える場ではなく、我々が こうありたいと思う「チームのふるまい」を実践する場とする ◦ 可能な限り、企業で私たちが取り組んでいる仕組みを取り入れる 変化に適応し、100名超・22チームでもアジャイルPBLが何とかなった 8
• SECTION 02 仕掛け 授業のゴールは「クラス全体の成功」 9
競争ではなく「連携」 • 複数チームのPBLは、放っておくとチーム対抗戦になりがち ◦ 自分のチームのプロダクトがよければそれでいい、にはしたくない • 一方、企業では… ◦ さまざまな役割を持ったチームを組成 ◦
組織全体のビジョン達成に向けて、チームは連携しながら活動 ◦ チームが成果を出してもサイロ化していれば、組織として機能しない 授業のゴールを「クラス全体の成功」とした 10
ルーブリックで行動変容を促す • ルーブリックとは ◦ 学習成果を評価するための、評価指標と評価基準をまとめた規則のこと • 評価ルーブリック ◦ 「他チームやクラス全体への貢献」を明記 ▪
Lv1を単位認定の必須条件とした ▪ Lv3〜4は企業の即戦力レベル ◦ 評価したいことは「良いふるまい」 ▪ できる人は他の人を助ける ▪ そうでもない人は質問することで、コミュニケーションを駆動する 単位の条件 ルーブリックを読めば「良いふるまい」を学べる 11
ルーブリックの全体像|3つの評価と観点 「誰が何を評価するか」で3種類。各観点はさらに複数の項目に分かれて評価。 コア要素 コーチがチームを評価・6観点 付帯要素 自身で自身を評価・5観点 プロダクトレビュー コーチがレビューを評価・3観点 • 他チーム/クラス全体への貢献
• チーム活動への参加 • 価値創造と品質 • 学習と改善 • 開発作業 • デプロイメントとパイプライン • 相互作用と理解 • スクラム実践 • 自己評価と内省 • プログラミング実践 • AI活用力 • プロダクト価値 • プレゼンテーション • フィードバック対応 ※プロダクト自体ではなく「レビ ュー」を評価。良いフィードバッ クを引き出せているか 12 3つの評価と観点から、企業が求める人材像を知ってもらう
レベルの考え方|L1 (土台) からL4 (エース級) へ 企業が「良いふるまい」として求める人材像を4段階で表現。ALL L4は、企業にとってSSR級人材 L1 参加 L2
協力 L3 貢献 L4 促進 用語ややり方を知って いて、チームの活動に 参加できる。全員が満 たしてほしい土台。 ★まずはここを目指す やることを自分事とし て捉え、仲間と協力し ながら実際に手を動か して進められる。 自分の担当を超え、周 囲を巻き込んでチーム 全体の成果を引き上げ る。 ★即戦力・シゴデキ 自ら課題を見つけ、他 チームや現場全体まで 動かす。 ★ 即戦力・エース級 企業に入ってからも、見て学べる・活用してもらえる 13
コア要素1|他チーム・クラス全体への貢献 Lv1 を単位認定の必須条件とすることで、他チームと関わるように設計 14
コア要素2|チーム活動への参加 15 モブと質問することが、チームへの貢献であることを学ぶ
コア要素3|価値創造と品質 16 ユーザー価値と価値の維持・向上を支える品質を学ぶ
コア要素4|学習と改善 17 知識共有・失敗からの学び・ふりかえりで改善のサイクル学ぶ
コア要素5|開発作業 18 コミット管理・ブランチ戦略で企業で必要なGit開発の基本動作を学ぶ
コア要素6|デプロイメントとパイプライン 19 リリース・テスト自動化・CI/CDで「安全に届ける」仕方を学ぶ
付帯要素|相互作用と理解(自己評価の例) 20 対話・視点理解・心理的安全性から他者との向き合い方を学ぶ
プロダクトレビュー|プロダクト価値(他者評価の例) 21 よいフィードバックを得られる状態や進め方を学ぶ
企業を再現するならモノレポ • PBLだとチームごとにリポジトリを分けがち • 一方、企業では… ◦ リポジトリ1つなのでコンフリクトが起きる ◦ だからマージ戦略や CI/CD
を考えなければならない ◦ デモ直前にpushして、本番サーバー落とすなんてもってのほか! チーム間でコミュニケーションを取らないとうまくいかない仕掛け 22
少しずつ育まれた「助け合いの文化」 ファーストペンギン現る 「静的画像の挿入方法を知 っている方はいませんかー !?」 障害報告で再発防止 レビューで本番環境を落と したチームが、障害報告を Google Classroomに投稿。
再発防止に取り組んだ Tips集をMiroに作成 クラス全員が簡単にアクセ スできる場所で、知見を共 有。 情報の交流が生まれた。 「わからないことを隠す」から「知見を全体で共有」へ行動変容 23
• SECTION 03 学習ループのエンジン デイリーレポートとモブ・フィードバック 24
