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インパクトレポート2026

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October 05, 2026

 インパクトレポート2026

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Transcript

  1. Chapter Chapter 1 わたしたちについて ビジョン ・・・・・・・・・・・・・ 0 1 ミッション・バリュー ・・・・・・・

    03 代表メッセージ・会社概要 ・・・・ 05 沿革 ・・・・・・・・・・・・・・ 07 Chapter 2 社会課題 機会格差とは? ・・・・・・・・・ 09 機会格差の実態 ・・・・・・・・・ 1 1 機会格差の課題構造マップ ・・・・ 15 ネッスーが実現したいこと ・・・・・ 17 Chapter 3 1 Vision ビジョン すべての こどもたちが、 公平に、 未 来へ挑める社会 ネッスーは、創業 4 周年を迎えた 2026年 6月10日、 新たなビジョンとミッションを策定しました。 これまでわたしたちは、こどもたちが置かれた 環境によって、食や体験の機会が左右される 現実に向き合ってきました。その課題を正確に 伝えると同時に、こどもたちやその家族にあた たかく届く言葉で未来を示したい。 そんな想いから、ビジョン「すべてのこどもたち が、公平に、未来へ挑める社会」と、ミッション 「さだめに、いどめ。」を掲げました。 こどもを想う多くの人たちとともに、社会課題 に向き合う事業を作り、持続可能な仕組みと して社会へ広げていきます。 事業と社会的インパクト ネッスーの 3 つの事業 ・・・・・・・ 19 社会的インパクト ・・・・・・・・・ 21 財務ハイライト ・・・・・・・・・・ 22 サーキュラーデザインラボ ・・・・・ 23 地域創生事業 ・・・・・・・・・・ 25 食と子育て支援事業 ・・・・・・・ 29 トピックス ・・・・・・・・・・・・ 33 Chapter 4 共創パートナーとの取り組み 社会的インパクトの最大化を追求した、 資金調達のかたち 伊藤 大貴さん(ソーシャル・エックス) × 川場 享さん(QR インベストメント) × 木戸 優起(ネッスー) ・・・・・・・・ 35 はがして再資源化できるプラ容器で、 継続的なこども支援 藤永 真吾さん(プレナス) ・・・・・・・ 41 リサイクル容器の支援が こども食堂の可能性を広げる 高尾 久子さん(砧子ども食堂 そら豆) ・・・ 44 自社で排出する古紙を段ボール調達へ 江原 聖二さん(デリカフーズ) ・・・・・・ 45 病気と闘うこどもに付き添う家族を支援 光原 ゆきさん(キープ・スマイリング) ・・・ 46 能登の特産品を、全国のこどもたちへ 玉地 大輔さん(能登町 ふるさと振興課) × 時長 弘志さん(能登町 農林水産課) × 笹野 好伸さん(奥能登食材流通機構) ・・ 47 未利用食品を活用した共創プロジェクトで こどもたちへの食支援を持続可能に 武田 建さん・早乙女 晴子さん(味の素)・・・ 51 01 02
  2. Chapter 1 Mission ミッション わたしたちについて Values バリュー ネッスーの価値は、「ひと」によって作られます。信頼を築く誠実さ、結果を出し続ける鋭さ、そして多様な人や知恵、 願いをつなぎ、新たな価値を生み出す力。これらのバリューを具体的な行動に落とし込んだものが、9 つのマインドです。

    この 世 の 中 は 不 平 等 だ 。 社 会 からの 信 頼を得るために 結果を出すために 持 続 可 能な仕 組みを 社 会 実 装 するために 誠 実に トガる つ なぐ Kindfulness Keenness Initiativeness だ からこそ 、すべてのこどもたちに 公 平 なチャンスが あってほしい 。 どん な 逆 境 にあっても 、希 望を胸 に 、 未 来 に挑 んで ほしい 。 そん な 社 会 を実 現 するために 、 ネッスー はたた か います 。 Mind 01 Mind 04 Mind 07 誰に対しても情 理を尽くし、 期 待を超えるひと ラストマンシップをもって 、 とことん思考 するひと 当事 者 意 識をもって、物事の 矢面に立って取り組むひと Mind 02 Mind 05 Mind 08 机 上だけで完 結させず、 現 場を大 切にできるひと これ 以 上ないスピード感を もって、物事に取り組むひと みんなの願いをまきこんで 、 チームを作っていくひと Mind 03 Mind 06 Mind 09 いつでもごきげんに 、 周りを明るくするひと スキルを磨き、自身と社 会を 変 革し続けるひと 多様な引出しをもち 、 それをつないで 価 値を生み出していくひと さだめに 、いど め 。 わたしたちは 、同じ願 い を 持った 家 族 や 個 人・企 業と連 携し 、 社 会 を変 える仕 組 み を 生 み 出 すことで 、 願 い をつなぎ 、こどもたちに 希 望を届けます 。 『 社 会 課 題 を解 決 する事 業 は 難しい 』 そん な 運 命 にもわたしたちはいどんで いく 。 いつまでも 、どこまでも 。 すべてのこどもたちや 、 こどもを 想うみなさんとともに 。 04
  3. Chapter 1 わたしたちについて Message 代表メッセージ ひとつでも多くの笑顔を、 一緒に。 日頃から、ネッスーの活動をご 支援いただき、 母子世帯の割合は

    82.1%と、前回調査の 75.2% ありがとうございます。おかげさまで、無事に4 周年 を大幅に上回っています。これには、物価の上昇 を迎えることができ、5 期目に入りました。 や地 域のつながりの希薄化が 背景にあるのでは 5 期目では、ビジョンを「すべてのこどもたちが、 ないかと考えています。物 価 上 昇 だ け で なく、 公平に、未来へ挑める社会」と刷新するとともに、 やむを得ない事情ですが部活動の有料 化なども ミッション「さだめに、いどめ。」を策定し、より 進んでおり、こどもの公平な機 会が奪われている 力強く社 会 課 題の解 決に向き合っていく覚 悟で 現状が、多くの連携団体から寄せられています。 す。このたび、昨年に続きインパクトレポートを こうしたこどもの 機 会 格 差 の 深 刻 化 に 際し、 発行しましたので、ご覧いただければ幸いです。 課 題 解決の速 度を高めるべく、今期は初のエク 先般、厚生労働省が発表した「2025 年国民生活 イティ調達も実施しています。この 1 年も、ひとつ 基礎調査」によると、2024 年のこどもの貧困率は でも多くのこどもやその家族の笑顔を生み出して 11.0%と、前回(2021 年)の 11.5%と比較して微減 いきたいと思います。この想いに共感していただ にとどまりました。まだ 200 万人ほどのこどもが ける皆さんが、こどもの 機 会 格 差 解消にともに 苦しい 経 済 環 境 で 暮らしているとみられます。 いどむ仲間になっていただけるとうれしいです。 また、生 活 意 識 の 状 況で、「苦しい」と答えた 代表取締役 木戸 優起 Company 会社概要 会社名 ネッスー株式会社 従業員数 役員1 名、正社員22 名、業務委託 6 名、インターン2 名 本社・事業所所在地 ※2026 年 9月末日現在 代表者 東京本社 木戸 優起 資本金 2022 年 6月 10日 500 万円 : 〒155-0032 東京都世田谷区代沢 4-44-4 つくば事業所 : 〒305-0841 茨城県つくば市御幸が丘 34 番 inno-base TSUKUBA 加盟団体 設立 東京本社 一般社団法人インパクトスタートアップ協会 一般社団法人こどもDX 推進協会 北海道支社 九州支社 札幌事業所 : 〒062-0905 北海道札幌市豊平区豊平 5 条 3-2-27 SAKURAーGAKUENMAE E 室 旭川事業所 : 〒070-0036 北海道旭川市六条通 8-36-25 セントラル旭川ビル 5 階 - C 室 福岡事業所 : 〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名 2-6-11 Fukuoka Growth Next 2 階 - SO- 8 号室 ※2026 年 5 月末日現在 05 06
  4. Chapter 1 History 沿革 6月 8月 12 月 ネッスー株式会社設立 世田谷区地域連携型ハンズオン支援事業

    「SETA COLOR(第二期)」に採択 寄付食品物流ネットワーク構築の 実証実験開始 東京農業大学と共同研究契約を締結 2022 1月 4月 4月 1月 「SETA COLOR」最終報告 ピッチにて優秀賞を受賞( 01 ) 8月 9月 一般社団法人 こども DX 推進協会に加盟 12 月 神奈川県三浦市・横須賀市の参画のもと、 「こどもふるさと便」のサービスを本格開始 5月 事業拡大と人員増加を見据え 世田谷にオフィス移転 環境省「令和 5 年度 食品の消費行動に伴う食 品ロス削減 対 策導入モデル 事 業 “部門Ⅱ 売れ残り食品廃棄防止 対策導入モデル事 業”」に採択 12 月 一般社団法人インパクトスタートアップ協会に 正会員として入会 北海道旭川市が 「こどもふるさと便」に参画 東京海上日動火災保険と 全国規模の食品ロス削減に向け連携開始 保育園で受け取れるネットスーパー 「ネッスー」のサービス開始( 02 ) 10 月 2023 わたしたちについて ライフコーポレーション・SFAと連携し、 小売店の食品ロス削減とこどもへの 食支援の両立を目指す実証実験を開始( 03 ) 石川県より 「令和6 年能登半島地震地域コミュニティ 再建業務」を受託し、震災復興活動を開始 石川県(広域自治体)が「こどもふるさと便」に参画 農林水産省「令和6 年度食品ロス削減緊急対策事業のうち “未利用食品の供給体制構築緊急支援事業”」に採択 5月 6月 「こどもふるさと便」 ポータルサイト 一般社団法人 AgVenture Lab 主催 「JAアクセラレーター(第 7 期) 」に採択( 04 ) 長崎県対馬市が「こどもふるさと便」に参画 環境省「令 和7年度 食品の消費行動に伴う食品ロス 削減対策導入モデル事業 “部門Ⅱ 売れ残り食品廃棄 防止対策導入モデル事業”」に採択 9月 10 月 11 月 7月 1月 消費者庁「令和 7 年度食品ロス削減推進表彰」にて 消費者庁長官賞を受賞 4月 食品マッチングサービス「ステナス」のサービス開始 5月 「チアドン」 EC サイトイメージ 環境省主催「第 13 回グッドライフアワード」で 実行委員会特別賞を受賞 北海道・茨城・九州に事業所を開設 8月 「未利用食品の活用推進コンソーシアム」を設立( 06 ) 廃棄ホタテ貝殻をアップサイクルした循環素材を 「環境広場さっぽろ 2026」で初展示 「こどもふるさと便」が 第 20 回キッズデザイン賞を受賞 10 月 児童扶養手当受給世帯限定 EC サイト 「チアドン」オープン 宮崎県都城市が「こどもふるさと便」に参画 2026 「こどもふるさと便」が 6 自治体・6 団体と 本格連携を開始 し、ポータルサイトにて公開 「OKINAWA Startup Program 2025-2026」に採択 01 2023 年 4 月 「こどもふるさと便」の 「寄付サンクスレター 2025」が、 寄付月間大賞 2025 寄付月間企画大賞を受賞 「こどもふるさと便」で 旭川市のロングライフ牛乳プロジェクトを開始 農林水産省 「令和 7 年度 食品ロス削減緊急対策事業のうち “未利用食品の供給体制構築緊急支援”」に採択 長崎県壱岐市、石川県能登町、北海道音更町が 「こどもふるさと便」に参画 「こどもふるさと便」旭川市の取り組みが、 ふるさと納税自治体連合表彰で優良事例に選出( 05 ) 12 月 Forbes JAPAN 「NEXT IMPACT STARTUPS 30」に選出 プレナスとの「リサイクル可能なプラスチック 容器 寄贈プロジェクト」を開始 02 2024 年 9 月 03 2024 年 10 月 04 2025 年 5 月 05 2025 年 11 月 06 2026 年 5 月
  5. Chapter 2 社会課題 Chapter 2 機会格差の現状 機会格差とは、もっている資本のちがいによって、こどもたち一人ひとりの「望む未来へ挑む機会」に差があることです。 機会格差とは? 資本に乏しい こども

    しかし、生まれた家庭環境や出身地域、こども自身の状況のちがいによって、 こどもたち一人ひとりの選択肢や、望む未来へ挑む機会に、まだ大きな差があるのが現状です。 こども自身の資本 こども周辺のひとの資本 こどもの暮らす環境の資本 体が健康 家 庭からの支援が十 分 教育環境が充実 メンタルが安定 学 校 生活が安定 自然が豊か お金に困らない 地 域に居場所がある 文化資源が豊富 生まれつきの病気 家 庭の人手が足りない 教育資源が不足 落ち込んでいる 学 校 生活で生きづらい 自然が乏しい 貧困のなかにいる 地 域に居場所がない 文化資源が少ない 望む未来へ挑む機会 資本が豊富な こども 現在の日本では、各分野で機会均等化への取り組みが行われ、公平への意識が高まっているように見えます。 参考:一般財団法人社会変革推進財団ビジョンペーパー 09 10
  6. Chapter 2 社会課題 機会格差の実態 こども 経済的な困 の資本 のなかにあるこども 経済資本の課題 9

