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AI研修(Day1)【MIXI 26新卒技術研修】

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AI研修(Day1)【MIXI 26新卒技術研修】

本スライドは、MIXIの2026年度新卒向け技術研修で使用された資料です。
 
MIXI 2026新卒技術研修
『AI研修(Day1)』
 
───────────────────────────────
※皆様へのお願い※ 資料・動画・リポジトリのご利用について
───────────────────────────────
公開している資料や動画は、是非、勉強会や社内の研修などにご自由にお使いいただければと思いますが、以下のような場でのご利用はご遠慮ください。
- 受講者から参加費や授業料など金銭を集めるような場での利用
(会場費や飲食費など勉強会の運営に必要な実費を集める場合は問題ありません)
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July 23, 2026

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Transcript

  1. 講師紹介:⽊内 貴浩 木内 貴浩 / きのうち たかひろ / kittchy 職種:MLエンジニア

    みてね事業本部 みてねプロダクト開発部 Data Engineeringグループ 学生時代 - 大学院で音声認識の研究でML技術に触れる インターンシップなどで音声処理のML技術の研究開発 経歴 - ©MIXI 2024年4月 MIXI 新卒入社 MLOps に関する業務を経験したくて、「家族アルバム みてね」の事業部にジョイン メディアの自然言語検索基盤やMLレコメンド検索基盤の構築・運用を行う 2
  2. 講師紹介:牧野 舜 牧野 舜 / まきの しゅん 職種:MLエンジニア 開発本部 たんぽぽ室

    AIモデリンググループ 学生時代 - 大学・大学院では理論物理の研究室に所属 超伝導体における量子渦の微視的理論に関する研究 経歴 - ©MIXI 企業で数理最適化、MLに関する研究開発に従事 2025年4月 MIXI 入社 事業の横断的な支援やスポーツ分析に関する研究開発に従事 3
  3. 講師紹介:⽥中 亮太朗 田中 亮太朗 / たなか りょうたろう 職種:MLエンジニア 開発本部 たんぽぽ室

    AIモデリンググループ 学生時代 - 大学・大学院でAIを使った読心術の研究 インターンシップなどで自然言語や画像のマルチモーダルモデルの開発 経歴 - ©MIXI 2025年4月 MIXI 新卒入社 モンストにてAIを用いた効率化ツールの開発を行う 4
  4. AI/ML/DeepLearningの分類 ⼈⼯知能 (Artificial Intelligence; AI) ⼈間のように「考える‧判断する」コンピュータの技術全般 例:チェスAI、⾳声アシスタント、⾃動運転など 機械学習 (Machine Learning;

    ML) データから⾃動で学習して予測‧判断する仕組み AIを実現する中核技術 深層学習 (Deep Learning) ⼤量のデータから複雑なパターンを学習できるML⼿法 画像認識、⾳声認識、⾃然⾔語処理で⾼精度を実現 ©MIXI 6
  5. この研修の前提 必要な前提知識 • Pythonの基本⽂法が分かればOK(数学の知識は不要) • 数式が出てきますが、直感的に理解できるレベルで説明します • ⼤学で習うような理論ではなく、実践‧エンジニアリング寄り で進めます 気軽に質問してください

    • 分からないことはその場で聞いてOK • 「そもそもこれ何?」レベルの質問も⼤歓迎 AI Coding Agentはバンバン使ってください • ©MIXI ハンズオンは AIに編集させやすい状態にしています ◦ marimo notebook を使って逐次実⾏していくのでもOK ◦ README.mdを読みながらClaude Codeに実⾏させるのでもOK 8
  6. 1⽇⽬‧2⽇⽬のゴール 1⽇⽬:ML基礎から運⽤まで • MLの基本構造(教師あり)を理解する • 推論‧学習‧⾼速化‧API化まで⼀度つなげて体験する • 評価‧運⽤の共通⾔語を⾝につける(metric、閾値、監視など) 2⽇⽬:LLM/Agent/⽣成AI •

    ⽣成AIの基礎を理解する(Transformer、Attention、LLMの構造など) • ⽣成AIを⽤いたLLM/Agentの実践を体験する • AI Agent の設計‧評価‧運⽤のサイクルを体験する ©MIXI 9
  7. アジェンダ 1. 機械学習(ML)基礎 2. MLモデルの推論 3. MLモデルの学習 4. MLモデルの評価 5.

