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経営視点から捉えた開発生産性 / Development productivity from ...
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Masayuki Imamura
June 29, 2024
Technology
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経営視点から捉えた開発生産性 / Development productivity from a management perspective
2024.6.29 開発生産性カンファレンス2024
Masayuki Imamura
June 29, 2024
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Transcript
経営視点から捉えた開発生産性 2024.6.29 開発生産性カンファレンス2024 株式会社BuySell Technologies 取締役CTO 今村 雅幸
2 自己紹介 今村 雅幸 @kyuns • 株式会社BuySell Technologies 取締役CTO •
一般社団法人 日本CTO協会 理事 • ファインディ株式会社 社外取締役 • 株式会社イベンターノート代表取締役 • 投資先 技術顧問 経歴 • ヤフー • 新卒エンジニアとして入社、新規事業や特許取得など • VASILY • 独立起業、取締役CTOとして200万人以上が利用するファッションアプリの開発をリード • M&AでZOZOへ売却 • ZOZO(旧ZOZOテクノロジーズ) • 執行役員VPoEを経て、CTOへ就任 • ZOZOTOWNリプレイスや400人を超えるエンジニアの採用・教育、情報システム、セキュリティ など幅広くDXを推進 • BuySell Technologies • 取締役CTO就任、全社のテクノロジー戦略や研究開発、エンジニアリング組織マネジメントなど テックカンパニー化を推進。
3 会社概要 会社名 株式会社BuySell Technologies 設立 2001年1月16日 本店所在地 東京都新宿区四谷4-28-8 PALTビル
上場証券取引所 東京証券取引所グロース市場(証券コード:7685) 事業内容 出張訪問買取を中心をした着物 / ブランド品等のリユース事 業 資本金 3,388百万円(資本剰余金を含む) 従業員 1,414名(2023年12月末時点、グループ子会社含む) 急成長を続ける総合リユーステックカンパニー
4 バイセルグループのリユースビジネス グループ各社がそれぞれの強みを活かして、買取から販売まで、幅広い商材を取り扱う総合リユースビジネスを展開。 特に出張訪問買取事業は業界最大級の規模で全国展開する、バイセルの強み。 着物 ・切手 ・貴金 属・ ブラ ンド品
・時計 等 買取 店舗・催事 店舗 販売 一般 顧客 外部 業者 EC販売 催事販売 卸販売 オークション ・自社EC(バイセルオンライン 等) ・ECモール(ヤフオク!・楽天 等) 着物・ブランド品・時計・お酒 等 ・越境EC(ライブコマース 等) ジュエリー、ブランド品等 ・百貨店 着物 ・他社市場、相対取引 等 貴金属・ジュエリー・切手 等 ・自社市場(タイムレスオークション) 時計・ジュエリー・ブランド品 等 一般 顧客 出張訪問・ 宅配・店舗 販売顧客 買取顧客 買取商品
5 出張訪問買取事業 当社の中心となる事業で、査定士がお客様のご自宅へお伺いしその場で商品の査定・買取を行う。 訪問件数は年々増加し、2023年は約26万件の訪問査定を行った。 138,763 158,197 180,146 187,871 209,526 243,321
260,997 284,800 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 年間出張訪問件数 (予想)
6 店舗買取事業 オーガニックの新規出店に加え、戦略的なM&Aにより後発ながらグループ店舗数を急速に拡大。直営140店舗と業界有数のポジションへと 成長し、FC店舗を合わせると350店舗を超える規模に。 バイセルグループ全体で全国 350店舗以上を運営
7 リユースプラットフォーム「Cosmos」 買取から販売までリユース事業に必要なすべての機能を提供する「リユースプラットフォーム Cosmos」の開発が進行中。 バイセルグループ全体でCosmosを活用して、データやAIを活用しながらリユース事業の業務効率改善を行う。
8 テクノロジー組織の拡大 エンジニア組織の拡大のための投資を継続。エンジニアの人数は35名から100名規模へ(2024.4月) 評価制度の刷新やエンゲージメント強化施策を継続的に実施。採用ブランディング強化や強いエンジニア組織づくりを推進してきた。 大手IT企業からの人材獲得および 若手の優秀な新卒エンジニアの獲得に成功 開発生産性指標の高い組織として2年連続で 「Findy Team+ Award」を受賞