    人に 1 人が 日本のこどもの とは 的 は 1980 年代から なり、 しも 食 の いであり、OECD に事 く 病気や だけを は めとするさま まな機会へのアクセスが のなかでも高い水 すものではありま んが、 られ、 な に置かれやすい です。 的な 的 は によって、 的 うこどもは 2 5 難 に 日本 団によると、 や体験を 向があります。 的 アとともに暮らすこども 身体資本の課題 定 や のこどもなどを め、 にわたって かす」「 を長 が続く」という 4 つの 日本の (%) 70 63.1 60 50 51.4 50.1 53.5 対的貧困率の推移 58.2 58.7 54.3 50.8 54.6 50.8 48.3 44.5 44.7 40 30 20 12.9 12.8 12.2 13.4 14.4 13.7 14.2 15.7 16.3 13.9 14.0 11.5 10 0 11.0 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 2012 2015 2018 2021 2024 的な ひとり 世 では 2 人に 1 人が に ひとり に し、 人 世 の 出 :日本 は 44 7 子世 めています。ま 130,000 た、生 について「 しい」と え 120,000 た 合は、 子世 世 の平 の が では 82 1 を大きく と、 っています。そ には、 や の未 いなど、世 の 力だけでは 社 会 的な が あると しにくい えられます 。 世 出 : 生 の 7)年 や を 的に 定 的 アを とするこども、 定されていない とされています。そのなかには、 「 にわたって生 たす「 の を さ る」「長 」とともに らすこどもや、日 に しない地 にわたって高 な 生 を るために、 や社会生 の推移 120,585 113,159 未公 118,277 107,952 100,000 25,000 10,000 の くり」 110,000 」 する」「生 とするこどもがいます。 の子どもと家族が 9,987 16,575 18,272 19,712 20,180 20,382 20,385 19,238 21,126 13,585 8,438 10,413 9,967 20,155 18,951 17,209 15,892 14,886 13,968 15,000 生 が長 20,000 こどもの 「2025( 、日 と 病に苦しむこどもの その多くを 新 ひとり 的 アを 団「 定 に向き合うこどもは 25 万人 人 10,702 5,000 学 の体験をさせてあげられない理 として 「経済的理 」を選択した割合 56.3% 世 年 300万円未 出 11 43.0% 300 ~599万円 :公 社団法人 ャンス・フ 「子どもの 体験 実 16.9% 600万円 ー・ ルドレン 」(2023) 所 家 ほど、 的な で こどもの体 会が ら ている 0 定 出 : ス ー や ンス、 など、こども の の体験 動は、 や などに ジ しかし、 所 な 家 を では、 動への があります。 を め るを を 生 えます。 的な から、こどもがやってみたいと う体 験 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 ない実 こどもは、 プ ー 定 こども家 なくさ 、 や の 会が 日本の周産 け れ体 データベースの登 の ・新生 の進 在 の 的 ア の推 定 について( データベースへの登 8年1月 正)」 値(0-19 ) 」、 ら ることも によって で2 万人を えています。 いや、周 の によって、社会から センター「 「 的 ア 人 などに や われる が える一 、在 で日 的な 的 アを 的 アとともに らすこどもとその家族は、地 することがあります。 することがないような が 的 アや、福 、 や などの とする による 的ア とされています。 12
  7. Chapter 2 社会課題 機会格差の実態 機会格差の実態 こども を感 、 のひとの資本 して

    れる人が周りにいないこども こどもの 2 5 が を 50 が地 に みを こども家 た して は、すべてのこども・ 場所 くりが みを こどもの らす 境の資本 が じ、 で る人がいない できる 場所を持てる社会の実現を に広がるよう、 り組みを推進しています。一 で、 体験機会が限られる地 し、こども・ の に っ として多くのこどもが を 、 地 体 に むこども に って、 会への クセスに がある る人や場所につながりにくいことを示すデータがあります。 の体験 どの 度 だと感 2.1 % るか(10〜14 10 14 の の 1/4が を じている ) 0.9 % 5.4 してない % 行った とんどない 16.7% たまにある 時 42.8 % ある しばしばある・ にある が 202 5 年に 10 ~ 14 では、 2 5 を のこどもが ることがあると えました。 の には、い めや家 32.2 % まな があり、 す可能 があります。 動への できる には、家 動がない、会場までの が大きくなる場合があります。こうした地 に を さま くに だけでなく、 が い、 による 環境のちがいが、体験機会へのアクセスの の体験への参加( ( 7年 を 40 41.8 20 )」 地 の人には言えない 本 を る 22.4 う 17.6 13 24.3 20 わない 「こども・ 14.8 12.2 26.2 29.0 40 60 80 0.2 0.3 に、 みを 本 を 48.1 48.8 21.6 わない ( 7年 したり る人が 24.0 や 28.0 は、 み事を できる人や本 50 でした。家 23.9 を れも みを の場所で して ないことがうかがえます。 しも 体験 21.1 11.7 社会体験 的体験 体験なし 大都市 出 :公 社団法人 ャンス・フ ー・ ルドレン「子どもの 体験 に する家 は に 加する 実 」(2023) で で る人とのつながりが、 )」 た 合は、い や 動 53.4 30.7 大都市 い事などで について ないとする ス ー ・ 動 ない わる人との る人が 100 0 所の人をは め、 たとき、それ う そう 合 0.3 22.8 36.1 26.9 どちらかといえばそう どちらかといえばそう 出 :こども家 30.3 36.6 (%) 0 そう わり につながっています。 地域別) 10.2 地域の人との では、 するまでの 50 10 った時は けてくれる によるちがいもあります。地 になるなど、体験に 30 出 :こども家 「こども・ 合 でも みを できる人がいる らす地 迎が (%) 環境など に 学 の の体 え では 都市 では 業や アなどによる 豊 事業 が の体験を が い していることが多いのに し、地 合が多くなります。このことから、 の 事業 が多い都市 では の 体や の ラン が体験の が多く、 な体験機会があるといえます。 14
  8. Chapter 2 社会課題 機会格差の全体像 機会格差の課題構造マップ こども周辺のひとの資本 1 2 親や地域の 資本が乏しい

    地域の つながりが弱い この構造マップは、こどもたちが「望む未来へ挑む機会」に差が生じる背景を、簡易的に整理したものです。 「 1 親や地域の資本が乏しい」、「 2 地域のつながりが弱い」、「 3 暮らす環境の資本が乏しい」の3つを 直近で重点的に取り組む課題として設定しています。 こども自身の資本 資本に 乏しい こども 生まれ持った資本が 乏しい 社会や次世代に 資本を残せない 資本を強化できず 大人になる 社会での発言力が 乏しい 3 暮らす環境の 資本が乏しい [教育、自然、文化] 環境資本の偏在 [都市-地方] 資本のある人 / ない人の世界に 分 断が生じる 国や自治 体が必要な手を打てず 再分配が機能しない こどもの暮らす環境の資本 15 16
  9. Chapter 2 社会課題 セオリーオブチェンジ わたしたちネッスーが何を課題としてとらえ、どんな事業を行い、 ネッスーが実現したいこと 課題 1 社会に変化を起こす過程を図にまとめました。 実施事業

    食と子育て支援事業 未利用食品などを活用し、児 童 扶 養 手当受 給 世帯などやこども食 堂などの支援団体が、 安価に通販で買い物できるようにする 親や地 域が十分にこどもをサ 対象・出力 親の 買い物支援 おやこの時間や親の経済的・ こども食堂の 買い物支援 ポートできず、こどもが生まれ 地域の つながりが弱い 精神的な余裕が増え、 こどもの 機会を提供する下地が整う 望んだとおりに こどもを サポートできる 親や家族の増加 親や家 族が 持 つ、こどもの 持った資本の壁をこえられない 2 親・家族 生み出したい 変化 食品ロスの 削減 地域創生事業 自治体と連携し、地域の産業を振興するとと もに、ひとり親など資本が不足しがちな世帯や こども食堂に、食や体験の機会を提供する 地 域 の つ な が りが 弱く、サ ためのサポート手 段を充 実 させる 食や体験の 無償提供 地域 地域 産業振興と こども支援の 両立 ポートのための資本があって こども食堂など、こどもの居 場 所 の 運 営 負 担を 軽 減し、 参入を容易にするとともに活 こどもや家族が 頼れる人や 場所がある 地域社会の実現 動の持続可能性を高める もこどもに届かない 地 域事 業 者を元気にしなが ら、こども支援事業に巻き込 こどもの暮らす 環境の資本 3 暮らす環境の 資本が乏しい サーキュラーデザインラボ 廃棄 物を循環 活用した資材 調達の仕組みを 構築し、環境の持続可能性を高めるとともに、 こども食堂などへの寄贈も同時に設計する 寄贈付き 資材調達の 拡大 地域の 環境負荷低減 み、地域資本を充実させる 環境 教育や自然、文化の資本が十 循環型経済の地 域への実装 分でなく、こどもが 経 験でき を進め、食品ロスや産業廃棄 る機会に制限がかかる 物、GHG 排出量の削減によ こどもを取り巻く 環境の豊かさの 維持・向上 目指す 社会像 すべてのこどもたちが︑公平に︑ 未来へ挑める社会 こども周辺のひとの資本 親や地域の 資本が乏しい どのように「すべてのこどもたちが、公平に、未来へ挑める社会」を実現しようとしているのか、 り、地域の環境を守る 17 18
  10. Chapter 3 事業と社会的インパクト Chapter 3 こどもふるさと便| 地 域の産業振 興とこどもの機 会

    創出を、 ふるさと納 税で同時に実 現する ふるさと納 税で 地 域 事 業 者を応 援し 、 特 産 品 や 体 験 を全 国のこど も食 堂 や ひとり親 家 庭 などへ 届ける仕 組 みを開 発 ・ 運 営 。 寄 付 者 ネッス ー の 3つ の 事 業 サーキュラー デザインラボ には通常のふるさと納 税と同 様に返礼 品を 、 こどもたちには 食や 体 験を届ける 、「 うれしい!が 2 倍 」 の新 体 験を提 供しています 。 (CDL) 「すべてのこどもたちが、公平に、未来へ挑める社会」 というビジョンのもと、わたしたちは3つの事業を展 開しています。各事業について、向き合っている課題 や目指すべき姿などをご紹介します。 チアドン| 循環型資材調達の 設計コンサルティング サプライチェーンを、ひとつの循環に 食品関連企業と連 携し、 こども食 堂・子育て世帯を支援する 食品業 界で商慣習上発 生する未利用食品を有効活用しな がら、ひとり親家庭やこども食堂へ低価格で販売。家計負担 の軽減や食の確保を図り、食・子育て支援と食品ロス削減 の両立を目指します。 豊かな環境を未来につなげていくために、廃棄 物を出さず、資源として活用することを前 提と した経済活動を設計します。 ステナス| 未利用の生 鮮 食品をこどもの食卓へつなぐ 小 売 店 で 発 生 する未 利 用の 生 鮮 食 品を、ひとり親 家 庭 などの消費者へ安価に届ける仕組みです。削減が難しいと される生 鮮の食品ロスの削減と、子育て世帯への食 支援 の両立を目指します。 ネッスー| 食事の準備にかかる負担を減らし、 “おやこの時間”を生み出す 当日注文した惣菜やお弁当を、保育園のお迎え時に受け取 ることが できるネットスーパーです。買い物の負担を軽 減 し、おやこで過ごす時間や子育てのゆとりを生み出します。 19 20
  11. Chapter 3 事業と社会的インパクト 社 会 的インパクト 2025年 イ イト 、ネッスーの事業を通

    て生み出したこどもの機会や、 の広がり、 の を で します。 こどもたちへ生み出した 会の 的 2025年 の 高と、これまでの ネッスーの事業の 長を で 団体数 食 などの こども食堂や 年度別売上高の推移 を届けた 団体の 万円 2025年 社の 事業を通 た、こどもたちへの 食や体験の と、子 て家 の に わる 的価値の 高 600 500 年 + 年 + 年 240 % + 2 ,935 万円 (前年度 862万 596% 46% 5.88 億円 (前年度 4.03 ) ) (前年度 210団体) 資金 みの 300 200 100 239 403 588 0 2023年 2024年 2025年 年度別デット調達 万円 150 を実現した ・ 400 1 ,462 団体 デット 資 実 から、 します。 100 やプラス ックを し、 や 材として 138 した 50 3,571 トン 93 1.68 億円 年 + % (前年度 1 848トン) ※ 21 のインパクト 値は、2025 年 6 月 1日から 2026 年5 月31日までの実 に いて 出しています。 ※2025 年 の 務 0 30 2023年 2024年 0 値は、2025 年 6 月 1日から 2026 年 5 月31日までの実 に いています。 2025年 は 2026 年 5 月31日時 です。 22
  12. Chapter 3 事業と社会的インパクト ー ュ ー 取り イン 資 ン