    MLモデルの⾼速化 6. MLモデルのデプロイ‧運⽤ 7. まとめ ©MIXI 10
  8. ハンズオン環境に⼊ってみましょう。 GPUを⾃由に使うことができる Google Cloud Platformの環境を⽤意しました。 URL : https://github.com/mixigroup/2026BeginnerTrainingAI の記述に沿って環境に⼊ってみてください 準備ができたら

    • 今回の研修ではmarimo notebookを推奨します(⾃分でCLIで実⾏しても良いです) • marimoの特徴 • ◦ jupyter notebookのように直感的に⽀える ◦ テーブルデータの可視化がしやすい ◦ ***.py ファイルなので、AIに読ませやすい ⼀緒にmarimoの動作確認ハンズオンをやってみましょう https://github.com/mixigroup/2026BeginnerTrainingAI/tree/main/day1/00-intro-python-environment ©MIXI 12
  9. 機械学習とは 「過去のデータから知⾒を得て、それを次の決定に利⽤すること」 • 過去のデータ:過去の状態‧情報 ◦ • 数値, 画像, ⾳声, テキスト...

    知⾒:ブラックボックスな関数 f(x) ◦ 過去のデータには統計的なルールがあり、 それを表すf(x)を学習によりモデル化する • 決定:現在の状態 (x) から未来 (y) を予測する ◦ ©MIXI 学習した知⾒を元に、未来の結果を予測する 14
  10. 統計との違いは? 統計 機械学習 データからルールを得て、可視化して データからルールを得て、目的の 分析・説明する タスクの予測などに活かす ある意思決定の理由を説明するの 過去の統計情報をもとに、未知の が目的

    情報を予測し、精度を上げていくこ とが目的 明日の売上は ???円になりそう! データから知見を得るという部分は同じだし、基礎理論も同じ →良いデータサイエンティストは良いMLエンジニア ©MIXI 16
  11. 教師あり学習 教師データを用いて学習 画像 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり

    1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 0.82 0.03 0.14 0.01 ラベル付けされた教師データと モデルの出力の誤差(loss)を 最小化することを目指して学習 入力 ©MIXI モデル ー 誤差(loss) 教 師 デ タ 出力 19
  12. 教師あり学習 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 正解 1

    0 0 0 推論結果 0.82 0.03 0.14 0.01 誤差 0.18 0.03 0.14 0.01 入力 ©MIXI モデル 教 師 デ ー 誤差(loss) 画像 タ 出力 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 0.82 0.03 0.14 0.01 20
  13. 分類(Classification)と回帰(Regression) クラスラベルを予測するための分類 • 出力が離散値 True/False... 犬、猫、人... • データに与えられたクラス(カテゴリ) 丸い 白黒

    スイカくらい 予測 0.3 0.9 0.1 を予測する際に使用 例えば... モンストキャラの画像や特徴から そのキャラがなにかを予測 ©MIXI 21
  14. [Optional]教師なし学習:次元削減 構造が不明なラベル付けされてないデータを扱い データ内のパターンを見つける学習 中間表現:元データの重要な特徴だけを 残した圧縮表現 データ圧縮のための次元削減 抜き出す手法 防具 つの Decoder

    特性は保持しつつ、重要な情報だけ Encoder - 高次元のデータからノイズを取り除き 特徴量 やり 入力と同じデータを出力するように学習するため、自己教師あり学習とも呼ばれる 統計的分析手法のPCA(主成分分析)を用いて次元圧縮する方法もある ©MIXI 26
  15. [Optional]強化学習 試行錯誤で報酬を最大化する学習 • 正解ラベルが事前に与えられない点が教師あり学習と異なる • エージェント が 環境 の中で 行動

    し、報酬 を受け取りながら方策を学習 基本要素 状態(State):現在の環境の情報 エージェント 環境 観測 意思決定 意思決定 例:盤面の配置 行動 行動(Action):エージェントが取れる選択肢 例:駒を動かす 変化 学習 報酬 報酬(Reward):行動の結果得られるスコア 例:勝利 +1 / 敗北 -1 ©MIXI 28
  16. 学習と推論 学習(Training) • データから「⼊⼒→出⼒」のパターンを学習 するフェーズ • ⼤量のデータを使って学習することで 「モデル」を構築する 推論(Inference) •