学習ループのエンジンは「デイリーレポート」 • デイリーレポート ◦ 書いてもらうのは個人報告ではなく、チームの問題解決を言語化 ▪ 誰が何に困って、誰がどう動いたか ▪ 何を議論をして、どう結論を出したのか ◦
企業の「日報」や「timesチャンネル」と同じ ▪ マネージャーがフィードバックするように、コーチが実施する デイリーレポートはチームとコーチを繋ぐ非同期コミュニケーションツール 25
26 チーム活動記録 チーム名: チームterrace 10/20 活動メモ 参加者 • 北河 •
廣野 • 矢田 • 川口 今日のチーム目標 • 匿名くんプロダクトを動かす やったこと • 作成プロダクトを決めた • 作るものをカンバンに書いた • 作るものの優先順位を決めた • pbl-app-2025をローカルにclone • ブランチを作った ◦ チーム名がほしいという意見があったから入れた • アプリ開発にChatGPTを使う • ChatGPTが正しいか内容を確認 ◦ ChatGPTはチームテラスのことを認識していないので、AIに情報を教えた • AIの指示を受けてコードをpbl-app-2025に追加 • URLをつなぐところで、プロジェクト側とアプリ側の違いがわからなかったのでチームで 話した ◦ 全員で調べながら理解を深めた • urlpatternのコード追加でエラーがめちゃくちゃ出たが、yataさんが解決方法を知っていた たので心強かった • シングルクォートとダブルクォートが混在していたのでダブルクォートに統一した ◦ obamaさん、良く見つけてくれた! • GitHub Copilot の提案がすごい ◦ ダブルクォートへどんどん提案してくれる • AIのコードをコピペするのは良くないが、今回スピードが大切なのでコピペした
27 レポートに記載されている内容を達成目標に照らし合わせると • 知識共有 ◦ Lv1 : 調べて分かったことをチームに話せる。学んだ記事やツールを共有できる に当たると考えられます。この調子で頑張ってください。 ひとこと
• 時間内にディスプレイまで片付けていて、タイムマネジメントを意識した行動がで きましたね!えらい!(小浜) • しっかり会話ができていましたね!私のマインドがインストールできたようですね (北河)
モブ・フィードバック • 週2〜3回、業務後に、コーチ陣がモブでレ ポートを読み込む • 次の授業までに全チームへルーブリックに よる評価と一言コメントをフィードバック • (めちゃくちゃ頑張ったので褒めてほしい) フィードバックに有益な情報があることに、みんなが徐々に気づき始める
28
モブ・フィードバックを続けたことで・・・ • 作業を始める前に、フィードバックを読み 込むチームが現れる • ルーブリックを元にフィードバックが書 かれていることに気づき始める • ルーブリックを読み込み、1日のゴールを 立てて行動
• レポートのクオリティもガチ上がり ルーブリックを元に行動変容が起き、観測と適応のループを回し始める 29
コーチ陣へのフィードバックループでもあった • コーチ陣も観測して適応していた ◦ 授業で伝えたことへの反応がそのまま レポートに書かれる ◦ レポートの反応を見て、次の授業を工 夫する デイリーレポートを中心に「二重のフィードバックループ」が回っていた
30
コーチ陣へのフィードバックループでもあった • コーチ陣も観測して適応していた ◦ 授業で伝えたことへの反応がそのまま レポートに書かれる ◦ レポートの反応を見て、次の授業を工 夫する ◦
(頑張ったかいがあった!!!!!) デイリーレポートを中心に「二重のフィードバックループ」が回っていた 31
32 後日談 - 最後の授業から1ヶ月後 - • とあるチームのプロダクトがローンチ ◦ 構内の部屋を検索して場所を確認 ◦
ミニオープンキャンパスで、来校した 高専生や保護者の方々が実際に利用 • 「動くソフトウェア」とフィードバック ◦ アイデアを形にしたことで、先生方の 深層にある困りごとを引き出せた
• SECTION 04 リアルな課題とコーチ陣の葛藤 成功の仕掛けの裏側にあったもの 33
3つのリアルな課題 フィードバック、マジし んどい 22チームへの毎回のFBは想 像以上に高負荷。 情熱でカバーできたが、来 年度に向けて改善が必須 エコシステムの拡大 参画したコーチ陣は特定の 数名に依存。
コミュニティをどう巻き込 み仕組み化するかが次の課 題 評価軸の精緻化 一過性の行動は評価できる が、「継続」や「習慣化」 をどう評価するか。 ルーブリックのアップデー トが必要 今日この場にいる皆さんと、一緒に考えたい 34
THANK YOU ご清聴ありがとうございました! スクラムフェス三河でお会いしましょう! Scrum Fest Sendai 2026 Scrum Fest
Mikawa 2026 35