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アジャイル脅威モデリング#1(脅威モデリングナイト#8)

 アジャイル脅威モデリング#1(脅威モデリングナイト#8)

masakane55

April 17, 2025
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Transcript

  1. whoiam • 金原 将人(X: @masakane55) • セーフィー株式会社 セキュリティエンジニア • セキュリティ:RISS、CISSP

    • アジャイル:CSM、CSPO • 趣味:筋トレ、柔道 • これまでの旅路 ↓↓ 4
  2. アジャイルとは何か? • アジャイル • スクラム • XP(eXtreme Programming) • カンバン

    • DevOps • リーンスタートアップ • テスト駆動開発 10 これらは何が起源で、どのように生まれていったのでしょうか?
  3. アジャイルの歴史 11 1950-1970 ・トヨタ生産方式 1970~ ・ウォーターフォール Royce氏の論文に、リレー方 式で分かりやすい図があり、 それが誤って解釈されて、主 流になる。

    1995 ・スクラムが一般公開 2001 ・アジャイルマニフェストが制定 https://www.orangescrum.com/tutorial/agile-scrum-management-an-overview/introduction-to-scrum-methodology 1996 ・XP (Extreme Programming) 2008 ・DevOps 2010 ・スクラムガイド 初版 アジャイル起源 2007 ・カンバン 2011 ・リーンスタートアップ 1986 ・論文「新たなる新製品開発の 方法」 ラグビー方式の製品開発手法の提案 (本書籍の元ネタ ) https://www.praxisframewo rk.org/files/royce1970.pdf WFの起源
  4. アジャイルの4つの価値 • 対話で共通理解を作り、顧客価値から始めて、頻繁にコラボレーションして、変化に 柔軟になりましょう、という感じ。 13 ツールはこだわらない。それよりもチームや顧客 と対話を通して目標や現状を共有 できている か? 最初から100%のドキュメントを作ってから開発し

    なくてもいい。顧客価値から始める 。ただしドキュ メントを作らなくていいわけではない。 契約の壁で守るだけでなく、顧客を含めてコラボ レーションして一緒に作り上げるという関係構築 が大切である 。顧客に早くからフィードバックもら うのも大事。 顧客に価値があることなら、変化を受け入れる 。 ただし、計画やタスク量も柔軟に変化させて交渉 し合意をとっていく。 https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html
  5. アジャイルの12の原則 15 # 私たちは以下の原則に従う: 要は…(意訳): 1 顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します。 顧客に価値を提供し続けよう 2 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。

    変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます。 変化はチャンス、変化に強くなろう 3 動くソフトウェアを、 2-3週間から2-3ヶ月というできるだけ短い時間間隔でリリースします。 タイムリーにフィードバックを得よう 4 ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して日々一緒に働かなければなりません。 共に働きワンチームになろう 5 意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。 環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。 信頼し、自己組織化を目指そう 6 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。 直接会話し議論を面倒がらないようにしよう 7 動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です。 進捗も品質も現物で確認しよう 8 アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。 一定のペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。 リズムよく走り続けよう 9 技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意が機敏さを高めます。 高いスキル・意識が品質を良くしよう 10 シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にすること)が本質です。 無駄を排除しよう 11 最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的なチームから生み出されます。 良いチームになり価値の高い成果を出そう 12 チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、 それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。 ふりかえりを行い、継続的に成長しよう
  6. アジャイルではないものとの比較 「アジャイル」ではない • 一連のルール • ガイドライン • 単なるマインドセット • 単なる方法論(プラクティス)の集まり

    「アジャイル」である • マインドセットとプラクティスが容赦なく繋がり、 • チーム(組織)自身が原則やプラクティスをどの ように適用するかを決め、 • チーム内の各自が、共通の目標と価値観に向 かって協力すること。 19 マインド セット プラクティ ス 目標 チーム(組織) ルール ガイド ライン 方法論 マインド
  7. アジャイルとは何か? • アジャイルとは「ムーブメント※」である • アジャイルの定義は、 「不確実で大荒れの環境で成功するために、変化を作り出し それに対応する能力」(by 17 人の伝道者) •

    アジャイルなチームとは、「 上記能力を身につけるべく、ムー ブメントを起こしていけるチーム 」を指す 20 ※ムーブメント:ある目的や価値観を中心に、人々が共感し、行動を起こし、広がっていく流れ
  8. 脅威モデリングの4つの問い(Recap) 29 https://threatmodeling.connpass.com/event/346487/ →モデル作成 →STRIDE / MITRE ATT&CK / Attack

    Tree .. →DREAD / Priority .. →ふりかえり プラクティス ▪どのようにシステムが攻撃され得るかを理解する ▪4つの質問
  9. 「脅威モデリングの罠」にはまっている4つの兆候 • 脅威モデリング は大失敗だった。だから別の リスク評価方法 を試そう! ◦ 上手くいかないからといって、移り気にフレームワークを変えていく • 脅威モデリング

