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技術好きなエンジニアが "リーダーへの進化" によって得たものと失ったもの
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pospome
March 14, 2025
Programming
3
560
技術好きなエンジニアが "リーダーへの進化" によって得たものと失ったもの
イベント "技術者からリーダーへの進化【サポーターズCoLab】" の登壇資料です。
https://supporterz-seminar.connpass.com/event/345341/
pospome
March 14, 2025
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Transcript
技術好きなエンジニアが “リーダーへの進化” によって 得たものと失ったもの @pospome
自己紹介 • 名前:pospome(ぽすぽめ) • 所属:株式会社カミナシ • 職種:VPoE • Xのアカウント:@pospome 2
本イベントのテーマと今日話すこと • pospomeの歩んできたキャリアにおける役割や視点の変化について お話しようと思います。 • キャリアパスは狙っていたものではない。 ◦ ただ、パスを歩む際に考えていることはあった 3
pospomeのキャリアパス 1. バックエンドエンジニア a. ソーシャルゲーム開発 b. ソーシャルゲームプラットフォーム開発 2. テックリード a.
認証基盤開発 3. アーキテクト/マネージャー a. 組織的な技術戦略の策定と推進 4. VPoE a. カミナシの開発組織を良い感じにする 4
注意点 • キャリアパスの話は生存バイアスが強いので参考程度に・・・。 5
pospomeのキャリアパス 1. バックエンドエンジニア a. ソーシャルゲーム開発 b. ソーシャルゲームプラットフォーム開発 2. テックリード a.
認証基盤開発 3. アーキテクト/マネージャー a. 組織的な技術戦略の策定と推進 4. VPoE a. カミナシの開発組織を良い感じにする 6
バックエンドエンジニア時代 • Webサービスの設計・開発・運用を担当する。 ◦ ハイトラフィック ◦ 大規模開発(マイクロサービス) • エンジニアとして強くなることのみを追い求めていた。 ◦
プライベートの時間もプログラミングをしたり、技術書を読んだり。 ◦ アプリケーションアーキテクチャを強みとすることに決めた。 • 「自分はエンジニアとして優秀になって、ずっと開発に携わっていく」 と考えていた。 ◦ 当時は “エンジニア35歳定年説” みたいなものがあり、 それに抗っていく気持ちがあった。 7
pospomeのキャリアパス 1. バックエンドエンジニア a. ソーシャルゲーム開発 b. ソーシャルゲームプラットフォーム開発 2. テックリード a.
認証基盤開発 3. アーキテクト/マネージャー a. 組織的な技術戦略の策定と推進 4. VPoE a. カミナシの開発組織を良い感じにする 8
テックリード時代 • ある日テックリードに任命された。 ◦ 嬉しかった。 • 業務に小さな変化があった。 ◦ ミーティングの増加(チームの窓口) ◦
ドキュメント作成の増加 ◦ 多少のピープルマネジメント & プロジェクトマネージメント ◦ チームの意思決定における権限と責任 ▪ 自分が決めることによる不安 • 結果的に開発作業に割ける時間が減った。 ◦ ゆーてエンジニアの延長線上なので、それでも楽しかった。 9
テックリード時代の挫折 • 今思うとこれが “技術者からリーダーへ” の転換点だった気がする。 • 自分の上位互換のエンジニアに出会う。 ◦ エンジニアの能力は数値化できず、優劣が付けづらい中で そう感じたので結構な衝撃だった。
10
テックリード時代の生存戦略 • 例のエンジニアと正面から勝負すると負ける。 どうすれば勝てるのだろうか? ◦ 当時のpospome は“勝ち負け” を気にする程度には エンジニアとしてのプライドが高かった。 ◦
生存戦略やキャリアパスではなく、自身のプライドを守るため。 11
テックリード時代の生存戦略 • 技術以外のこともできるようになろう。 正面から戦うことを避けて、総合力で戦う。 ◦ あくまでエンジニアとして総合力で戦う。 • 当時のpospomeが考えた “技術以外” とは?
◦ コミュニケーション ◦ ドキュメンテーション ◦ チームビルディング ◦ 採用 12
キャリアやポジションに対する不安 • 薄っすらとした不安 ◦ 1チームのテックリードでできることはたかが知れている。 ◦ テクノロジーのコモディティ化がすごい。 ▪ 下の世代がコスパよく階段を上がってくる。 13
キャリアの転換点 • 組織全体の技術戦略を考えて、実行するポジションに可能性を見出した。 ◦ 自身の技術力を活かしながらも、コミュニケーション、ドキュメンテー ション、組織づくりのスキルを伸ばせる。 ◦ 大きな組織を変えることができるエンジニア 14
pospomeのキャリアパス 1. バックエンドエンジニア a. ソーシャルゲーム開発 b. ソーシャルゲームプラットフォーム開発 2. テックリード a.