https://note.com/kyuns/n/n6f56f69db333 バイセルのテックカンパニーへの変遷、CTOとしての取り組みを振り返る
9 経営視点から捉えた開発生産性
10 経営視点から捉えた開発生産性 上場企業取締役 投資家 CTO協会理事 社外取締役 開発生産性 今日は経営視点からみた開発生産性の話をします
11 Q. なぜ開発をしているのか?
12 A. 事業を成長させるため
13 バイセルの例: ビジョン バイセルテクノロジーズが現在掲げるビジョンは人とテクノロジーのかけあわせの重要性を表している。 人が得意なことは人がスキルを磨き、コンピューターが得意なことはテクノロジーを用いる。それぞれをかけあわせて事業の成長を実現する。 優れた人と新たな技術で、循環型社会をリードする 人が得意なことは人が技術(スキル)を磨く。 コンピューターが得意なことは技術(テクノロジー)を用いる。 人×テクノロジーで最大限の事業成長を目指す。
14 事業成長を目指すうえで開発生産性とは何なのか 開発生産性 を示す指標 = どれだけ山を正しく登ることができているか
15 開発生産性を最大化させるためには 事業成長を山登りと例えるならば、開発生産性はその山をいかに正しく登ることができているかを示す指標である ではどうすれば 開発生産性を高めることができるのか
16 開発生産性を最大化するには 登るべき山、登る時期、登り方、登るメンバー、あらゆるものを決め強化していかないといけない 開発生産性を最大化するには テクノロジー投資戦略 開発者体験 (Developer eXperience) これらの2つの要素が重要 ・どの山に登るのか
・いつまでに登るのか ・登るために必要な要素は何か ・誰とどのように登るのか
17 CTO協会が掲げるミッション 日本CTO協会は「テクノロジーによる自己変革を、日本社会のあたりまえに」というミッションを掲げ、企業変革ができるCTOや技術者育成を 図っている。また、2つのDXを掲げてこれらを推進することが企業変革につながるという定義をしている。 企業のデジタル変革を意味する「Digital Transformation(DX)」 ソフトウェア開発者にとって成果を出しやすい環境を実現するた めの文化・組織・システムが実現されているかを意味する開発者 体験「Developer eXperience(DX)」
開発生産性を最大化する上で重要な2つのDX 参考: 日本CTO協会 https://cto-a.org/about
18 例 バイセルが目指すテクノロジー投資戦略 Digital Transformationにおいてリユースプラットフォーム構想、AI・データ活用、研究開発を主軸に、Developer eXperienceとしてはエン ジニア組織の強化を中心に行っていく。 バイセルテクノロジーズのテクノロジー投資戦略 Digital Transformation
Developer eXperience プラット フォーム構想 研究開発 エンジニア 組織強化 データ活用
19 経営視点でのテクノロジー投資戦略 IRで発表している中期経営計画においても、テクノロジー投資戦略に付いて明示。 ※BuySell Technologies中期経営計画2024より プラット フォーム 構想 研究開発 エンジニア
組織強化 データ活用 https://buysell-technologies.com/ir/midmanageplan/
20 テクノロジー投資戦略を紐解く
21 テクノロジー投資戦略のあるべき姿 テクノロジー投資は以下のような構造になっている。 短期 中期 長期 エンジニア システム/プロダクト 加速 減速(摩擦)
エンジニア文化 開発プロセス アウトプット 資産 技術的負債 アウトカム 売上/利益 参考: https://note.com/singtacks/n/nb7a63ad40c17 CTOの頭の中:技術を財務で表現する P/L B/S G/P ※G/P = Gross Productivity(総生産力)
22 テクノロジー投資戦略のあるべき姿 テクノロジー投資は短期・中期・長期にわけることができ、それぞれ以下のように分類することができる。 短期 中期 長期 参考: https://note.com/singtacks/n/n4612d8256c7a CTOの頭の中:技術投資を最適化する P/L
B/S G/P Accelerator Reducer Power Assets Debt Revenue Cost
23 テクノロジー投資戦略のあるべき姿 短期・中期・長期におけるそれぞれの分野におけるテクノロジーの投資内容を定めて、登るべき山を決める。短期的な投資だけでは企業は 成長していかない。 短期 中期 長期 参考: https://note.com/singtacks/n/n4612d8256c7a CTOの頭の中:技術投資を最適化する
P/L B/S G/P Accelerator Reducer Power Assets Debt Revenue Cost ・エンジニア採用への投資 ・教育への投資 ・環境への投資 など ・開発プロセ ス改善 ・DevOps など ・会議時間 の削減 ・OJT投資の 最適化 など ・ユーザー体験を向上させる ための機能開発・追加 ・新しいキャッシュポイント となる機能・商品の開発 ・対象ユーザーを拡大するた めの機能・商品開発など ・技術的負債・プロダクト負 債を返済するための開発 ・SREなど ・SEO対策やCPA改善など直 接的に利益構造が改善するよ うな開発など ・社内のプロセス改善や業務 自動化などコスト自体が単独 で下がるような開発など
24 登るべき山を間違えたらアウトカムは最大化されない 自社の強み テクノロジー トレンド マーケット トレンド • マーケットのトレンドはどうなっていくのか •
