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エージェントAI フレームワーク 2025 年版

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October 12, 2025

エージェントAI フレームワーク 2025 年版

エージェントAI フレームワーク 2025 年版

包括的比較分析レポート

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October 12, 2025
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Transcript

  1. 本日のアジェンダ 1. エージェントAI の核心概念 AI の新しい潮流を理解する 2. 市場の主要トレンド フレームワーク選定の「軸」を知る 3.

    主要フレームワーク比較 Enterprise vs. Open-Source 4. ユースケース別 戦略的推奨 あなたに最適なツールはどれか 5. まとめと今後の展望 2
  2. 1. エージェントAI の核心概念 AI エージェント 環境を認識し、自律的に目標達成のために行動するシステム LLM を思考エンジンとして活用 オーケストレーション 複数ステップやツールを協調させ、複雑なタスクを完遂させるプロセス

    マルチエージェントシステム (MAS) 複数の専門エージェントが協調し、大規模・複雑な問題を解決 RAG ( 検索拡張生成) 外部データでLLMの知識を補強し、回答精度を向上・ハルシネーションを 抑制 3
  3. 2. 市場の主要トレンドと選択基準 フレームワーク選定における3つの重要な対立軸 ①プロトタイピング vs. 本番環境 PoC の速さか、本番運用の信頼性・拡張性か 「プロトタイピングの罠」 に注意

    ②ローコード/ノーコード vs. コードファースト 非技術者でも使える手軽さか、開発者のための柔軟性・制御性か ③オープンソース vs. プロプライタリ コミュニティ主導の柔軟性か、ベンダーの手厚いサポートか 「ベンダーロックイン」 のリスク 4
  4. IBM watsonx Orchestrate 概要: ビジネスワークフロー自動化のためのエンタープライズ向けプラットフ ォーム ターゲット: 既存ビジネスシステム (SAP, Salesforce

    等) との連携や、厳格なガ バナンスを求める大企業 利点 事前構築済みのビジネスエージェント ハイブリッドクラウド対応の柔軟性 強力なガバナンスとセキュリティ 弱点 高コストで学習曲線が急 6
  5. Google のデュアル戦略: Agent Builder & Opal Google はターゲットに応じて2つの製品を提供 1. Agent

    Builder ( 開発者向け ) Python コードでエージェントを構築する Agent Development Kit (ADK) を含む、包括的なプラットフォーム マネージドな実行環境や A2A プロトコル を提供 2. Opal ( 非技術者向け) 自然言語で「ミニアプリ」を作成できる無料の実験的ツール 実験的な位置づけで、機能制限あり 7
  6. OpenAI Agent Builder 概要 : OpenAIエコシステム内でワークフローを視覚的に構築するツールキット ターゲット: 既に OpenAI プラットフォームを利用している開発者

    利点 OpenAI モデルや APIとのシームレスな統合 ドラッグ&ドロップによる視覚的な開発 弱点 GPT モデルへの完全なベンダーロックイン 機能は成熟途上で、大規模なRAG には不向き 8
  7. Dify 概要: RAG, エージェント, LLMOps を統合したオールインワンのプラットフォー ム 利点 必要なツールが全て揃った統合開発体験 BaaS

    (Backend-as-a-Service) 概念により本番デプロイが容易 幅広いLLM をサポート (モデル非依存) 弱点 自己ホスティングには高度な DevOps スキルが必要 多機能ゆえの学習曲線 10
  8. n8n 概要: 数百のアプリ/サービス連携に長けたワークフロー自動化プラットフォー ム 利点 400 以上の豊富な連携機能が最大の強み GUI とコード (JS/Python)

    のハイブリッドアプローチ 強力な自己ホスティングオプション 弱点 AI 機能は後付けであり、AI ネイティブ設計ではない ライセンスが厳格なオープンソースポリシーの障壁になりうる 11
  9. AutoGen & crewAI AutoGen (Microsoft) マルチエージェント間の複雑な対話を構築するためのフレームワーク 強み: 高い拡張性、優れた観測性 弱み: 学習曲線が急で、シンプルなタスクには過剰

    crewAI 役割 (Role) を与えられたエージェントチームでタスクを遂行 強み: 直感的で分かりやすい概念、優れたパフォーマンス 弱み: Python 知識が必須 12
  10. LangChain/LangGraph & LlamaIndex LangChain / LangGraph 市場で最も普及しているLLM アプリ構築の基盤フレームワーク 強み: 巨大なエコシステム、LangGraph

    による高い制御性 弱み: 複雑な抽象化 (デバッグ困難)、頻繁な破壊的変更 LlamaIndex RAG パイプライン構築に特化したデータフレームワーク 強み: RAG における最高クラスの機能とカスタマイズ性 弱み: RAG 以外のタスクには柔軟性が低い 13
  11. あなたに最適なフレームワークは? 大企業向け 推奨: IBM watsonx Orchestrate or Google Agent Builder

    (ADK) 理由: ガバナンス、セキュリティ、既存システムとの統合を重視 スタートアップ・中小企業向け 推奨: Dify , crewAI (AMP) , n8n 理由: 機能、柔軟性、コストのバランスが良好 個人開発者・研究者向け 推奨: AutoGen , LangGraph , LlamaIndex , crewAI (OSS) 理由: 最大限のコントロールと柔軟性を提供するコードファーストなOSS 非技術者・ビジネスユーザー向け 推奨: Google Opal , Dify (No-Code) , LangFlow 15
  12. 今後の展望 機能の収斂 プロトタイピングツールと本番環境向けツールの差が縮まる 競争の激化 オープンな標準 (A2A 等 ) vs. クローズドなエコシステムの対立

    "AgentOps" の台頭 セキュリティ、観測性、ガバナンスを専門とするツールが登場 変化に対応し続けるため、柔軟性のあるフレームワーク選定が不可欠 16