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創業社長から「プロダクト責任者」を引き継ぐ方法

Kazuki Onmori
October 24, 2023
1.1k

 創業社長から「プロダクト責任者」を引き継ぐ方法

2023-10-24 開発PM勉強会#24 「急成長企業のPM集合!創業期のプロダクトマネジメントを語ろう」におけるLT
https://peer-quest.connpass.com/event/296299/

Kazuki Onmori

October 24, 2023
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  1. 自己紹介:このテーマを語りうる背景 2012年〜2019年 グリー 社 2020年〜 現在 STORES 社 2022年〜 現在

    個人 ・新卒Day1からプロダクトマネージャー ・ゲームタイトルのプロダクト責任者・事業責任者(PM5人/EN10人/デザイン5人) ・マルチプロダクトの統括マネジメント(PM10人/EN30人/デザイン10人) 後任となるプロダクト責任者の育成 ・後払い決済サービスの立ち上げ責任者 ・STORES.jp社の社長から「プロダクト責任者」を引き継ぐために入社 (PM4人/EN20人/デザイン5人) ・事業責任者も兼任。カスタマーサクセスなどビジネスチーム含めた統括。 ・コロナ禍のユーザー爆増期間にプロダクトとビジネスを舵取り ・現在はマルチプロダクトの事業企画 ・スタートアップ(「すごいベンチャー」)の支援 ・主な課題はフェーズ進展に伴う創業社長からのプロダクト責任者の引き継ぎ ・「プロダクト責任者」の採用・入社後オンボーディング ・プロダクト戦略の構築支援、プロダクト体制の構築支援 ※ チーム人数は記憶に頼った概算
  2. 目次 • 今日のテーマ • 持ち帰っていただきたいもの • ここでいう「プロダクト責任者」とは • なぜ大事? •

    結論:3つのポイント • ① 現状のSync • ② 過去の理解 • ③ 未来の方針 • どういうこと? / 欠けるとどうなる? / 何をする? / 具体例 • マインド(表面 / 裏面) • まとめ
  3. 目次 • 今日のテーマ • 持ち帰っていただきたいもの • ここでいう「プロダクト責任者」とは • なぜ大事? •

    結論:3つのポイント • ① 現状のSync • ② 過去の理解 • ③ 未来の方針 • どういうこと? / 欠けるとどうなる? / 何をする? / 具体例 • マインド(表面 / 裏面) • まとめ
  4. ここでいう「プロダクト責任者」とは 役割 具体的な仕事 「一人目PM」 との違い ・プロダクトの最終意思決定者 ・プロダクト全体のロードマップを策定 ・エンジニアチーム & デザインチームを統括

    ・プロダクト上の「キメ」をする役割 ・経営陣や投資家からプロダクトの方針・思考を聞かれた時に答える人 ・「一人目PM」が「プロダクト責任者」の役割まで任せられるとは限らない ・社長が「プロダクト責任者」を担っているままだと... 何人PMがいたとしても、プロダクトの決めや重要な方針は社長が行う メンバーや他の経営陣から見ると依然として「社長のプロダクト」 経営陣も社員も投資家も、プロダクトについては結局社長に聞く → この「プロダクト責任者」という役割の引き継ぎが大変
  5. 目次 • 今日のテーマ • 持ち帰っていただきたいもの • ここでいう「プロダクト責任者」とは • なぜ大事? •

    結論:3つのポイント • ① 現状のSync • ② 過去の理解 • ③ 未来の方針 • どういうこと? / 欠けるとどうなる? / 何をする? / 具体例 • マインド(表面 / 裏面) • まとめ
  6. 目次 • 今日のテーマ • 持ち帰っていただきたいもの • ここでいう「プロダクト責任者」とは • なぜ大事? •