    設 い資 の ン かな環境を未来のこどもたちにつなげる ー スチック 出 を し、 プライ ことで、 スト と環境に ーンを する した ール 材。 事業概要 イチ ーンを、ひとつの 豊かな環境を未 来につなげていくために、 ら生 る未 や を、さま まな ながら 1 つの プライ ーンでつなげ、 みを構築します。未 の を く、 が日 や ・ や価 の わ する仕組 に を まで するだけでな にも することで、 動のなかで合 的に できる 材・ な スチック し、2 0 2 6 年 7 月に 動したプ ジ クト。 「 っともっと」で し 定 の仕組みを の プレナスと 体か 業と 環 を起 し、環境 、 業や リ イク に 地 業 課題 解決 に するエ マーク ・ できる に で しています。 もたちが に 機 会の創出を 30 000 の を わる される タ や 食 プラス アップ イクル。 を原 ック (合 イク として し、 、 などの 材へ )への も 中。 ジ クト ーン の一 「リ・リパック」を のこども食堂などへ 環を の ッ 生原 を25 合したエ マーク 定 。 に て、 こども食堂向けにはが るフ ル き を することで環境 と社会 を 。 を原 に、 都 ・福岡・大 現場の と、こど し、2026 年 は合 定しています。 します。 を ッ イク した 生産 を ジ クト っている課題 こどもを取り く 境の かさの 北海道は日本の タ 持・ もの を原 では、 の の 日本の 1 人 が8 を え、 進と プライ と 合 を を らし、 し、 スト 古紙回 (%) 生 80 70 60 を通 は世 平 を が めていますが、 、木材 を 社会を や しやすい仕組みを の を え、環境 ります。 します。さらに、 84.9 タ のアップ 79.5 81.6 81.7 も です。 に します。また、 に し、新たな 81.3 として し、 に どの素材として という地 出 :農林水産 「 課「 7年 水産 。一般 課題の 6年 生しています。 「 ・ と同 の 、年 14 9 万トン L 」はこの タ ・食 ・ を プラス ック な ちながら、水産 につなげています。 業・ 生 業生産 ( 」、北海道水産林務 6年 実 )」 林海 環境 長産業 イクルにも り組んでいます。 パートナー しています。 (kg) 81.1 の みプラス ックを原 率・利用率の推移 81.3 80.9 81.6 79.5 には新たな木材 が水産 の一 める一 01 1人当たりの 年間プラスチック廃 棄 物 発 生 80 60 63.9 63.9 64.3 64.2 64.1 64.3 64.3 67.2 66.0 66.3 66.8 66.6 66.7 団法人 生 進センター「2025年 40 20 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 出 :公 23 7 環 90 80.4 80.8 81.3 の ーンの たりプラス ック の 原 の9 ( 正 )」 0 「Re iona 72 kg 日本 02 36 kg ASEAN平 50 kg 世 平 出 :OE asti s Out ook or Southeast an East Asia」 (2025) メ ・大 合同新 ・ タイ ス ・日 水産タイ ス 03 24
  13. Chapter 3 事業と社会的インパクト 02 地 域 創生事業 こどもふるさと便 地域産業と連携し全国へ広がる支援の輪 「こどもふるさと便」の取り組みは、自治体との連携により全国各地に広がっています。旭川の米づくりや酪農をはじめ、

    音更の畑作、能登・対馬の漁業、壱岐の観光、都城の畜産と、連携する地域の産業はさまざまです。それぞれの地域 の顔となる応援品(特産品や体験)をこどもたちに届けるために、各地の産業に合わせた形で展開しています。 こどもの機会創出と地域の産業振興 旭 川市 音更 町 低・未利用魚 「海の再生 × 食支援」を掲げ、市場に流通しにくい低・未利 用魚や水産加工品を届けます。魚食文化を学ぶ機会を作ると ともに、食品ロスの削減と対馬の水産業の支援につなげます。 事業概要 返礼品も、こども支援も。「うれしい!が2倍」のふるさと納税 観 光・体 験 「こどもふるさと便」は、ふるさと納 税のポー 肉 タルサイト。寄付者が自治体に寄付をして返礼 品を受け取る点は一般的なふるさと納税と変わ りません。違うのは、その寄 付によりこども支 米・ロングライフ牛乳 市内の観光施設での体験チケットを無償提供し、滞在費も助 成します。こどもの体験機会の格差解消と、壱岐の観光振興・ 関係人口の創出につなげます。 肉用牛・豚・鶏の産出額日本一の「お肉のまち」都 城から、 こども食堂では確保が 難しいお肉を届け、豊かな食の機 会と 都城の畜産の魅力を全国に伝えます。 旭 川産のおいしいお米と、常温で長 期保存できるロングライ フ牛乳をお届けします。お米は累計 100トンの支援を目標とし、 そのおいしさを広く知っていただく機 会につなげます。また、 ロングライフ牛 乳の提 供を通じて、こどもたちの栄 養を支え るとともに、生乳需要の創出や認知度向上を図り、旭川の酪 農業の持続的な発展に貢献します。 能登町 援も生まれるという体験です。集まった寄付金 人参、じゃがいも、玉ねぎの野菜セットを届けます。地 域の 生産者からの購入を通じて、十勝・音更の農業も下支えします。 で 特産 品(食 品 や自然 体 験 など)を購 入し、 産業振興に。事業者の収入ややりがいの向上、 魚 対馬市 年間需 給ギャップや 低・未利用魚などの食品 ロス解消も実 現します。購入した特産品や 体 定置網漁などで水揚げされた四季折々の能登の魚を届けます。 こどもたちの食支援とともに、震災で被害を受けた能登町の漁 業の復興を後押しします。 壱岐市 験は、支援を必要とするこどもたちに届けて機 会格差の解消を目指します。寄 付者にとって、 石川県 都城市 変わらず返礼品が受け取れる「うれしい!」と、 域事業者の課題も解決できる、社会課題解決 県産 農 産物 さつまいもやお米などの県産農産物を届けます。産地の特徴や 魅力を伝え、こどもたちの地場産品への理解を深めるとともに、 食育の促進につなげます。 こども支援に貢献できる「うれしい!」の 2 倍 の喜びがあるサイトです。同時に、自治体と地 野菜セット 石川県 協力パートナー プラットフォームとして育てています。 向き合っている課題 01 こどもの可能性を左右する機会の差 メディア掲載 02 日本では多くのこどもが機会格差にとらわれています。経済的要因では「こどもの 9人に 1 人、ひとり親世帯では 2 人に 1 人が 25 相対的貧困状態にある」とされ、身体的要因では「小児慢性特定疾病や医療的ケア児を含めた難病に向き合うこども ・N H K W O R L D JA PA N「B IZ S T R E A M」 ・西日本 新聞 は 25万人以上」と推計されるなど、さまざまな要因が機会へのアクセスを阻んでいます(P 11、12 のグラフ参照)。一方で、 ・テレビ 朝日「未 来につなぐエール」 ・北 海 道 新聞 地域では需給ギャップによって、春先の生乳や閑散 期の観光資源、規格外野菜、低・未利用魚など、価値のある特産 ・テレビ東 京「円卓コンフィデンシャル」 ・読 売 新聞(北 海 道 版 ) 品を活かしきれていない実態があります。こどもふるさと便は、この構造的な産業課題に着目し、既存市場を脅かさな ・F o r b e s JA PA N ・東 京 新聞 い「支援品」としての需要を生むことで、こどもの機会格差との同時解決に取り組んでいます。 ・毎日新聞 ・日本農業新聞 03 26
  14. Chapter 3 事業と社会的インパクト 「こどもふるさと便」寄付者の声 こどもたちやこども食堂の声 「こっちを選べばいいじゃん」と思えた 毎日の 食 卓に欠 か

    せないお 米 寄付いただいた食材をもとに献立 だからこそ、生産者や届けてく を考えているため、寄 付はこども ださった皆さまのあたたかいお 食 堂 の 運 営に欠 か せ ないものと 気持ちを、より身 近に感じるこ なっています。 とができました。 宮崎県 都城市 高城児童 館地 域 食堂 秋田県 北 秋田 郡 じじ・ばば・子どもふ れあい食 堂 説 明 す ると、皆 さん 興 味 を こどもたちが 食 の大 切さ 持ってくださいました。低・未 を知る、ありが たい 機 会 利用魚や磯 焼けを知るきっか になりました。 けにもなり、アイゴが食材とし 宮崎県 都城市 みんなの森 て広がってほしいです。 神 奈 川県 藤 沢市 まりあ食 堂 旭川のお米⁉ お〜っ!おいしい! まちづくりや飲食、IT など幅広い事業に携わり、2 人のお子さんを育てる千田さん。 以前からこども支援にも関わってきました。長年利用するなかで変化したふるさと納税の選び方や、 「こどもふるさと便」の魅力について伺いました。 ——以前からこども支援に関わってこられたそうですね。 千田 弘和 さん ——ご利用いただいて、印象に残ったことはありますか。 会社員時代から、フィリピンやカンボジアのこども支援に関 返礼品が良かったです。音更町のうどん( 01 )は本当にお わってきました。こどもが生まれて「大人が支えていかなきゃ」 いしくて、近所の人にもおすそ分けしました。返礼品として魅 という思いが強くなりました。こどもは未来を作る存在。自分 力があり、支援にもつながる。「それなら、こっちを選べばい にとって、こども支援は「未来への投資」です。 いじゃん」と思えるのがいいですね。 ——ふるさと納税の選び方に変化はありましたか。 オリジナルの段ボール 箱も良かったです。届いた時「あ、 ふるさと納税は前からやっていて、返礼品欲しさで選んでいま こどもふるさと便だった」と気付いて、「支援にもつながって したが、続けるうちに「もうそんなに要らないな」と思うことも るんだった」と思い出せました。 出てきて。だったら、もう少し有効に使えないかと考えました。 「こ ——今後も利用したいと思われますか。 どもふるさと便」も、どうせふるさと納税するなら、こどもの支 利用したいです。少なくともうどんは頼みます(笑)。ふる 援にもつながる方がいいと思ったんです。いまも欲しいものを選 さと納税は毎年やるので、どうせやるなら、自分の想いを乗 びますが、「応援したい地域や寄付の使いみち」という視点も加 せられた方がいい。「こどもふるさと便」のように、自分の寄 わりました。こどもたちへの応援品の届け先には、地域を応援 付がこどもたちの支援につながっていることを感じられて、ど したい気持ちから「能登」を、支援が必要な場所は現場が一番 のように役立ったのかが分かると、「またやろう」という気持 知っていると思い「おまかせ(※)」を、それぞれ選びました。 ちにもつながりますね。 ※寄付時に、応援品の届け先を 47 都道府県、または特定のこども支援団体やこども食堂から選べます。 東 京都 練 馬区 ボランティア集 団 みんないっしょ! 支援のかたちが、1 つ増えた NICO さん 2 人のお子さんを育てながら、こどもの居場所づくりにも取り組む NICO さん。 自身もこども食堂を運営した経験から、「こどもふるさと便」を利用して感じた魅力や今後への期待を伺いました。 「おいしい!」と 大 好 評 で、イカ 遠 方の 特 産 品 に 触 れる リング や ゲソを 何 度も食 べる子 もいました。 皆さまのあたたかいお気持ちが、 大阪府 こどもの居場 所まん ぷくごはん 「応援してくれる人がいる」という ——「こどもふるさと便」を選んだ理由を教えてください。 ター( 02 )は普段から使いますし、アイス( 03 )は箱を開 貴重な機会となり、こども 社会貢献への関心は高く、さまざまなボランティアもしてきま けると、こどもたちが「僕はこれ」「私はこれ」とワイワイ選 たちも 「 お いしい! 」 と した。寄付というと、自分のお金を出したり、時間や体を使っ んでいました。欲しい返礼品を選びながら、それが支援にも おかわりしていました 。 たり、「負担ありき」のイメージがありますよね。「こどもふるさ つながるのがいいなと思います。 能 登 町から届いたイカで と便」は、普段のふるさと納税でこどもたちの支援にもつながる。 —— 今後も利用したいと思われますか。 あることも伝えました。 私には「簡単にやれることが、もう 1 つ増えた」という感覚でした。 ——こども食堂も運営されていたそうですね。 安心や希望につながっています。 宮崎県 都城市 地 域 食 堂 ・ じゅうじ屋 また利用したいです。友人同士でも、ふるさと納税で「何を 選んだ?」「これがおいしかったよ」という話はよくします。周 昨 年までこども食 堂を運営していました。食 材の管 理や、 りには社会課題への関心が高くない人もいますが、返礼品の話 人 数を見ながら買い物をするのは思った以 上に大 変でした。 なら自然に話題になります。返礼品として魅力があれば、おす いまは形を変えて、月に一度、こどもたちが放課後に集まれ すめもしやすいと思います。いつものようにふるさと納税をする ばれました。対馬の海を守る取 る居場所づくりを続けています。 だけで、自分にもこどもたちにもうれしいことがある。それって、 り組みも伝えながら配りました。 ——実際にご利用いただいて、どう感じられましたか。 すごくいい仕組みだと思います。負担なくいいことができる、こ 魚を食べる機会が減るなか、常 温保 存 できる加 工 品は 大 変 喜 愛 知 県 名古屋市 認 定 特 定 非 営 利 活 動 法 人フードバンク愛 知 わが家は日常使いできるものを選ぶことが多いんです。バ 01 の「社会貢献付き」の仕組みがもっと広がるとうれしいですね。 02 神 奈 川県 藤沢市 六 会ご 縁 食 堂 01 こどもも大人もアイゴは初めてで、 「おいしいね」とおやこで 残さずおいしくいただきました。 感動し、とても幸せでした! 神 奈 川県 藤沢市 らららランチの 会 27 宮 崎 県 都 城 市 特 定 非 営 利 活 動 法 人らしく 02 03 記事に 登場した 返礼品 北海道音更町 おとふけ乾麺セット 北海道音更町 「よつ葉」よつ葉バター(加塩) 03 石川県能登町【復興支援】notono フローズンヨーグルト・アイスミルク詰合せ 28
  15. Chapter 3 事業と社会的インパクト 03 未利用食品の活用推進コンソーシアム 食と子育て支援事業 チアドン 国分グループ本社とネッスーが発起人となり、食品メーカーをは じめ食品関連企業とともに2026 年

