Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

AIがGISを代替する日:〜すべてをAIが創る時代に、私たちがFOSS4Gに関わる意味〜

 AIがGISを代替する日:〜すべてをAIが創る時代に、私たちがFOSS4Gに関わる意味〜

生成AIは、地理空間データの探索やGIS操作を自然言語でつなぎ、FOSS4Gへの参加と活用の裾野を広げつつある。一方、生成AIが自律的にそれらFOSS4GやGeoAIモデルを取り込み、学習し、地理空間の理解・推論の高度化によって地理空間的な機能やサービスが集約されてしまう可能性も考えられる。

 本発表では、生成AI(LLMとマルチモーダルモデル)を用いた地理空間的機能を試行した経験をもとに、モデル自身の能力と外部ツールの利用を整理し、AIが地理空間処理を一体的に担う可能性を展望する。そのうえで、生成AIサービスによる処理の集約と自動化が進む時代に、ツールやデータを選ぶ「使う自由」、手順を理解・変更・共有する「創る自由」、処理を追跡して結果を再現する「確かめる自由」をどう維持するかを問い、FOSS4Gコミュニティが担う役割を考察する。

Avatar for Yuji Kobayashi

Yuji Kobayashi

November 01, 2026

More Decks by Yuji Kobayashi

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 商 号 株式会社オービタルネット 設 立 2018年4月2日 資本金 53,000,000円 代表者 代表取締役

    CEO 小林 裕治 所在地 〒460-0011 名古屋市中区大須4丁目13番46号
  2. SpatialArrow PyTorch DataLoader for AI Ready 地理空間情報をAIで正しく学習するためのデータローダー 地理空間データの原本 SpatialArrow GeoAIモデルへ

    画像の参照先・地物形状・ID 座標系と、読み出す範囲 必要な範囲・サイズを選ぶ 画像と教師を同じ座標へ変換 画像テンソル + 教師データ + 元データへの変換記録 COG/GeoTIFF・GeoParquet PyTorch DataLoader モデル別アダプターで受け渡す ★ 実装例|屋根上PVを含むビューの生成 固定画像の境界をまたぐPV 地物全体が収まる実行時ビュー 変えるのは入力条件 原本は共通のまま 地物IDと変換記録で 元データとの対応を保つ モデルを変えても、データの蓄積と追跡可能性を活かす 株式会社オービタルネット|本学会口頭発表の研究開発紹介 背景空中写真:©NTTインフラネット
  3. foss4gを活用してGeoAIを創る立場から、 AI時代のfoss4gを考える AIがGISを代替えするとき、私たちの役割はどう変わるのか? 当社の取り組み(foss4g×AI) ここから考える4つの論点 ★DINO-EdgeQuery 01 生成AIの光と影 02 GIS代替の実証とGeoAIの統合

    03 ブラックボックス化と品質 04 3つの自由とコミュニティ 画像から建物ポリゴンへ ★ SpatialArrow 地理空間データをAI入力へ ★ Sat2LOD 衛星画像から3次元モデルへ GeoAIを創り、GISへつなぐ 参加と活用の拡大、サービスへの集約 ツール連携から、モデル自身の空間理解へ 処理の根拠と追跡可能性をどう残すか 使う・創る・確かめる自由を支える
  4. 第1章|プロローグと問い 自然言語ですべてが動く「光」と、生成AIに集約される「影」 光|誰もが作り、使える 影|巨大生成AIサービスへの集約 生成AIを活用 相互利用の関係 データを探す・コードを作る・GISを動かす 自然言語の指示 コード生成 GIS処理の実行

    Foss4gを吸収、学習、包括 データ モデル 生成AI サービス ツール ツールを作る支援から、 GIS操作そのものの自動化へ。 何を選び、どう処理したかが サービスの外から見えなくなる懸念。
  5. 第1章|GISの代替が起こる仕組み コード生成からGISの不可視化・代替えへ 人が行う操作や処理の組み立てをAIが担うこと Phase 1 Phase 2 Phase 3 コード生成支援

    自律実行の統合 GISの不可視化・代替え 人間がAIに指示 AIがコードを生成 ユーザーは自然言語で指示 AIがコードを生成 実行ツールを呼び出す コード・GIS操作は背後へ 人間が読んで手動実行 実行環境で処理する 処理結果を受け取る 実行の主体は人間 Python実行:Code Interpreter等 外部ツール接続:MCP コードを読まず、GISを開かない AIがコードを書く段階から、GIS操作を引き受ける段階へ MCPはツールを呼び出す接続。コードを実行するのは接続先の環境。
  6. 第2章|実証:AIはGIS処理をどこまで代替できるか? Level 2|GIS処理にGeoAIモデルを組み合わせる ① ベクタ演算 ② 複合パイプライン ③ 3D生成 オルソ画像を入力