    学習済みモデルに新しい⼊⼒を与えて予測を返すフェーズ • 学習済みモデルを使って予測を出すことを「推論」と呼ぶ ©MIXI 30
  17. 学習と推論 学習(Training) • データから「⼊⼒→出⼒」のパターンを学習 するフェーズ • ⼤量のデータを使って学習することで 「モデル」を構築する 推論(Inference) •

    学習済みモデルに新しい⼊⼒を与えて予測を返すフェーズ • 学習済みモデルを使って予測を出すことを「推論」と呼ぶ ©MIXI 31
  18. MLモデル推論の3つの共通フェーズ 1. Preprocess(前処理) • あらゆる⼊⼒(テキスト/画像/⾳声…)を tensor (多次元配列) に変換 2. Model

    Inference(モデル計算) • tensor をモデルに⼊れて、出⼒ tensor を得る 3. Postprocess(後処理) • ©MIXI 出⼒ tensor を タスクに適した形にデコード 33
  19. テーブルデータ:ハンズオン概要 https://github.com/mixigroup/2026BeginnerTrainingAI/tree/main/day1/01-simple-model-inference タスク:Iris分類(NN & 勾配ブースティング) やること • Irisの特徴量(4次元)から3クラス分類(Setosa, Versicolor, Virginica)

    • 2つのアプローチで推論を⽐較 ◦ Neural Network(全結合NN) ◦ [Optional] 勾配ブースティング(LightGBM) 確認ポイント • 前処理の違い:標準化の有無で精度がどう変わるか • クラス確率:各クラスの予測確率を確認 • ⼊⼒1件とバッチ⼊⼒で推論を実⾏ ©MIXI 35
  20. テーブルデータ詳細:Preprocess(前処理) 表形式データをモデル⼊⼒に変換 1. ⽋損値処理 • 補完(平均値/中央値/特定値)または⽋損フラグ 2. カテゴリ特徴量 • One-hot

    / Ordinal / Target encoding 1. 数値特徴量の標準化 ©MIXI • StandardScaler(平均0‧分散1に変換)/ MinMaxScaler(0-1に変換) • NNは標準化が精度に⼤きく影響、勾配ブースティングは不要な場合が多い 36
  21. テーブルデータ詳細:Inference(Neural Network) Neural Network • 全結合層(Dense/Linear)の積み重ね • 活性化関数(ReLU, GELUなど) •

    例:Input(4) → Dense(16, ReLU) → Dense(8, ReLU) → Dense(3) • 出⼒:logits(未正規化スコア) ©MIXI Newral Networkは後のセクションで学びます 37
  22. [Optional]テーブルデータ詳細:Inference(⽊構造モデル) 勾配ブースティング⽊ • 決定⽊のアンサンブルで推論 • LightGBM / XGBoost / CatBoost

    • 出⼒:predict_proba(クラス確率) 構造化データに対しては、勾配ブースティング決定⽊(GBDT)系の モデルのほうがより優れた精度を発揮することが多い 特徴 • メリット ◦ • ©MIXI 解釈性が高い:2分木ごとに条件文があるため ◦ 比較的軽くGPUも不要 デメリット ◦ 非構造化データには(基本的に)非対応 ◦ マルチモーダルな入力のモデルを作れない ◦ 構造化データ+画像データ+音声+etc... 38
  23. テーブルデータ詳細:評価指標 Accuracy(正解率) • 例:150件中 145件正解 → Accuracy = 96.7% Irisデータセットは均衡データ

    3クラス各50サンプル(合計150)で完全に均等 均衡データでは Accuracy だけで⼗分 に性能を評価できる 不均衡データではAccuracyだけでは不⼗分 例:陽性5%のデータで「全部陰性」と予測 → Accuracy 95%だが意味がない → Precision / Recall / F1 が必要 → NLPセクションで詳しく扱う ©MIXI 40
  24. ⾃然⾔語処理:Preprocess(前処理) ⽂章を固定⻑テンソルに変換 1. Tokenizerで分割 • 2. 数値IDに変換 • 3. トークン

    → 語彙辞書で数値化 → input_ids ⻑さ調整 • ©MIXI 例:「このレストランは最⾼でした!」 → ["この", "レストラン", "は", "最⾼", "でした", "!"] padding / max_length / attention_mask 43
  25. ⾃然⾔語処理:Inference(モデル計算) Sentiment Analysisの推論 1. ⼊⼒ • 2. 3. ◦ Token

