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業務効率化をさらに加速させる、ノーコードツールとStep Functionsのハイブリッド化

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October 11, 2025

業務効率化をさらに加速させる、ノーコードツールとStep Functionsのハイブリッド化

2025/10/11(土)に開催された、「JAWS Festa 2025 in 金沢」における私のセッション「業務効率化をさらに加速させる、ノーコードツールとStep Functionsのハイブリッド化」の発表資料になります。
#jawsfesta #jawsfesta2025 #jawsug #jawsfesta2025_e

https://jawsfesta2025.jaws-ug.jp/sessions/timetable/86/

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October 11, 2025
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Transcript

  1. 1 KDDI Agile Development Center Corporation 自己紹介 ◼ 氏名:鈴木 正樹

    ◼ 所属:KDDIアジャイル開発センター(KAG) 名古屋オフィス ◼ 役割:クラウドアーキテクト & バックエンドエンジニア ◼ 好きなAWSサービス:AWS Lambda & AWS CDK(サーバーレス & IaCが大好き) ◼ 主な活動拠点:JAWS-UG 名古屋 & JAWS-UG CDK支部 ◼ Certification: ◼ AWS Solution Architect Associate(2023) ◼ AWS Community Builder(serverless)(2023~) ◼ Scrum Inc. 認定スクラムマスター(2025/07~) ◼ : @makky12(SUZUKI Masaki@クラウドエンジニア) ◼ Blog:https://makky12.hatenablog.com/
  2. 3 KDDI Agile Development Center Corporation アジェンダ • はじめに:KDDIグループのAtlassian製品のCloud移行 •

    Step Functionsの導入(=ハイブリッド化) • ハイブリッド化のメリット&注意点 • Step Functionsの効果的な使用方法 • 参考資料&まとめ
  3. 4 KDDI Agile Development Center Corporation 注意事項 • 本セッションは、ツールの良し悪しを述べるものではありません ◦

    どんなツールにも特徴・得手不得手はあります ◦ 特徴を理解した上で、ツールに合った処理を行うことが大切です • 文字数の関係上、AWSサービスの接頭辞(「AWS」「Amazon」)は省略しています • この資料は、下記URLで公開しています。 ◦ この資料です
  4. 6 KDDI Agile Development Center Corporation はじめに:KDDIグループのAtlassian製品のCloud移行 • KDDIグループにおいて、Atlassian製品(※1)のオンプレ →

    Cloud版移行を実施 ◦ 約4,000人のユーザーアカウント、および7,300個のプロジェクトをオンプレからCloudに移行 ◦ KDDIは8月に移行完了。KAGは来週実施予定 • (大人の都合で)再来週以降に変更になりました • Cloud移行と同時に、Cloud版限定機能を用いた業務改善に着手 ◦ 手作業で実施していた各種作業の自動化(例:ユーザー登録申請、各種台帳の管理など) ◦ Cloud版の質問をJira Service Management(以下「JSM」と表記)のサポート機能で一元管理(※2) ◦ AI機能(Atlassian Intelligence、Rovoエージェントなど)の活用…など ※1:Jira, Confluence, JSMなど(他にもあります) ※2:なお現実は(以下略)
  5. 7 KDDI Agile Development Center Corporation Jira Automationによるオペレーション自動化 • JSMのJira

    Automation(ノーコードツール)を用いて「ユーザー登録申請の自動化」に着手 ◦ Atlassian製品に対する各種処理をワークフロー化し自動化できるだけでなく、以下の処理も可能 • 各種Cloudへの接続&処理実施(AWSはSNSに対応) • Web APIリクエスト送信&レスポンスBodyの値をワークフローで利用可能…など • とりあえず、最低限の処理は実装完了(※実際の業務で使用しています) ◦ フォームで操作(登録/削除など)、登録するメールアドレスなどを入力(最大10人まで) ◦ 本人確認のための(OTPっぽい)OTPを発行&確認し、自動で処理継続 ◦ フォームに入力したメールアドレスに対する登録処理の結果をサポートチケットのコメントに記載する
  6. 9 KDDI Agile Development Center Corporation Jira Automationを使用して、見えた課題 いろいろ「かゆいところに手が届かない」部分も… •