現在の技術トレンドは何なのか、取り入れるべ き技術は何か(例:生成AI) • 自社の強みは何なのか、何を自分たちの武器に するのか • 中長期的に投資するものに関して、どういう経 営の意思決定を行うのか(特にリプレイスや研 究開発など長期にわたるものなど)
25 登るべき山を間違えたらアウトカムは最大化されない 売れない・役立たない・経営戦略に沿わない プロダクトを作っても意味がない 自社におけるテクノロジー投資のストーリーづくりが重要
26 開発者体験を紐解く
27 開発者体験(Developer eXperience)とは 開発者体験とは、開発者が高速な仮説検証を行うための 企業における環境や習慣、文化のことを指す
28 Developer eXperience Award 2024年度版は2024/7/16の「Developer eXperience Day 2024」内にて発表
29 DX Criteria DX Criteria(DX基準)は日本CTO協会が監修・編纂している企業のデジタル化とソフトウェア活用のためのガイドライン。 5つのテーマ、320以上の診断項目から構成される。 DX Criteriaを実践していくことが開発者体験の向上につながる
30 開発者体験: Four Keys と SPACE • Four Keys •
デプロイ頻度 • 変更リードタイム • 変更障害率 • サービス復元時間 • SPACE • Satisfaction and well being • Performance • Activity • Communication and collaboration • Efficiency and flow 定量的 ・Findy Team+などのツール 定量&定性的 ・Findy Team+などのツール(一部) ・自社での仕組みづくり
31 バイセルの取り組み:CTO室の設置 「エンジニアの総生産性をあげる」をミッションに掲げ、組織横断での取り組みを行うCTO室を設置。開発者体験の向上など横断的な活動を 行う。 主なCTO室の取り組み
32 バイセルの取り組み:CTO室の役割 組織の開発者体験向上につながる施策を数多く実行。組織横断での取り組みをCTO室中心に行っている。 取り組み 内容 技術戦略策定 社内で共通で利用するようなサービスや基盤、外部パートナーとのやりとり、全社におけ る重要な技術選定や戦略の策定などを行う 技術広報 テックブログ、登壇、発信強化など、会社としての技術的なブランディングおよび文化醸
成のための施策を行う 人材採用 新卒、中途の採用に関わる業務や採用フローの整備など、エンジニア採用に関わる業務を 人事と連係しながら行う 人材育成 評価制度、給与テーブルの見直しなどの人事制度の改善や、エンジニアの教育および行動 指針や1on1、勉強会などを通じてエンジニアの育成や強化を行う セキュリティ対策 サービスにおけるセキュリティリスクや社内のリスクマネジメント、情報セキュリティ対 策の策定・実施などを行う
33 バイセルの取り組み:CTO室とマネージャとの連係「テックイシュー」 CTO室だけでなく、マネージャーとも連係して組織エンゲージメントにつながる施策「テックイシュー」を実行。常に改善され続けていくよ うな体制を構築。 参考:https://note.com/buysell/n/n081c4e7065f3 CTO室 テーマ1 テーマ2 テーマ3 テーマ4
EM EM EM EM EM EM EM EM 体制 テーマ例
34 バイセルの取り組み:CTO室とマネージャとの連係「テックイシュー」 CTO室だけでなく、マネージャーとも連係して組織エンゲージメントにつながる施策「テックイシュー」を実行。常に改善され続けていくよ うな体制を構築。 取り組み 内容 週1での朝礼、月1での本部会、懇親会 経営陣の考えの共有、部での取り組みの紹介やValueについての話しなど マインド醸成 会社のMVVを浸透させるためのエンゲージメント施策の実施(例:
BuySell STAR) コスト改善 毎月マネージャー全員で部門のP/LやB/Sの確認、予算とのズレの理解を深める 品質改善 プロダクトの品質基準などを策定、各プロダクトの障害報などのレビューや再発防 止策に関しての振り返りを実施 デリバリー速度改善 Findy Team+の導入による開発生産の改善。対象チーム、プロダクトを拡大 テックリード、EM育成 テックリードやEMの評価基準、選別基準を見直し策定。新たな候補者を任命 事業部連携強化 各事業部にテックの取り組みを報告する共有会を実施 参考:https://note.com/buysell/n/n081c4e7065f3
35 バイセルの取り組み成果:Four Keysへの取り組み Four Keysを向上させるための取り組みとしてFindy Team+を導入 Findy Team+ Awardを2年連続受賞 参考:https://tech.buysell-technologies.com/
• 生産性指標を可視化してチームのワークフローを改善したら生産性が爆上がりした話 - バイセル Tech Blog • リファイメントとプランニングを改善することで、チームの属人化が解消された話 - バイセル Tech Blog
36 まとめ • テクノロジー投資戦略を決める • テクノロジーが強みとなるストーリーをつくり、登るべき山を決める • 短期・中期・長期における投資戦略を決める • 開発者体験の向上に取り組む
• Four Keysなどの指標に加えて、開発者体験が向上するような取り組みを行う • 常に改善されていくような体制(仕組み)をつくる テクノロジー投資戦略の策定と開発者体験の向上により 開発生産性を最大限に高め、事業成長を実現する。