    Embedding ◦ Segment Embedding ◦ Position Embedding Devlin et al, 2019, “BERT: Pre-training of Deep Bidirectional Transformers for Language Understanding” モデル処理 • BERT系モデルで⽂章全体の特徴を理解する • (2⽇⽬で詳しく説明します) 出⼒ • ©MIXI 前処理結果に以下の処理を入れる logits:(batch, num_labels) ◦ ⽂章全体の各ラベルに対するスコア ◦ 例:(1, 2)(ポジティブ/ネガティブの2ラベル) 44
  26. ⾃然⾔語処理:Postprocess(後処理) logits からラベルへの変換 1. softmax で確率に変換 ◦ 2. argmax でラベルID取得

    → ラベル名にマッピング ◦ ©MIXI logitsを確率分布に変換:[3.2, -1.5] → [0.99, 0.01] 最⼤確率のラベルを選択:[0.99, 0.01] → ポジティブ(99%) 45
  27. ⾃然⾔語処理:評価指標 不均衡データの問題 • 感情分析でネガティブが全体の5% →「全部ポジティブ」でもAccuracy 95% • Accuracyだけでは 少数クラスの検出⼒ を評価できない

    不均衡データの問題 • 今回は Recall Precisionの調和平均を とるF1スコアが適している • タスクによって重視する指標は変わる 例えば、、、 スパム判定:Precision重視 → 正常メールを誤ってスパムしたくない 医療診断:Recall重視 → 病気の⾒逃しを絶対に防ぎたい ©MIXI 46
  28. 画像処理:ハンズオン概要 https://github.com/mixigroup/2026BeginnerTrainingAI/tree/main/day1/03-vision-inference タスク:Object Detection(物体検出) やること • 画像から複数の物体を検出(bbox + クラスラベル) •

    例:⽝、猫、⼈などの物体を検出 ◦ 各物体の位置(bbox)とクラスを予測 確認ポイント • ©MIXI 出⼒がBounding Boxという新しい形に変わっている 48
  29. 画像処理:Preprocess (前処理) 画像をテンソルに変換 1. resize(サイズ調整) • モデルの⼊⼒サイズに合わせる • 例: ◦

    (Channels: 3, Height: 640, Width: 480) ↓ ◦ (Channels: 3, Height: 800, Width: 800) 2. normalize(正規化) • ピクセル値を標準化 • 例:0 ~ 255 → 0 ~ 1 3. テンソル化 + サイズ保持 • pixel_values:(batch, channels, H, W) • 元画像サイズを保持(後処理で座標変換に使⽤) ©MIXI 49
  30. 画像処理:Inference (モデル計算) Object Detectionの推論 ⼊⼒ • pixel_values:正規化済み画像テンソル モデル処理 • DETR系

    / YOLO系で物体検出 出⼒(3つ) • bbox座標:(x, y, w, h) または (x1, y1, x2, y2) • class logits:各クラスのスコア • confidence:検出の確信度(0〜1) ©MIXI 50
  31. 画像処理:Postprocess (後処理) 検出結果を使いやすい形に変換 1. 座標変換 • モデル出⼒座標 → 元画像座標にスケール変換 •

    (Channels: 3, Height: 800, Width: 800) ↓ • 2. 3. confidence閾値フィルタ • 低確信度のBBox検出を除去 • 例:confidence < 0.5 を削除 NMS(Non-Maximum Suppression) • ©MIXI (Channels: 3, Height: 640, Width: 480) 重複bboxを除去(IoU閾値で判定) 51
  32. 画像処理:評価指標 mAP(mean Average Precision) • AP50:IoU ≥ 0.5(「だいたい合ってるか」→ 検出漏れを⾒る) •

    AP75:IoU ≥ 0.75(「位置まで正確か」→ ⾃動運転等) • mAP@[.50:.95]:10段階の IoU で平均 → 総合評価(COCO標準) ©MIXI 52
  33. [Optional]⾳声処理:Preprocess (前処理) ⾳声を log-mel spectrogram に変換 1. 2. resample(サンプリングレート調整) •

