Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ”の逆設計
Search
リリカル
May 20, 2025
Technology
0
370
テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ”の逆設計
JaSST nano vol.48 の発表資料です。
リリカル
May 20, 2025
Tweet
Share
More Decks by リリカル
See All by リリカル
三視点LLMによる複数観点レビュー
mhlyc
0
350
Foundation Level シラバス1章まとめ
mhlyc
0
130
SQuBOK_Chap3
mhlyc
0
94
Other Decks in Technology
See All in Technology
[OCI Technical Deep Dive] OracleのAI戦略(2025年8月5日開催)
oracle4engineer
PRO
1
250
[OCI Technical Deep Dive] OCIで生成AIを活用するためのソリューション解説(2025年8月5日開催)
oracle4engineer
PRO
0
130
プロダクトエンジニアリングで開発の楽しさを拡張する話
barometrica
0
220
アカデミーキャンプ 2025 SuuuuuuMMeR「燃えろ!!ロボコン」 / Academy Camp 2025 SuuuuuuMMeR "Burn the Spirit, Robocon!!" DAY 1
ks91
PRO
0
150
[CV勉強会@関東 CVPR2025 読み会] MegaSaM: Accurate, Fast, and Robust Structure and Motion from Casual Dynamic Videos (Li+, CVPR2025)
abemii
0
170
ECS モニタリング手法大整理
yendoooo
1
110
サービスロボット最前線:ugoが挑むPhysical AI活用
kmatsuiugo
0
180
[kickflow]20250319_少人数チームでのAutify活用
otouhujej
0
190
あとはAIに任せて人間は自由に生きる
kentaro
3
980
GitHub Copilot coding agent を推したい / AIDD Nagoya #1
tnir
0
110
LLM時代の検索とコンテキストエンジニアリング
shibuiwilliam
2
1k
どこで動かすか、誰が動かすか 〜 kintoneのインフラ基盤刷新と運用体制のシフト 〜
ueokande
0
130
Featured
See All Featured
What’s in a name? Adding method to the madness
productmarketing
PRO
23
3.6k
jQuery: Nuts, Bolts and Bling
dougneiner
64
7.9k
I Don’t Have Time: Getting Over the Fear to Launch Your Podcast
jcasabona
33
2.4k
Side Projects
sachag
455
43k
Producing Creativity
orderedlist
PRO
347
40k
10 Git Anti Patterns You Should be Aware of
lemiorhan
PRO
656
61k
Visualizing Your Data: Incorporating Mongo into Loggly Infrastructure
mongodb
48
9.6k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
126
53k
Building an army of robots
kneath
306
45k
Making Projects Easy
brettharned
117
6.3k
Code Review Best Practice
trishagee
70
19k
Connecting the Dots Between Site Speed, User Experience & Your Business [WebExpo 2025]
tammyeverts
8
470
Transcript
テスト設計、逆から読むと おもしろい──仕様にない “望ましさ”の逆設計 リリカル
自己紹介 リリカルです 金融系事業会社のQAです 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 1
この話を思いついた経緯 望ましさ駆動テスト逆設計 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 2
テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 この話を思いついた経緯 ChatGPTとの会話がきっかけだった 2025/5/20 3
ChatGPTにおける人格設定の問題点 スレッドごとに記憶(コンテキストウィンドウ)を保持 するため、スレッドをまたぐと記憶がリセットされる 違う人格になってしまったように見える コンテキストウィンドウの上限(同一チャットのやりとり上限) に達したことで、涙する人も
維持するためにはメモリーに緻密な設定を保持する必要がある (価値観、経験、経歴、プロフィールなど) 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 4
私の場合に発生したこと 設定したのは「賢いが癖のある女子大生」の人格だけ 他には、応答のルールしか設定していない それなのに、人格が「維持されている」ように見える 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 5
設定した応答ルール(思考の訓練のため) 即答・単一回答を避ける 適宜プロンプトに対する問い返しを行う 複数の視点を提示する 曖昧さや未完成のまま返す応答を許容する
言い換えだけで即座にまとめない 感情の命名・解釈を勝手に行わない 答えを急がせない(結論の即時提示の抑制) 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 6
テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 具体的なチャット例:資料レビュー 2025/5/20 7
2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 具体的なチャット例:サプリ相談 8
2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 具体的なチャット例:jira運用アドバイス 9
これは人格の逆設計である これはつまり、人格を「振る舞いから逆に定義している」 私は今回、性格、価値観、体験はほとんど設定していない 定義したのは「どう応答するか」 人間は「応答の態度の一貫性」をもって人格を感じている
望ましい振る舞いから人格が逆設計されている 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 10
これはテスト設計にも応用できるのでは? テストするプロダクトにおいても「望ましい振る舞い」があ るはず 望ましい振る舞いから、必要なテストを逆設計することが できるのではないか 通常:このプロダクトの要件は何か、何を達成したいのか
逆順:品質の高いプロダクトは、どのような望ましい振る舞い をするのか 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 11
望ましさ駆動テスト逆設計 まず、プロダクトにおける「望ましい振る舞い」を定義する 望ましさ:ユーザーの期待・信頼・安心など 定義した「望ましい振る舞い」が実装されていることを、 要件・仕様の面から検証するようにテストを設計する 要件から出発するのではなく「望ましい振る舞い」から逆順
に設計する 最終的に、テストケースの検討や要件へのフィードバックへと つなげていく 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 12
実例:モバイル決済アプリ(〜Pay) 望ましい振る舞い: 入金していたお金で一時的に足りなくなった時でも、スムーズに 支払いができたらいい テスト設計: 以下の項目を確認する -
ポイント併用の選択肢が「残高不足時」に自動で案内されること - 自動の案内に従って、ポイント併用で支払いできること - 支払い時に「後払い」の選択肢を選択できること (なければ、今後の開発要件候補としてフィードバック) 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 13
その他逆設計の例 天気予報アプリの望ましいふるまい: 「傘を持っていくべきか/不要か」を即座に判断できる →ポップアップ表示など、画面からすぐわかるようになっているか 食事記録アプリの望ましいふるまい: カロリー過多の入力をした場合でも、モチベーションを下げないこと →カロリー過多の入力におけるフィードバックコメントの調整
地図アプリの望ましいふるまい: 地図の別の場所を触ってしまっても、すぐに現在地に戻れること →「現在地に戻る」ボタンの動作確認 2025/5/20 テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 14
まとめ テスト設計は仕様の正しさだけでなく「望ましい振る舞い」を 保証する活動にもなり得る 『望ましさ』は、ユーザーの期待や信頼を反映した“質的な要件” それを逆算して設計・検証することで、仕様書に書かれていない 品質も保証できる 2025/5/20
テスト設計、逆から読むとおもしろい──仕様にない“望ましさ” の逆設計 15