    5 月に設立。児童扶養手当受給 世帯やこども食 堂への食品アクセスを実現するために、未利用 未利用食品を活用し、食品ロスを削減しながらおやこの食生活を支える 食品の供給を推進するものです。寄贈や単発的な取り組みでは なく、既存の商流・物流を活用し、ソーシャル・プライシング(※) による有償 提 供により、食品関連 企業・利用者双 方にとって、 参加・継続しやすい仕組みの構築を企図しています。2026 年 7 月 時点で食品メーカー 15 社が参画しています。 ※まだ十分に利用可能でありながら、通常の価格や販路では提供しにくくなった食品 や日用品などについて、提 供先を「支援を必要とする世帯・団体」に限 定し、事業 継続に必要なコストを踏まえて設計した独自の有償提供の考え方を示す造語です。 事業概要 食品関連企業と連携し、未利用食品を低価格で提供 児童扶養手当受給世帯向け お買い物サイト「チアドン」 食品メーカーや卸売業などで、賞味期限内かつ品質・安 全性に問題がないにもかかわらず、出荷期限切れなどの理 由から通常の販路で販売できなくなった「未利用食品」を、 支援を必要とする家 庭や団体に低価格で販売する事業で 寄贈・販売 2026 年 10 月に公開した「チアドン」は、児童扶養手当を受 す。食品関連企業と連携し、既存の商流・物流を活用す 給している家 庭を対象に、食品などを手頃な価格で販売 ることで、仕入れや物流コストを抑えつつ供給できる仕組 みを構築しています。利用者の食品アクセスを確保すると ともに、提供する企業にとっても持続可能な流通を実現し、 食品ロスの削減と食・子育て支援の両立を目指します。 販売 するオンラインお買い物サイトです。スマートフォンから商 販売 児童扶養手当受給世帯向け お買い物サイト 品を選んで注 文でき、購入した商品を自宅で受け取れま 納品便に 混載 配送 す。日々の食費を抑えるとともに、店舗へ出向く時間や商 配送 品を持ち帰る負担を軽 減し、「時間」と「家計」の両 面 から毎日の子育てを応援(チア)します。 向き合っている課題 必要な食品と活用可能な食品を、継続的につなぐ 協力パートナー 物 価 高が 続くなか、子育て世 帯では 食 費の負 日本の食品ロス推計量の推移 (万トン) 担が増えています。十分な食事を取れない家庭 700 が増える一方、2024 年度には約 461 万トンの食品 600 500 400 357 352 ロスが発生し、そのうち約 237 万トンを事業系食品 328 324 309 275 279 300 200 100 0 が占めています。しかし、企業が食品を提供す 236 231 237 236 233 224 担が生じ、無償寄贈を中心とした仕組みだけで 289 291 284 276 261 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 事業系 247 244 家庭系 出典:環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和6年度)の公表について」 は食品ロス削減効果が限定的になります。必要 な食品を、利用者と提 供企業の双 方に無理の ない形で安定して届ける仕組みが求められてい ます。 出典:公益 社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「経 済的に困難な子育て世帯の子ども1.4万人の『食と生活』実 態調査」(20 2 5 年)、認定N P O法人 全 国こども食 堂支援センター・むすびえ「こども食 堂の実 態・困りごと調査 20 2 5」、環境省・農林水産省「我が国の食品ロスの発 生量の推計値(令 和 6 年度)の 公 表について」 29 01 る際には物流コスト、提 供先との調整などの負 メディア掲載 02 ・オルタナ ・日本 経 済 新聞 ・ダイヤモンド・チェーンストアオンライン ・日本 食 糧 新聞 ・日刊工業新聞 ・食品 産業新聞 ・食品 新聞 ・月刊激 流 03 30
  16. Chapter 3 事業と社会的インパクト 03 食と子育て支援事業 03 食と子育て支援事業 ステナス ネッスー 食品ロスとこどもの貧困を同時に解決する

    食事の準備にかかる負担を減らし、おやこの時間を生み出す 事業概要 事業概要 未利用の生鮮食品などをこどもの食卓へつなぐ こどものお迎え時に、ネット注文したごはんを受け取れる まだ食べられるけれど小売店で販売できなくなった生鮮・ 保育園を利用する子育て世帯を対象とした 日配食品などを、マッチングプラットフォームを活用して、 保育 園受け取り型のネットスーパーです。 ひとり親 家庭、奨学金受給学生、こども食 堂などの団体 当日 13 時までにスマートフォンで注文する を含む消費者へ、リアルタイムにマッチングを行う仕組み と、その日の 保育園のお迎え時に、惣 菜 です。利用者は通常より安 価に商品を購入し、店舗に設 やお弁当などの商品を受け取ることができ 置した専用冷蔵庫で商品を受け取ることができます。この ます。仕事帰りにスーパーへ立ち寄る必要 取り組みを通じて、小売店における食品ロスの削減と、困 がなくなり、買い物や調理にかかる負担を 難を抱えた家庭の支援の両立を目指します。 軽減することで、おやこが共に過ごす時間 や、子育てにおける時 間 的・精 神的なゆ 向き合っている課題 とりを生み出します。 未利用の生鮮食品をリアルタイムに必要な方へマッチング 向き合っている課題 近年では、食品小売事業者の努力により食品ロスは減少傾向にありますが、2024 年度時 点ではいまだに48万トンものロスが発生しています。小売店では、外装破損や販売期限切 れによってまだ食べられるにも関わらず店頭販売できなくなった食品を、行政などを通じ 食事の準備にかかる時間を減らし、 おやこの時間を増やす てこども食堂などへ寄贈する動きが広がっています。ただし、残期限が長い加工食品が 中心となっており、温度管理が必要かつ消費期限の短い生鮮食品などは活用が進んでい 生涯わが子と一緒に過ごせる時間は、母親で約 7 年 6 カ月(約 65,700 ません。一方で、物価高のなか食費の負担が増え、食事の機会が十分に得られていな 時間) 、父親で約 3 年 4カ月(約 29,200 時間)といわれています。その い家庭があります。食品ロスの削減とこどもの貧困は、 いずれも解決すべき社会課題です。 一方で、6 歳未満のこどもをもつ夫・妻の家事時間に占める割合は、 01 男女共に 「食事の管理」が最も大きく、男性で 38%、女性で 42%です。 協力パートナー さらに食 材の買い物や移動時間を含めると負担は一層増加し、親 02 がこどもと向き合える時間は大幅に圧迫されます。限られた時間を 有意義に過ごすためにも、家事負担の軽減と時間の再配分は社会 全体で取り組むべき課題です。 03 出典:農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)」、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「経済的に困難な子育て世帯の子ども 1.4 万人の 食と生活の実態調査報告書」(2025年)、認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ「こども食堂の実態・困りごと調査2025」 31 出典:総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」 32
  17. Chapter 3 事業と社会的インパクト トピックス 2025 年 11 月 2025 年

    12 月 「こどもふるさと便」 「こどもふるさと便」6自治体・ 旭川市の取り組みが、 6 団体との本格連携を開始 ふるさと納税自治体連合表彰 「こどもふるさと便」において、北海道旭川市・音更町、 で優良事例に選出 「こどもふるさと便」に参画する北海道旭川市の取り組 みが、「第 9 回ふるさと納税自治体連合表彰」において 優良事例として表彰されました。同表彰は、ふるさと納 税を活用した地域活性化や社会課題解決につながる先 進的な取り組みを顕彰するもので、旭 川市は「こども ふるさと便」を活用した活動が高く評価されました。旭 川市では 2024 年より、ふるさと納税や企業からの寄付 を原資として旭川産米を全国のこども食堂やひとり親家 庭へ届ける取り組みを推進。令和 6 年度には企業寄付金 310 万円を活用し、全国 80 団体へ計 2,934kg の旭川産 米を寄贈しました。また、ふるさと納 税 型クラウドファ ンディングでは、1,453 件、約 2,905 万円の寄付を集める など、多くの共感と支援を獲得しています。今回の表彰は、 物 価高 騰による食の不安 やこどもの貧困といった社 会 課題への支援に加え、生産者支援や販路拡大にもつな がる取り組みとして評 価されたものであり、ネッスーの 目指す持続可能な地域支援モデルの広がりを示す出来 事となりました。 石川県能登町、長崎県壱岐市・対馬市、宮崎県都城市の 6 自治体および、むすびえ、チャンス・フォー・チルドレン、 キープ・スマイリング、D×P、I&Others、WeSupport 2025 年度から2026 年度にかけて、新たな連携やサービスの始動、全国への取り組みの広がりなど、 さまざまな出来事がありました。ネッスーが歩んできた 1 年を、主なトピックスとともにご紹介します。 2026 年 1 月 Forbes JAPAN 「NEXT IMPACT STARTUPS 30」に選出 『Forbes JAPAN』2026年 3月号の第2 特集「IMPACT THE NEW CHAPTER」にて、「NEXT IMPACT STARTUPS 30」 に選出されました。本企画は、社会課題の解決を成長のエンジンと捉え、持続可能な社会の実現を目指すインパクトスター トアップのなかで、投資家、起業家、業界関係者へのアンケート取材を経て、Forbes JAPAN 編集部で選出し紹介す るものです。ネッスーは、選出枠 30 社のうちの 1 社として掲載されています。 Familyの 6 団体との本格連携を開始しました。連携発表 会では、それぞれの地域資源や支援活動を活かしたプ 2026 年 4 月 2026 年 5 月 ロジェクト内容とともに、「こどもふるさと便」の本格始 動を発表しました。 発 表会後には、「こどもふるさと便」を通じて届けられ る食 材を活用したこども食 堂も実 施。音更の野菜や都 城の豚肉、旭 川産米、対馬のアイゴ、能登のイカなど 全国各地の食材を使ったメニューが提 供され、35 名の おやこが参加しました。会場では、こどもたちがおかわ りする姿や、「お米がおいしい」と笑顔を見せる様子が 見られ、地 域の恵みを通じたあたたかな交 流の場とな りました。地 域 産品を届けるだけでなく、食体 験や 食 育の機会創出にもつながる取り組みとして、その第一歩 を踏み出しました。 「こどもふるさと便」の 未利用食品活用の新たな仕組 支援が全国47都道府県へ拡大 みづくりへコンソーシアム設立 「こどもふるさと便」北 海 道 旭 川市プロジェクトでは、 と「チアドン」始動 旭 川 産 米の累 計 10 0トン寄 贈を目標に、ふるさと納 税 を活用して全 国のこども食 堂やひとり親 家 庭へ届ける 取り組みを進めています。2 0 2 5 年 度の累 計 寄 贈 量 は 15 .7トンに到達し、支 援 先は全 国 47 都道 府県へ拡 大。 食 支 援と地 域の魅 力 発 信の両 面で取り組みが広がっ ています 。さらに、2 0 2 6 年 7 月には旭 川市で生 産した ロングライフ牛 乳を届ける新 たなプロジェクトも始 動 しました。 2026 年、ネッスーは未利用食品の活用を通じて、食品 ロス削減と子育て家庭への支援を両立する取り組みを 本格化しました。5 月には国分グループ本社とともに「未 利用食品の活用推進コンソーシアム」を設立。味の素、 カゴメ、Umios をはじめとする食品関連企業と連携し、 未利用食品を継続的に社会へ届ける仕組みづくりを進 めました。さらに 10 月には、その仕組みを具体的なサー ビスへとつなげる児童扶 養 手当受給 世帯向けオンライ ンお買い物サイト「チアドン」を公開。東 京都・神 奈 川県・埼玉県・福岡県で試行運用を開始し、未利用食 品の活用を「仕組みづくり」から「実際に家庭へ届ける」 段階へと進めました。 33 34
  18. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み Chapter 4 上場企業での IR 担当や VC (