    Whisper の期待するレートに変換 • 例:48kHz → 16kHz log-mel spectrogram に変換 • ⼈間の⾳⾼の知覚的尺度に基づいて、 周波数成分だけを⾳声から抜き出す 3. • 時間×周波数の2次元表現に変換 • shape:[80, 3000] ← 80 mel 帯域 × 30 秒分 可視化 • ©MIXI スペクトログラムの例 spectrogram を画像として表⽰ → ⾳声の形が「⾒える」 55
  34. [Optional]⾳声処理:Inference (モデル計算) Whisper の encoder-decoder 構造 Encoder • ⾳声特徴量 →

    内部表現にEncode • 可変朝 Decoder • 内部表現 → トークンを1つずつ⽣成 Radford et al. 2022 ,Robust Speech Recognition via Large-Scale Weak Supervision, ©MIXI 56
  35. [Optional]⾳声処理:Postprocess (後処理) token ids からテキストへの変換 1. token id → サブワード変換

    • 2. 特殊トークンを除去 • 3. <|startoftranscript|>, <|ja|>, <|endoftext|> などを削除 テキストに結合 • ©MIXI 語彙辞書でIDを⽂字列に変換 サブワードを連結して最終的な⽂字列を⽣成 57
  36. [Optional]⾳声処理:評価指標 WER(Word Error Rate) WER = (置換 + 削除 +

    挿⼊) / 正解単語数 例:6単語中2語誤り → WER ≈ 33.3% CER(Character Error Rate) ⽂字レベルで同様に計算(分かち書きの影響を受けない) 例:「東京都渋⾕区」→「東京と渋⾕区」 → CER ≈ 16.7% ポイント 固有名詞‧専⾨⽤語は誤りやすい → ドメイン特化辞書で改善 ©MIXI 58
  37. 評価指標はタスクごとに異なる 今回紹介した指標は代表例にすぎない 指標選びのポイント • ビジネス要件で最適な指標は変わる(例:医療なら Recall 重視、スパム検知なら Precision 重視) •

    ⽣成AI(LLM‧画像⽣成など)では評価指標⾃体がまだ研究途上 ◦ ⼈間評価、LLM-as-a-Judge、BLEU/ROUGE など多様なアプローチが共存 • 論⽂やベンチマーク(Papers with Code など)を読んで、⾃分のタスクに合った指標を調査しよう • 適切な評価指標の選択がプロジェクトの成否を左右する → セクション6 で詳しく扱います ©MIXI 59
  38. 教師あり学習の流れ (分類問題) バスケット ボール サッカーボー ル 野球 ボール おにぎり 正解

    1 0 0 0 推論結果 0.82 0.03 0.14 0.01 誤差 0.18 0.03 0.14 0.01 入力 ©MIXI モデル 画像 教 師 デ ー 入力(特徴量) 誤差(loss) 用意したデータ タ 出力 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 0.82 0.03 0.14 0.01 62
  39. 教師あり学習の流れ (分類問題) バスケット ボール サッカーボー ル 野球 ボール おにぎり 正解

    1 0 0 0 推論結果 0.82 0.03 0.14 0.01 誤差 0.18 0.03 0.14 0.01 画像 教 師 デ ー 入力(特徴量) 誤差(loss)から Parametersを更新 用意したデータ タ Parameters 入力 モデル Hyper Parameters ©MIXI 出力 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 0.82 0.03 0.14 0.01 63
  40. 教師あり学習の流れ (分類問題) サッカーボー ル 野球 ボール おにぎり 正解 1 0

    0 0 推論結果 0.82 0.03 0.14 0.01 誤差 0.18 0.03 0.14 0.01 用意したデータ 教 師 デ Loss 入力(特徴量) 最適化関数 (Optimizer) バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり ー バスケット ボール 1 0 0 0 タ 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 0.82 0.03 0.14 0.01 損失関数 画像 Parameters 更新 Parameters 入力 モデル Hyper Parameters ©MIXI 出力 65
  41. 損失関数(Loss Function) 多クラス分類問題の代表的な損失関数 ➢ Categorical Cross Entropy ©MIXI Label Name

    バスケットボール サッカーボール 野球ボール おにぎり Output 3.57 0.27 1.80 - 0.83 Softmax 0.8200 0.0302 0.1397 0.0101 Label 1 0 0 0 Cross Entropy 0.086 0 0 0 66
  42. 教師あり学習の流れ サッカーボー ル 野球 ボール おにぎり 正解 1 0 0