    結論:3つのポイント • ① 現状のSync • ② 過去の理解 • ③ 未来の方針 • どういうこと? / 欠けるとどうなる? / 何をする? / 具体例 • マインド(表面 / 裏面) • まとめ
  7. ① 現状のSync:どういうことか? 「思考の前提条件」を社長と揃える 社長の景色を知る コアの考え方を すり合わせる • 社長の思い • 少し先の未来として見えているもの

    • 今今の課題として困っていること • 過去の経緯として把握すべきこと  →「わからないこと」を全て解消 • 社長が「同じものを見たら、同じような判断を してくれるだろう」とあなたを信頼できるよう に • 社長が「この人になら船の漕ぎ手を任せられそ う」と感じられるように • タイプは違っていても良い どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  8. ① 現状のSync:これが欠けるとどうなるか? 1/2 次のステップに進むための土台が作られない 課題を特定できない 次のステップで道を踏み外す • 課題を特定せず、WHYを明らかにせず、いき なりHOWに入ってしまうプロダクトマネー ジャーって...

    • 情報が膨大にある中で、「過去」を探索して捉 えようとする時に筋を外してしまう • 現状課題に即さないため、「未来の方針」が会 社にとって意味のあるものにならない どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  9. ① 現状のSync:これが欠けるとどうなるか? 2/2 「社長の気持ち」が引き継がれない • 任せ切れない ◦ 形式的に「役職」「権限」を引き継いでいても、現実の実態として口を出してしまう • 本人と周りに対して「まだ社長は任せていないんだな」という印象・メッセージが伝わる

    • 情報、質問、キメの依頼が依然として社長に集まってしまう ◦ 新しい「プロダクト責任者」として意思決定を引き継ぐ機会を失い続けてしまう • 結果として「プロダクト責任者」としての経験値が積めず、引き継ぎが進まない ◦ 負のスパイラルに陥る どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  10. ① 現状のSync:何をすべきか? 1対1の対話 同じものを見て、 考えたことを共有し合う • とにかく対話、対話、対話 • 複数人のMTGでは不十分。1on1をする。 MTGのアジェンダでは1対1のすり合わせ

    は行われない • 互いの着眼点や思考のクセについて、共通点と 相違点を認識し合う • アウトプットの差分を確かめるためには、同じ インプットをする必要がある(条件を揃える) ◦ 例)競合のリリース・決算を読み解く ◦ 例)メンバーからの質問に対応する ◦ 例)顧客からの要望に返答する どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  11. ① 現状のSync:具体例 • 対話メモは35万文字 • 話題がなくなる、なんてことはありえない ◦ スタートアップは毎日状況が変わる • 話すことがない、という人は...

    ◦ 情報の不足 ▪ 見てない/聞いてない/調べてない ◦ 思考の不足 ◦ 情熱の不足 ▪ 関係性の構築にコミットしている人 なら「真剣に雑談」する • 60分1本勝負 ◦ 前半30分で1冊の本を高速で読む ◦ 後半30分で内容について議論 • 限られた時間の中でどの情報に着目するか、ど こに関心を持つか、が分かると、相手の知識、 これまでの経験のバックグラウンド、思考のク セが分かる • 60分で終了するので時間もかからない • 積読の解消にもなる 8ヶ月間 毎日1時間の1on1 ペア読書 どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  12. ② 過去の理解:どういうことか? 「過去の積み重ね」を理解して、リスペクト どんな「現状」も 「過去の積み重ね」 今いる人へのリスペクト • ついさっき一瞬で誰かが作ったものではない • 誰かが悪意を持って構築してきたわけではない

    • あらゆる都合が折り重なって現在に至っている • 目の前にプロダクトが存在するのは、過去にプ ロダクトと組織を作ってきた人たちがいるから • 今いる人たちは序盤戦を戦ってきた戦士たち どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  13. ② 過去の理解:これが欠けるとどうなるか? 組織における「心の問題」を突破できない 「負債」扱いしてしまう 周りを巻き込めない • 目に映る全てが「負債」に見えてしまう • その気持ちは言葉や態度となって出てきてしま う