    ベンチャーキャ トとどう結びつくのか、とイメージがつかめ ピタル)で の 投 資を 経 験してきたな かで、 ずにいました。 上場するとどうしても利益率や RO I などの経 ところが、仕組みを一通り伺って、これは 済 的リターンを優先せざるを得ず、ネッスー 面白いと感じました。寄 付をする人からすれ のような社 会的インパクトも同時に追 求する ば、利用するプラットフォームを変えるだけで、 形 態の 企 業には合わないのではと感じてき 寄付する金額も返礼品を受け取るという行動 川場 享さん ました。だからこそ、まずは上場ありきで考 も変わりません。それでいて、その裏側では、 株式会社 QRインベストメント 投資事業部 部長 えるのではなく、自分たちが作りたい会社の 経済的に厳しい状況にあるこどもなどへ地 域 (スタートアップ支援グループ担当) あり方に合 わせて資 本 の 形を選びたいと考 の特産品が届き、地 域の事 業 者にもお 金が えてきました。 循環していきます。利用者が 行動をほとんど スタートアップへの投 資・ 成 長 支 援 に携 わり、リス クマネーの供給を通じて、 地 域 経済の成長や社会課 題の解決を支援する。 この考え方に変化をもたらしたのが、「こ どもふるさと便」でした。創業期から約 4 年 がとても面白いと思いました。 かけて事業を組み立て、ようやく手応えを感 加えて、 「CDL 」という収益の柱を持ってい じられるようになりました。私たちの試 算で る点も印象的でした。新しいサービスは良い は、集まったふるさと納税による寄 付額の約 ものだから売れるというわけではなく、まず 4 割の規模の社 会的インパクト(=こどもの 知ってもらい、人の行 動を変えてもらう必 要 機 会 創 出)を生みます。例えば、ふるさと があります。それは、私たちも通ってきたス 納税全 体の 5 % が、 「こどもふるさと便」サイ タートアップの難しい道です。それを支える別 トを経由したものになると、社 会 的インパク の柱があるのは、会社の立て付けとして優れ 社会的インパクトの最大化を追求した、 IPO を志向しないインパクトスタートアップとして、 資金調達のかたち 株の買い戻しをExit とした資金調達を実施 木戸 優起 トは 260億円にもなります。このインパクトの ていると感じました。 大きさを踏まえ、事業をしっかり伸ばすべき 川場: 私も、事業モデルを理解するまでには ネッスー株式会社 代表取締役 だと考えてきました。 少し時間がかかりました。ふるさと納 税には ただ、ふるさと納税の市場で利用者を広げ 「自治体に寄付して終わり」というイメージを ていくには、認 知 獲 得 のための投 資 が 必 要 持っていたからです。しかし実際には、そこ ネッスーはこのたび、こどもの機会を創出する事業展開を加速させるため、創業以来初めてエクイティ調達を行いました。 です。しかも制 度 改 正により、募 集にかか で終わらず、こども食堂などへ継続的に支援 リード投資家として出資いただいたのは、ソーシャル X インパクトファンドです。 る経費率の上限が2026 年 10 月から段階的に5 が届き、地域の事業者にもお金が回っていく。 この調達は投資家の Exit として、上場(IPO)や会社・事業の売却(M&A)を想定とせず、事業の成長で生まれた自己資金 割から4 割へ引き下げられていきます。この方 よく考えられた仕組みだと思いました。 での買い戻しを前提としています。なぜ、この手法での資金調達を行ったのか。ネッスー代表の木戸優起(以下、木戸)と、 針には当社も賛 成ですが、「こどもふるさと そして、会社で直接お話を伺ったときの木 ファンドの共同 GP (※)である、ソーシャル・エックスの伊藤大貴さん(以下、伊藤) 、QR インベストメントの川場享さん(以下、 便」は他サイトよりも 5% ほど事務手数料率を 戸さんの熱意です。生い立ちから丁寧に語っ 川場)が、社会的インパクトを追求するスタートアップの事業成長と、それを支える資金のあり方について語り合いました。 が、社会的インパクトを追求するスタートアップの事業成長と 抑えていることもあり、投 資できる市 場 環 境 てくださり、それだけ強い思いをお持ちなの のうちに早期に事業を拡大すべきだと考えま だと伝わってきました。小さな頃から社 会を した。そうしたときに、リスクのある事 業の 変えたいという思いを、ずっと持ち続けてい ため、エクイティ調達によって投資資 金を得 る。スタートアップへの投資では、事業だけ る必要があります。そして、私たちの想いや でなく「人」も見ます。その意味で、「この 寄付者の願いのこもった事業なので、投資家 人に懸けたい」と思えました。 GP(General Partner) ファンドの運営を担う無限 責任組合員 なぜいま、 資金調達を行ったのか 木戸: ネッスーは、「地 域 創生事業(こども ふるさと便)」、「食と子育て支 援事 業」とい う 2 つのフードバンク事業と、環境事業である 「サーキュラーデザインラボ(以下、CDL)」の 計 3つの事業を展開しています。 「地域創生事 業」では、ふるさと納税を活用して、地 域の 伊藤 大貴さん 産品や 体 験を購入し産業 振 興を実現しなが 株式会社ソーシャル・エックス 代表取締役 ら、こども食堂・ひとり親家庭などへ支援物 日経 BP、横浜市議会議員を 3 期 10 年務めた後に起業。 自治体とのオープンイノベー ションによる新規事業開発 支援、インパクト投資に取 り組む。 35 変えないままインパクトが生まれる——この点 資として届け、こどもの機 会の創出を同時に 実現しています。 「食と子育て支援事業」では、 未利用食品を必要な世帯や団体へ安 価で販 売することで、食品ロスの削減と、こどもの 機会の創出を同時に実現しています。「CDL」 では、廃棄物を活用して資材を製造する循環 型の資材調達モデルを提案しており、廃棄物 の削減と、環境を維持するという意味でのこ どもの機会を守ることや、調達に連動したこ ども食堂などへの寄付によるこどもの機 会の 創出に取り組んでいます。 今回は初めてのエクイティ調達を実 施しま したが、これまでは「CDL」で生まれた自己 日本紙パルプ商事、ドリー ムインキュベータを経て、 2022 年にネッスーを創業。 こどもの 機 会 格 差の解消 を目指し、事業を展開する。 としては私たちが目指すインパクトに共感して くださる方々と一緒に進めたい。そんな思い から、パートナーを探しました。 投資家から見た「こどもふるさと便」 資金と、借入(デットファイナンス)を併用し、 伊 藤: ネッスーさんの「こどもふるさと便」 新規事業を組み立ててきました。 を最初に知ったときは、「ふるさと納税でイン これまでエクイティ調達をしてこなかったの パクトを生み出すとはどういうことだろう」と は、「上場することが自分たちにとって正しい 思いました。ふるさと納税の手数料を得るこ 選 択なのか」という迷いがあったからです。 とを目的とした事業ではないのか、インパク 地域創生事業の1 つ。ふる さと納税を活用したフード バンクを行っている。写真 は、連 携自治 体 からの応 援 品として、米や肉、魚、 野菜などをこども食堂へ寄 贈した様子。 ← 事業の詳細は P25 へ 36
  19. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み 「機会格差」は、 誰にでも起こり得る 伊藤: こどもの機 会格 差というテーマには、 以前から関心を持ってきました。私はもとも

    と市 議 会議員として、もっとも住民に近い基 礎自治体の現場で、さまざまな家庭を見てき ました。ファンドとして最初に投資したのも、 養育費の確保支援など、こどもに関わる課題 に取り組むスタートアップでした。図らずも、 2 社 続けて、こどもに向き合う起業家に投資 していることになります。 川場: 私自身は、こどもの 機 会 格 差を日ご ろから強く意識してきたわけではありません。 ただ、よく言われるように、親の世代の収 入 あります。小さくてもいい、希望 があること ツンと光るものがあれば、人はそこに向かっ て頑張れます。それすらなければ、本当に絶 望してしまう。 「自分は 1 人ではない、社会には守ってくれ る人 が いる」—— こどもたちがそう感じられ ること。その一助にネッスーさんがなっている ことには、お金では測れない価値があります。 いま寄 付や善意によって成り立っている部分 を、1 つのビジネスモデルで補強し、支えよう としている。そこがユニークだと思います。 ネッスーへの投資を決めた理由 ← 事業の詳細は P23 へ 37 IPO に頼らない「出口」を、 最初から設計する 木 戸:「こどもふるさと便」を 伸 ば すには、 エクイティ調達が必要でした。一方で、調達 には必ず「投 資 家の出口(投 資した資 金を 回収する方法)をどう作るか」という論点が ついて回ります。多くのスタートアップは IPO や M&A を出口として描きますが、私たちはそ のどちらも前提にしていません。インパクトを そうなると、「では、どのように出口を作る が左右されてしまうのは、やはり理不尽だと す。「返 礼 品 をもらって 終 わり」で はなく、 のか」という問いが 残ります。行き着いたの 感じます。木戸さんとご一緒するなかで、そ 地域の事業者にもお金が回っていく。そして、 が、自社で株 式を買い戻す 設 計でした。投 こに意味のあることができればと考えました。 一度きりの寄 付で終わらず、継続してこども 資いただいた資 金で収益とインパクトを成長 伊藤: これは、私にとってもかなり身近な問 たちを支援していける。寄付する人、自治体、 させたら、その利益を元手にネッスーが投資 題です。経済的に苦しい状況に転げ落ちるの 地 域の事 業 者、支 援を受ける人、いずれに 家から株式を買い戻すという、PE ファンドや は、本当にちょっとしたことがきっかけになる も価値がある——三方よし、四方よしと言え 事業再生に近いスキームでの調達を構想しま と感じています。私も起業してしばらくは順調 る構造を、私たちは高く評価しました。 した。私たちには「CDL」があり、しかも「こ どもふるさと便」を通じて生まれたご 縁 が、 資 金が流出していきました。「会社が 先に立 「CDL」の取引につながることも多くあります。 ち行かなくなるのか、家計が先か」という状 だからこそ、買い戻しを前提とした設計が可 況です。そのとき最も心配したのが、こども 能だと考えました。(※) のことでした。この 先どうなるか 分 からず、 2 回目の打ち合わせでこの構想をお話した 進路の前提を見直さざるを得ないかもしれな とき、伊藤さんたちから「まさに、そういう いと、本気で考えました。経済状況は、ちょっ ものを作りたいと思っていた」と言っていただ としたことで変わります。そして、その影響を、 きました。それまでは「考えは 理 解できる」 こども自身はコントロールできないのです。 と言われることはあっても、 「一緒に作りたい」 川場: こどものせいではなく、こども自身に とまで言っていただけたのは初めてで、私に を見てきましたが、本当にわずかなきっかけ 目線で言えば、「こどもふるさと便は入り口に で状況は変わります。それでこどもの教育の すぎず、本当は『CDL』で大きく稼ぐ」とい 機 会が失われてしまうのは、やはり何とかし う描き方もできたはずです。しかし、そうは なければなりません。 感じられませんでした。これは本気で実現し 真っ暗ななかの、小さな光 伊藤: こども食 堂に通うこどもたちは、ネッ スーさんだけでなく、さまざまな方に支えら れていると思います。私自身、この先どうな るのかと苦しかったとき、強く感じたことが 姿勢がぶれない。私たちはインパクトファンド ですから、そこは非常に重要でした。同時に、 思いだけでは事業は続きません。その点、ネッ スーさんには収 益を生む「CDL 」という基 盤 があります。意思と基盤の両方が揃っている 成 果が出るまでにどうしても時間がかかりま す。従 来の考え方だけで進めようとすれば、 どこかで無理が生じる。その受け皿となるファ イナンスの選 択 肢は、いまはまだ多くありま せん。今回、その挑戦ができていることには 意義があると考えています。 まのところ考えていません」と。 でしたが、コロナ禍で家計からも会社からも ます。私は 銀 行の出身 で、数 多くの取引先 ていいはずです。特にインパクトの領域では、 すべきだと考えました。「上場も売 却も、い で、決め手の 1 つになったのは事業モデルで どもふるさと便」への本気度です。投資家の もあります。どちらか一方ではなく、両方あっ する以上、そのことを最初から正直にお伝え す。こども自身には解決できない事情で将来 伊 藤: 私 が 重 視したのは、木戸さんの「こ れを実際に体 現してきたのが日本という国で 一般的なスタートアップ投 資では、IPO(株式上場)や M&A(会 社・事 業の売 却) によって投 資 資 金を回 収 するケースが 多 い。今 回 の資金調達では、投資から 60カ月 後 以 降 にネッスー が 投 資家 から株 式を買い 戻 すことで、投 資 家 が 資 金を回 収する機 会を設け る設計としている。 一緒に作る仲間として投資家の方々をお迎え 格 差 がこどもの進学に影 響 するのは確かで は解決できない。まさにそのとおりだと思い かで一気に成長していく会社のあり方もありま す。しかし、そうではない育ち方もあり、そ 川場: ネッスーさんへの投資を判断するうえ たいことなのだと、何度お会いしても、その サ ー キュラー デ ザインラ ボ。企 業や自治 体 から生 じる廃棄物を、さまざまな 企業と連携しながら 1 つの サプ ライチェーン で つ な げ、循 環 活 用する仕 組み を構築している。 ことが、大きな決め手になりました。 の大切さです。真っ暗ななかでも、遠くにポ とって大きな驚きでした。 時間をかけて育つ経営を、 どう支えるか 伊藤: 木戸さんが仰った株式の買い戻しのよ うに、資本の時間軸をどう考えるか、という 話につながるのですが——私がかねて感じて いるのは、日本には世界的に見ても 100 年企 業が 非常に多い、ということです。そうした 会社が、四半期や 1 年という単位だけで経営 しているはずはありません。もちろん、四半 期ごとの成果が求められる、いまの市場のな 川場: 私たち VC のファンドは、長くても 10 年ほどの運 用 期 間で、そのあいだに出口を 探 さなけれ ばなりません。一方 で、今 回は インパクトを生み出す、息の 長い 伴 走 が 求 められます。この 2 つの時間軸をどう埋める か、という難しさがあります。木戸さんのス キームを伺ったとき、「なるほど、こういう方 法があるのか」と思いました。インパクトス タートアップの資 金調達の 1 つの事例として、 いずれはほかの VC にも紹介できるものにな れ ばと考えています。まずは、その 最 初 の ケースを作れたらと思っています。 ライトに参加できる、 社会貢献のかたち 伊 藤: これから期 待 するのは、やはり「こ どもふるさと便」のインパクトが広がっていく ことです。利用者は、寄付するプラットフォー ムを変えるだけでいい。控えめに言っても、 とても気 軽に社 会的インパクトを生み出せる 仕組みです。「まちづくりに参加してください」 「炊き出しに来てください」と言われると、多 くの人にとって一歩を踏み出すハードルは高い ものです。しかしこの仕組みなら、日常の延 38
  20. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み 資 金調達のスキーム 出資 60 カ月 (種類株式) 経過