    0 推論結果 0.82 0.03 0.14 0.01 誤差 0.18 0.03 0.14 0.01 最適化関数 (Optimizer) 用意したデータ 教 師 デ バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり ー バスケット ボール 1 0 0 0 タ 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 バスケット ボール サッカー ボール 野球 ボール おにぎり 0.82 0.03 0.14 0.01 Loss 損失関数 Parameters 更新 Parameters 入力 モデル Hyper Parameters ©MIXI 出力 画像 68
  43. ニューラルネットワーク(NN) : Activation関数(非線形変換) • NNでは層の途中にActivation関数 Output (非線形変換)を挟む • この関数により、線形分離が できない問題も解けるように

    ➢ • Hidden2 より複雑な表現が可能 NNでは、Activationを図に 表記しないことが多いので注意 Activation Hidden1 Input ©MIXI 73
  44. 過学習: overfitting 過学習が起こる例 • データが少なすぎる • データに対してモデルが複雑で 表現力が高すぎる データ 訓練データ

    検証データ 過学習を対策するためには... • ©MIXI データを訓練データと検証データ に分けることで、overfittingに 気づける状態にしておく テストデータ 78
  45. Hyper Parameters ハイパーパラメータ • 学習前に予め決めておく必要がある値 • 学習によって変化しない • 最適値はタスクによって異なる •

    learning rate, バッチサイズ • パラメーターの数 • 使用するアルゴリズムの係数 • … 例 ©MIXI 89
  46. ドメイン適応:事前学習モデルのドメイン適応 なぜ必要か • 汎用的に学習されたモデル(例: Whisper, GPT, BERT)は幅広いデータで訓練されているが、特定領域(医 療・法律・社内用語・方言など)では精度が落ちる • これは学習データの分布と、実際に使う現場のデータ分布が異なるため

    前提となる考え方 • ソースドメイン: 事前学習で使われた大規模データ(Web全般など) • ターゲットドメイン: 実際に適用したい領域のデータ(自社データ等) • 両者の 分布のズレ(distribution shift) がモデル性能を劣化させる 解決アプローチの位置づけ • ドメイン適用手法により、ゼロから学習するのではなく、事前学習済みモデルの知識を土台にすること で、少量データ・低コストで領域特化を実現できる。 93 ©MIXI 93
  47. 事例深掘り:有害コンテンツ検出でKPIとMetricがずれる ケーススタディ:SNSサービスで 1日10万件 の投稿、違反率 0.1%(≒100件/日) KPI • 有害コンテンツの排除率 • 誤BANによるユーザ離脱の抑制

    評価関数 • Precision • Recall 目的関数 • 微分可能な関数 • Cross Entropy Loss ズレのポイント ©MIXI • Recall 95% にすると FP が増え、正常投稿が大量に誤削除 → ユーザ離脱 • Precision 95% にすると FN が増え、有害投稿が残る → 安全性低下 • 落とし所:閾値設計 + 二段階判定(自動→人手レビュー)で KPI を両立させる 99
  48. KPI・Metric・Loss がズレる典型例 ドメイン KPI 評価関数 目的関数 不適切画像検出 有害写真の排除 誤BANの最小化 Precision/

    Recall Cross Entropy Loss 画像検索システム ユーザの検索数 検索ヒット数 I2T_R@1 CLIP Loss コンテンツ推薦 CTR (Click Through Rate) CVR (Conversion Rate) nDCG (ランキングの並びが正し いか) Pairwise Loss 音声認識サービス 顧客のドメイン情報を書き起こせ ているかどうか WER/ CER CTC Loss ©MIXI (一番目にヒットしたものが 正解だったか) 100
  49. MLモデル⾼速化の全体像 なぜ⾼速化が必要か • レイテンシ:リアルタイム応答が必要(例:チャット、⾳声認識) • スループット:⼤量処理が必要(例:バッチ推論) • コスト削減:GPU/CPU使⽤料を減らす • エッジデプロイ:スマホ‧IoTなど制約のある環境で動かす

    ⾼速化の代表的な3つのアプローチ • モデル変換:軽量なフォーマットに変換(ONNX等) • 精度削減:FP16/INT8で計算量を減らす • 構造最適化:Pruning、蒸留でモデルを⼩さくする ©MIXI 102
  50. なぜPyTorchモデルをそのまま推論に使いにくいか? 1. PyTorchは動的計算グラフ • モデルにtensorを流す過程でPythonで計算グラフが動的に構築される • グラフが事前に固定されないため、静的最適化(カーネル融合等)が困難→⾼速化が困難※ 2. 学習⽤の不要な依存が多くある •