    • それは、今いる人たちの過去の取り組みを全否 定することになる • 自分に対するリスペクトを欠いている人につい ていきたいと思うか? • そんな人に、独自のカラーをいきなり出されて も、周りはそれに染まりたくない どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  14. ② 過去の理解:何をすべきか? 積み重ねを知る まず自分を疑う • 「現在」に至るまでの経緯を把握する • プロダクト、ユーザー、経営、組織、ビジネス について。知るべきことはたくさんある。 •

    あなたが考えつくようなことは、過去に誰かが 考えている • 疑問点が出てきたら、まずは過去の経緯・討論 ログ・他社の状況を探索する どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  15. ② 過去の理解:具体例 • ユーザーからサポートへの問い合わせ、ビジネ スチームからの開発要望リストを全部見る • 1つずつ、仕様を理解して、競合を調べて、過 去の経緯や検討ログを探索する • その上で自分なりの考察をまとめて、周りに

    シェアして、フィードバックをもらう 過去の経緯や開発難易度など、より深い 情報が集まる • (むちゃくちゃ疲れるし時間がかかる) • 一定時間自分でリサーチしたら、社内で有識者 を探して直接聞く ◦ 社内情報を1人で探索しているだけではわ からないことが多い ◦ 「そもそも誰が何を知っているのか」が わからない問題 • チャットだと逆に時間がかかるので、30分時間 をもらって一気に聞く • 聞いた情報は整理・ドキュメント化してシェア だいたい、他の人も実はわかってない チケット100本ノック 人に聞く どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  16. ③ 未来の方針:どういうことか? 新しい責任者として、周りを巻き込むための方針 あくまで土台は 現状のSyncと、過去の理解 土台の上に、 自分の意思と意志を乗せる • 新しい責任者として、自分のカラーを出した い、裁量を活かしたいという気持ちはわかる

    • が、必要なのはあなたのエゴではなく、課題の 解決 • そのためにはまず、社長と現状課題をSync し、過去の理解をして、今いる人たちへのリス ペクトを土台として備える • 整えた土台の上に自分のカラーを乗せる • 自分の経験や強みを活かして自分のスタイルで ◦ ロジック、デザイン、技術、ユーザー理 解度、情熱、... • 「で、どうする?」に答える • みんなの気持ちを巻き込んでいけるように どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  17. ③ 未来の方針:これが欠けるとどうなるか? 状況が変わらない 社内の努力は ユーザーには関係ない とはいえ、ここまでくれば なんとかなる • ここまで到達するだけでも、社内では相当な努 力や取り組みが必要

    • しかし、「社内での頑張り」はユーザーに1ミ リも関係ない • 社内で議論しているだけではプロダクトも事業 も前に進んでいない • 「現状課題」と「過去経緯」を理解して土台を 固めているから、筋を外したものにはならない • 多少、方針の精度が低くても、周りの有識者た ちがフォローしてくれるはず ◦ それだけの信頼関係を作れているはず • ユーザー体験・事業・組織が実際に上向くま で、やり続けよう どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  18. ③ 未来の方針:何をすべきか? 一枚絵を描く あなたの感情ではなく 会社の成功を • 過去の経緯を踏まえて、現状課題を整理して、 その解決方針が分かるもの ◦ みんなが参照して見れるもの

    • ロードマップには複数の軸でリズムを作る ◦ 例)負債回収 / 運用 / 不確実な投資 ◦ 例)ボトムアップ要望/トップダウン方針 ◦ 小さくてもいいから機能を出す • 自説や教科書的な方法論にこだわらず、柔軟に ◦ あくまで、いま目の前にあるこの会社に おける課題を解決するためにベストな手 段を考える。オレオレ手法は不要。 • 全員に良い顔をしようとしない ◦ 誰にも嫌われたくないのは自然な感情 ◦ が、非現実的なプランは結果的に嘘をつ くことになってしまう。失望させる。 ◦ 長期的には社内で信頼を維持できない どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  19. ③ 未来の方針:具体例(取り組み) • コロナ禍による爆発的なユー ザー増によって数年分の未来 が先に来てしまった • ユーザー数の増加、各ユー ザーにおけるGMV成長に対 する「プロダクトの耐久力」