    売却 M&A みなし優先分配1.2倍 清算 解散 全部 償還 ① ベースの Exit 1.5 倍で償還 全部 償還 ② アップサイドの Exit 2.0 倍で償還 一部 償還 優先分配1.2倍 (2/3 は 1.5 倍で償還、1/3 は会社コールで3.0 倍で償還) 元本回収&資本提携 1/3 以下は継続保有し、残りを 1.5 倍で償還 種 類株の設 計 議決権 あり なし なし ( オブザーバー指名権 : 1名あり ) 種類株主総会での議決権 優 先 配当 普 通株の配当の 1. 5 倍 、 非 累 積 、 非 参 加 普 通株 式への転 換 あり(1:1 、ブロードベース) なし ( 上場 時の一 斉 転 換 : 条 件 付きであり ) 長のなかで、助かるこどもがいる。「こうい 思っています。 う関わり方があるのか」と知り、そこから「も 39 あり 取 締 役 選 任権 全 部 取得 条項 絶対貧困・相対貧困 絶対貧困とは、食料・衣服・ 住居など、生きていくため の 基 本 的なニーズを満 た すことが難しい状態を指し ます。一方、相対貧困とは、 その 社 会で 一 般 的とされ る生 活を送るために必 要 な経 済 的 資 源 が 不足して いる 状 態 を 指します。日 本では、等 価 可処 分所得 が貧困線(中央値の半分) を下 回る世 帯員を相 対 貧 困の状態にあるものとして 捉えています。 譲 渡 制限 う少し関わってみよう」という人が出てくる。 その広がりを、私は楽しみにしています。 川場: ふるさと納 税は、特別に裕 福な人だ けができることではなく、私たちのような一 般の 生 活 者も利 用している制 度です。その 日常のなかにこのモデルを組み込んだところ に、意 味 があります。ただ、モデルが 優れ ているからといって、自然に広まるわけでは ありません。どう世の中に広げていくか —— 資 金 面 以 外で も 一 緒 に 考 えてい き た いと 「こどもふるさと便」を組み込むことで、相 対 貧困の状 況にある家 庭を支えていくなど、 「こどもふるさと便」から広がる可能性 伊 藤:「こどもふるさと便」の先の広がりと いう点で、もう 1 つ思うことがあります。社会 には 絶 対 貧 困と相 対 貧 困(※)が あって、 相対的な貧困は、なかなか見えにくいもので す。たとえば通信やスマートフォンのように、 生 活に欠かせないものを、経 済 的な理由か ら十 分に利用できない状 況などが 相対 貧 困 にあたるわけですが、日常の支払いのなかに けられるようになります。 生まれた環境によって、こどもの機会が失わ 応用の余 地が十分にありそうだと感じていま れない社会へ。事業と資本、それぞれの仕組み す。もちろん、本体をしっかり伸ばすことが を設計しながら、ネッスーの挑戦は続きます。 ます。 先ですが。 木戸: まずは「こどもふるさと便」というプ ラットフォームを大きくし、私たちが支援する 「こどもふるさと便」 ポータルサイト ← 事業の詳細は P25 へ 世 帯——児 童 扶 養 手当(ひとり親 家 庭など に支 給 される手 当)を 受 給 するご 家 庭と、 直接つながれる関係を広げていきたい。その 輪が一定の規模になれば、食品以外の生活 領域でも、「こういう選択肢もあります」と届 40
  21. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み られるかもしれない」という可能性を感じた 導入できました。導入後も、店舗運営やお客 社 会に貢献できることが、社員一人ひとりの ことがスタートだったと思います。 様への提 供において、これまでと変わらず通

    仕事のやりがいとなり、社内エンゲージメン 実際にこども食堂を訪れ、食器を洗う負担 常の業務のなかで運用できています。普段の トの向上にもつながっていけばいいですね。 があることや、食材だけでなく容 器や備品も 事業活動を大きく変えず、そのなかに支援の 私にもこどもが 3 人いるので、こどもたちの 活動を支えるために必要だということを知りま 仕組みを取り入れられたことは大きいですね。 ことを自分の家庭と重ねて考える部分もあり 今 回の募 集には、想 像 以 上に多くの団 体 ます。自分の担当業務の延 長 線 上で、こど した。 外食 企 業 なので、支 援と聞くと食 材をイ から申し込みがあり、それだけ必要とされて もたちの支援につながることは素直にうれし メージしがちです。でも、非食材を担当する いるのだと驚きました。だからこそ、一度き いですね。 自分たちにもできることがあるんだと気付かさ りではなく、長く続けていく必要があると改 れました。 めて感じました。 リ・リパック 容 器に貼られたフィルムを 使 用 後 に は が すことで、 食 品の汚れが 本体に残り にくく、洗 浄 せ ず に 回 収 できる容器。 ——「リ・リパック」は、使 用 後にフィルム 経済合理性と社会価値を 両立する仕組みに はがして再資源化できる プラ容器で、 継続的なこども支援 プレナスとネッスーは、洗わずに回収・再資源化できるプラスチック 容 器「P&P リ・リパック」 (以下「リ・リパック」)をこども食堂などへ をはが すことで、洗わずに回 収・再 資 源 化 できる容 器です。こどもたちがフィルムをは ——実際に導入するまでには、どのような工 がす体験には、どのような意味があると感じ 夫がありましたか。 ていますか。 今回は、従来の取引形態を大きく変えるこ 以前、こども食堂を訪れた際、小さなこど となく、既存のお取引先にも協力いただいた もたちが楽しそうにフィルムをはがしていまし ことで、導入をスムーズに進めることができ た。こどもにとっては、最初は単純に「面白い」 ました。「ほっともっと」の店舗で使用するプ という体験なのかもしれません。 でも、成長したときに「あの容 器にはこう いよう、何度か 仕様を調整していただきまし いう意味があったんだ」と気付くことがある こども食 堂とのネットワークや、運営現 場 た。エコマーク認定容器を導入するのは当社 かもしれない。少し遠 回りではありますが、 への理解があることは心強いです。募集の調 としても初めてです。その店舗用容 器に関わ 資源循環について身近に考えるきっかけにも 整 や 活 動 報告の収 集など、プレナスだけで る売上の一部を活用して、こども食堂などへ なると思います。 は届けることが 難しい支援を、必 要としてい 「リ・リパック」を寄 贈 する仕 組みになって います。店舗でのエコマーク認定容器の導入 はないと思うんです。そのうち 1 人、2 人でも こども食 堂は食事を提 供するだけでなく、 がこども支援にもつながる点は、社内でも評 資 源 循 環 に 興 味を 持 つきっか けになれ ば、 地 域のコミュニティや、こどもたちの体 験が 価されていると感じています。 ゼロだったものが一歩前に進む。それだけで 生まれる場所でもあります。今回の取り組み も意味があるのではないでしょうか。 は、地 域のつながりや体験を支えることにも 取り組みを通じて見えてきた、 仕事のやりがいと 社内エンゲージメント 「プラ容器」だからこそできる、 こども食堂への支援 41 る場所につないでいただけています。 つながっていく。そうした先まで 考えると、 フォーム、食器などの調達を担当する藤永さんに、お話を伺いました。 株式会社プレナス 商品本部 購買部 後期待することを教えてください。 100 人が体験して、全員が関心を持つ必要 寄 贈 する取り組みを進めています。プレナスで店 舗 用 容 器 やユニ 藤永 真吾さん ——ネッスーと取り組 んで感じたことや、今 ラ容 器も、従 来 品から使い勝 手が 変わらな この取り組みが生み出す価値は、私たちから 見えている以上に大きいのだと思います。 また、担 当 者 が 変わっても、実 際に現 場 ——この取り組みを通じて、どのような変化 を見て、何のためにこの取り組みをしている や可能性を感じていますか。 のかを理解したうえで引き継いでいくことも大 ——今回「プラ容器」を通じてこども食堂を 私自身、購買の仕事をしているので、どう 切 です。取り組 み の 中 身 や 意 義 を理 解し、 支援する取り組みに参画された背景を教えて してもコストが大きなテーマになります。その さらに良くするにはどうすればいいかを考えて ——今 回の 仕 組みに、どのような価 値を感 なかで、こども支援や社会貢献という、コス いきたい。 じていますか。 トとは違う価値を仕事のなかで生み出せるこ ください。 もともとプレナスでは、プラ容 器の軽量化 いまと 1 年後では、現場の状況や必要とさ れることも変わっていくと思います。その時々 やプラスチック使 用量の削減に取り組んでき 一番大切なのは、無理なく続けられること ました。ただ、軽量化にも少しずつ限界が見 です。どんなに意義があっても、どこかが大 また、こうした取り組みは、これから会社 の声を聞きながら、必要とされる形に少しず えてきていました。 きな負担を抱えてしまえば継続は難しい。今 を担っていく若い社 員にとっても意味がある つ変えていく。そうやって、長く寄り添える そんななかで、ネッスーさんから今 回の取 回は、「ほっともっと」で従来使用していたプ と思っています。いまの若い世代は、私たち 取り組みにしていきたいですね。 り組みについて話を聞いた時、「これまでの ラ容 器をベースに、必要なスペックに近づけ の世代 以 上に社 会課 題について学ぶ機 会が 環 境 配 慮を、地 域 社 会への還 元にもつなげ ていただき、コスト面でも継続しやすい形で 多く、関心も高いと感じます。事業を通じて とにも意味を感じています。 42
  22. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み リサイクル可能なプラスチック容器 寄贈プロジェクト プレナスと連携し、お弁当チェーン「ほっともっと」で使用するエコマーク認定容 器に関わる売上の 一部を活用して、洗わずに回収・再資源化できるプラスチック容 器「リ・リパック」をこども食堂な こども食堂の声

    リサイクル容器の支援が こども食堂の可能性を広げる どへ無償提 供する仕組みを構築しました。日々の事業活動のなかにこども支援の仕組みを取り入れ、 今回の容 器寄贈プロジェクトに参加した「砧子ども食堂 そら豆」。長年、こどもに 2026 年度は約 30,000 枚の寄贈を目指します。 こども食堂を支える、「プラ容器」という資材 まつわる支援活動を精力的に続けてきた代 表の高尾久子さんに、実際に支援を受 高尾 久子さん けた現場にどんな変化があったのかお聞きしました。 砧子ども食堂 そら豆 代表 こども食 堂では、限られた人員で調理から片付けまでを担っており、食器 の洗浄や保管スペース・洗い場の確保など、日々の運営にはさまざまな作 業が発 生します。一方、地 域から「食 材以外の物資・機材」の提 供を受 ける団体は 27.9%にとどまります(認定 NPO 法人むすびえ「こども食堂の 実態・困りごと調査 2025」より)。食材だけでなく、日々の活動に必要な 容器や備品も、こども食堂の運営を支えるうえで重要です。 「リ・リパック」の特徴 「リ・リパック」は、容器に貼られたフィルムを使用後にはがすことで、食品の汚れが本体に残りにくく、洗浄せ ずに回収できる容器です。回収された容器は再資源化され、新たな容器の原料として活用されます。 洗う手間なし ごみ出し削減 こどもへの環境教育に フィルムをはがすだけでキレイに! 運営スタッフの負担を大幅軽減。 使用後は回収して再資源化するため、 かさばるプラスチックごみが減ります。 自分ではがす体験が、 身近なリサイクルを考えるきっかけに。 —— 砧子ども食堂 そら豆の普段の 者も増えてきたので、イートイン 日々の 食 事 を通して、環 境 に関 活動についてお聞かせください。 も含め使い捨て容器を導入するよ 心を持てるのはとてもいいことで コミュニティカフェ「アトリエ うになったんです。けれど、結局 すよね。 そら豆」にて、月に 3 回こども食 ごみになってしまうし、容 器購入 ——容 器 の 提 供を受けて感じら 堂を開いています。食 事 の 提 供 の費用も負担になっていましたね。 れたことや、今 後 期 待されるこ 以外にも、無料の学習支援や本 ——リ・リパックを 実 際 に使 わ とはありますか? の読み聞かせイベントなども同日 れて、食事の提 供や運営に変化 に行っています。こども食堂は今 があれば教えてください。 43 2 調味 料などが大半で、基 本 的に 年で 9 年目になりますが、始めた 軽くて扱いやすいですし、容器 容 器 類は自前で調 達しなければ 当初の利用者は 15 人ほどで、い をそのままごみにせず、回収して いけません。特に最 近は包 材が まで は 毎 回 60〜70 人の 方 が い もらえるのもいいですね。あとは、 高騰しているので、今回のように らっしゃっています。 気密性も高いので、例えばこども 容 器など運営上 必 要なものの支 がカレーを持ち帰っても漏れませ 援があるのはありがたいですね。 ん。容 器としての質も良くて重宝 今 後 は、このような 取り組 み を しています。 もっと周りに知ってもらい、こど また、小さい子の食事って何で も食堂に少しでも関心を持っても も小ぶりに切ったり、よく煮込ん らえるといいなと思います。SNS だりと手 間がかかるんですけど、 などでも積極的に発信していきた 使 用後は洗わずに回 収に回せる いです! ので、その 分 料 理に時間を割け こども食堂でのリサイクルの流れ 1 こども食 堂への寄 付は食 材や られて助かっています。 3 おいしく食べる フィルムをはがす まとめて回収 いつも通りのあたたかかいごはんを、 こどもたちにおいしく食べてもらいましょう。 「ごちそうさま」の後は、こどもたち自身に 容 器のフィルムをはがしてもらいましょう。 みんなで集めた容器は工場へ運ばれて、 また次の誰かが使うリサイクル容器へと 生まれ変わります。 ——日々の 運 営のなかで 負 担に ——フィルムをはがしたり、回収 感じることや困っていたことはあ することについて、こどもたちの りましたか? 反応はいかがですか? 最初は少人数だったので、通常 容 器をリサイクルするシステム の洗う容 器を使って、一人ひとり をこちらから説明すると、こども に料理をよそって手渡ししていまし たちの方がいち早く理 解して「マ た。コロナ禍を経てお弁当の提供 マ、こうやるんだよ」って教えたり、 を始めたのですが、ちょうど利用 面白がってやってくれています。 44
  23. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み 外食 産業を中心に野菜を届ける 自 身 の 食 事

