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不確実性に耐えて、どう進む?「あえて決めない」勇気と「楽しむ」戦略

Avatar for Aki Tanaka Aki Tanaka
August 08, 2025

 不確実性に耐えて、どう進む?「あえて決めない」勇気と「楽しむ」戦略

現場から始める──変化・負債・拡大に向き合うチームの実践知
https://devkan.connpass.com/event/364829/

・概要
正解のない時代、プロダクトオーナーは不確実性にさらされながらも方向性を示し、意思決定をし続けなければなりません。試してみるコストが下がった今、正しさを追い求めすぎず、小さく試しながら前に進む構えが求められています。

本セッションでは、確実性を求める組織の中でも、余白を持った価値探索を可能にするチーム設計と、不確実性や判断の痛みに耐えるための「楽しさ」という戦略について、実践から得た視点を共有します。

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Aki Tanaka

August 08, 2025
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Transcript

  1. はじめに:意思決定にある矛盾 みんな正しい。 ただし部分的に (Everyone is right — partially) 例: 次世代ゲーム機「Nintendo

    Switch2」の転売を認めるべきか否か?
 フリマアプリ各社の対応は分かれました。 A社: 転売による価格高騰や消費者の不満を考慮し、出品を禁止。 B社: 自由な取引の場を提供することを重視し、出品を容認。 前提:進むということは、何かを決めて引き受けること 
 • 早く決めたいが、間違えたくない(間違いとは?) 
 • 誰もが正しさを語るが、意思決定の責任は非対称 
 ◦ 発言の自由は誰にでもある 
 ◦ 決定と実行の責任は一部に集中 

  2. 観点 通常のプロダクト開発 AI機能の実装 ⚙ 挙動の制御性 ロジックが固定・予測可能 出力が確率的・誤答リスクあり 👥 チーム体制 PdM・Eng・Designer

    が主 オペレーション・MLエンジニア・法務など多職能連携 🚧 リスク バグ/仕様漏れ中心 誤答/法的違反/情報漏洩リスク/ブランドリスク 🗓 開発方法 ウォーターフォール/アジャイル 仮説検証型(継続的な学習が必須) 決めることは難しくなっている • 不確実性は高まっている 
 ◦ とくにAI開発では、こうした “不確実性に耐えながら進む ”ことが顕著に求められる 
 • 意思決定には、納期やスコープの制約がある 
 ◦ → 結果、POは「決めない or 無理に決める」の二択に追い込まれがち 
 通常の開発とAI開発を比較してみると
  3. 不確実な状況と、確実性を求める組織の間で 状況 AI関連プロジェクトは前例が少なく、従来の開発手法が通用しない。 
 
 「試してみないとわからない」と言えば、確実性を求める組織文化との間で 緊張が生まれる。 (スケジュール、期待値、、) 
 


    痛みの例 ・要件定義が終わる前にリリース日が決まっている 
 
 ・不確実性を下げるため、ゴールが小さくなる 
 
 ・確実性を求められるあまり、技術的負債になりかねない拙速な実装を迫られる 

  4. 1. 最低限の価値を“合意”することで自由を得る
 a. 最低限の価値(MVP)や中間ゴールを明文化・合意する。共通の着 地点を探る。
 2. 試行空間の線引き
 a. 「ここまでは保証する」「ここから先は探索」と分けてリスクをコント ロール


    3. 価値が小さくなりすぎるリスクを共有する
 a. 「リスクを避ける」ためにスコープを小さくしすぎると、本来届けるべ き価値まで失う。
 
 価値と実現性のバランスが取れる分岐点はどこか?を粘り強く探索する
 まず決めて、試して、修正する 2.仮置きで決定し、前に進む • 前に進まなければ不確実性は下がらない 
 • 仮で決定し、前に進む(正解が出るのを待たない) 
 ◦ 例:PoC、A/Bテスト、MVP
 ◦ AIによって試すコストは下がっている 
 ステークホルダーとの関係構築:自由を守るための現実解
  5. 3.楽しさという戦略 チームに余白があるから、不確実性を受け止められる ・文化、雰囲気は思うより重要。外から管理されていると感じていては、内発 的な動機は持てない。
 
 ・チームの信頼を前提とし、 POが組織のプレッシャーの連鎖を断ち切る構え を見せる。
 
 ・その代わりチームには、POと同じ目線で課題に向かい、価値あるものを見

    つけ出すための積極的な技術検証やプロトタイピングを期待。
 ・自由に試行錯誤するには、契約(合意)と感情(熱狂)の両輪が必要
 
 ・そのために「これは楽しめるテーマ」という空気をつくる(自分が先に楽しむ)
 楽しさを戦略的に設計する