    (エンジニア的観点で)不十分な点がある(※) ◦ 条件分岐(IF-ELSE)のネストができない、IF文で特定の処理だけスキップする事ができない ◦ ちょっとした値(文字・数値など)の編集や型変換が十分ではない…など(できるものある/参照系は充実) • ワークフローに「入出力」を設定できない ◦ そのため「サブルーチン」的なワークフローを作成できない ◦ 「出力」が設定できないので、処理結果はチケットのコメントから目視で確認しないといけない… • 上記の理由により「最低限の動作はするが、柔軟な動作をしているとは言えない」状態… ※ そもそもJSMのJira AutomationはメインターゲットはITSM(=非エンジニア)であり、アプリ開発で行うような複 雑な処理フロー構築というのは想定していない(と思う)
  7. 11 KDDI Agile Development Center Corporation Step Functionsの導入 • 先述の課題解消のため、Step

    Functionsを導入(=ハイブリッド化) ◦ Step Functionsは「AWSサービスの連携、および各種処理を行うワークフロー(=ステートマシン)」を構築 可能なサービス(以後、Step Functionsのワークフローを「ステートマシン」と表記) • 先述の課題をStep Functionsの導入で解決し、柔軟な動作を実現する ◦ Step Functionsは分散アプリケーション構築にも利用されるサービスであり、かなり本格的な処理も構築可能 ◦ 実際、バックエンド処理でLambdaの代わりに使用されるケースも増えています(いわゆるLambda-less) • ただし「今まで行っていた処理をStep Functionsに丸投げする」ことはしない ◦ 例えばJSM周りの処理(ステータス変更・コメント記載など)はJira Automationの方が扱いやすい ◦ また本人確認処理(OTP発行&確認)も、 現在のJira Automationの処理で問題なし ◦ それぞれの特徴を理解した上で、より適した処理を担当させる(「餅は餅屋」)
  8. 12 KDDI Agile Development Center Corporation Step Functionsの導入 • 処理の流れとしてはこんな感じ

    Jira Automation ・フォーム表示&入力 ・OTP生成&確認 ・入力情報をAWSに送信 Step Functions ・ユーザー登録処理 Jira Automation ・処理結果表示
  9. 14 KDDI Agile Development Center Corporation ハイブリッド化のメリット Step Functions導入のメリット・Step Functionsの効果的な使い方

    • 先述の「技術者的に不十分な点」がほぼ解消し、柔軟な動作が可能に ◦ Step Functionsは、かなり本格的なワークフローが構築可能(充実した機能) • 今回実施したい業務効率化を実現するに十分な機能 ◦ 先述の「技術者的に不十分な点」がほぼ解消され、やりたい処理をほぼ構築できるようになった • 共通処理を「サブルーチン」的なステートマシンでまとめて構築可能 ◦ ステートマシンには「入出力」を設定可能なので、 Map(同一処理の並列実行)フローと組み合わせて「(複 数の入力に対する)共通処理」を実施する「サブルーチン」的な使い方も可能 ◦ これにより共通処理(ユーザー登録API実行など)をまとめて実行可能になり、実行結果の目視確認も不要に • JSONataによる値の編集 ◦ JSONataにより多種多様な値の編集・変換処理などを容易に行えるようになり、フローの構築がよりシンプルに ◦ これらの処理でLambdaを使用する必要がかなり減り、運用・管理負荷も大幅に削減
  10. 15 KDDI Agile Development Center Corporation ハイブリッド化による注意点 Step Functionsの導入で注意する点・およびその対策 •