    や 睡 眠 を 犠 牲 にし、 デリカフーズで、食 品 事 業を担 過酷な環境で入院中のこどもに付 自社で排出する古紙 を段ボール調達へ う江 原さん。ネッスーとは、段 き 添う家 族 の 支 援 を 行う「認 定 経済合理性を起点にした、 新しい段ボール調達 と比べても品質面で遜色なく、問題なく切り替えられたと 活動の原点は、娘の付き添い入院 をたっぷり使ったオリジナル缶詰を作りました。 聞いています。初回納品時にも各現 場の担当者とこまめ ——入院中のこどもへの付き添いというテーマに出会っ ——付き添いをめぐる状況に変化はありましたか? に連携し、レスポンスよく対応していただきました。現在 た経緯を教えてください。 ——ネッスーとの出会いについて教えてください。 最初に会ったのは、こども支援の活動です。デリカフー ズも月に 2 回野菜を寄付していて、私が参加したときに、ネッ ボール資材の取引を通じて連 携 しています。段ボール資 材の導 入で 得られ たメリットや、資 源 江原 聖二さん 循環の価値について伺いました。 デリカフーズ株式会社 取締役 食品事業部長 兼 広域営業部長 は、新しい規 格 や 材 質の変 更についても相 談しており、 柔軟に対応いただいています。 スーさんの資材事業の担当者と同じチームになりました。 一緒に車で移動するなかで仕事の話になり、ネッスー さんがこども支援だけでなく、資材事業にも取り組んでい ることを知りました。その後、弊社グループの EC 事業で 使用する段ボールについて、経済合理性の観点から調達 条件を見直す必要が生じました。そこでネッスーさんに相 談したことをきっかけに、段ボールの取引が始まりました。 自社の古紙を活かし、 通常業務を大きく変えることなく導入 ——段ボールを導入する際、重視されたのはどのような 点でしたか。 検討するうえで大きかったのは、既存の調達条件と比べ ても経済合理性のある提案だった点と、私たちが排出して いる古紙を活用できる点です。デリカフーズには、生産者 や取引先から野菜が段ボールに入って届くため、段ボール が日々大量に発生します。これまで古紙回収会社さんに売 却していましたが、ネッスーさんからは、その古紙を原料の 一部として活用し、新たな段ボール資材につなげる提案を いただきました。これまで売却していた古紙を、自分たちが 使う資材へとつなげられることに魅力を感じました。 ——取り組みを始める際、負担はありましたか。 45 NPO 法 人キープ・スマイリング」。 理事長の光原ゆきさんに、設立の 経緯と入院に付き添う家族の現状 光原 ゆきさん について語っていただきました。 認定 NPO法人 キープ・スマイリング 理事長 近年は、付き添い家族の過酷な生活環境に加え、付き 先天性疾患があった長女が手術を受けるとき、病院か 添いを選択できないことや、家族が看護やケアの一部を ら親も一緒に泊まるように言われ、初めて付き添いという 担っている実態も明らかになってきました。2024 年度の診療 存在を知りました。3 年後に生まれた次女は長女より難し 報酬改定では、付き添う家族の食事や睡眠環境への配慮 い病気で、産後すぐ付き添い入院しましたが、生後 11 カ月 が要件化され、2025 年には簡易ベッドや電子レンジの購入、 で亡くなってしまいました。毎日泣き続けるなか、「この経 付き添いスペースの整備などを支援する、こども家庭庁に 験を通じて世の中を良くできれば、彼女が生まれた意味 よる補助制度も創設されました。ただ、現場にはまだ人手 があるのでは」と考えたんです。その時心に浮かんだのが、 不足や財源不足など構造的な課題があります。親の過酷 病院での過酷な付き添いの日々でした。 な環境を訴えると、付き添い自体をなくせばいいという意 ——どのような苦労がありましたか? 見もありますが、私たちは付き添いをなくしたいわけではあ 親への食事提 供、シャワー設備、寝る場所があるかは りません。大変な治療のなかで親がそばにいる安心感は、 病院によって異なります。簡易ベッドは狭くて寝返りも打て こどもにとって大切なものです。だからこそ、各家庭の状 ず、こどものベッドに小さく丸まって寝たりもしました。特 況に応じて付き添うかどうかを選択でき、付き添いたいと 経済合理性と導入のしやすさ、 その先に資源循環 に辛かったのが食事です。こどもが寝た隙にコンビニにダッ きには安心して付き添え、離れる必要があるときには安心 ——資源循環という社会的価値についてどう思われますか。 シュし、急いで食べる。何を食べたかも記憶にありません。 して離れられる環境と体制の両立が大切です。 お客 様からも「サステナブルな取り組みを進めなけれ 食事を提供していない施設も多く、付き添う家族の約 3 割 付き添い生活応援パックで届ける物資と笑顔 ば」という声は聞きますが、企業は日々の業務やコストも 考えなければなりません。環 境への配 慮だけを理由に、 取り組みを続けるのは簡単ではないと思います。だからこ そ、取り入れやすい仕組みであることが大切です。 今回の段ボールも、資材調達を見直すなかで始まった 取り組みですが、自社から出る古紙を再び資材として活用 する仕組みにもつながりました。経 済 合 理性や導入のし やすさと、資源を循環させる価値。その両方があることで、 続けやすくなるのだと思います。 ネッスーさんは、機 会格 差という社 会 課 題を解決した ほとんどありませんでした。古紙を資材として循環させ いという強い思いと、それを成し遂げるためにきれいごと るには、これまで古 紙を回収してきた事 業 者さんとの調 や思いだけでなく、実際にビジネスで利益を確保し、持 整が必要になります。既存の回収ルートや取引関係を踏 続可能な取り組みとするために皆さんが必死で努力されて まえながら、回収後の古紙の新たな流れを作らなければ いる姿が素晴らしいと感じています。 ならないからです。そこはネッスーさんが間に入り、古紙 まだ取り組みは一 部ですが、今後さらに広がっていけ 回収会社さんとの調整を進めてくれました。自社で一から ば、古紙を活用できる場面も増えてくると思います。せっ 関係者とやり取りする必要がなく、日常の業務を大きく変 かく自社から古紙が出ているのであれば、それを資材とし えずに始められたことは、とても助かりました。 て活かしていく。そうした取り組みを少しずつ広げていけ 社内の資材担当者からは、以前使 用していた段ボール 病気と闘うこどもに 付き添う家族を支援 ればと思っています。 が 1 日 3 食をとれていません。 ——そうした過酷な食事環境のなかで、印象に残ってい る出来事はありますか? 次女が入院していたとき、病院近くのおばんざい屋さん で食べたごはんがおいしくて。店主に付き添いの苦労を 話すと、「病院まで弁当を配 達してあげる」と言ってくれ ました。これにどれだけ救われたか分かりません。 ——その実感が食の支援活動につながっていくんですね。 当事者だからこそ、同じように大変な思いで付き添ってい る家族を応援したいと考え、2014 年にNPO 法人を設立。翌 年、「ドナルド・マクドナルド・ハウス せたがや」(病気の こどもとその家族のための滞在施設)で夕食を提供するミー ルプログラムを開始しました。その後、常温で長期間保存 できる缶詰を全国の小児 病棟に届けることになり、 米国の三ツ星レストランで 日本人初の副料理長を務 めた米澤文 雄シェフにレ シピ監修してもらって野菜 ——先日、こどもふるさと便からキープ・スマイリングさ んへ応援品の寄贈第 1 弾を行いました。 現在、長期間泊まり込み用の「付き添い生活応援パック」 と、緊急・短期入院用の「付き添い生活応援パックライト」 という支援を行っています。こどもふるさと便の応援品であ る北海道旭川市産米を使用した「パックごはん」は、「付 き添い生活応援パックライト」に入れています。 ——「パックごはん」は付き添いの現場でも使用できるよ う、こどもふるさと便仕様で新たに開発しました。 通常の応援品は生米ということでしたが、病院には炊 飯器もありません。そこで、調理器具がなくても食べられ て、常温で長 期保存できる形式だと助かると相談させて いただいたんです。 ——今後の展望を教えてください。 私たちはこれからも、国や自治体へ現場の声を届けな がら、入院中のこどもたちと付き添い家 族みんなを社 会 全 体で応援できる環 境づくりを目指します。まずは付き 添い入院の現状を知り、ひとつでもアクションを起こして いただけたらうれしいです。 46
  24. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み さと振興課にも話を持っていきました。 ——町外へ応援品を届ける仕組みについて、 どう思われますか。 本来のふるさと納税のあり方と、 未来をつなぐ「こどもふるさと便」 玉地:私は以前から、現在のふるさと納税が EC

    サイトのようになっていることに少し違和感 を覚えていました。返礼品ばかりが注目されが ちですが、本来は「この地 域で、こういうこ とをしたいから寄付をお願いします」というも のだと思うんです。その点、 「 こどもふるさと便」 は、「こどもたちに地域の食を届ける」という 寄付の使いみちが最初から明確に示されてい たので、そこに強く惹かれました。 通常のふるさと納税でも、返礼品として事 業者の商品が選ばれることで地域への還元に はなります。「こどもふるさと便」はそれだけ でなく、寄付を活用して地域の産品を全国の こどもたちへ届けられる。地 域の産品を活用 することが、そのまま「こどもたちの支 援」 能登の特産品を、全国のこどもたちへ 「こどもふるさと便」がつないだ、地域の産業とこども支援 に直結します。地域の産業振興とこどもたち への支援を、1 つの仕組みのなかで両立でき る点に魅力を感じました。 玉地:町外のこどもたちにも能登の産品を届 けることは、まず能登の食を知ってもらうきっ かけになります。知ってもらう人が 増え、地 域の産品が 継 続的に使われるようになれば、 地域の産業にとっても大きな意味があります。 そうした町外との接点を増やしていくことが、 地域振興につながっていくのだと思います。 時 長:農 林 水 産 課としては、生 産 者 側の立 場からこの取り組みを見ることが 多いです。 時長 弘志さん 能登町 農林水産課 農業・水産・林 業の生 産者 支 援 や、漁 港・農 道・林道 などの管理、災害復旧に携 わる。「こどもふるさと便」 では地 域の産品や事 業 者 をつなぐ。 地域で生産されたものが使われることは、事 業者の売上にもつながります。それが応援品 として全 国のこどもたちへ届けられる。生 産 者が作ったものが全国に届くという点も、良 かったと思っています。 能 登 町には、水 産 物だけでなく、お米や お肉、シイタケなど、さまざまな産品があり ます。こうした産品も順番に全国へ届けてい ければ、それぞれを知ってもらう機会が増え、 継続的な需要にもつながっていくのではない かと考えています。 玉地 大輔さん 能登町 ふるさと振興課 ふるさと納税をはじめ、地 域振興や観光、移住・定住 など幅広い業務を担当。以 前は財政係に所属し、庁内 全体の予算にも携わった。 さらに、能登の食材を実際に食べてもらう ことは、全国のこどもたちに「能登」という 地 域を知ってもらう大 切なきっかけになりま 「こどもふるさと便」能登町プロジェクトは、ふるさと納税による寄付 す。いつか大人になったとき、ふと能登の味 をもとに、能登町で水揚げされた魚を全国のこども食堂やひとり親家庭 を思い出して、足を運んでくれる日が 来るか へ届ける取り組みです。2025 年 11 月 15 日から12 月 31日までに、85名から もしれません。「何のための寄 付なのか」と 計193 万 7,000 円の寄付が寄せられました。 奥能登食材流通機構 ても良いふるさと納税の形だと感じました。 特定非営利活動法人パルシックが運営するこども食堂への初回寄贈 を実施し、イカ 20kg を届けました。全国からの寄付をもとに、能登 玉 地:この仕組みは能登 町だけで完 結 する 当日、その様子を見守っていた能登町ふるさと振興課の玉地大輔さん 全国へ届けることが、 地域振興になる。 3 つの部局が支えた庁内連携 (以下、玉地)、農林水産課の時長弘 志さん(以下、時長)、奥能登 ——実際には、庁内でどのように取り組みを ていて、別の地 域 から能 登 町へ応 援 品が届 食材流通機構の笹野好伸さん(以下、笹野)にお話を伺いました。 進めていったのでしょうか。 くこともあります。地 域同士で支援を送り合 玉 地:「こどもふるさと便」は、ふるさと納 いながら、それぞれの地域の産品や魅力も外 税を集めて終わりではなく、寄付を地域の産 へ届けていける。そこが、この仕組みの面白 かけです。実は、その担当者が 偶 然にも私 品につなげ、こどもたちへ届けるところまで さだと思っています。 の同級生でした。最初に「こどもふるさと便」 が事業です。ですから、ふるさと納税を担当 ——事業として進める段階では、庁内のどの と聞いた時は、農林水産課の仕事というより、 する私たちだけでは完結しません。地域の産 部署が関わったのでしょうか。 「ふるさと納 税の話 かな」と思いました。で 品や生産者、事業者とつながりのある農林水 も話を聞くと、ふるさと納 税を通じて地 域の 産課にも加わってもらう必要がありました。 の食材をこどもたちへ。その最初の一歩となりました。 「地域の産品をつなげられる」 ——農林水産課から始まった連携 ——能登町でのプロジェクトの始まりについ て教えてください。 時長:石川県とネッスーさんが「こどもふる さと便」の取り組みで連携しており、県の担 当職員から能登町にも紹介を受けたのがきっ 47 笹野 好伸さん いう目的を寄 付者へきちんと伝えられる。と 2026 年 8月25 日、能登町七見の「能登七見健康福祉の郷 なごみ」で、 食 材をこどもたちへ届ける仕組みだと分かり 一方で、庁内には「せっかく能登町にいた ました。それなら、地域の産品や事業者をつ だいた寄付を、町外の支援に使うのか」とい なげられるのではないかと。そこから、ふる う声もありました。 ものではありません。ほかの自治体も参加し 奥 能 登 の水 産 物の加 工・ 流 通、首 都 圏などへ の販 路づくりに 取り組む。「こ どもふるさと便」では、こ どもたちに届ける能登のイ カの加工・提供に協力。 玉 地:自治 体のなかで実 際に事 業を動かす には、ふるさと納税を担当する部署、農林水 産課、財政部局の 3 つが関わります。この 3 者が互いに理解し合ったうえで進めることが、 48
  25. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み とても大切です。私自身、以前は財政係にい 下処理を済ませ、揚げるだけで調理できる状 ——水 産 物 のように漁 獲