    超解像 セグメンテーション ポリゴン生成 地理院タイルを超解像 屋根上PVポリゴンの出力例 FlatGeobuf出力 Pythonコードを生成・実行し、モデル推論とGIS処理を連結 出力例。PVの誤検出・見逃しの定量評価は含まない。
  7. 第2章|実証:AIはGIS処理をどこまで代替できるか? Level 3|3D空間データの生成と可視化まで担う ① ベクタ演算 GeospaceCDS画像 Pythonで処理 ② 複合パイプライン Depth

    Anything v2 small 3D OBJ出力 生成された3D形状 推定された深度画像 ③ 3D生成 Viewer生成 テクスチャ付きViewer GISソフトウェアを立ち上げず、 データ入力から3D可視化までが自然言語の対話で完結
  8. 第3章|危機:隠蔽されるプロセス 処理を追える構造を、人の手元に残せるか オープンな連携+実行記録 内部が開示されないサービス Control Plane|処理の選択と実行指示 人の指示 LLM エージェント MCP

    ツール呼び出し GeoAI/GIS 推論・演算 GeoParquet等 出力データ Data Plane|データ STAC データ探索 入力ID・モデル/版・パラメータ・コード・出力を記録 どのデータ? どのモデル? どのパラメータ? 記録も公開もなければ、 処理を追跡・再現できない 標準でつなぐだけでは足りない。記録を残し、制御できるか。
  9. 第3章|危機:確かめられない品質 見た目の品質が高くても、処理の根拠を追えるか 地理空間情報の品質に加えて、AIの処理を確かめられることが必要 f Q recognition , Q geometry ,

    Q topology , Q geolocation , Q traceability ) Q GeoAI = ( AI 認識 Geo 形状 Geo 位相 Geo 位置 追跡可能性 どのデータ・どのモデル・どのパラメータで処理したのか? GeoAI for Q DigitalTwin f Q recognition , Q geometry , Q freshness , Q synchronizasion , Q traceability , Q actionability ) =( 美しく生成された3D都市モデルは、 本当に現実の空間を正しく写しているのか? 使用目的への活用可能性 追跡可能性を、結果を信頼して使うための必要条件とする。
  10. 第4章|提言:私たちがFOSS4Gに関わる意味 AI時代の「3つの自由」を再定義する 自由 AI時代に守る条件 人ができること 使う自由 AIが提示した選択に 縛られない 別のデータ・モデルへ選び直し、 処理の実行に介入する

    創る自由 パイプラインを ブラックボックスにしない 手順を理解し、パラメータを変え、 他者と共有する 確かめる自由 生成された出力を 鵜呑みにしない 入力・推論・演算の記録と結果を 客観的に監査・検証する AIが作った処理にも、人が選び直し、変更し、確かめられる余地を残す 11
  11. 第4章|提言:コミュニティの具体アクション 3つの自由を、コミュニティの活動で支える 使う自由を支える 確かめる自由を支える 創る自由を支える ① オープン標準の牽引 ② 監査ツールの開発 ③

    空間リテラシーの高度化 STAC:データ記述 GeoParquet:データ形式 MCP:ツール接続 仕様と実装を開き、 別のデータやモデルへ 選び直せる構成を共有する。 入力・使用モデル・設定・ 実行コード・出力を記録する。 AIが提案した手順の 妥当性を問い直す。 位置・形状・位相・誤検出を 検証する道具を作る。 使い方と検証の知見を共有し、 操作者から 空間的思考の評価者へ。 共有する対象を、コードから「処理の根拠」まで広げる 12
  12. 第4章|結論 AIがGISを代替しても、出力結果を確かめる責任はなくならない 生成AIの実態 隠蔽されるプロセス 提言 空間演算から 3D可視化までを 自然言語で一体化 結果が整って見えても 処理の根拠が

    見えなくなる 使う・創る・確かめる 3つの自由を 処理の条件にする コードの実装者から、透明性と再現性の担保者へ 私たちがFOSS4Gに関わる意味を、ここから考えたい。