    課金が発生する ◦ ステートマシン実行には課金が発生する(標準・Expressともに) ◦ Jira Automation(などのノーコードツール)実行で課金が発生しない場合、ここは注意が必要(※1) ◦ これの対策については、次の「Step Functionsの効果的な使用方法」を参照 • ステートマシンの種類、および最大実行時間の上限 ◦ 標準ステートマシンは非同期実行のみなので「処理結果をリアルタイムに表示したい」場合は注意が必要 ◦ Expressステートマシンは同期実行も可能だが、最大実行時間が5分なのであまり長い処理は実行できない ◦ API Gateway経由で同期実行した場合、API Gatewayの制約で最大実行時間が29秒になってしまう(※2) ※1:とはいえ毎月無料枠があり、そもそも単価も安価であるため、あまり神経質になりすぎる必要はないかも ※2:関数URLを使用してLambdaから呼び出すのが良いかも(Lambdaの最大実行時間は15分)
  11. 17 KDDI Agile Development Center Corporation Step Functionsの効果的な使用方法(≒課金に対する対策) Step Functionsの効果的な使用方法(コスト最適な実装にする方法)

    • 標準ステートマシンとExpressステートマシンを組み合わせて使用する ◦ 処理全体のステートマシン(オーケストレイター)には「標準ステートマシン」を使用 ◦ 処理内の「大量の状態遷移が発生する処理」および「共通処理」には「Expressステートマシン」を使用してサ ブルーチン化する(ただし5分以内に完了することが前提) • それぞれの課金対象の違いにより、以下のメリットが得られる ◦ 標準ステートマシンは「状態遷移(=ブロックの移動)」に対して課金が発生するので、状態遷移が多い処理を サブルーチン化して1ブロックにすることで、課金額を抑えることが可能 ◦ Expressステートマシンは標準ステートマシンより安く、リクエスト数・実行時間・メモリ量に対して課金が発 生するので、実行時間が短ければ課金も少ない(その点でも「5分以内に完了する」ことが良い方向に働く) ◦ 結果、すべてを標準ステートマシンで構築するより課金額が安くなり、コスト最適な実装とすることが可能
  12. 20 KDDI Agile Development Center Corporation 参考資料 今回紹介した技術に関する参考資料 • AWS

    Step Functions で実現するワークフロー自動化 ◦ AWS Summit Japan 2025におけるAWS 菅原 大樹さんのセッション • AWS Step FunctionsでStandardワークフローとExpressワークフローを組み合わせたデザ インパターンの紹介 ◦ Serverless Operationsさんのブログ • まずはマネコンでちゃちゃっと作ってから、それをCDKにしてみよか ◦ ヤマダ(北野)さんの「JAWS-UG CDK支部#22 大阪でもCDKしたいねん」の発表資料 • JSONata Documentation ◦ JSONata.org 公式JSONata公式ドキュメント
  13. 22 KDDI Agile Development Center Corporation まとめ • Jira AutomationのようなノーコードツールとStep

    Functionsをハイブリッド化することで、 より柔軟な自動化ワークフローの実行が可能に • どちらが良い(悪い)ではなく、特徴を理解した上で各ツールに適した処理を実行させる ◦ Jira AutomationならAtlassian製品関連の処理、Step Functionsならより複雑な処理フローの実装…など • Step FunctionsではJSONataやステートマシンのサブルーチン化などを活用する ◦ その他、本セッションでは紹介できませんでしたが「変数」も非常に便利な機能です • Step Functionsの課金に対しては「標準ステートマシンとExpressステートマシンを組み合 わせる」ことでコスト最適な実装が可能に
  14. 札幌オフィス SAPPORO OFFICE 秋田オフィス AKITA OFFICE 高崎オフィス TAKASAKI OFFICE 金沢オフィス

    KANAZAWA OFFICE 舞鶴オフィス MAIZURU OFFICE 広島オフィス HIROSHIMA OFFICE 福岡オフィス FUKUOKA OFFICE 那覇オフィス NAHA OFFICE 仙台オフィス SENDAI OFFICE 東京本社 TOKYO MAIN OFFICE 三島オフィス MISHIMA OFFICE 名古屋オフィス NAGOYA OFFICE 大阪オフィス OSAKA OFFICE