認証基盤開発 3. アーキテクト/マネージャー a. 組織的な技術戦略の策定と推進 4. VPoE a. カミナシの開発組織を良い感じにする 15
アーキテクト/マネージャー時代 • DMM.comのプラットフォーム開発本部に入社する。 ◦ 120名のエンジニアが所属する組織のアーキテクト • プラットフォーム開発本部の技術戦略に責任を持つ。 ◦ PRD, Design
Docの導入 ◦ 共通コンテナプラットフォームの導入(プラットフォームエンジニアリ ングへの取り組み) ◦ 認証認可基盤の構築 ◦ SLI/SLO導入 ◦ 開発生産性の向上 16
アーキテクト/マネージャー時代 • マイクロサービスアーキテクトグループの設立 ◦ プラットフォームチーム ◦ SREチーム ◦ 認証チーム ◦
認可チーム ◦ Developer Productivity チーム • pospomeが考える戦略を実現するための実行部隊 ◦ この組織のマネージャーになった。 17
アーキテクト/マネージャー時代 • DMM時代の業務 ◦ テクノロジーマネージメント/プロダクトマネージメント ▪ 技術基盤のDesign Doc作成 ▪ 成果物レビュー
◦ プロジェクトマネージメント ▪ ロードマップ作成 ▪ 進捗管理 ◦ ピープルマネジメント ▪ 育成 ▪ 採用 ▪ 1on1 ▪ 評価 18
得られたもの • 抽象度の高い技術戦略への理解度は上がった。 ◦ プラットフォームエンジニアリング ◦ マイクロサービス ◦ Design Doc
• 大きな組織を動かすために何が必要か。 ◦ ドキュメンテーション & 説明会 ◦ トップダウン ◦ 信頼貯金 ◦ 話が分かる承認者 19
得られたもの • 視座の高さ ◦ 自分が使えるか?使いやすいか? -> みんなが使えるか? ◦ 最終的に目指したい世界 ▪
どういうCDを目指すのか? ▪ どういう運用モデルを目指すのか? • 需要があることを知った ◦ 組織に求められる働きはこれだった。 ▪ 組織を作ったり、動かしたりできる人材は強い。 ◦ エンジニアとしてのpospomeは求められていない。 ▪ それだけの価値を生み出せない。 20
失ったもの • 技術領域に閉じた活動ではあるが、楽しさは減った。 ◦ 開発作業をしなくなった(やっぱり自分で作っている方が楽しい)。 ◦ 一方である程度の楽しさはある。 • 技術に対する解像度が低くなった。 ◦
Goの新しい機能に詳しくない。 ◦ k8sの内部の仕組みに詳しくない。 ◦ 手を動かして得る知見を得られない。 21
過大評価と不安 • テクノロジーマネージメントを中心に色々できるようになった。 ◦ 技術領域を強みにしつつも、他もできる “T型” のスキルセット。 ◦ 自分って市場価値高いのでは? •
不安に感じることもあった。 ◦ DMMだからできるだけでは? ◦ これって自分の実力なんだろーか? ◦ 他の人も同じことできるのでは? 22
pospomeのキャリアパス 1. バックエンドエンジニア a. ソーシャルゲーム開発 b. ソーシャルゲームプラットフォーム開発 2. テックリード a.
認証基盤開発 3. アーキテクト/マネージャー a. 組織的な技術戦略の策定と推進 4. VPoE a. カミナシの開発組織を良い感じにする 23
カミナシVPoE時代 • 自身の実力を確かめ、より市場価値のある人材を目指すために、 異なる環境で働くことに決めた。 ◦ 異なる役割(VPoE) ◦ 異なる業界(ノンデスクワーカー向けToBサービス) ◦ 異なるビジネスモデル(SaaS)
◦ 異なる組織規模(エンジニア30人規模) • エンジニアとしてのプライドやこだわりは影を潜めた。 ◦ 技術領域に強みがあることは変わりないけど、少し悲しい。 • 2024/10/1に入社して悪戦苦闘中です・・・。 24
カミナシのVPoEに求められるもの • 組織だけでなく、技術に関する意思決定もできなければいけない。 ◦ 良い組織は良い技術によってもたらされる(逆も然り)。 • カミナシの売上を上げること。 ◦ 開発組織の責任者として、どう利益を上げていくか。 ◦
視座が1つ高くなった。 • CTOとの棲み分け ◦ CTOはあくまで “技術を理解している経営者” VPoEは “開発組織の責任者” 25
最後に • 生存バイアスが強く、参考になるかは分からない。 • 強いエンジニアから逃げるためのキャリアパスだった気がする。 ◦ 言い換えると常に向上心や危機感を持っていた。 • マネージャーでもVPoEでも、 技術領域に強みを持っている点はとても役に立っている。
• エンジニアとしての最低限のプライドは持ち続けたい。 ◦ 影を潜めたけど・・・。 26
まとめ おわり 27