    Pytorchは学習⽤の推論に不要なモジュールが数多くある • 巨⼤なパッケージになっていて、実運⽤しづらい 3. ⾔語依存 • Python / C++で動かせるが、torch エコシステム上、その他⾔語で動かしづらい ※ ただし、PyTorch2.0 から compile, exportが強化されており、⼀概に速度が遅いとは⾔えない 近年では、2. 3. の問題を解決する⽬的で使われることが多い印象 ©MIXI 104
  51. モデル変換(export)⼿法:ONNX ONNX: モデルをフレームワーク依存の形式にする規格 • torch.onnx.export でPyTorchの動的グラフを 静的グラフに変換して中間表現として保存 • 実⾏は ONNX

    Runtime(CPU/GPU)などで⾏う ONNX 嬉しいこと • 推論環境が作りやすい(特にPython以外) • 最適化(Graph最適化、融合、量⼦化)を 適⽤しやすい 注意点(ハマりどころ) • exportできない演算(op)や dynamic shape • 可変⻑⼊⼒(Dynamic Shape)が若⼲難しい ©MIXI 105
  52. ハンズオン:モデルのエクスポート https://github.com/mixigroup/2026BeginnerTrainingAI/tree/main/day1/06-accelerate-ml-model やること • Segment Anythingモデル(画像解析)をtorch バージョンと onnx バージョンで速度・精度を比較する 確認すること

    • エクスポートすることで計算グラフができること(Netron) • エクスポートすることで高速化すること • エクスポートしても精度が変わらないこと もっと いろんなエクスポート形式で速度確認を行う ©MIXI 106
  53. 精度削減:半精度(FP16 / BF16) FP32(32bit浮動⼩数点)→ FP16(16bit)に変換してメモリ‧速度を改善 • メモリ使⽤量が約半分に削減 • NVIDIA Tensor

    Core等のGPUで特に効果⼤ ◦ • CPUではあまり効果なし 精度劣化は多くの場合⼩さい BF16(BrainFloat16)との違い ©MIXI 108
  54. ハンズオン:モデルの量⼦化(INT8) やること • Segment Anythingモデル(画像解析)をint8 に量子化して速度・精度比較 見る観点 • 速度改善:PyTorch →

    ONNX → INT8でどれくらい速くなったか • 精度影響:同一入力で出力差分をチェック • モデルサイズ:ファイルサイズがどう変わったか(約75%削減が目安) もっと • FP16で速度改善するか確かめる • Netronでグラフ構造が変わっていることを確認する ©MIXI 110
  55. MLOpsとは MLOps は ML オペレーションの略で、開発からデプロイ、モニタリングに至る ML のライフサイクルを管理する プロセスを指す。(DevOpsにMLモデルの運用が加わった) • テスト追跡:

    テストと結果を追跡して最適なモデルを特定する • モデルのデプロイ: 本番環境にモデルをデプロイして、アプリケーションからアクセスできるようにする • モデルのモニタリング: モデルをモニタリングして、パフォーマンスの問題や低下を検出する • モデルの再トレーニング: 新しいデータでモデルを再トレーニングしてパフォーマンスを改善する なぜ必要か • エラーリスクの増大:モデルは時間とともに精度が劣化する(データドリフト) • 拡張性の欠如:MLモデルやデータセットが多くなるにつれて、手動プロセスが困難になる • 効率の低下:データ整形→学習→評価→デプロイを全て手動にすると時間がかかる • コラボレーションの低下:規模が大きくなるとステークホルダーが増えていく • 再現性の低下:再現性の確保(データ・コード・モデルのバージョン管理) Google Cloud 「MLOpsとは」 Machine Learning Operations (MLOps): Overview, Definition, and Architecture ©MIXI 115
  56. MLOpsとは 主要コンポーネント • 探索的データ分析(EDA): ML モデルのトレーニングに使用されるデータを探索して理解するプロセス • データ準備と特徴量エンジニアリング:元データのクリーニング、変換、フォーマット • モデルのトレーニングと調整:

    準備したデータで ML モデルをトレーニング • モデルのレビューとガバナンス: 責任を持って倫理的に ML モデルを開発、デプロイ • モデルの推論とサービング: 本番環境での ML モデルのパフォーマンスと動作を継続的にモニタリング • モデルの自動再トレーニング:パフォーマンス低下/新データが利用可能になったらMLモデルを再学習 Google Cloud 「MLOpsとは」 Machine Learning Operations (MLOps): Overview, Definition, and Architecture ©MIXI 116
  57. 継続的学習:Machine Learning Operations; MLOps CI/CD 分析・学習 モデルの学習パイプライン モデルの自動デプロイ パフォーマンスチェック ©MIXI

    出典:”MLOps: ML における継続的デリバリーと自動化のパイプライン ” by Google, licensed under CC BY 4.0 を改変 117
  58. Vertex AIについて Google Cloud(GCP)が提供する ML プラットフォーム MLOpsに必要なモデルの開発・デプロイ・運用に必要な機能をまとめて提供する 位置づけ • 単なるデプロイ基盤ではなく、ML

    ライフサイクル全体をカバー • フルマネージド(インフラ管理不要)でスケール・監視・ロールバックが可能 このハンズオンで使っている部分 Artifact Registry:コンテナイメージの保存 Vertex AI Model Registry:モデルのバージョン管理 Vertex AI Endpoint:推論 API のホスティング ©MIXI 118
  59. ハンズオン:Vertex AI デプロイ https://github.com/mixigroup/2026BeginnerTrainingAI/tree/main/day1/07-model-deploy やること • Vertex AI Inferenceでデプロイ •

    前の章で作ったSegmentAnything モデルを推論する • FastAPI+カスタムコンテナで構築 • ModelはModel Registry でバージョン管理 Point モデルとコンテナイメージを分離する • モデルを更新するたびにコンテナを再ビルドしなくて済む • モデルのバージョン管理とコンテナのバージョン管理を独立させられる ◦ ©MIXI モデルのみのA/Bテストが可能 120
  60. 監視について:データドリフト 学習時と本番の入力データの分布が変わること。精度劣化の主要因。 具体例 • 画像認識:カメラの変更で画質・色味が変化 • 推薦:ユーザ層の変化やトレンドの変化 • 音声認識:マイクや環境ノイズの変化 検知の基本的なアプローチ

    • 入力特徴量の統計値(平均・分散)を定期的にチェック • Vertex AI Model Monitoring / SageMaker Model Monitor が自動検知を提供 ドリフトを検知したら ©MIXI • モデルの再学習を検討する • 新しいデータでの評価を行い、劣化を確認する 122
  61. 要件定義:システム要件 MLモデルによる「推論」をどのように動かすかも決めておく。 1. MLモデルをどのタイミングで動かすか • • 非同期処理か ◦ バッチ処理による一括推論 ◦

    ストリーム処理による逐次推論 同期処理か 2. 推論速度 ©MIXI • リアルタイム推論で許容されるレイテンシーは? • 速度と精度、どちらを優先すべきか 123
  62. 要件定義:みてね のML推論事例 機能要件 • 画像から顔を検出し、顔の解析を行う ◦ 顔の位置、顔の向き、推定年齢など 非機能要件 • リアルタイム推論は必要ない

    • 1日に約1000万レベルのメディアを解析 • 複数のタスク特化したモデルを使用 アーキテクチャ ©MIXI • Queue(SQS) を用いて非同期処理 • 複数の顔解析器をパイプライン化 • メディアのUploadをトリガーに非同期処理 125
  63. 今日のまとめ 学んだこと 127 ©MIXI • ML基礎: 教師あり学習の骨格(入力x、正解y、予測ŷ) • 推論の共通構造: Preprocess

    → Model Inference → Postprocess • 学習と評価: loss、metric、過学習、データ分割 • 転移学習: 事前学習済みモデルの活用 • モデル変換・高速化: ONNX、量子化、最適化 • デプロイ: デプロイ • 評価と運用: KPI・metric・loss、運用、 127
  64. 2日目について テーマ:LLM / Agent / 生成AI • 生成AIの基礎: Transformer、Attention、LLMの構造を理解する •

    LLMの実践: プロンプトエンジニアリング、RAG、Fine-tuningを体験する • AI Agentの構築: Tool Use、ReAct パターンなどを用いたAgent設計を体験する • 評価と運用: LLM/Agentの評価手法と運用サイクルを学ぶ 1日目との接続 • 128 ©MIXI 今日学んだ ML の基礎(推論・学習・評価・デプロイ)は、LLM/Agent でも同じ枠組みで考えられる 128