    を上げる • 増大するリスクへの対策 • マーケ投資でさらに入ってき てしまう前に、穴を塞ぐ • 個別要望は後回し • 普通に考えて標準的に必要な 機能を埋める [短期] バケツの穴を塞ぐ [中期] 標準機能を具備 • 既存プロダクト開発よりも、 新規プロダクト開発にリソー スを寄せる • 既存プロダクトで、社内リ ソースだけでなく外部のリ ソースを活用できるような仕 組みを作る(外部公開API) [長期] マルチプロダクト どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  20. ③ 未来の方針:具体例(結果) • ユーザーの「負担軽減」に フォーカスした開発 • 不正決済金額が激減 • 「配送日指定」「アイテム動 画」「品番管理」リリース

    [短期] バケツの穴を塞ぐ [中期] 標準機能を具備 • 「STORES レジ」リリース • 「外部公開API」リリース [長期] マルチプロダクト ※ 数値は出せないのでイメージ どういうことか? 欠けるとどうなる? 何をすべき? 具体例
  21. 目次 • 今日のテーマ • 持ち帰っていただきたいもの • ここでいう「プロダクト責任者」とは • なぜ大事? •

    結論:3つのポイント • ① 現状のSync • ② 過去の理解 • ③ 未来の方針 • どういうこと? / 欠けるとどうなる? / 何をする? / 具体例 • マインド(表面 / 裏面) • まとめ
  22. 表マインド:任せ切る。任せられ切る。 社長は 任せ切る あなたは 任せられ 切る ・社長は自分の権限・裁量・領域を半端に残さない 社長の言動・行動はみんなが見ている 半端な口出しは「まだ手放せない」「任せていない」というメッセージになる ・任せられる側は自立して自律する

    必要な援助は自分でリクエストする 意思決定に必要な材料は自分で取りに行く ・社長に判断を仰ぐ姿をみんなに見せない みんなが不安になってしまう どうしても悩んだときは裏で聞く ・周りから見ても「もうこの人に聞くしかないんだ」と思ってもらう 「誰に何を聞くのか問題」は放っておくと社長のままになってしまう
  23. 目次 • 今日のテーマ • 持ち帰っていただきたいもの • ここでいう「プロダクト責任者」とは • なぜ大事? •

    結論:3つのポイント • ① 現状のSync • ② 過去の理解 • ③ 未来の方針 • どういうこと? / 欠けるとどうなる? / 何をする? / 具体例 • マインド(表面 / 裏面) • まとめ
  24. 裏マインド:時間がかかる。それまでに折れない。 時間が かかる 折れない ・JOINしてみんなの話が分かるようになるまで3ヶ月 プロダクト・ユーザー・経営・ビジネスの現状と過去について理解しきる期間 ・自分の言葉で自信を持って価値を出せるようになるまで6ヶ月 直下チームの構築、他チームからの信頼形成に要する期間 ・あなたがやっても誰がやっても同じくらい時間がかかる ・「仕事

    難しい」 あなたがやっている仕事は誰がやっても難しい ・価値ある機会 「業務経験」は課金しても得られない あなたがこれまでに実績を重ねて、良い機会に恵まれたからこそ得られている ・今の苦悩も、1年後に振り返れば「思い出話」「経験談」になっている
  25. 目次 • 今日のテーマ • 持ち帰っていただきたいもの • ここでいう「プロダクト責任者」とは • なぜ大事? •

    結論:3つのポイント • ① 現状のSync • ② 過去の理解 • ③ 未来の方針 • どういうこと? / 欠けるとどうなる? / 何をする? / 具体例 • マインド(表面 / 裏面) • まとめ