    量 が 安 定しにくい ——能 登 の食をこどもたちへ届けることに、 たので、「これは農林水産課につながないと 態で届けました。こどもたちも調理に加わり、 食 材を、 「こど も ふ るさと 便 」で 継 続 的 に どのような想いがありますか。 実現できない」 「その先には事業者が必要だ」 揚げたてのイカリングとゲソを頬張り、「プリ 届けていくには、どのような工 夫 が 必 要で 玉地:能登はこれまで、全国の皆さんとのさ といった全 体像が見えていたことも、進める プリしてる!」「サクサクでおいしい」といっ しょうか。 まざまなつながりに支えられてきました。そう なかで助けになりました。 た声が聞かれました。 加工品として 活かせる土台を残すために こども食堂に寄贈されたイ カを食べるこどもたち。 笹野:近年は魚の獲れ方を見 通すのが 難し した方々へ恩返しをしたいという想いもありま こうした現場での使いやすさや反応を、次 く、「この時 期にこの魚が、このくらい獲れ す。それと同時に、いただいた恩をその相手 の商品づくりにどう活 かすか。笹 野さんは、 ます」という約束はできません。私は「魚の に返すだけではなく、次に困っている人や地 届けた後の声にも注目しています。 カレンダーが作れない」と言っています。 域へ送っていく「恩 送り」という考え方も大 「来 週これだけ送ります」と言って、「獲れ 切にしています。「こどもふるさと便」を通じ ませんでした」では通らない。だから私たち て能 登 の産品をこどもたちへ届けることも、 は、まとまって獲れた時に凍結し、加工原料 その 1 つの形だと思っています。受け取ってき として使えるようにしています。 た想いを、今度は次の誰かへつないでいけた ——全 国のこどもたちへ 届ける食 材として、 なぜイカを選んだのでしょうか。 笹野:私たちは普段から、「能登町から発 信 するべき魚は何か」を考えています。石川県 生で高く売れるものは、生で流通させれば 全 体で見 ればズワイガニなどもありますが、 いい。一方で、価格が下がる時には加工して 能登町から発信するなら、ブリとイカだと思っ 冷凍し、有 効活用する。奥能登の水産物を ています。 活かしていくという意味では、「こどもふるさ 今回はこどもたちに食べてもらうことを考え と便」は 1 つのチャンネルとして面白いと感じ てイカを選びました。骨がなく、比較的食べ や すいからです。寄 贈したのはスルメイカ、 いわゆる真イカです。能登半島は昔からイカ 釣り漁業との関わりが深く、夏には能登沖に 漁場ができます。今回のイカは比較的小ぶり で、身がやわらかいのも特徴です。 もう1 つ、イカ漁という産業を衰退させたくな いという思いもあります。近年、日本海のイカ 漁は厳しい状 況 が 続いています。それでも、 また獲れるようになった時に、加工品として活 かしていける土台は残しておきたいんです。 ています。 ——「こどもふるさと便」で 現 場に食 材を届 こども食堂のニーズと、送る側ができるこ けるなかで、どのようなことが見えてきまし とのバランスを見ながら進めていければいい。 たか。 参加する地域が増えていけば、それぞれの地 笹野:作る側としては、現 場がどういうもの 域に埋もれている食材も、少しずつ表に出て を求めているのかを知ることが重要です。こ くるのではないかと思っています。 ます。少人 数で多くの食事を用意していると ころもあるはずです。「どこまで加工すれば 使いやすいのか」「揚げるだけならできるの か」「味 付けまで必 要なのか」。そこが 分 か 今回はイカのフライでしたが、一夜干しに もできるし、天ぷらにもできます。奥能登に はブリも海藻も、いろいろな食材があります。 「こどもふるさと便」を通じて、食べた方や 調理する方の声が作る側へ返ってくれば、「次 はこういうものがこどもたちに喜ばれるんじゃ ないか」「どんな形なら使いやすいのか」と、 地 域側でも考えていけます。そうした利用者 の方の声を、次の商品や届け方につなげてい こども食 堂などからは、「魚を食べさせた いけれど、価 格が 高く、なかなか 提 供でき ない」という声も届いています。今回の初回 寄贈では、 イカリング10kg、 ゲソ10kgの計 20kgを、 49 ——最後に、能登の食を受け取るこどもたち ども食堂も、運営体制はそれぞれ違うと思い れば、次の提案ができます。 届けて終わりではない。 こども支援の現場の声を、 地域の商品づくりへ らいいですね。 きたいですね。 時 長:能 登 町の水 産 物を使ったものが、実 際にこどもたちの手に届いたことは、素直に 良かったと思います。今回は町内のこどもた ちが食べる様子も見ることができ、企画して いたものがこうして形になったことを実感しま した。 能登の食を届けながら、 「いまの能登」を伝えていく ——奥 能 登 の産 業を取り巻くいまの 状 況 に ついて、どのように感じていますか。 笹 野:私には、「忘れられたくない」という 想いがあります。 流通は正直です。 「能登が大変だから」 「か わいそうだから」と言ってくれていても、商品 がなければ 取引先はほかの地 域 から買いま す。震災で加工場が被災して商品を作れなく なった時も、「ほかで作ってもらう」「作り方 を教えてほしい」と言われました。相手も商 売ですから、欠品させるわけにはいかない。 そして、一度ほか へ 移った仕事を戻すのは、 簡単ではありません。 だからこそ、「能登はやっていますよ」と発 信し続けることが大事です。「こどもふるさと に、どんなことを感じてもらえたらうれしい ですか。 笹 野:こどもたちが 喜 ぶものだけを考えれ ば、ポテトチップスやハンバーガーのような ものなのか もしれません。でも、せっかく 地 域の食 材を届けるのであれば、能 登 の水 産物や、その食べ方にも触れてほしいという 想いがあります。 何 でも食べや す い 完 成 品にす れ ばいい、 ということでもないと思うんです。食 材に触 れたり、少し調 理に関わったりして食べてみ る。それも 1 つの体 験です。食べることを通 じて、 「 こんな地域があるんだ」 「能登のイカ、 おいしかったね」と記憶に残れば、それだけ でも地 域を知ってもらうきっかけになります。 そこから興味を持って、いつか能登へ来ても らえたらうれしいですね。とにかく、こども が元気なのが一番です。 便」で 能 登 の 食 材 を 全 国 へ 届けることは、 こどもの食支援になると同時に、地域の産業 を支え、「いまの能 登」を知ってもらう機 会 にもなります。 50
  26. Chapter 4 共創パートナーとの取り組み ることを目指して、地 域のさまざまなパート この店頭での取扱いを想定する精度を上げる 魅力的な EC サイトになると思っています。ま ナーの皆さまと共

    創しながら取り組んでいま ことがなかなか難しく、そんな時にこの取り た、仕組みづくりをするうえで、いろいろなメー す。例えば、減 塩や野菜 摂 取 量向上といっ 組みのお話を聞いて、商品の価値を活かす選 カーさんからさまざまなご 意 見 が 出るので、 た栄養課題の解決や食品ロスを削減するため 択肢の 1 つになるのではないかと考えました。 メー カ ー 向 け の 未 利 用 食 品 取 引プ ラット の施策があります。 そのなかで、こどもの貧困による栄養 不足 という課題についても、国内で食品事業を展 開する企業の責務として大切なテーマだと考 えており、さまざまな団体にお話を伺うなど していましたが、具体的に着手できていませ んでした。そうしたなか、今回のお話をいた だきました。 フォームも改善され、より良いプロジェクトに 企業が続けられる仕組みに手応え ——食品メーカーという立場から、未利用食 “未利用食品ゼロ” の未来に向けて せください。 ——ネッスーと一 緒 に 取り組 むな かで 感じ 早乙女:これまで、日付 後 退 品は主にサン られたことはありますか? プリングなどに活用していました。また、や 早乙女:国 分さんと当社とのやり取りでは、 むを得ず大量に発生してしまった場 合は、無 どうしても販売や商流の話が中心になります 償で提 供していましたが、商品の受け入れが し、日付後退品の対応についてメーカー同士 可能な団 体を探し、倉庫の空き状 況の確 認 で情報を交換したり、悩みを話すことはあっ や配送の手配など手間がかかるうえ、物流費 ても一緒に課題解決に取り組むところまでは が発生してしまうのが課題でした。 なかなか至りませんでした。 は何ですか? 武田:こういう取り組みは当然単発で終わっ てはいけないので、やはり持続性は重視しま した。今 回は 既存の商 流・物 流を活用した 武田さん(以下、武田):私は首都圏の家庭 物流費削減や業務負担が考慮された有償取 用商品の販売の責任者を務めています。当部 引なので、寄贈という形よりも継続しやすい。 署は国 分グル ープ 本 社(以下、国 分)さん また、全 国 各地に拠 点をお持ちの国 分さ の窓口でもあります。今回の取り組みは国分 んの物流を活用するので、今後取り組みを全 さんも積 極 的に進めていらっしゃると伺い、 国に広げていくことも可能であり、スケール 参画を前向きに検 討するきっかけになりまし メリットも期待できるのではないかと思ってい た。 ました。そうした点が、参画を最終的に判断 ——「未利用食品の活用推進コンソーシアム」 ネッスーと国分グループ本社が設立した「未利用食品の活用推進コ の構想をお聞きになった際、どのような印象 ンソーシアム」に、いち早く参画いただいた味の素。食品メーカー側 を持たれましたか? から見た未利用食品活用の課 題や、共 創モデルへの期待について、 早乙女:日付 後 退品(※)など未利用食品 お話を聞きました。 の活用を検 討 するなかで、当社は全 国で商 私たちメーカーをつないでいただき、社会的 に意味のある取り組みができたというのは非 常に意義深いと感じています。 「未 利 用 食 品 の 活 用 推 進 コンソーシアム」の会議の 様子。 ——今後の取り組みについて期待されること をお聞かせください。 武田:メーカーとしては、あくまでも未利用 食品ゼロを目指しています。5 年後、10 年後に と考えていました。ネッスーさんが国分さんと は限りなくゼロに近づくようにしたいですし、 一緒に、子育て支援に未利用食品の活用を この取り組みの継続性を考えるうえでは、将 — 現在所属されている部署と、今回の取り —— することを目的にメーカー・卸売業・各地の 来的に子育て世帯に向けた新しい商品を開発 組みにおける関わりについて教えてください。 子育て支援団体をつなぐ実証実験をされると の営業部門の活動全般を統括している営業戦 武田:私は、以前マニュファクチャリング 戦 略 部 に所 属しています。味 の 素グル ープ は 略部という部署で商品在庫の適正化に取り組 「ASV(Ajinomoto Group Creating Shared 51 ですが、そこに第三者としてネッスーさんに 域と関わりながら取り組める活動ができれば 聞きまして、ぜひ参画したいと考えました。 んでいました。需 要予測をして生 産するので Value)」といって、事 業を通じて社 会 課 題 すが、新商品はスーパーさんでの取扱いが想 を解決し、社 会 価 値と経 済 価 値を両立させ 定より少ないと在庫がダブついてしまいます。 味の素株式会社 食品事業本部東京支社次長 入っていただくことによって、異業種の企業や 長年の課題だった 未利用食品の活用 早乙女さん(以下、早乙女):国内食品事業 武田 建さん した大きな要因だったと思います。 品を販売しているので、各地の営業組織が地 日付後退品 賞味期限の残存 期間が短 くなり、納 品 期 限 など に より通 常 の 販 売 ル ートに 乗せにくくなった商品。 早乙女 晴子さん 味の素株式会社 食品事業本部 営業戦略部 品を活用するうえで感じている課題をお聞か ——ご参画を決める際に、大切にされたこと 未利用食品を活用した 共創プロジェクトで こどもたちへの食支援を 持続可能に なっているという実感があります。 することも 1 つのアイデアと考えています。そ ——今 回、複 数の 企 業 が 連 携して取り組む なかで、感じられたことはありますか? のために、会員制 EC サイト「チアドン」の 利用者がどのような方で何を求めているのか、 早乙女:当社商品だけでは利用者の選択 肢 ニーズを把握してその知見を今後の取り組み に限りがありますし、他社さんと一緒にバラ に活かしていきたいですね。 エティに富んだ品揃えにできることは、利用 者にとって選べる便利さや楽しさが提供でき、 ネッスー が 運 営 する児 童 扶 養 手当受給 世帯限 定の お買い物サイト。米や調味 料、レトルトなど、さまざま な 食 品をいつものお買い 物より約 20% おトクに購 入できる。 ← 事業の詳細は P29 へ 52
  27. う れ し い ! が 2 倍 の ふるさと

    納 税 サイト 今 年のふるさと納税は、 こどもの笑 顔が増やせる 「 こどもふるさと便」から! 事業詳細はP25 へ インパクトレポート 2 0 2 6 制 作プロジェクトメンバー Unifying the Chain. 「サーキュラーデザインラボ(CDL)」では、 廃棄物の回収から、それが再資源化され 再び 企 業に納 品されるまでを横 断して設 計することで、経 済としても環 境としても 成 立 する 循 環 モデル を構 築しています。 印刷版のインパクトレポートは、北海道内 で廃 棄されたホタテの貝 殻を原料にアッ プサイクルした用紙を使用しています。 (詳 細は P23 へ) サプライチェーンを、ひとつに。 ネッスー株 式 会 社 現在採 用強化中!詳しくはこちら 「サーキュラーデザインラボ」 サービスサイト 53 制作統括 上野 友暉 企画・ディレクション 水ノ江 詩織 デザイン 小川 夏海 編集 野口 ひとみ インパクト指標監修 佐々木 大輔 免責事項 本レポートに含まれる内容は、原則として 2026 年 9 月時点において当 社が入手している情報に基づいて策定しており、当社がその実現を約 束する趣旨のものではありません。本レポートの情報の一部は原則 として事業者から取得されており、その正確性や完全性を保証する ものではありません。 本レポートの内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の個 人や組織の状況に応じたアドバイスや提案を意味するものではありま せん。本レポートの使用によって生じるいかなる損害についても、当 方は一切の責任を負いません。 54
  28. ネッスー 株 式 会 社 東京都世田谷区代沢4 丁目 44-4 TEL :03-6453-2777

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