    について話すだけで 脅威モデリング した気になる ◦ 専門用語にこだわる。もしくは特定のヒーロー的な人物に依存する。 • この組織の問題について話しているのに他の組織の話を持ち出して反論する ◦ 別の会社や世間がその方法で成功しているからと言って真似する • 脅威モデリング の適用自体が目的となってしまい、手段であるということを忘れてしま う ◦ 脅威モデリングは全社導入している!でも変わったことはあまりない。 セキュリティは相変わらず私たちセキュリティチームの仕事である 32
  10. 「フレームワークの罠」 • 表面的にスクラムなどのフレームワークを導入しても、組織 文化や目的が不明確なままだと形骸化する。 • なぜなら、根本原因が放置されるからだ。 34 1. 今の仕事のやり方は柔軟性に 欠けていて遅い

    2.柔軟で早くなれるアジャイルフ レームワークを選ぼう 3.アジャイルのプラクティスに表面的 に従う。なぜ柔軟性に欠けていて遅い のかを考えはしない 4.仕事のやり方が元に戻る。相変 わらず根底にある組織の問題に影 響を受け続ける
  11. 「フレームワークの罠」にはまっている4つの兆候 • 今の手法やフレームワークは大失敗だった。だから別の新しいのを試そう! ◦ 上手くいかないからといって、移り気にフレームワークを変えていく • アジャイルについて話すだけでアジャイルになった気になる ◦ アジャイル用語にこだわる。会議がアジャイル用語であふれるようになる •

    この組織の問題について話しているのに他の組織の話を持ち出して反論する ◦ 別の会社や世間がその方法で成功しているからと言って真似する • アジャイルプラクティスの適用自体が目的となってしまい、手段であるということを忘 れてしまう ◦ アジャイルプラクティスは全部導入している!でも変わったことはあまりない。組織 も相変わらずサイロ化していて、計画も2年サイクルのまま。 35
  12. 「フレームワークの罠」から逃れる方法 【①意義のあるものにする】 ・ゴールと課題を設定する ・問い: 「自分たちの具体的なゴールは何か?現在のやり 方がどうゴールの達成を阻んでいるか?」 41 1. 今の仕事のやり方は柔 軟性に欠けていて遅い

    2.柔軟で早くなれるアジャ イルフレームワークを選ぼ う 3.アジャイルのプラクティス に表面的に従う。なぜ柔軟 性に欠けていて遅いのか を考えはしない 4.仕事のやり方が元に戻 る。相変わらず根底にあ る組織の問題に影響を受 け続ける 【②自分のものにする】 ・アジャイルの価値と原則を使って変化する ・問い: 「自分たちの具体的なゴールを達成するために役 立つアジャイルの価値と原則は何か?」 「なぜ」から問い直し、価値と原則に沿った自分たちのやり方を見つける
  13. 脅威モデリングを浸透させるための「セキュリティ専門家の5つの役割」 • ビジネス目標につなげて伝える ◦ ビジネス目標の達成のために脅威モデリングを軸にしたアプローチが必要という説明できれば拒否しにくい。 ◦ そのためには、セキュリティ戦略が必要。 • 最初は小さく始める ◦

    いきなり組織全体に大きく始めようとすると、反対意見などに押しつぶされてモチベが続かない。 ◦ 賛同してくれるチームを見つけて、トライアルで実験する。 ◦ 脅威モデリングも最初から完璧でなくていい。繰り返しやるので、価値に影響のあるリスクを順に対処していけば、おのずと良いものに なる(と信じるし、チームにも伝える) • 軽量な脅威モデリングのやり方(テンプレートなど)を用意する ◦ 軽量にできるテンプレート(モデリング用テンプレート、質問テンプレートなど)を用意しておく ◦ その使い方を最初に教育して、後はチームの持ち物になるように支援する。 • メカニズムを作る ◦ セキュリティチャンピオンプログラムを作り、チームの中にセキュリティの楔を作る ◦ 会社の人事評価に絡めて、セキュリティを主体的に取り組むチームやエンジニアのインセンティブになるようにする • セキュリティ専門家はコーチのように振舞う ◦ まるでセキュリティ版スクラムマスターのように。 ◦ セキュリティチャンピオンプログラムを始めているなら、セキュリティチャンピオンのコーチになる。 56
  14. まとめ • アジャイル脅威モデリングとは、 「価値とプラクティスが容赦なく繋がったセキュリティ文化醸成のための  ムー ブメント」 と捉えることができる。 ◦ チームが、価値・原則を活かして、どのように脅威モデリングを実施するかを自分たちで決めて、そ れを継続的に実施していき、それが組織に広がる •

    アジャイル脅威モデリングを活用することで、 「セキュリティがチームの持ち物になり、セキュリティを自律して考えて  実践する組織作り」 に寄与することができる。 • アジャイル脅威モデリングを浸透させるために、 「ビジネス目標に整合する方向性やメカニズムを作り、罠に陥らずに、  少しずつ組織に浸透させるための支援」 が必要。 それがセキュリティ専門家の役割。(ティーチングとコーチング) 58